2006 FIFAワールドカップとは、ドイツで開かれた第18回目のFIFAワールドカップである。
2006 FIFAワールドカップ | |
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期間 | 2006年6月9日~7月9日 |
場所 | ![]() |
出場国 | 32ヶ国 |
公式球 | チームガイスト(アディダス) |
マスコット | ゴレオ6世/ピレ |
今大会はドイツで32年ぶりに開催された。開催前に出場国数を32から36に増加させる案やオセアニアの出場枠を0.5から1にする案が出たが、実現はせずに従来の枠組みでの開催となった。また、今大会から前回優勝国の予選免除枠が無くなったため、ブラジルも予選からの参加によって本大会に出場している。
初出場となったのは、ウクライナ、トリニダード・トバゴ、トーゴ、ガーナ、コートジボワール、アンゴラの6か国。
今大会の予選では、アフリカの5チームのうち4チームが初出場となっており、ナイジェリアやカメルーンといった常連国のみならず、前回ベスト8のセネガルも予選で敗退している。欧州では前回3位のトルコがプレーオフの末に出場を逃している。また、オーストラリアが大陸間プレーオフでウルグアイを破り、1982年大会のニュージーランド以来となるオセアニア勢の出場となった。
公式球は「チームガイスト」というアディダス製のボールが採用された。
グループA | グループB | グループC | グループD | グループE | グループF | グループG | グループH |
---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() ドイツ (19位) |
![]() イングランド(10位) |
![]() アルゼンチン(9位) |
![]() メキシコ (4位) |
![]() イタリア (13位) |
![]() ブラジル (1位) |
![]() フランス (8位) |
![]() スペイン (5位) |
![]() コスタリカ (26位) |
![]() パラグアイ (33位) |
![]() コートジボワール (32位) |
![]() イラン (23位) |
![]() ガーナ (48位) |
![]() クロアチア (23位) |
![]() スイス (35位) |
![]() ウクライナ (45位) |
![]() ポーランド (29位) |
![]() トリニダード・トバゴ (47位) |
![]() セルビア・モンテネグロ(44位) |
![]() アンゴラ (57位) |
![]() アメリカ (5位) |
![]() オーストラリア |
![]() 韓国 (29位) |
![]() チュニジア (21位) |
![]() エクアドル (39位) |
![]() スウェーデン(16位) |
![]() オランダ (3位) |
![]() ポルトガル (7位) |
![]() チェコ (2位) |
![]() 日本 (18位) |
![]() トーゴ (61位) |
![]() サウジアラビア(34位) |
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() ドイツ |
― | ○ 3-0 |
○ 1-0 |
○ 4-2 |
9 | +6 | 8 | 2 |
2 | ![]() エクアドル |
● 0-3 |
― | ○ 2-0 |
○ 3-0 |
6 | +2 | 5 | 3 |
3 | ![]() ポーランド |
● 0-1 |
● 0-2 |
― | ○ 2-1 |
3 | -2 | 2 | 4 |
4 | ![]() コスタリカ |
● 2-4 |
● 0-3 |
● 1-2 |
― | 0 | -6 | 3 | 9 |
ホスト国のドイツにとっては恵まれたというのが本音の組み合わせとなった。若返りを図りながら準備をしていた時期だったため前評判は高くなかったが、それでもドイツ優位という予想が流石に多かった。
