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ウツ

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“鬱”

どうせこの字が見たくて来たんだろ?

  1. 木が茂っている様
  2. 気分が滅入ってるさま。憂鬱。また鬱病のこと。後述
  3. 鬱P - VOCALOIDプロデューサーの一人。当該記事参照

概要

鬱病うつ病)は精神疾患の一つであり、症状としては不安感、焦燥感、精活動の低下、食欲の低下、体重の低下、不眠症などが挙げられる。ストレス自律神経失調症などによって引き起こされることが多い。詳しくはWikipedia記事 - うつ病exit を参照。

インターネット上では以上のような深刻な意味ではほとんど使われず、「気分が落ち込む」「嫌な気分になる」「惨めな気持ちになる」「死にたくなる」「手首を切りたくなる」「樹海に走りたくなる」程度の意味で使われることが多い。

余談

嘉門達夫がこの漢字の書き方を歌にしている。曲名はそのまま『鬱』で、アルバム『バルセロナ』exit_nicoichibaに収録されている。

漢字として

Unicode
U+9B31
JIS X 0213
1-61-21
部首
鬯部
画数
29画
音読み(常用)
ウツ
訓読み(常用)
-
Unicode
U+6B1D
JIS X 0213
1-17-21
部首
木部
画数
25画

意味
木がこんもりしげる、蒸す、こもる、気分がふさがる、香(たとえば鬱金)、ニワウメ
字形
諸説ある。
説文解字・巻六〕には「木、生する者なり。い、𩰪の省」と𩰪の形とある。𩰪は〔説文〕には芳とある字。ただ文で使われているのは鬱のほうが先であり、𩰪は後に鬱から分かれて作られた字。
白川静は、の会意としている。を醸す意味、気であるとし、に芳を入れて密閉し、熟成を待つという会意であるとする。
音訓
音読みはウツ(音)、ウチ(音)。訓読みは、しげる、ふさがる。
規格・区分
常用漢字である。JIS X 0213第二準。画数が多く長い間常用漢字ではなかったが、2010年常用漢字表に追加された。
鬱を符とする漢字には、灪、𪓊などがある。
鬱鬱勃勃・鬱結・鬱金・鬱積・鬱蒼・鬱陶・鬱茂・鬱抑

異体字

  • 欝は、〔玉篇〕や〔広韻〕に「俗」、〔字彙〕に「鬱と同じ。今文、多くの字を用ふ」とある異体字。JIS X 0213第一準。
  • 鬰は、〔正字通〕に「別に鬰と作す」とある異体字。
  • 𦉚は、〔集韻〕に「鬱、――古は、𦉚と作す」とある古文
  • 欎は、〔増広字学挙隅〕にある異体字。
  • 𣡇は、〔漢語字典・異体字表〕にある異体字。
  • 𣡸は、〔集韻〕に「鬱、――ひは、𣡸と作す」とある異体字。
  • 𦉠は、〔字彙補〕に〔集韻〕を引いて「古鬱字」とある異体字。
  • 簡体字は郁。
Unicode
U+9B30
部首
鬯部
画数
27画
𦉚
Unicode
U+2625A
部首
画数
19画
Unicode
U+6B0E
部首
木部
画数
22画
𣡇
Unicode
U+23847
部首
木部
画数
23画
𣡸
Unicode
U+23878
部首
木部
画数
28画
𦉠
Unicode
U+26260
部首
画数
21画

𩰪

𩰪
Unicode
U+29C2A
部首
鬯部
画数
28画
Unicode
U+4587
部首
艹部
画数
32画
𩏴
Unicode
U+293F4
部首
韋部
画数
25画

𩰪は、とくに香の名を表すのに使われる鬱の異体字。

説文・巻五〕に「芳なり。十葉を貫と爲す。貫、築きて以って之れを(に)るを𩰪と爲す。𦥑、ふ。彡は其の飾りなり。一にく𩰪なり。遠方の𩰪人の貢ずる所の芳なり。合わせて之れをし以ってを降す。𩰪は、今の𩰪なり」とある。鬱から献じられた香で、これでに香りをつけ、を降すのに用いるとある。

  • 䖇は、〔集韻〕に「𩰪、――ひは、䖇と作す」にある異体字。〔玉篇〕に「香なり」とある。
  • 𩏴は、〔集韻〕に「𩰪、――ひは、𩏴と作す」、〔康煕字典〕に「本は𩰪に作る。芳なり。ひは䖇に作る」とある異体字。

書として

「鬱」が書かれた歴史を見ると、「鬱」の字体よりも、「欝」の字体に近い形で書かれていることが多い。

JIS第二準の「鬱」よりも、JIS第一準の「欝」 を常用漢字に採用する話があってもよかったのではないか、と思う。

野崎邦臣漢字字形の問題点 ―併『22、常用漢字表』追字批判―』(来書院、2013)では「『鬱』よりも『欝(「」の部分が「夕」)』の方が『爵』と関連付けて覚えやすい。」と常用漢字の「鬱」採用を批判している。

筆順
鬱の筆順鬱の筆順2
書体など
鬱の篆書 唐、欧陽詢「九成宮醴泉銘」の「鬱」 唐、敬客「王居士塼塔銘」の鬱 唐、顔真卿「李玄靖碑」の「鬱」
篆書 楷書
(欧陽詢「九成宮醴銘」)
楷書
(敬客「王居士塼」)
楷書
(顔卿「玄靖碑」) 
唐、懐素「草書千字文」の「鬱」

(懐素「書千字文」)

「※」の部分を「米」と書くかについて

財前謙『新常用漢字196 ホントの書きかた』(芸術新聞社、2010)や、財前謙『字体の話 ―漢字論」―』(明治書院、2010)には、

」+「」(器)+「」(中味をすくいとる)による会意。したがって、「※」は印ともよぶように、楷書では「」である。

「※」は「印」というように、元来は「」のはずなのです。「鬱」を通用の字体としていくなら、教科書体は右下手書き文字のように「※」ではなく、「」でデザインされることが、今後の課題となるでしょう。

 ―財前謙『新常用漢字196 ホントの書きかた』

〉(器)の中に〈※〉()を入れたものを〈〉(すくいとる)という意味です。つまり、〈※〉は、「印」ともいうように〈〉なのです。したがって〈※〉なら筆順も確定できず、書き方がわからないままなのですが、これまた篆書の造形をデザインしたものであって、楷書として書くなら現代人の文字感覚としては〈〉が適切な書き方であることは納得されるでしょう。

財前謙『字体の話 ―漢字論」―』

のようにある。しかし「※」の部分が「」を表しているか定かではない……。「」の甲文と「」の甲文を見べてみたが、中に入っているのが「」ではなさそうだ。

ニコニコ大百科」の記事にもこうある。

字形について〔説文〕には「𠙴にふ。𠙴は器なり。中はる。れを扱(すく)ふの所以なり」とあり、小篆体はまさにそんな感じだが、甲文・文は形が違う。

また、歴史的に「※」の部分が「」と書かれたものはない。『楷書では「」である』と断言されているが、いやそれは……という感じである。

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