雫とは、1996年にLeafブランドのゲームとして株式会社アクア(現アクアプラス)から、Leafビジュアルノベルシリーズ(LVNS)の第1弾としてリリースされた18禁PCゲームである。(痕、To Heartとともに、LVNS三部作と呼ばれる)
物語の大雑把な流れは、『鬱屈した気分を抱える主人公が通う学園で突如女学生が淫語を叫びながら自傷を行う怪事件が起こったため、親戚でもある教師から調査依頼を受ける』というもの。
高校を舞台にしたいわゆる「学園モノ」であるが、LVNS第3弾のTo Heartとは異なりダークな雰囲気のため、発売直後は大きなヒットとはならなかった。
しかし、パソコン通信などで口コミ的に話題となり、その後爆発的なヒットとなった。
構成や作風はミュージシャンの大槻ケンヂがかつて執筆した『新興宗教オモイデ教』を参考にしていると言われているが、女の子を絡めるエロゲーのルールに従った造りになっていたり人物関係や主人公の性格に違いがあったりとほぼ別物になっている。
移植が数多く行われているLeaf作品にありながら、ストーリーを全年齢向けに書き換えることが困難なせいか『痕』同様家庭用移植は未だにされていない。
1997年に設定原画集(雫・痕設定原画集)や金月龍之助によるノベルが刊行されているほか、2004年にリメイク版が発売されている。
リメイク版はBGMやグラフィックが一新されたりオマケシナリオが新規のものに差し替えられていたり擬似的な動き(キャラのCGがあるシーンで震えたりする)を取り入れていたりと結構手が加えられているが、取り分け大きいのがボイスの追加。
電波度の高い台詞が多い月島拓也の熱演には多くのプレイヤーが感銘を受け、様々なMADが作られることになった。
また、テキストに出てこない音や遠くから聞こえる喘ぎ声なども入っており、音に関してはかなり気合が入っている。
反面、グラフィックは小奇麗になり過ぎていて原作のダークさが薄れていたり、丸っこくなっていたりと大きく変わっているせいで批判が多かった。
とはいえテキストは倫理的に問題がある設定が書き換えられた以外は概ねオリジナルと同じなので完成度は相変わらず高い。
DL販売や現代のPCに合わせた移植などが行われていないオリジナルをプレイするのは今となっては困難なので、これから遊ぶならこちらがオススメ。
ここ数日の間、僕は不思議などろりとした時間の中を漂っていた。
毎日同じ時間が同じ映像で繰り返されているような……そんな奇妙な錯覚を覚えている。
代わり映えのないくだらない毎日の連続。
やがていつの頃か、僕はこの退屈な世界から、すべての音と色彩が失われてしまっていることに気付く。
僕はつまらない現実を離れ、徐々に狂気の世界へ足を踏み入れようとしていた…。
そんな僕のクラスで、ある日の授業中、一人の女生徒がおかしくなった。
彼女は機械のようなまっすぐな姿勢で席から立ち上がると、突然、大きな声で卑猥な言葉を叫びだし、教師が無理矢理その口を押さえる頃には、彼女の顔は自らの爪が刻んだ生傷で血だらけになっていた。
クラス中の生徒たちが息をのんで見守るなか、鮮血の赤を見つめていた僕は、現実世界がゆっくりと色を取り戻していくのを感じていた…。
(「雫・痕 設定原画集」より)
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最終更新:2024/12/13(金) 16:00
最終更新:2024/12/13(金) 15:00
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