1919年(大正8年)
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年 | 1907年 | 1918年 | 1919年 | 1920年 | 1931年 |
干支 | 未 |
午 |
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申 |
未 |
前年に終戦を迎えた第一次世界大戦の講和国際会議として、1月18日よりパリ講和会議が開催される。
6月28日に講和条約としてヴェルサイユ宮殿でベルサイユ条約が調印された。ヴェルサイユ条約は敗戦国となったドイツに賠償金を課し、海外の植民地を没収するなど報復的な内容となった。
会議中に賠償金は決定できず、結局1921年に賠償金が1320億金マルク(約66億ポンド)に決定した。ドイツの国家予算の20年分に相当する金額であり、以降30年にわたって毎年20億金マルクと輸出額の26%を支払うという莫大な賠償金が課せられた。
ドイツでは物価が1兆倍以上になり、通貨のマルクが紙切れになって支払い能力が低下。ドイツ国民は貧困と飢えに苦しみ、1933年に首相に就任したヒトラーが支払い停止を宣言。その後ナチス政権による英仏への敵対心と愛国心の鼓舞、第二次世界大戦へと繋がっていく。
ちなみにイギリスの経済学者ケインズが1918年に算出した「妥当な」ドイツの損害賠償額は20億ポンドだったので、その3倍以上である。ケインズは支払いにはドイツ政府の財政黒字と対外収支の黒字が大前提となるため、増税や財政支出が増えて経済規模が縮小すること、支払いの強要は欧州経済の破壊につながることなどを指摘している。
なおイギリス閣僚の一部はケインズの部署とは別に240億ポンドといういよいよ桁外れな賠償案を提案していた。戦時中に挙国一致内閣を組閣していた英ロイド・ジョージ首相は「240億ポンドを回収しよう」という大袈裟な選挙キャンペーンに利用し、240億ポンドの案を提案していたウォルター・カンリフ(イングランド銀行総裁)はパリ講和会議の賠償委員会で英代表となった。
1月15日、アメリカのボストン港湾部でアルコールなどの原料となる糖蜜を製造する会社のタンクが破裂し崩壊。870万リットル(糖蜜は水の1.4倍の重さがあるため約1万2000トン)の糖蜜が町に溢れ出し、最高7.6m、推定時速56kmで糖蜜の洪水が街を襲った。
鉄道の軌道を捻じ曲げて列車が転覆、建物が破壊されて押し流されるなどの被害が発生。約150名が重軽傷を負い、圧死や溺死で21名が死亡した。日没までに15人の遺体が発見されたが、腰の高さほどもある糖蜜が冷えて固まり救助は難航。港に押し流され数カ月後に発見される犠牲者もいた。
海水を使った清掃には2週間かかり、ボストン港は夏まで茶色になった。ボストンはあらゆるものがネバネバになり、何十年も糖蜜の匂いが残ったという。
→ バウムクーヘン
3月4日、広島の物産陳列館(のちの原爆ドーム)でドイツ人捕虜によるドイツ作品展示即売会が開催され「ピラミッドケーキ」という名前でバウムクーヘンが販売された。3月4日はのちにバウムクーヘンの日と定められた。
第一次世界大戦で非戦闘員であるにも関わらず日本軍の捕虜となった菓子職人カール・ユーハイムが制作したもので、日本人の好みに合わせてバターを控えめにしたアレンジが好評であった。
終戦後は日本に残留することを決心し、離れ離れになっていた妻子(ユーハイムが連行されたとき妻は妊娠していた)を青島から日本に呼び寄せて日本での生活をスタートさせた。バウムクーヘンを始めとしたお菓子が高い評価を集め、1922年には横浜で「E・ユーハイム」という店を構えて独立したが、翌年の関東大震災で店が焼失。ポケットの5円札を除く全財産を失った。
その後なんとか神戸の知人を頼り、三宮に「Juchheim'S(ユーハイム)」をオープン。店は繁盛したが第二次世界大戦末期には原材料の入手と営業が困難に。ユーハイムは1945年に他界し妻のエリーゼは連合国により国外退去処分となった。戦争で出征した息子はオーストリアで戦死した。
残された職人たちが資金を持ち寄って「ユーハイム商会」を設立、占領から脱した1953年には念願叶い再来日した妻のエリーゼが会長に就任し会社組織化。現在もユーハイム社はバウムクーヘンの代名詞的存在となり国内に多数の店舗を展開している。
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ちなみにドイツではバウムクーヘンは日本に比べてマイナーなお菓子である。これは特別な日に食べることが多く、日本のように安価でどこでも買えるようなものではないこと、一般家庭で簡単に焼けるケーキが定着していること、2度の戦争で職人が少なくなってしまったことなどが影響している。
1月15日 | ボストンで870万リットルの糖蜜タンクが破裂し大洪水に、21名が死亡(ボストン糖蜜災害) |
1月18日 | パリ講和会議が開催 |
2月16日 | ヒトラーがミュンヘンで労兵レーテ(評議会)の評議委員となり政界に進出 |
