1914年とは (センキュウヒャクジュウヨネンとは) [単語記事]

1914年（大正3年）

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年	1902年	1913年	1914年	1915年	1926年
干支	寅	丑	寅	卯	寅

1914年の事柄

第一次世界大戦が勃発

6月28日、バルカン半島のサラエボでオーストリア皇太子夫妻がセルビア人の汎スラブ主義者により暗殺される事件が発生（サラエボ事件）。ヨーロッパ各地で燻っていた争いの火種が一気に燃え拡がり、連鎖的に各国間で戦争が開始され第一次世界大戦に発展した。

→　サラエボ事件　第一次世界大戦

日本が第一次世界大戦に参戦

8月23日、日英同盟を理由に日本がドイツに宣戦布告。ドイツを攻撃するという名目で、列強の主力が不在の東アジアで権益の拡大を図る。太平洋のドイツ領だった南洋諸島の一部を占領し、11月7日にはドイツが中国で租借していた青島（チンタオ）要塞を攻略した。

当時日本は約10年前の日露戦争の影響で巨額の債務に苦しんでいた状態であった。戦勝国となったもののポーツマス条約でロシアから継承した権益の期限が短く（清の旅順・大連の租借権が1923年まで、満州鉄道の経営が1939年まで）、賠償金も払われなかったため権益の拡張が求められていたことが背景にある。

青島攻略の過程で青島の位置する山東半島（青島は島と書くが島ではなく半島にある港町である）の鉄道なども占領されたため、中立を宣言していた中国は中立侵害であると抗議。1915年に日本が中国に要求した対華二十一カ条の要求も民衆の反発を買い、中国での民族意識高揚、反日活動に繋がった。

緑色の瓶に入った青島ビールは1903年にドイツの投資家が租借地経営の一環としてビール製造を開始したことで生まれたものである。第一次大戦後は日本が権益として製造を引き継ぎ、日本が敗戦した第二次世界大戦後は中国の国営企業として運営された（のちに民営化）。

東京駅が開業

現在の東京駅（3代目）

12月20日、6年の歳月をかけて横幅322m、3階建てレンガ造りの東京駅が開業。設計者は近代日本建築の父、辰野金吾。

かつて大名屋敷が立ち並び、明治には監獄などが設置されていた丸の内一帯は草が生い茂った原野と化しており、明治政府から三菱社の岩崎彌太郎が取得したことから「三菱ヶ原」と呼ばれていた。

東京駅が誕生すると野原はたちまち首都の一大ターミナルと化した。

18日の完成記念式典には時の総理大臣・大隈重信をはじめ約1500人が列席。大隈は「東京駅はあたかも光線を放散する太陽の如きものだ」と述べた。

ちなみにこの日、第一次世界大戦での青島占領を祝した神尾光臣（かみおみつおみ）中将の凱旋列車が花火が打ち上がる東京駅へ到着する記念式典が同時に行われた。20日の運転開始に先駆けて、この凱旋列車は参加者を乗せて横浜へ運転されるはずだったが、乗客の重みでパンタグラフが外れるなどの立ち往生が多発した。

戦後、東京駅の3階は空襲で消失し屋根を被せた状態（2代目東京駅）だったが、2012年に創建当時の姿に戻す復原工事が行われた。本稿執筆時点（2024年）の3代目東京駅は創建当時と同じ3階建てである。

20日の営業運転開始に伴い、仮のターミナル駅であった呉服橋仮駅は廃止され、新橋駅は汐留駅（貨物駅）に改称され隠居生活を送ることになった（その後は1986年に廃止され汐留のビル街に再開発）。

