餓狼伝説とは、SNKから発売された対戦型格闘ゲームのシリーズである。
略称は『餓狼』。海外では『Fatal Fury』(宿命の闘い)というタイトルで発売されている。
第1作から『餓狼伝説SPECIAL』期にかけてアニメ化など幅広く商品展開をしたため、カプコンの『ストリートファイターII』と並び注目を集めた。
本作の特徴は、フィールドが手前と奥の2ライン(『餓狼伝説3』では3ラインに増加、『餓狼MOW』では削除されている)に分かれていることである。初代ではプレイヤーが能動的に使えるシステムでは無かったが、『餓狼伝説2』以降は積極的にライン移動を駆使した攻防をすることが可能となった。
『餓狼MOW』以降シリーズは製作されていないが、本シリーズのキャラクターは同社の製品であるKOFシリーズに登場し展開が続いている。また、『餓狼伝説SPECIAL』や『餓狼MOW』の人気も根強く、未だに各地で大会が開かれている。
現在では、シリーズ過去作のダウンロード配信や、シリーズ作をまとめたカップリングソフトの発売などが、様々な家庭用ゲーム機のハードで行われている。
キャラクターの多くは、現在もSNKの『KOF』シリーズに登場する。最近では元餓狼開発チームの小田泰之、黒木信幸(旧SNK→ディンプス)らがSNKに復帰して中核スタッフを務めており、2022年には20数年ぶりとなる完全新作の開発が発表された。
1991年稼働。テリー、アンディ、ジョーの3人のプレイヤーキャラクターから1人を選んで戦う。対戦格闘というより、対CPU戦を主体とした格闘アクションに近い。Aでパンチ、Bでキック、Cで投げ。
2人プレイもあるが、最初に敵側を2人で一緒に倒し、その後対戦するという変わった2人プレイである。2ラインステージがあるが、プレイヤー側からは移動する手段がなく、CPUが移動したのを追いかけることしかできなかった。
最初の4人の敵キャラであるマイケル・マックス、リチャード・マイヤ、ダック・キング、タン・フー・ルーのうちから一人選び順々に倒していく。この4人を倒すとボーナスステージを含め、ホア・ジャイ、ライデン、ビリーと続く。ラスボスはギース・ハワード。ギースとの因縁はここから始まった。
格闘ゲーム黎明期の作品であり、対戦格闘ゲームとしては未完成な部分も多かったが、アメリカの架空の都市「サウスタウン」を舞台とした世界観は非常に格好良く、同時期に稼働していたストリートファイターⅡと比較してオシャレな作品という印象が強かった。BGMも名曲が揃っている。
スーパーファミコン、メガドライブなどのハードに移植されている。スーパーファミコン版の移植はタカラが手がけていた(通称タカラ餓狼)。
1992年稼働、Aで小P、Bで小K、Cで大P、Dで大Kと近年の格闘ゲームのようなボタン配置に変更。
プレイヤーキャラクターは前作の3人に加え、新キャラクターに不知火舞、キム・カッファン、チン・シンザン、山田十平衛、素顔版ライデンであるビッグ・ベアの5人が加わって8人に増加、本格的な対戦格闘ゲームらしくなった。中ボスとしてビリー・カーン、アクセル・ホーク、ローレンス・ブラッドが登場。ラスボスはヴォルフガング・クラウザー。元祖カイザーウェイブに圧倒されたプレイヤーも多いだろう。
プレイヤーから任意にライン移動可能に。「超必殺技」が導入されたのもこの作品から。超必殺技という呼称自体は龍虎の拳発祥だが、体力を減らされた状態で発動可能となる逆転技を超必殺技と呼称したのはこの作品が最初である。なお、インストカードには掲載されていない隠し技だった。
必殺技キャンセルの概念はあるが、仰け反りモーション中が無敵になっており連続技は不可能なシステムだった。そのため、一つ一つの技を丁寧に当てつつ、必殺技で体力を削っていくような戦い方が主であった。アンディの斬影ハメが横行していたのも有名。