実際、ドイツはクローゼ、ポドルスキの2トップの活躍と地元サポーターによる熱狂的な声援もあって3連勝と順調な結果を残し、快進撃を予感させる内容を見せた。
ドイツ同様、エクアドルも他のライバルチームとの対決に連勝し、最初の2試合で初の決勝トーナメント進出を決める。首位通過を争ったドイツとの試合で完敗したが、目標を達成することができた。
ポーランドとコスタリカは力不足だったことは否めず。コスタリカは開幕戦でエースのワンチョペがドイツ相手に2ゴールを奪い期待をさせたが、3連敗という厳しい結果となった。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() イングランド |
― | △ 2-2 |
○ 1-0 |
○ 2-0 |
7 | +3 | 2 | 2 |
2 | ![]() スウェーデン |
△ 2-2 |
― | ○ 1-0 |
△ 0-0 |
5 | +1 | 3 | 2 |
3 | ![]() パラグアイ |
● 0-1 |
● 0-1 |
― | ○ 2-0 |
3 | 0 | 2 | 2 |
4 | ![]() トリニダード・トバコ |
● 0-2 |
△ 0-0 |
● 0-2 |
― | 1 | -4 | 0 | 4 |
前回に続いて同じ組になったイングランドとスウェーデン、2大会連続ベスト16のパラグアイ、そしてヨークを擁する初出場のトリニダード・トバコという顔合わせとなった。
前回以上に人材が豊富となり、優勝候補の一角に挙げられていたイングランドは、得点力不足に悩まされながらもしっかりと結果は残し、余裕の首位通過を決める。
こちらも攻撃陣にタレントを揃えたスウェーデンだったが、いまひとつ噛み合わず苦戦するが、最終節のイングランド戦で敗色濃厚となりながらラーションが終了間際に起死回生の同点ゴールを決め、土壇場で2位の座を死守する。
大逆転での決勝トーナメント進出も見えていたパラグアイだったが、結局は夢と消えた。トリニダード・トバコは1勝もできずに敗退となったものの、初戦でスウェーデンと引き分け、イングランド相手にも終盤まで0-0に持ち込むなど強豪相手の善戦が光った。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() アルゼンチン |
― | △ 0-0 |
○ 2-1 |
○ 6-0 |
7 | +7 | 8 | 1 |
2 | ![]() オランダ |
△ 0-0 |
― | ○ 1-0 |
○ 2-1 |
7 | +2 | 3 | 1 |
3 | ![]() コートジボワール |
● 1-2 |
● 1-2 |
― | ○ 3-2 |
3 | -1 | 5 | 6 |
4 | ![]() セルビア・モンテネグロ |
● 0-6 |
● 0-1 |
● 2-3 |
― | 0 | -8 | 2 | 10 |
今回もっとも厳しい「死のグループ」と見られたのはこのグループだった。特に初出場ながらもアフリカ屈指のタレントを揃えるコートジボワールには期待の声が多かった。
前回に続いて死のグループに組み分けされた優勝候補アルゼンチンだったが、今回は同じ轍を踏まなかった。セルビア・モンテネグロ戦では大量6ゴールを奪うなど攻撃陣が爆発。強豪オランダとの直接対決を前に決勝トーナメント進出を決めてしまう。
同じく前評判の高かったオランダもアルゼンチンのような爆発力は無かったが、開幕2連勝によりアルゼンチン戦を前に決勝トーナメント進出となった。
コートジボワールは入った組が悪すぎたと言わざるを得なかった。強豪相手にいい試合はしたが、及ばず。それでもインパクトは残した戦いぶりだった。
セルビア・モンテネグロはアルゼンチン戦の大敗など、鉄壁と評された守備が崩壊し、3戦全敗。ちなみにこの国名での出場はこれが最初で最後となった。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() ポルトガル |
― | ○ 2-1 |
○ 1-0 |
○ 2-0 |
9 | +4 | 5 | 1 |
2 | ![]() メキシコ |
● 0-0 |
― | △ 0-0 |
