1904年(明治37年)
| 前回の辰年 | 前年 | 当年 | 翌年 | 次回の辰年 | |
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| 年 | 1892年 | 1903年 | 1904年 | 1905年 | 1916年 |
| 干支 | 辰 |
卯 |
辰 |
巳 |
辰 |
2月10日、日本とロシアが相互に宣戦布告し日露戦争が勃発した。開戦時、日本の総兵力は約24万人だったが、最終的には100万人以上の兵力が投じられ日本初の総力戦となった。
ロシアの主な軍港だった遼東半島の旅順港(清からロシアが租借していた)を日本軍は包囲し、乃木希典率いる陸軍が総攻撃をかけるが、要塞からの機銃掃射、地雷などで多大な死傷者を出した。
攻めあぐねた陸軍は11月より旅順港を見下ろす203高地(標高203mにちなむ)に攻撃目標を変更。203高地を巡って両軍の激しい戦いが行われ、日本軍が奪取に成功。旅順港のロシア艦隊への砲撃が可能となったことで旅順艦隊は壊滅した。旅順攻略戦だけで日本軍は日清戦争全体の戦死者数(約13000人)を上回る、約15400人の戦死者を出した。
ちなみにこの前年の1903年にライト兄弟が有人動力飛行に成功している。日本軍は上からの攻撃で旅順に立てこもるロシア艦隊を壊滅させることに成功したが、飛行機が軍事利用され始めるとこれが飛行機から行われることになる。
枢密院議長の伊藤博文はロシアに勝利することは難しいと考え、金子堅太郎を密使として早い段階からアメリカに派遣し、ルーズベルト大統領(金子とはハーバード大学で同窓だった)に講和の斡旋を行った。日本はアメリカの世論を味方につけ、翌年アメリカで行われたポーツマス条約締結に繋がった。
ちなみに、殺菌作用を期待して使用されていた木クレオソートの丸薬が1902年に士気高揚のため「征露丸」として名を改め、戦時中は陸海軍で配布されたという(1880年頃にも、軍医を努めた森鴎外らによって木クレオソートは軍薬として活用されている)。
現在も販売されている「正露丸」やラッパのマークはこの名残りである。CMでおなじみのラッパの音(軍隊で兵士に食事を知らせるメロディ)は1951年のラジオCMからスタートした。
4月30日、セントルイスで国際博覧会が開幕し12月1日まで開催された。
日露戦争中だが日本も出展。歌舞伎などが上演されたほか、岡倉天心が講演したりした。セントルイス万博では「人間の展示」が拡大され、インディアンやアイヌなどが生活を見せる人類学展示は後年批判された(アパッチ族のジェロニモが「展示」させられていたことで有名)。
この2年前までアメリカはフィリピンと戦争していたため(米比戦争)、統治を正当化する「フィリピン村」の展示を大規模に行い、40の種族・1200人の植民地住民の生活を展示した。
7月1日、セントルイスオリンピックが開幕し11月23日まで開催された。
日露戦争の影響でヨーロッパの参加国が減少し、アメリカ・カナダが多くのメダルを獲得した。
32℃の猛暑の中行われた40kmのマラソン競技で、アメリカのフレッド・ローツ選手は20km地点で道端に倒れ込んでしまった。彼は通りかかった車に乗せてもらいスタジアムに帰ろうとしたのだが、スタジアムまで8kmのところで車がエンスト。そのまま車から降りて1着でゴールしてしまったのである。
当然運転手が告発して不正がバレて、1時間後にゴールしたアメリカのトーマス・ヒックス選手が金メダルになった。ヒックスのタイムは3時間28分53秒で、史上もっとも遅い記録である。ちなみにヒックスは現在の規定ではドーピング扱いになる、興奮剤入りのブランデーを飲んでいたという。
マラソン競技には32名の選手が出場したが、完走できたのは14名だった。
