文字通り韓国系のメーカーによって、韓国国内で生産される車を指すが、海外に工場を持ってそこで生産された車両でも韓国車というケースがほとんどである。
韓国の初めて生産された車は始発(シバル)という車で米軍の老朽化したジープの部品に新たに作り上げた車体で作られた車である。黎明期らしく非常に簡素なデザインであるが、ここから韓国車の歴史が始まったといっても過言ではない。
本格的な生産は1960年代半ばごろセナラ自動車(大宇自動車の前身の一つ)による日産・ブルーバードのノックダウン生産であり、以降各メーカーが西側諸国の車をノックダウン生産する形をとった。この当時、韓国では自動車産業がまだまだ自前で開発できるレベルにはなく、また国内産業の保護・育成のため、車の輸入は厳しくされていた事情もあってノックダウン生産の形をとったと思われる。その後、ノックダウン元は日系メーカーのものがほとんどとなり、ありとあらゆる面で日本車の影響を受けることとなる。こうしたノックダウン生産車は1990年代前半まで見られた。
その後、1980年代後半になると輸入の自由化や関税の段階的な低減により、ノックダウン生産を取りやめて、技術供与程度に留めるなど徐々に独自の開発を始めるようになる。なお日本車については過去の遺恨が影響してか、自動車輸入自由化後も禁輸品目に入っていた。
2000年代に入るとこれまでの日本車の系統から外れた本格的な独自路線で世界に勝負をかけることとなり、また国内ではアジア金融危機に端を発する不況により、数あったメーカーがライバルに統合される事になった。日本車と同程度の性能を持ちながら、価格の安さを武器にそれまで日本車の持ってたシェアを脅かすこともあり、その勢いでヒュンダイが日本へ進出した。
2010年以降もイケイケのペースであるが、ライバル車の台頭で肝心の国内販売が不調となっている。また、禁輸品目であった日本車が輸入解禁ののち、米韓FTAの発行により「アメリカ車」として低い関税(撤廃予定)販売されることとなり、そのシェアを伸ばしている。この為、もっぱら海外戦略に軸足を置いている傾向となっている。
歴史的に主に日本車のノックダウンを行ってきたことにより、黎明期から21世紀初頭までは日本車の影響が色濃く出ていた。鑑写しにした日本車そのものと言ってしまえばそれまでであるが、規格の面でも日本車と似たり寄ったりな部分があるため、当時は日本車の特徴そのものであるといっても過言ではない。それを示すかのような言葉が「ボンゴ」である。ボンゴはマツダの販売する1BOXカーであり、登場当時はベストセラーとなったため、かつては1BOXカーを指して「ボンゴ(型)」と言われることもしばしばあった。そして起亜自動車へノックダウンされた際にも韓国で人気を博し、当地でも1BOX=ボンゴというイメージが定着していた。
他方、アメリカの影響を受けた車もある。商用車、とりわけバスはアメリカで見られたステンレス車体を模したものもある。
2000年代後半になると、独自色を出してデザイン面でも日本車の影響を廃したモデルが多数登場しているが、お家芸と揶揄されるデザインのパクリが指摘されることが多々あり、これの克服が課題となる。
また燃料にLPGを使用する車両が多いことも特徴である。韓国のガソリン価格は非常に高く、安価なLPG燃料が人気となっている。そのため、後述するが日本にもタクシー用途に少なからずLPG乗用車が輸入がされたことがある。
ここではかつてノックダウン生産、或いはライセンス生産をしていた日本車を列挙する。現存していないメーカーは赤文字で示す。
ごく初期にフォード車をノックダウンしていたが、三菱と提携をはじめ、三菱の多くのラインナップのみならず、ふそうもその中に入っていた。
マツダの車種が多く、後年はマツダがフォードと提携していた関係で、生産車両をフォードブランドで販売することもあった。なお、ヒュンダイにおいても初期の車両はフォードの車両をノックダウンしていたが、フェスティバを輸出した当時はすでに提携は解消し、三菱をパートナーとしていた。
早い段階で起亜自動車に買収されており、また国策の影響で起亜自動車の商用車部門の趣がある。ごく初期に三菱ふそうの観光バスをノックダウンしていたが、すぐに日野自動車となり、同じトヨタ系であるダイハツ・ハイゼットをノックダウン生産している。また親会社の起亜自動車がマツダと提携していたこともあり、マイクロバスはマツダのものとなっている。
携帯電話などのITで知られるサムスンの自動車部門は韓国国内では新参の部類である。日産自動車と提携したことで、後年ルノーともパートナーシップを結ぶこととなる
大宇系はルーツが複数あるので、ここでは項目分けをする。GMコリア参加してから、同じGMのパートナーであるスズキやいすゞの車種を導入する傾向があった。
規格面においては日本に準じるところが多いと書いたのだが、それを表すのが軽車(「キョンチャ」と読む)であり、エンジンの排気量が少々大型である以外は日本の軽自動車とほぼほぼ同一である。日本と同じように車両価格・税金・高速道路の料金が割安になるなどのメリットがある。
この為、海外ではあまり見ることのない軽自動車のライセンス生産が行われていた
韓国車が日本に本格的に輸入されるケースは21世紀に入ってからであり、それまではフォード・フェスティバのケースを除けば、ごくごく起亜・ビガートやサンヨン・ムッソーなど少数が小規模な販売店によって細々と販売されているに過ぎなかった。
フォード・フェスティバは80年代から90年代を代表するコンパクトカーの一つであったが、初代のモデル末期においてはセダンモデルや5ドアモデル(日本では3ドアのみのラインナップ)が日本に輸出された。なおこのモデルは左ハンドルのみの販売であり、販売台数も非常に少ないものであった。