○ 3-1 |
4 | +2 | 3 | 1 |
3 | ![]() アンゴラ |
● 0-1 |
△ 0-0 |
― | △ 1-1 |
1 | -1 | 1 | 2 |
4 | ![]() イラン |
● 0-2 |
● 1-3 |
△ 1-1 |
― | 1 | -4 | 2 | 6 |
ポルトガルとメキシコの2強、イランとアンゴラの2強となったグループ。
ベテランとなった黄金世代と若い新世代が融合した今回のポルトガルは、安定した戦いぶりで3連勝を飾り、1966年大会以来2度目の決勝トーナメント進出を果たす。
強豪国のイメージが定着しつつあるメキシコは、アンゴラと引き分けるなどピリッとしない戦いぶりだったが、それでも3大会連続でのグループリーグ突破を果たす。
健闘したのは初出場のアンゴラ。ほぼ無名の選手ばかりで構成されながらポルトガルを苦しめ、メキシコ相手に引き分け、最終節まで突破の可能性を残した。アジア最強とも称されたイランだったが、ブンデスリーガで活躍する主力が実力を出し切れず、1勝できないまま敗退となった。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() イタリア |
― | ○ 2-0 |
○ 2-0 |
△ 1-1 |
7 | +4 | 5 | 1 |
2 | ![]() ガーナ |
● 0-2 |
― | ○ 2-0 |
○ 2-1 |
6 | +1 | 4 | 3 |
3 | ![]() チェコ |
● 0-2 |
● 0-2 |
― | ○ 3-0 |
3 | -1 | 3 | 4 |
4 | ![]() アメリカ |
△ 1-1 |
● 1-2 |
● 0-3 |
― | 1 | -4 | 2 | 6 |
優勝候補のイタリアが頭一つ抜けた組だが、アメリカ、チェコ、ガーナの3チームにも十分チャンスがあると見られ、厳しい激戦区のグループとなった。
カルチョ・スキャンダルの影響が心配されたイタリアだったが、初戦のガーナ戦に快勝すると、デ・ロッシの退場やネスタの負傷という相次ぐアクシデントに動じることなく首位で突破。
初戦で前回ベスト8のアメリカに快勝し、このまま抜け出すかと思われたチェコだったが、続くガーナ戦で敗れたことが尾を引く。逆に初戦で格上イタリアに負けたことを吹っ切れたガーナは最終節でアメリカにも勝利し、今大会アフリカ勢唯一の決勝トーナメント進出を果たす。
ネドベド、ロシツキー、チェフといったワールドクラスのタレントを擁し、ダークホースとも見られたチェコだったが、内容と結果が結びつかなかった。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() ブラジル |
― | ○ 2-0 |
○ 1-0 |
○ 4-1 |
9 | +6 | 7 | 1 |
2 | ![]() オーストラリア |
● 0-2 |
― | △ 2-2 |
○ 3-1 |
6 | +1 | 4 | 3 |
3 | ![]() クロアチア |
● 0-1 |
△ 2-2 |
― | △ 0-0 |
2 | -1 | 2 | 3 |
4 | ![]() 日本 |
● 1-4 |
● 1-3 |
△ 0-0 |
― | 1 | -5 | 2 | 7 |
前回以上にタレントが揃ったブラジルが優位と誰もが予想したグループ。日本の監督となった神様ジーコが母国と戦うことになった。
ロナウジーニョ、カカ、ロナウド、アドリアーノの4人を揃えた攻撃陣が「カルテット・マジコ」と称されたブラジルは、前評判通りの強さを見せ、他の3チームを寄せ付けなかった。
黄金世代が円熟期を迎え、直前のドイツとの親善試合で2-2で引き分けるなど、2002年以上の大きな期待が集まった日本だったが、初戦のオーストラリア戦で終盤に3失点を喫しての逆転負け、続くクロアチア戦では柳沢敦のQBKもあって勝てず、ブラジル相手には当然完敗。
初戦で日本相手に逆転勝利したオーストラリアは、残りの2試合を1敗1分で終え、結局日本戦の勝利が大きなアドバンテージとなり、世代交代に失敗したクロアチアを上回り、史上初となる決勝トーナメント進出を果たす。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() スイス |