現在の新橋駅はもともと烏森駅という名称の駅で、新橋駅としては2代目である。

→　東京駅

1914年の出来事

1月12日	桜島が大噴火し、大隅半島と桜島が地続きになる。噴火と地震により、死者行方不明者58人。
1月21日	ドイツの造船会社シーメンス社による日本海軍への賄賂事件が発覚（シーメンス事件）
1月23日	衆議院でシーメンス事件について島田三郎が政府を激しく追及
1月29日	長崎で天然痘が流行、患者が150人余に
2月	東京で発疹チフスが流行、死者1176人
2月2日	映画「成功争ひ」で劇団俳優だったチャールズ・チャップリンが映画デビュー
2月10日	山本権兵衛内閣に対する弾劾決議案が衆議院に提出されるが否決民衆が議会を取り囲み、軍隊が出動し警察が記者や民間人に斬りかかる事態に
2月12日	アメリカでブラジャーの原型の特許が出願される
3月8日	開催前の東京大正博覧会会場で日本初のエスカレーターの試運転が行われる
3月12日	ニチロ（現・マルハニチロ）創業
3月15日	秋田でM6.4の地震が発生、死者94人
3月20日	東京大正博覧会が開催
	森永製菓が箱入りミルクキャラメルを東京大正博覧会に出品
	快進社が国産自動車「DAT1号」を東京大正博覧会に出品
	文明堂がカステラの出張販売を東京大正博覧会で行う
3月24日	シーメンス事件の責任をとり、山本権兵衛内閣が総辞職
4月	日本楽器製造（現・ヤマハ）が蝶印ハーモニカの製造を開始
4月16日	第2次大隈重信内閣が成立、大隈は首相として当時最高齢の76歳であった
4月20日	夏目漱石の小説「こゝろ」が朝日新聞で連載開始
4月21日	東京で真性ペストが流行、死者41人
5月9日	米・ウィルソン大統領が5月の第2日曜日を「母の日」と定める
6月2日	笠松駅が開業する
6月18日	原敬が政友会総裁になる
6月28日	オーストリア皇太子夫妻がセルビア人の汎スラブ主義者に暗殺される（サラエボ事件）
7月28日	オーストリア=ハンガリー帝国がセルビアに宣戦布告（第一次世界大戦勃発）
8月	北海道・小樽で運河の建設が始まる
8月3日	第一次世界大戦勃発の影響を受け、東京・大阪で株価が暴落
8月15日	パナマ運河が開通する
8月17日	タンネンベルクの戦い
8月23日	日本がドイツに宣戦布告
9月1日	リョコウバトが絶滅する
9月2日	日本軍が山東半島に上陸
9月5日	マルヌ会戦
9月15日	三越呉服店（現・三越）日本橋本店の新館が完成、エスカレーターやライオン像が話題に
11月7日	日本軍がドイツ軍の拠点であった中国の青島を陥落させる
11月15日	新大久保駅が開業する
12月1日	沖縄県営鉄道が開業する
	イタリアでソシエータ・アノニーマ・オフィチーネ・アルフィエーリ・マセラティが創業
12月8日	フォークランド沖海戦
12月18日	東京駅が完成、20日に営業開始
	イギリスがエジプトを保護国とする
12月29日	線維商社の伊藤忠兵衛本部が法人化し「伊藤忠合名会社」として再発足
不明	ワライフクロウの目撃情報がこの年を最後になくなる

