顚とは、てっぺんという意味の漢字である。
漢字として
- 意味
- 頂き、てっぺん、頭上、倒れる、ひっくり返る、逆さ、(癲と通じて)気が狂った。
- 〔説文解字・巻八〕に「頂きなり」とある。
- 字形
- 形声。声符は眞(真)。
- 白川静は眞は行き倒れを意味する漢字であり、顚倒、顚死が眞の本来の意味であるとする。
- 音訓
- 音読みはテン(漢音、呉音)、訓読みは、たおれる、いただき。
- 規格・区分
- 顚は人名漢字である。2004年に人名用漢字に採用された。JIS X 0213第三水準。
- 声符
- 顚を声符とする漢字に巓、癲などがある。
- 語彙
- 顚蹶・顚狂・顚躓・顚顚・顚倒・顚仆・顚覆・顚末・顚落・山顚
JIS規格について
顛・顚は、JIS規格で例示字体の入れ替えや包摂基準の変更が行われていて、ややこしい。
- JIS C 6226-1978で、区点37-31に顛が採用される。例示字体は眞に従うもの(顚)。
- JIS X 0208-1983で、区点37-31の例示字体が真に従うものに変更される(顛)。眞に従う字は顛に包摂されることになった。なお填・塡も同様の例示字体の入れ替えや包摂の指定がなされた一方で、真・眞、慎・愼、槇・槙などは包摂関係になっていない。
- JIS X 0213で、面区点1-37-31に顛が、面区点1-94-3に顚が登録され、顛・顚は包摂されないことになった。
異体字
- 顛は、〔正字通〕に「俗顚字」とある異体字。JIS X 0213第一水準。
- 㒹は、〔字彙〕や〔正字通〕に「俗顚字」とある異体字。Unicodeにnon-classical of 顛とある。
- 傎は、〔正字通〕に「顚に同じ」とある異体字。別の字とする字書もある。JIS X 0212補助漢字。
- 厧は、〔玉篇〕に「厧、――止なり。亦た顚と作(な)す」とあり、顚が異体字。別の意味があり〔集韻〕には「塚なり」とある。
- 𠖩は、〔正字通〕に「俗顚字」とある異体字。別の意味があり〔集韻〕には「高遠なり」とある。
- 𠫉は、〔正字通〕に「俗顚字」とある異体字。厧の異体字でもある。
- 𡬅は、〔正字通〕に「俗顚字」とある異体字。別の意味があり〔康煕字典〕に引く〔五音集韻〕には「高遠なり」とある。
- 槇は、〔漢語大字典〕にある異体字。〔説文解字注〕を引き、槇には木の頂(こずえ)、木が倒れるという意味があったが、顚に変わったとしている。
- 簡体字は颠。