スーパーファミコン、メガドライブやPCエンジンなど様々なハードに移植されている。余談だが、スーパーファミコン版の「超必殺技」→「起必殺技」の誤植は結構有名。
1993年稼働、使用キャラが1、2のキャラほぼ全員(マイケルやリチャードは除く)参戦。一本も取られずにラスボスを倒すと龍虎の拳の主人公、リョウ・サカザキとのドリームマッチが行われる。
公式ストーリーは存在せず、後のKOF'98/2002のようなシリーズの集大成としてのお祭り作品である。EDスタッフロールはキャラクターのグラフィックを使用したNG・ハプニング集のような作りになっており、全体的に楽しい雰囲気が漂う。また隠し要素として多数の遊び要素が追加されており、ラウンドが4本目(EXTRA ROUND)に突入した際に背景が変化するのをはじめ、果ては制限時間数ぞろ目(11や22など)でKOすると、背景にPちゃん(ダック・キングのひよこ)やキム・カッファンが飛び回るというシュールかつ細かい演出まで存在する。
連続技が導入されより対人戦を意識した作りに調整され、従来のシステムを引き継ぎつつ対戦格闘ゲームとして纏められている。対人戦に軸を寄せたためか、ストーリーモードのボーナスステージは今作から削除されている。
2ライン式の宿命か逃げが有利(大会だとライン移動は禁止行為になるケースが多い)だったり、特定のキャラに歩き小P永久コンボがあったりと現代の格闘ゲームと比較するとバランスが悪い部分も多々あるが、それでも前作から調整を受けた結果、上位下位の差はあるもののやり込み甲斐のあるゲームとなり人気が高い。当時は一時代を築き、前作と共にネオジオを駄菓子屋やデパートの店先に爆発的に普及させた名作としても知られる。現在でも根強いファンによる大会が行われており、キムといった上位キャラに対して複雑な下位キャラで挑み、複雑なコマンド入力を決める玄人のプレイングが盛り上がりを見せる光景も根強い。
移植も多く、スーパーファミコン、PCエンジン、メガCD、ゲームギアなどに移植されている。
1995年稼働、キャラクターの大半が入れ替わりになり、望月双角、フランコ・バッシュ、ホンフゥ、ボブ・ウィルソン、後にKOFシリーズ常連となるブルー・マリーが参戦。中ボスが山崎竜二、秦崇秀。真ボスは秦崇雷。CPU戦は一定のバトルポイントを取らないと真ボスに会えずグッドエンドも見られない。
これまでのドットが打ち直され、更にキャラクターのコスチュームも一新。不知火舞のコスチュームがレオタードになったり、アンディーの忍者色が強くなったりしている。システムボイスやキャラボイスも一新されているが、今作からは本職の声優を起用することも多くなった。
システムに3ライン式オーバースウェーが導入され、AB同時押しで手前、BC同時押しで奥へ移動となった。特定の順番でボタンやレバーを入力することで通常技による連続攻撃に派生する「コンビネーションアーツ」も導入。
超必殺技を発動した際、1024分の1の低確率で「潜在能力」という超必殺技を超える技が発動する。オマケ要素で意図的に発動する方法も用意されていたが、キャラクター毎に異なる条件を満たした上で特殊なコマンドを入力する必要があった。実際目にする機会は少なかったが、後のKOFにおけるMAX超必殺技のような「超必殺技の更に上の技」を作り上げた点で大きな意義がある。
主人公テリーが屈み強P→強クラックシュート×nという超お手軽永久を持っていたことでキャラバランスが崩壊。テリーの永久抜きにしてもボブ・ウィルソンが突出して強いなどキャラバランスは悪く、新システムの3ラインやコンビネーションアーツも使いづらく、前作と比べると人気が乏しかったのが実情である。だが後の作品の基礎となる意欲的な新システムの構築や新キャラへの一定の評価など評価される部分も多く、対戦バランスに目をつぶればグラフィックやBGMなど、演出面の評価は高いと言われる。