― | △ 0-0 |
○ 2-0 |
○ 2-0 |
7 | +4 | 4 | 0 |
2 | ![]() フランス |
△ 0-0 |
― | △ 1-1 |
○ 2-0 |
5 | +2 | 3 | 1 |
3 | ![]() 韓国 |
● 0-2 |
△ 1-1 |
― | ○ 2-1 |
4 | -1 | 3 | 4 |
4 | ![]() トーゴ |
● 0-2 |
● 0-2 |
● 1-2 |
― | 0 | -5 | 1 | 6 |
一度代表を引退したジダンら黄金期を支えたベテランが復帰したフランスの前評判はけっして高くなく、スイス、韓国に足元をすくわれることも予想されていた。
フランスは初戦のスイス戦、韓国戦で2試合連続引き分けと低調なスタートとなり、スイスと韓国は格下のトーゴ相手に勝利しており、最終節を前に1勝1分のスイス、韓国がそれぞれ1位、2位となり、フランスはすでに敗退が決まったトーゴとの第3戦に勝利しなければグループリーグ敗退が決まる状況にあった。
出場停止でジダンを欠いたフランスだったが、ヴィエラとアンリのゴールでトーゴに勝利。一方、韓国はスイスを相手に0-2で敗れる。この結果、スイスが首位通過、逆転で2位に浮上したフランスも何とか決勝トーナメントに進出している。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() スペイン |
― | ○ 4-0 |
○ 3-1 |
○ 1-0 |
9 | +7 | 8 | 1 |
2 | ![]() ウクライナ |
● 0-4 |
― | ○ 1-0 |
○ 4-0 |
6 | +1 | 5 | 4 |
3 | ![]() チュニジア |
● 1-3 |
● 0-1 |
― | △ 2-2 |
1 | -3 | 3 | 6 |
4 | ![]() サウジアラビア |
● 0-1 |
● 0-4 |
△ 2-2 |
― | 1 | -5 | 2 | 7 |
「無敵艦隊」スペインが頭一つ抜け、初出場ながら2年前にバロンドールを獲得したシェフチェンコを擁するウクライナが対抗馬として注目されたグループ。
初戦で激突したスペインとウクライナは、スペインが4-0で圧勝する結果となる。その勢いでチュニジア、サウジアラビアも撃破し、3試合で8得点を奪っての圧倒的な内容で決勝トーナメントに進出する。
初戦で大敗したウクライナだったが、続くサウジアラビア戦では今度は4-0で大勝。決勝トーナメント進出のかかったチュニジア戦をシェフチェンコのゴールで勝利し、2位でグループリーグを突破。
開催国ドイツがスウェーデンを圧倒しての快勝。序盤の2ゴールで仕留める。
試合開始からエンジン全開で試合に入ったドイツは、前半4分と12分に立て続けにポドルスキがゴールを決め、序盤のうちに2点リードしてしまう。
試合に入れないままにビハインドを背負ったスウェーデンに対し、ドイツは攻撃の手を緩めることなく次々とチャンスを作り出す。スウェーデンは追い打ちをかけるかのように前半35分に退場者を出してしまう。
後半スウェーデンはPKのチャンスを得るが、ラーションが枠を外してしまい、万事休す。追加点は奪えなかったが、ドイツがスコア以上の差を見せベスト8進出。
大会屈指の名勝負にケリをつけたのはマキシ・ロドリゲスのスーパーゴール。
開始6分セットプレーからマルケスが決めてメキシコが先制するが、アルゼンチンもすぐにクレスポが同点ゴールを決め、試合を振り出しに戻す。
その後リケルメを中心にアルゼンチンが攻めるが、メキシコもボルヘッティにボールを集めて反撃し、見ごたえのある攻防が繰り広げられる。後半アルゼンチンはテベス、メッシを次々と投入するが、試合は延長戦へ。
迎えた延長前半3分マキシ・ロドリゲスの大会ベストゴールにも選ばれたスーパーゴールが決まり、アルゼンチンが勝ち越し。試合はそのまま終了し、タレント軍団アルゼンチンがベスト8進出。
