電気工事士とは
1:家屋や工作設備において、電気配線を敷設、電気機器を取り付けする者。
2:上記1に従事するために必要となる国家資格の総称。本稿で解説する。
概要
我々が日常的に使用しているエネルギーの一つに電気がある。しかしながら、電気は目に見えないものであり、それ故に不完全な施工方法による工事を行うと、感電、漏電、火災などといった災害に繋がる危険性が高くなる。こういった災害を防止する目的から、電気に関係する工事に従事する者は全員、必要な知識を身に付け、尚且つ所定の資格を取得するよう義務付けられている。これが電気工事士である。
当然のことながら、「自分の家だから免状は必要ない」「壁コンセントを変えるだけなのに資格は不要」という考えは大間違いであり、電気法規に接触する。
また、電気工事を行う際は発行された免状を携帯することが義務付けられている。
長年、電気工事士の免状は各都道府県により様式と形状が異なっていたが、2022年4月発行分の免状より共通様式のプラスチックカードで発行されることが決まった。
簡単な用語概説
解説を進めていくにあたって、いくつか専門用語が出てくるため、ここで概説する。なお、電気工事士法と電気事業法とで定義が若干異なるため、本稿では電気工事士法による定義の下で解説する。
- 電気工作物
発電、変電、送電若しくは配電または電気の使用にために設置される工作物(人の手で造られた物)の総称。
- 一般用電気工作物
600V以下で受電している設備を指す。一般家屋や小規模の工場、小規模の商店に置き換えると分かりやすい。ただし、一定以上の発電能力を持つ発電設備が併設されている場合は自家用電気工作物に化けることもある。分からない時は自分で判断せず電気保安協会へ確認を取ること。
- 自家用電気工作物
600V以上で受電している、あるいは最大電力500kW未満の需要設備を指す。ビルや中規模以上の工場に置き換えると分かりやすいだろう。
なお、マンションやアパートといった集合住宅においては、建物自体は自家用電気工作物の扱いであっても、借室電気室の特例により専有部のみ一般用電気工作物の扱いとなる場合もある。この場合、電気代が家賃に含まれているか、個別に支払う形になっているかで見分けることが可能。分からない時は自分で判断せず管理人へ確認を取ること。
種類
- 第一種電気工事士
自家用電気工作物と一般用電気工作物両方の電気工事に従事することが可能。ただし、特種電気工事に該当するものは所定の講習を受けないと従事できない。免状の発行にあたっては3年以内の実務経験を要する。また、免状発行日から5年毎に定期講習を受ける必要がある。
- 第二種電気工事士
一般用電気工作物の電気工事にのみ従事することが可能。ただし、特種電気工事に該当するものは所定の講習を受けないと従事できない。第一種と違い、免状の発行に当たっての実務経験は不要で、定期講習も無い。
近年、インターネットの普及により電気工事の施工技術が多く発信されるようになり、DIY目的で取得する人が増加している。
- 認定電気工事従事者
自家用電気工作物のうち、600V以下の電気回路での簡易工事(電線路に関わる物を除く)に従事することが可能。
第二種電気工事士、第一種~第三種電気主任技術者は講習を受けることで取得可能。講習は毎年春と夏に開かれており、主要都市で開催される。
第一種電気工事士の試験に合格するか、第二種電気工事士の免状取得後3年以上の実務経験を積むと申請のみで取得可能。
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特種電気工事資格者
より高度で専門的な知識が必要となる電気工事に従事することが可能。
所定の講習を受講するのに加え、5年以上の実務経験が必要となる。また、認定電気工事従事者と違い、講習は東京で年に1回しか開催されない。以下の2種類がある。
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関連項目