その後、2000年代に入るとヒュンダイ自動車が日本法人を立ち上げて日本市場へ殴り込みをかけた。いくつかのモデルを引っ提げてきたものの、結果は惨敗もいいところであった。
これにはいくつかの理由が考えられる。
そんな中でもいくつかの販促キャンペーンを打ったのだが、どれも低調に終わり、最終的には乗用車では撤退の憂き目にあうこととなった。
商用車で見るとトラックは輸出されていないが、タクシー用とバスが日本に輸入されている。タクシー用はヒュンダイ・グレンジャーが導入され、国内では初めてとなる燃料噴射装置機構のLPG車となった。インジェクション式はかねてより国産車にも導入が求められていたのだが、諸事情により2世代程度も旧式のガスミキサー式を使用せざるを得ず、韓国車に先を越される格好となった。お値段も安く、性能も段違いなのでそこそこ導入されたのだが、2009年にヒュンダイが乗用車販売をやめてしまったので、それに合わせて輸入も中止になっている。
現在の韓国車のメインはバスである。乗用車と違い、ブランド確立はそれほど大きな要素とならず、また年々強化される排ガス規制で国産が軒並み価格の上昇が著しくなっていたところに目をつけて、格安を売りに観光バス市場への参入を図った。まず大宇バスが参入した。正確にはディーラーではなく、バス事業者が並行輸入の形をとったものとなっていた。国産車の3分の2を売りにその当時台頭していたツアーバスを運行する会社を中心に導入された。また、インバウンド向けの観光バスとしても導入され、そこそこの台数が入ったのだが、そもそもディーラーではなく一バス会社が並行輸入の形をとっていたため、メンテナンスの面で不安を払しょくしきれず、また形式認定をとらず、試作車の名目で輸入してたのに大量に導入したことで役所の怒りを買って輸入差し止めになったともいわれている。
そして2009年にヒュンダイ自動車がユニバースという大型バスを導入した。撤退の憂き目にあった乗用車の雪辱を晴らすがごとく、日本に合わせた体制づくりを確立した。ディーラーは撤退したとはいえ、その拠点までは減らされはすれど、無くなることはなかった上にパートナシップを結んだ会社もあり、乗用車以上に重要となる信頼性の面をクリアすることに成功した。また、形式認定を受けたことで大々的に販売をすることが可能となった。お値段も国産と比べてかなり格安ということもあり(ただし、販売当時は未曽有の円高であったことを考慮する必要がある)多くのバス会社に注目された。実際に当初はインバウンド向けの会社に導入されるケースが多かったのだが、その後富士急行といった大手のバス会社にも導入されるケースも出てきており、国産車には及ばないがコンスタンドな販売台数で堅調な数字で推移している。
このように乗用車ではてんで駄目であるが、バスにおいては静かにその存在感を大きくしつつある。
韓国車によく言われるのはデザインの剽窃があるのではというものである。国外の著名なメーカーのデザインをそれぞれ組み合わせたデザインは国内からも指摘があるほどである。過去の車両が日本車そっくりという声もあるが、これはそもそもノックダウン生産していたからであり、この指摘は的外れである。
また誇大広告の問題、それに端を発する燃費偽装があげられる。とりわけ燃費偽装はアメリカで集団訴訟になり、当局により罰金が科せられた。広告戦略もアグレッシブではあるものの、「ヒュンダイを知らないのは日本だけ」とあまり好感されないキャッチコピーであるが、これはまだまだ生易しいもので、本国や海外では比較広告を用いて一歩間違えれば誹謗や誤解を招くえげつないものも散見される。日本では比較広告はあまり好感されないので見ることはないのだが、やはりえげつなさが過ぎると批判の対象となる。
そしてイメージ戦略上の問題もある。元々、「日本車には一歩劣るが、お値段が安い」というイメージで日本車の代わりというイメージが先行し、海外へイケイケで行ってた時期はそのイメージでシェアを拡大していったのだが、それゆえに売るときのお値段が低く、また乗っている層が層であるので貧乏人の車というネガティブなイメージがついてしまった。その為、そのイメージを払拭すべくプレミアムブランドの確立を画策しているが、レクサスなどのライバルの壁は高く、もともとのイメージやデザインの剽窃がみられるなどして、まだまだ時間がかかるものと思われる。
この他、中国車というライバルが台頭してきており、安価な代用日本車としての立ち位置も脅かされている。
最後に車そのものではないが、韓国車にまつわる問題として韓国国内の寡占化や労働争議がある。前者は大宇自動車はGMとなったため韓国系ではなくなり、サムスン自動車は新規参入ゆえの規模の小ささがある。そして起亜自動車はヒュンダイ自動車の傘下となったことで、韓国系のメーカーは軒並みヒュンダイ系の息がかかっているといっても過言ではない。ほぼ寡占状態になっているということは競争原理があまり働かず、車両価格をぼったくりしているのではないかとされる。北米仕様の車両と比べてもかなり高くなっていることが問題となっている。後者はヒュンダイの例をとると労組が非常に力を持っており、たびたびストライキが発生している。競争の激化が増してるにもかかわらず、非現実的な要求を突き付けて高コスト体質を脱却できないでいる。このことが国内車両価格の高騰の原因と関係しているといってもいいと思われる。
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/02/07(金) 20:00
最終更新:2025/02/07(金) 20:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。