序盤にテリーのミスからヒヤリとしたイングランドだったが、その後は地力の差によって試合の主導権を握る。しかし、エクアドルのタイトな守備に手こずり、ゴールが遠い試合展開となる。
この膠着状態を打ち破ったのはベッカムの右足だった。後半15分に訪れたFKのチャンスからベッカムが見事な直接ゴールを決め、イングランドが先制する。
その後もカウンター以外は攻め手の無いエクアドルを相手に冷静に試合をコントロールしたイングランドが主将の挙げた1点を守り切る。
警告16、退場4の大荒れの試合を制したのはポルトガル。オランダはまたもポルトガルによって敗退に追い込まれる。
強豪同士の対戦は、前半23分見事な連携から最後はマニシェが豪快なシュートを決め、ポルトガルが先制。しかしここから試合は思わぬ展開へと発展する。
お互いに激しい削り合いがおこなわれていた試合は、選手が次第にヒートアップし過ぎ、各所で乱闘が勃発し、主審にもコントロールがしきれないほど荒れてしまう。
最終的にお互いに2人ずつ退場を出し、選手が9人しか残っていないという大乱戦は前半の1点を守り切ったポルトガルが勝利。オランダは前回予選、EURO2004に続いてポルトガルによって敗退に追い込まれることに。
オーストラリア、イタリアを追い詰めるも終了間際の判定に泣かされる。
前半は司令塔ピルロのゲームメイクを中心にイタリアが優位に試合を進めていく。ところが、後半5分味方ごと削ったマテラッツィが退場になると、試合の流れはオーストラリアへと傾いていく。
サイドを起点にイタリアを追い詰めていくオーストラリアだったが、10人になってもイタリア伝統のカテナチオは強固だった。
このまま延長戦かと思われた終了直前にイタリアはPA内でグロッソがファウルを誘い、値千金のPKを獲得。これをトッティが確実に決めたイタリアが苦しみながらベスト8進出。
PK戦を制した初出場のウクライナがベスト8へ。スイスは無失点のまま敗退。
どちらも勝てば初のベスト8となる試合は、互いに守備の意識が高く、決め手を欠いたまま大きな動きは無く、120分間を経てPK戦で雌雄を決することに。
最初のキッカーとなったシェフチェンコが外したウクライナだったが、GKショフコフスキーが2人止めることで挽回。全員が失敗したスイスに対し、ウクライナは3人連続で決め、ベスト8へと駒を進める。
前半5分カカのパスからガーナのハイラインの裏に抜けたロナウドが大会通算得点記録を更新するゴールを決め、ブラジルが早々と先制。その後も引かずに真っ向勝負を仕掛けるガーナに対し、ブラジルの高速カウンターが襲い掛かる。
前半終了間際には、オフサイドラインギリギリで飛び出したアドリアーノが追加点を決め、ブラジルがリードを広げる。ガーナもチャンスはあったが、決めきれず。
後半39分にもカカのフィードから抜け出したゼ・ロベルトが決めたブラジルがガーナを仕留め、4大会連続のベスト8進出。一方、粗削りながらガーナも今後に期待させるチームだった。
下馬評では優位と見られたスペインは、前半28分のPKをビジャが決め、先制。このまま終わりそうな空気が漂っていたフランスだったが、41分ジダンのパスから爆発的なスピードで飛び出したリベリーがゴールを決め、同点に追いつく。
後半、リズムが狂い始めたスペインに対し、エンジンのかかってきたジダンが全盛期を思わせるプレーで攻撃をリード。38分には、ジダンのFKをヴィエラが合わせ、フランスが逆転する。
ショーのフィナーレは終了間際。ジダンは華麗な切り返しでプジョルを外し、ダメ押しの3点目を決める。ジダンの魔法がかかったフランスが強豪スペインを下す。
伝統国同士の対決は、ホスト国ドイツがPK戦の末にアルゼンチンを倒す。
激しいプレスの応酬でお互いの長所を消し合う展開となり、前半は膠着状態が続く。後半4分セットプレーからアジャラが決め、アルゼンチンが先制。これで試合が動くようになる。
ドイツは1点を返そうと猛攻を見せ、一方のアルゼンチンは王様リケルメを代えて守りを固め、逃げ切ろうとする。しかし、後半35分ドイツはクローゼがヘディングで決め、同点に追いつく。