| 1月5日 | 大阪朝日新聞でコラム「天声人語」連載開始 |
| 1月9日 | 三河電力(現・中部電力)が名古屋市内への電力供給を開始 |
| 1月17日 | チェーホフの戯曲「桜の園」がモスクワ芸術座で初演 |
| 2月4日 | 皇居で緊急御前会議が開かれ、ロシアとの国交断絶と開戦が決定 |
| 2月6日 | 東郷平八郎率いる連合艦隊が佐世保を出港し仁川、旅順へ出撃 |
| 2月8日 | 日本軍が奇襲を行い、仁川沖でロシア艦隊と初の交戦 |
| 2月9日 | 深夜、連合艦隊が旅順港のロシア艦隊を魚雷で攻撃、以降ロシア艦隊は旅順港に立てこもる |
| 2月10日 | 日露双方が宣戦布告し日露戦争が勃発 |
| 2月12日 | 勅令第29号で陸軍の軍服(夏服)をカーキ色にすることが認められる(主戦場となる中国大陸の黄土色に合わせたもの。ここから数年で規則が改められ軍服のカーキ色が浸透) |
| 2月14日 | 軍事輸送増加による臨時ダイヤ改正で、長距離列車の減便・停車駅増加などが行われる(その後も戦局に合わせ何度か改正される) |
| 2月24日 | 第一次旅順港閉塞作戦 |
| 3月27日 | 第二次旅順港閉塞作戦 |
| 4月30日 | セントルイス万国博覧会が開幕 ~12月1日 |
| 鴨緑江渡河作戦、日本軍が九連城などを攻撃しロシア守備隊は撤退 | |
| 5月2日 | 第三次旅順港閉塞作戦 |
| 5月3日 | 北越鉄道の延伸により高崎~新潟間に鉄道が開通(現・信越本線) |
| 5月4日 | マンチェスターでレーサー・自動車輸入販売業者のチャールズ・ロールズと電気技術者のヘンリー・ロイスが面会する(のちに両名はロールス・ロイスを立ち上げる) |
| 5月5日 | 新潮社が設立され、文芸雑誌「新潮」が創刊される |
| 5月25日 | 南山の戦い、日本軍が多大な犠牲を出しながら南山制圧に成功し旅順港は孤立状態に |
| 5月31日 | 旅順要塞攻略のため第3軍が編成され、乃木希典が司令官になる |
| 6月 | 長崎でロシアのスパイを探そうとパニックが発生、群衆に商店などが襲われる |
| 6月16日 | 銀座3丁目に文具専門店の伊東屋が開業 |
| 7月1日 | セントルイスオリンピックが開幕 ~11月23日 |
| 官製タバコ「チェリー」発売 | |
| 8月1日 | 函館~旭川間に鉄道が開通(現・函館本線) |
| 8月19日 | 第一次旅順総攻撃作戦、多数の死傷者を出すが占領に失敗 ~24日 |
| 8月22日 | 第一次日韓協約が締結され、日本が韓国の保護国化へ踏み出す |
| 8月24日 | 遼陽会戦、約10日間で日露両軍合わせて4万人以上の死傷者を出す ~9月7日 |
| 9月 | 与謝野晶子が「明星」誌に「君死にたまふことなかれ」の詩を発表 |
| 9月3日 | 大阪朝日新聞が天声人語で「君が代」を「皇室の歌あり、国民の歌なき国民も亦不自由なる哉」と批判 |
| 10月8日 | 沙河会戦、日露両軍合わせて6万人以上の死傷者を出す ~18日 |
| 10月14日 | ロシアのバルチック艦隊が太平洋艦隊の支援のため出港 |
| 10月21日 | バルチック艦隊がイギリスの漁船を誤って攻撃し、各地に植民地を持つイギリスや中立国の港でまともな寄港・補給ができなくなってしまう(ドッガーバンク事件) |
| 10月26日 | 第二次旅順総攻撃 ~31日 |
| 10月27日 | ニューヨークに地下鉄が開業(米国ではボストンに次ぐ2番目の地下鉄) |
| 11月26日 | 第三次旅順総攻撃 ~翌年1月1日 |
| 11月27日 | 旅順要塞を攻めあぐねた日本陸軍が、旅順港を見下ろす203高地の攻略を開始 |