ストーリーは秦の秘伝書が〜など非常に長くなるのでここでは割愛。セガサターン、ネオジオCDに移植されている。
1995年冬稼働開始、キャッチコピーは「さらば、ギース」。前作キャラに加え、キム、ビリー、ダックが復活。
Aでパンチ、Bでキック、Cで強攻撃に変更。D+レバー上下でライン移動が出来る。パワーゲージを導入。ライフゲージは二本式になった。パワーゲージが満タンになるかライフゲージが赤になると「超必殺技」が使用可能。両方の条件を満たすと「潜在能力」が使用可能になった。潜在能力は任意に出せるため、前作と違って普通に使い道がある。
2D格闘にしては珍しくリングアウトがある。画面端の壁に追い詰めた相手を攻撃し続けると壁にもダメージが入っていき、耐久値を超えると壁が破壊され、壁が無くなった状態で攻撃を受けるとリングアウトして負けとなる。勝利メッセージは対戦時のみに起きる。
前作の不満点が色々改善されており、比較的キャラバランスも良好な為、餓狼SPと共にシリーズ内では名作と名高い作品として知られる。ボスはキャッチコピーのとおりギース・ハワード。テリー、アンディでクリアするとトゥルーエンドになる(何故かジョーでは見られない)。
1997年冬稼働開始、上記キャラに加え更にチン、ローレンス、クラウザー、タンが復活。また一定条件で裏キャラクターが使える。
リングアウトを無くし、壁が破壊された時にダメージを受けている側が気絶するシステムに変更された。一本も取られずにボスのクラウザーまで倒すと隠しボスの「ナイトメア・ギース」と戦える。「さらば、ギース」はどうした。また一部のキャラクターの性格が(フランコに至っては外見も)大幅に変わっている。コマンド投げがやたらと優遇されたり、スウェーの使い道がほぼ限られてしまったため賛否両論。
ネオジオCD、セガサターンに移植されている。携帯ゲーム機ではゲームボーイに移植されている。
上記をプレイステーションに移植したものだが、ほぼ別のゲームとなっている。大きな変更点を挙げると
1998年稼働。新キャラに李香緋、リック・ストラウドが追加。ラインシステムは、メインラインとスウェーラインが1本ずつの2ラインシステムになった。バランス調整は無難だが、ラインシステムの回帰や演出面が乏しくなったことに加えマンネリ化などもあり、賛否が分かれる作品である。
詳細は「リアルバウト餓狼伝説2」を参照。
PS2版が出るまではネオジオ、ネオジオCD以外の移植が存在しなかった。
1999年稼働。ハイパーネオジオ64で発売した3D対戦格闘ゲーム。通称ポリ餓狼。ハイパーネオジオ64ごと黒歴史化している。
ハイパーネオジオ64の3D格闘ゲームの中では唯一、プレイステーションに移植されている。
1999年稼働。これまでのシリーズを一新した作品であり、現時点のシリーズ最新作。ラインバトルを廃止した作品だが非常に評価が高く、こちらも名作と名高い。
詳細については「餓狼MOW」の記事を参照。
続編が出る予定だったが、主要メンバーが引き抜きでいなくなり資料が紛失、お蔵入りに。
2022年に発表されたシリーズ最新作。かつてお蔵入りとなった餓狼MOWの直接の続編と見られ、近年のSNKの新作格闘ゲームと同様にキャラクターのグラフィックが3D化している。
2024年3月にキャラクタートレーラー第1弾が解禁。上述通り餓狼MOWからの続投メンバーに加え、新キャラクター・プリーチャが登場。特にロックがパワーゲイザーを継承している部分は大きなポイントだろう。
一部のみ。詳しくはキャラ専用の記事で触れるため、まだ記事が無いキャラのみ手短に紹介。
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最終更新:2024/12/08(日) 15:00
最終更新:2024/12/08(日) 14:00
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