2月23日 | 日本美術協会に写真部が新設される |
3月1日 | 日本統治下の朝鮮で独立運動が起こるが鎮圧される(三・一独立運動) |
中央本線の東京~万世橋間が開通 | |
東京乗合自動車が新橋~上野間で青バスの運行を開始 | |
3月4日 | 広島の物産陳列館(のちの原爆ドーム)に日本で初めてバウムクーヘンが出展される |
3月23日 | ムッソリーニがファシズムを主張する「イタリア戦闘者ファッシ」を結成 |
5月4日 | 中華民国で1915年の対華21ヵ条要求に対する抗日運動が起こる(五四運動) |
5月29日 | この日の日食の観測結果によりアインシュタインの提唱した一般相対性理論が証明される |
6月28日 | ヴェルサイユ条約調印 |
6月30日 | 警視庁が全ての警察署に電信機を設置 |
7月7日 | ラクトー(現・カルピス)がカルピスを発売 |
7月11日 | キネマ旬報社が映画雑誌「キネマ旬報」を創刊 |
7月31日 | ドイツがワイマール憲法を採択、8月14日より施行 |
8月15日 | ヒトラーが帰還兵の前で反ユダヤ主義的な演説を行う |
9月1日 | 寿屋洋酒店(現・サントリー)がトリスウヰスキーを発売 |
9月15日 | 日本初の信号機が上野広小路に設置される(「トマレ」「ススメ」と書かれた回転式の板) |
10月1日 | 三菱銀行が開業 |
10月7日 | 芝公園の政友会本部が放火で全焼 |
10月12日 | 高千穂製作所(現・オリンパス)が設立される |
10月24日 | ジョージ・ガーシュウィンが歌曲「スワニー」を発表、翌年ヒット |
10月28日 | アメリカで禁酒法が成立(翌年施行) |
11月 | 大和運輸(現・ヤマト運輸)が創業する |
12月27日 | 帝国ホテルの新館(ライト館)が火事で焼失 |
1月1日 | J・D・サリンジャー | 小説家、「ライ麦畑でつかまえて」 |
1月9日 | 西沢爽 | 作詞家、「からたち日記」「ちあきの夢は夜ひらく」 |
2月6日 | やなせたかし | 漫画家、絵本作家、詩人、「アンパンマン」「手のひらを太陽に」 |
2月22日 | 高品格 | 俳優、「麻雀放浪記」出目徳役 |
3月8日 | 水上勉 | 小説家、「雁の寺」「金閣炎上」 |
3月30日 | 古沢憲吾 | 映画監督、「ニッポン無責任時代」 |
5月10日 | 千葉茂 | プロ野球選手、カツカレーを作った人という説がある |
6月11日 | 宮澤章二 | 詩人、作詞家、多くの校歌を作詞作曲 |
7月20日 | エドモンド・ヒラリー | 登山家、エベレスト登頂に成功 |
7月26日 | ジェームズ・ラブロック | 科学者、作家、ガイア理論の提唱者 |
9月4日 | グァルティエロ・ヤコペッティ | 映画監督、「世界残酷物語」 |
9月14日 | 三木淳 | 報道写真家 |
10月3日 | ジェームズ・M・ブキャナン | 経済学者 |
10月5日 | ドナルド・プレザンス | 俳優 |
10月8日 | 宮澤喜一 | 政治家、第78代内閣総理大臣 |
11月10日 | ミハイル・カラシニコフ | 軍人、アサルトライフル「AK-47」などの設計者 |
11月19日 | アラン・ヤング | 俳優、スクルージ・マクダックの声優 |
1月6日 | セオドア・ルーズベルト | 政治家、第26代アメリカ大統領 |
3月25日 | 辰野金吾 | 建築家、東京駅などを設計し近代建築の父と呼ばれる |
4月4日 | ウィリアム・クルックス | 化学者、物理学者、タリウムの発見者 |
4月27日 | 前島密 | 政治家、近代郵便制度を創設し郵便制度の父と呼ばれる |
5月6日 | ライマン・フランク・ボーム | 作家、「オズの魔法使い」 |
6月26日 | ミハイル・ツヴェット | 植物学者、混合物を分析するクロマトグラフィーを発明 |
7月15日 | エミール・フィッシャー | 化学者、有機合成化学の先駆者、フィッシャー投影式の発案 |
7月16日 | 板垣退助 | 政治家、軍人、自由民権運動を指導し帝国議会を樹立 |
8月9日 | エンレスト・ヘッケル | 生物学者、哲学者、ダーウィンの進化論を広める |
11月3日 | 寺内正毅 | 政治家、第18代内閣総理大臣、ビリケン宰相と呼ばれる |
11月25日 | アンドリュー・カーネギー | 実業家、製銅業、鉄鋼業で財を成し鉄鋼王と呼ばれる |
12月3日 | ピエール=オーギュスト・ルノワール | 画家、「ピアノに寄る少女たち」「日傘をさす女」「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」 |
12月7日 | 三神八四郎 | テニスプレイヤー、日本に硬式テニス導入を提言 |
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最終更新:2025/03/26(水) 05:00
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