| 12月5日 | 日本陸軍が203高地の奪取に成功、およそ8日に渡る戦闘で1万5000人以上が戦死 |
| 不明 | ドイツのスポーツクラブ、シャルケ04が創立される |
| ジョン・クリフォード・ウィルキンソンが販売していたミネラルウォーター「仁王印ウォーター」を「ウヰルキンソンタンサン」と名を改め、販路を拡大 | |
| ガラス製魔法びん生産を行うTHERMOS(テルモス / サーモス)有限会社がベルリンで設立される |
| 1月1日 | 富田常雄 | 小説家、「姿三四郎」 |
| 3月1日 | グレン・ミラー | ジャズミュージシャン、「イン・ザ・ムード」 |
| 森泰吉郎 | 実業家、森ビルの創業者 | |
| 3月7日 | 武見太郎 | 医師、日本医師会会長や世界医師会会長を歴任、武見敬三の父 |
| 4月8日 | ジョン・ヒックス | 経済学者、ノーベル経済学賞受賞者、IS-LM分析などに功績を残す |
| 4月22日 | ロバート・オッペンハイマー | 理論物理学者、「原爆の父」と呼ばれるマンハッタン計画の主導者 |
| 5月11日 | サルバドール・ダリ | 画家、シュルレアリスムの代表的作家、「記憶の固執」 |
| 5月17日 | ジャン・ギャバン | 映画俳優、「現金に手を出すな」 |
| 6月24日 | 谷口吉郎 | 建築家、名鉄バスターミナルビル、東宮御所、東京国立近代美術館などを手掛ける |
| 7月1日 | 香山滋 | 小説家、「ゴジラ」原作者 |
| 7月12日 | パブロ・ネルーダ | 詩人、ノーベル文学賞受賞者 |
| 7月15日 | パーヴェル・チェレンコフ | 物理学者、チェレンコフ放射(チェレンコフ光)の発見者 |
| 10月11日 | 榎本健一 | 俳優、歌手、コメディアン、エノケンの愛称で知られる日本の喜劇王 |
| 11月18日 | 古賀政男 | 作曲家、国民栄誉賞受賞者、「丘を越えて」 |
| 2月11日 | ウラジミール・マルコフニコフ | 化学者、マルコフニコフ則に名を残す |
| 3月27日 | 広瀬武夫 | 海軍軍人、旅順港閉塞作戦で部下の杉野孫七を沈み行く船で何度も捜索するが、姿を見つけられず砲撃で戦死した |
| 杉野孫七 | 広瀬武夫と意気投合し、寝食を共にした海軍軍人。ロシア艦隊の出入港を阻止するため自沈させる船に爆薬を仕掛け、そのまま行方不明に | |
| 4月13日 | ヴァシーリー・ヴェレシチャーギン | 戦場をテーマにした作品を多く残す画家、日露戦争の取材中に乗っていた戦艦が沈没し戦死 |
| 5月1日 | アントニン・ドヴォルザーク | 作曲家、「新世界より」「スラヴ舞曲」 |
| 5月27日 | 乃木勝典 | 陸軍軍人、乃木希典の長男 |
| 7月15日 | アントン・チェーホフ | 劇作家、小説家、「かもめ」「桜の園」 |
| 8月7日 | 市川左團次(初代) | 歌舞伎役者 |
| 9月26日 | 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン) | 小説家、随筆家、「怪談」 |
| 10月7日 | イザベラ・バード | 旅行家、紀行作家 |
| 10月8日 | クレメンス・ヴィンクラー | 化学者、ゲルマニウムの発見者 |
| 11月30日 | 乃木保典 | 陸軍軍人、乃木希典の次男 |
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最終更新:2025/11/09(日) 14:00
最終更新:2025/11/09(日) 13:00
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