その後延長戦に突入するも互いに疲労が濃くゴールは生まれず、PK戦に突入する。2人が失敗したアルゼンチンに対し、W杯のPK戦で不敗神話を持つドイツは全員が成功させる。優勝候補No.1に挙げられたアルゼンチンはベスト8で姿を消すことに。
開始4分ザンブロッタの豪快なミドルシュートで先制したイタリアは、ウクライナに攻めさせながら鉄壁の守備で抑え込み、カウンターを狙う形で試合の主導権を握る。
得意の形に持ち込んだイタリアは、ここまでゴールの無かったトーニが後半14分と24分に連続ゴールを決め試合の行方を決めてしまう。頼みのシェフチェンコはカンナヴァーロのマークによって最後まで沈黙したままとなり、ウクライナはまんまとイタリアのペースに嵌められて完敗。
EURO2004と同じ結果に。ルーニー退場の危機を乗り切るも、イングランドはまたもPK戦で敗退。
出場停止でデコを欠いたポルトガルが守備的に試合に入ったこともあり、イングランドは前半大きな動きを見せることができず。後半に入ってすぐ主将のベッカムが負傷によってベンチに下がってしまう。
後半17分イングランドは相手選手の股間を蹴りつけたルーニーが一発退場となる。数的優位を得たポルトガルだったが、崩しの局面でのクオリティに欠け、逆にカウンター狙いのイングランドがチャンスを作っていた。
結局ゴールは生まれず、EUROでの対戦に続いてPK戦へ。ポルトガルはGKリカルドがランパードとジェラードを止めると、5人目のクリスティアーノ・ロナウドがきっちり決め、1966年以来のベスト4進出を果たす。
ジダンと仲間たちの快進撃は続く。王国ブラジルが敗れ、生き残ったのは欧州勢のみに。
ブラジル有利の下馬評に反し、フランスは鉄壁の守備とジダンを起点とした攻撃が機能。GLの頃とは見違えるような戦いぶりでフランスが試合の主導権を握っていた。
すると、後半12分ジダンのFKから完全にフリーになっていたアンリがボレーシュートを決め、フランスが先制する。
ここまで良いところが無かったブラジルはようやく反撃に出るが、テュラム、ヴィエラといった百瀬練磨のフランスの守備陣から最後までゴールを奪うことができなかった。
最後に底力を見せたイタリアが3大会ぶり決勝進出。ドイツは天敵の前に力尽きる。
前半は、イタリアがピルロのパスワーク中心に中盤を支配し、優位に立つ。一方のドイツも守備陣が集中し、裏のスペースをケア。後半になると、ドイツが攻勢を見せるようになる。これに対し、イタリアは、得意の耐える戦いでドイツのチャンスを潰してしまう。
0-0のまま延長戦に入ると、ドイツの攻め疲れを見逃さなかったイタリアが牙を剥く。このままPK戦に突入かと思われた延長後半終了間際にグロッソとデル・ピエロが立て続けにゴールを決め、ドイツに引導を渡す。
終わってみれば、若いドイツの勢いを試合巧者のイタリアがいなした試合となった。ドイツはこれまでW杯の舞台で勝ったことがない天敵の前に苦汁を嘗めることに。
ジダンと仲間たちの快進撃は続く。王国ブラジルが敗れ、生き残ったのは欧州勢のみに。
フランスはジダン、ポルトガルはデコと互いに頼れる司令塔を経由したサイドアタックを狙い、一進一退の攻防が続く。すると、前半33分アンリが得たPKをジダンが決め、フランスが先制する。
フィーゴとクリスティアーノ・ロナウドのドリブルを軸に反撃に出るポルトガルだが、時間と共にフランスの守備陣に攻撃が読まれてしまう。
リードしてからは堅守速攻で試合をコントロールしたフランスが1点を守り切り、2大会ぶりの決勝進出。ジダンの現役引退試合は決勝の舞台となることが決まった。
前回MVPのカーンが今大会初めてゴールを守るドイツが、モチベーションとコンディションの差でポルトガルを上回り、立ち上がりから攻勢をかける。ポルトガルは、選手の動きが重く、単発的な攻撃を繰り返すばかりとなっていた。
後半11分ドイツはシュバインシュタイガーが豪快なミドルシュートを決め、先制。その4分後にはシュバインシュタイガーのFKがプティのオウンゴールを誘い、ドイツが2点をリード。
その後、スタメンを外れていたフィーゴを投入し、息を吹き返したポルトガルだったが、33分にまたもやシュバインシュタイガーがミドルシュートを決め、ドイツがダメを押す。その後、ヌーノ・ゴメスが1点を返したが、快勝のドイツが3位を確定させ、ホスト国として有終の美で使命を終える。
