伊藤若冲『日出鳳凰図』 (作画:はくはくさん) |
「鳳」は雄鳥を、「凰」は雌鳥を表し、古くは「朋」と呼ばれた。
360種の羽を持つ動物の長であり、聖天子の治める平和な世にのみ姿を現すとされる。鳳凰が飛ぶ時には、その徳によって雷も嵐も起こらず、河川も溢れず、草木も揺れないという。そして、鳳凰が空を飛べば、他の鳥もその後をついて飛び、鳳凰が死ねば多くの鳥が嘆き悲しんだという。
古代中国の書物『礼記』では麒麟・亀(霊亀)・龍(応龍)とともに特別な瑞獣「四霊」(もしくは四瑞)のひとつであり、平安を表すとされた。これは鳳凰が雌雄一対であることから、陰と陽の対立を持って調和をなすとする陰陽思想から来ている。
梧桐(アオギリ)という木にのみ巣を作り、竹の実と甘露のみを食物とした。
鳳凰は縁起のよい鳥であることから、多くの美術品や建築物にその意匠が使われている。日本では平等院鳳凰堂(宇治市)や鹿苑寺金閣(金閣寺、京都市)の屋根にあるものが有名。特に鳳凰堂屋上のものは2004年から発行の現行一万円札裏面にも描かれている。
孔雀に似ていて、5色に輝く美しい鳥。詳しい容姿については諸説ある。
中国最古の地理書『山海経』では「鶏の頭にツバメの顎、首が蛇、尾は魚、背中は亀、翼は青・白・赤・黒・黄の五色に輝いている」とされた。別の説では前が麒麟、うしろが鹿のような姿とも。
江戸時代の日本の書物『和漢三才図会』には、「前面はヒシクイ、後面は麒麟、顎はツバメ、くちばしは鶏、首は蛇、尾は魚、額はコウノトリ、顎の先はオシドリ、龍の模様に亀の背中を持ち、羽は5色で高さは4~5尺ある」と書かれている。
鳳凰は本来風をつかさどる瑞獣とされたが、「万物は木・火・土・金・水の5種類の元素から成る」とする五行思想の流行後は四方をつかさどる神獣のうち南方を守護する「朱雀」と同一視され、火の属性を持つと見られるようになった。このため、フィクションなどで鳳凰がモチーフにされる際にも、火にからめて描写されることが多い。
またこのことから、西洋の不死鳥である「フェニックス」と混同されることもある。南天の星座である「ほうおう座」は "Phoenix" の訳語に「鳳凰」をあてたものであるが、本来の鳳凰とは関係がない。
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最終更新:2024/12/02(月) 06:00
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