1914年生まれの著名人

1月13日	西住小次郎	軍人、初めて公式に「軍神」と認定されるアニメ「ガールズ&パンツァー」の主人公「西住みほ」の名前の由来
1月28日	三木鶏郎	作曲者、「トムとジェリー」「鉄人28号」「レナウンの唄」
1月29日	深沢七郎	小説家、「楢山節考」
2月5日	ウィリアム・S・バロウズ	小説家、「ブレードランナー」
	アラン・ロイド・ホジキン	生物物理学者、神経細胞の活動電位の研究でノーベル医学生理学賞を受賞
2月22日	レナート・ドゥルベッコ	ウイルス学者、腫瘍ウイルスの研究でノーベル医学生理学賞を受賞
3月4日	ウォード・キンボール	アニメーター、「ピノキオ」のジミニー・クリケットの生みの親
3月22日	丸山眞男	政治学者、思想史家
3月26日	公文公（くもんとおる）	数学指導者、「公文式」創設者
3月30日	山本悍右	写真家
3月31日	オクタビオ・パス	詩人、ノーベル文学賞受賞者
4月2日	アレック・ギネス	俳優、「スターウォーズ」オビ=ワン・ケノービ役
	ハンス・J・ウェグナー	家具デザイナー、「チャイニーズ・チェア」
4月10日	近衛十四郎	俳優
4月14日	吉田正男	野球選手、甲子園史上最多の勝利記録（23勝）保持者
5月4日	前田山英五郎	力士、第39代横綱
6月12日	呉清源	囲碁棋士
5月19日	マックス・ペルーツ	分子生物学者、タンパク質の構造解析でノーベル化学賞を受賞
5月20日	前畑秀子	水泳選手、日本初のオリンピック女子金メダリスト
5月30日	安藝ノ海節男	力士、第37代横綱
5月31日	伊福部昭	作曲家、「ゴジラ」
6月17日	ジョン・ハーシー	ジャーナリスト、原爆投下直後の広島取材ルポ「ヒロシマ」を記す
7月6日	ビンス・マクマホン・シニア	プロレス団体WWWF（現・WWE）創業者
7月23日	アルフ・プリョイセン	児童文学作家、「スプーンおばさん」
8月9日	トーベ・ヤンソン	画家、児童文学作家、「ムーミン」
8月25日	笠置シズ子	歌手、「東京ブギウギ」
9月7日	ジェームズ・ヴァン・アレン	物理学者、ヴァン・アレン帯の発見者
9月10日	ロバート・ワイズ	映画監督、「ウエスト・サイド物語」「サウンド・オブ・ミュージック」
10月1日	加賀大介	文筆家、「栄冠は君に輝く」作詞者
10月14日	レイモンド・デイビス	物理学者、ニュートリノの検出でノーベル物理学賞を受賞
10月21日	マーティン・ガードナー	数学者、数学パズル作家、疑似科学懐疑論者
10月28日	ジョナス・ソーク	医学者、ポリオワクチン開発者
11月18日	羽黒山政司	力士、第36代横綱
11月20日	見坊豪紀	言語学者、辞書編纂者、「明解国語辞典」「三省堂国語辞典」
11月23日	マイケル・ガフ	俳優、「バットマン」執事アルフレッド役
12月18日	松村達雄	俳優、「男はつらいよ」2代目おいちゃん役、「どーもくん」うさじい役

1914年に亡くなった著名人

2月25日	ジョン・テニエル	イラストレーター、「不思議の国のアリス」挿絵担当
2月28日	鳥山啓	博物学者、「軍艦行進曲」作詞者
3月12日	ジョージ・ウェスティングハウス	鉄道の空気ブレーキの発明者、実用的な交流送電システムの開発者
4月9日	昭憲皇太后	明治天皇の皇后
6月21日	ベルタ・フォン・ズットナー	小説家、女性初のノーベル平和賞受賞者、「武器を捨てよ！」
6月22日	稲葉三右衛門	実業家、三重県四日市港の築港者
6月28日	フランツ・フェルディナンド	サラエボ事件で暗殺されたオーストリア皇太子
7月22日	ジョージ・クラム	料理人、ポテトチップスの発明者
7月27日	周時経	「ハングル」という名称を作った説がある韓国の言語学者
8月21日	ジョン・パー	第一次世界大戦において英陸軍で最初に戦死した兵士（享年 16歳）
8月28日	レーベレヒト・マース	海軍軍人、ドイツ海軍の駆逐艦「Z1」に名を残す
9月1日	マーサ	リョコウバト最後の個体
10月12日	マーガレット・ナイト	発明家、平底付き紙袋製造機、窓サッシなどを発明
10月22日	小錦八十吉（初代）	力士、第17代横綱
11月16日	押川春浪	作家、「海底軍艦」
12月31日	中山眞之亮	宗教家、天理教初代真柱