静止型インバータとは、鉄道車両に用いられる電源装置である。「Static InVerter」よりSIVと略されることも多い。
電車(電気機関車)を走らせるためには車内照明や空調、制御機器、メーターなどを作動させる必要がある。しかし車両が外部から取り込む電気は直流1500V(交流では20000/25000V)と非常に高圧なうえ、20%もの電圧変動があるため、そのままをこれらの機器類に使用することはできない。
以前は電動発電機(MG)で取り込んだ電力を用いて電動機で電力を発電し変圧調整していたが、電力効率が悪く、メンテナンスの手間も多かったので、半導体の価格が下落するに合わせ静止型インバータを代用する事になった。
静止型インバータは、取り込んだ高電圧の電気を定電圧・定周波数の交流に変換する装置である。出力された60Hzの交流はトランスで適宜変換され、それぞれの機器に供給される。また動作中は独特の一定の周波数の音(インバータノイズ)を発する。「電車の音」として聞き覚えがある方もいるかもしれない。
VVVFインバータは可変電圧・可変周波数を出力する装置なので、SIVはそれの機能限定版と言えよう。
SIVのような働きをする機器を補助電源装置と総称する。補助と名が付くが、車両の心臓と言って差し支えない重要性である。
万が一故障すると全ての機器への給電が止まり、車両は完全に機能停止に陥ってしまう。このような事態を避けるため、複数台の搭載やVVVFインバータの代用などで備える場合がほとんどである。
この装置の開発によって電力効率の向上の他、メンテナンスフリーや低騒音化を実現した。
近年では更新工事によりMGを載せた車両でもSIVに載せ替える例も見られる。
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最終更新:2024/04/25(木) 09:00
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