高坂昌信

高坂昌信（こうさか・まさのぶ　1527 ～ 1578）とは、甲斐武田氏に仕えた戦国武将である。武田四名臣（武田四天王とも）の一人であり、武田二十四将にも数えられる。

概要

武田四名臣

高坂昌信

内藤昌豊

馬場信春

山県昌景

戦国三弾正
攻め弾正	真田幸隆
逃げ弾正	高坂昌信
槍弾正	保科正俊

本名・春日虎綱（かすが・とらつな）。通称は源五郎。「高坂昌信」の名は後年に書かれた軍記物などに見られる名前で、当時名乗っていた形跡は無い…のだが、あまりにも高坂昌信という名前が一般的に普及している事を考えて、ここでも基本的には「昌信」を用いて説明する。

武田四名臣の一人。はじめ武田信玄の奥近習（小姓）を務める。川中島に築かれた海津城の城代となり、上杉に対する睨みをきかせると同時に、北信濃の国人たちを率いる役割を担った。特に撤退戦の指揮に優れると評され、「攻め弾正」真田幸隆・「槍弾正」保科正俊と並ぶ「逃げ弾正」の異名を持つ。決して「受け弾正」ではない。

長篠の戦いで四天王の三人が戦死した後は、数少ない老臣として武田勝頼を支えるが、徐々に大きくなる勝頼側近たちの権力を抑えられなかった、と言われる。

武田信玄が浮気の弁明の手紙を若き日の昌信に送った事はあまりにも有名。（※現存する^[1]）しかし、手紙そのものが本物では無い可能性も言われている（手紙の一部に付け足したような形跡が調査で判明していたり、筆跡が違うのではないかと疑問視する見解もある。）

生涯

百姓の子として生まれたが、父の死などで居場所を失くした末に、武田信玄に召し抱えられて奥近習となった。ちなみに甲陽軍鑑の記述を見る限り、武田家に仕えたのは1542年以降となるが、すると1541年に追放された武田信虎の「虎」の字を名乗っているのは矛盾が発生してしまう。

信玄の側近として英才教育を施され、信濃侵攻が本格化した後の1553年には小諸城代とされた。この頃、信濃国人である香坂宗重（※高坂ではない）の婿養子となっている。ただ、宗重は上杉方に内通したとして1561年に処刑された。史料上で昌信が香坂氏を名乗っているのは1566年頃までのせいぜい10年間ほどで、その後は春日虎綱に戻っている。

名乗りはともかくとして、1556年には海津城代に就任。時は川中島の戦いの真っ最中であり、第四次川中島の戦い（1561年）においても別動隊を担って活躍した。以後、上杉氏との戦いが鎮静化した後も、海津城にて北の抑え役を務め続けることになる。

1573年に信玄が死去。1575年の長篠の戦いでは留守役であったが、結果として四天王で唯一死を免れる（息子は戦死）。敗走してきた武田勝頼を出迎えた際「戦いに消極的だった穴山信君と武田信豊を切腹させるべき」と主張したが受け入れられなかった、と言われる。

1578年、信玄宿命のライバル・上杉謙信が死去し、上杉家では後継者を巡る「御館の乱」が発生する。上杉景勝方が武田家との同盟を提案してきたため、同じく北信濃の統治を担当していた武田信豊と共にこの交渉にあたるが、その最中に病死した。

しかし、昌信最後の仕事と言えるこの同盟が結ばれた事によって、長年の盟友・後北条氏とは決裂。武田家は東西を敵に挟まれた形となり、4年後の滅亡へと崩壊を強めていく事になる……。

甲陽軍鑑

江戸時代に成立した軍学書「甲陽軍鑑」は、昌信の口伝を元にして記されたとされている。史学上での取り扱いについては賛否両論であるが、武田氏に関する様々な事跡・逸話なども多く含まれていて、「風林火山」の旗印や軍師・山本勘助の活躍を始め、武田騎馬軍団のイメージ形成に現代に至るまで大きな役割を担っている。

子孫

先述の通り、長男・昌澄は長篠で討死した。

次男・高坂昌元（春日信達）が跡を継いだが、天正壬午の乱の中で寝返りに失敗して死亡している。また森長可の恨みを買い、後々その弟・森忠政により一族全員が処刑された。こうして昌信の嫡流は断絶している。詳細は当人の項目を参照。

他に三男・昌定がおり、保科氏に仕えたと言うが詳しい足跡は不明。甲陽軍鑑を記したのは甥の春日惣次郎であるという。また、風魔小太郎を捕縛した忍者にして盗賊である高坂甚内は昌信の子とも孫とも称されている。

関連動画

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補足

「信長の野望」（PC）シリーズにおける高坂昌信の能力一覧。 

「覇王伝」の列伝ではラブレターの件に触れられている。四名臣の智謀担当といったところ。「創造」では撤退時に補正のかかる特殊能力を多く所持しており、壊滅しにくい。

	軍事能力						内政能力
戦国群雄伝(S1)	戦闘			80			政治	88			魅力	71	野望	68
武将風雲録(S1)	戦闘			81			政治	70			魅力	72	野望	60	教養	80
覇王伝	采配	87	戦闘	72	智謀	73	政治	80					野望	60
天翔記	戦才	168(A)			智才	156(A)	政才	154(A)			魅力	72	野望	66
将星録	戦闘			79	智謀	86	政治	80
烈風伝	采配	82	戦闘	78	智謀	82	政治	76
嵐世記	采配	77			智謀	75	政治	70					野望	49
蒼天録	統率	77			知略	78	政治	72
天下創世	統率	77			知略	76	政治	67							教養	63
革新	統率	91	武勇	75	知略	85	政治	71
天道	統率	87	武勇	58	知略	84	政治	66
創造	統率	85	武勇	78	知略	86	政治	66
大志	統率	86	武勇	78	知略	88	内政	66	外政	81

関連商品

関連コミュニティ

関連項目

• 武田信玄
• 武田勝頼
• 武田四名臣（武田四天王）
  • 内藤昌豊
  • 馬場信春
  • 山県昌景
• 戦国時代の人物の一覧

脚注

1. *ちなみにこの手紙の宛名は「春日源助」。昌信（源五郎）とは別人だとする説もある高坂が、春日源助と名乗っていた正式な記録が無い事のえ、別人である可能性が高いが、どっちにしても御館様が言い訳しているのは事実なのであった…。