決勝トーナメントに入って抜群の安定感を見せた両チームによる決勝は、堅い試合になると予想されていたが、序盤に試合が動く。前半7分マテラッツィにマルダがPA内で倒されて得たPKをこれが現役最後の試合となるジダンが決め、フランスが先制。
しかしここで簡単に流れを渡さないのがイタリア。前半19分ピルロのCKからマテラッツィが頭で決め、すぐに同点に追いつく。ここからピルロのパスワークでリズムを作ったイタリアがペースを掴む。
だが、劣勢の時間帯をフランスが我慢すると、後半はイタリアのペースが落ち、フランスが主導権を握るようになる。それでも守りに入ったイタリアのカテナチオはゴールを許さず、膠着状態となったまま試合は延長戦へと突入する。
そして、延長後半5分事件が起きる。マテラッツィの暴言に激昂したジダンが頭突きを見舞うと、ジダンは一発退場となる。ジダンの現役生活のラストは全世界が予想できなかった衝撃的なものとなってしまう。
ジダンを失った10人のフランスは残り時間を耐え、優勝チームはPK戦で決することとなる。フランスは2人目のトレゼゲが外したのに対し、4人目まで成功したイタリアは最後は今大会のラッキーボーイとなっているグロッソが決める。イタリアの24年ぶり4回目の優勝で大会の幕は閉じる。
2006 FIFAワールドカップ 大会結果 | |
---|---|
優勝 | ![]() |
準優勝 | ![]() |
3位 | ![]() |
4位 | ![]() |
個人表彰 | |
大会MVP | ![]() |
得点王 | ![]() |
最優秀GK | ![]() |
最優秀若手選手 | ![]() |
ジネディーヌ・ジダンの衝撃の退場劇が話題となった大会は、イタリアが24年ぶり4度目の優勝という結果になった。カルチョ・スキャンダルの影響、フランチェスコ・トッティの怪我など大会前は不安要素があったが、ジャンルイジ・ブッフォンとファビオ・カンナヴァーロを中心とした鉄壁の守備は大会をわずか2失点で終え、アンドレア・ピルロのゲームメイクを軸とした攻撃もここぞというときに結果を出し、派手さは無いが堅実で安定感のある戦いぶりが優勝の要因となった。
波乱の続出した前回と反対に、今大会は順当に強豪国が勝ち抜く波乱の少ない大会となり、決勝トーナメントでは伝統国同士の対戦がいくつも実現している。一方でベスト4に残ったのは全て欧州勢であり、優勝候補の呼び声が高かったブラジル、アルゼンチンの南米2強はベスト8で姿を消している。
快進撃を見せたのもドイツとフランスという優勝経験国であり、開催国のドイツは若返りを図りながらなかなか結果が出ず不安視されていたが、蓋を開けてみると大会得点王となったミロスラフ・クローゼ、21歳のルーカス・ポドルスキを中心に爆発的な得点力を見せ、3位という好成績を残した。フランスは逆に大会前に一度は代表を退いていたベテラン勢が復帰し、地元でも期待されていなかったが、大会後の現役引退を表明したジダンの花道を飾ろうとチームは団結し、スペイン、ブラジルという強豪を破って決勝まで辿りついた。
アルゼンチンのリオネル・メッシ(18歳)、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド(21歳)という後のサッカー界に君臨する二大巨頭が初めて出場したワールドカップでもあり、2人とも初ゴールを記録している。
前回の2002年大会で誤審が大きな問題となったことを受け、今大会ではジャッジの厳格化が徹底され、主審と副審を同じ国の出身者の組み合わせにし、インカムを付けて連絡を取り合うなどの改革がおこなわれた。だが、ジャッジが厳格になったことによって前回を遥かに上回る枚数のカードが出され、ラウンド16のポルトガルvsオランダの試合では、イエローカード16枚、レッドカード4枚という史上最多タイのカードが出される大荒れの試合となった。
また、ラウンド16のスペインvsフランスの試合においてフランスの黒人選手に対する人種差別的な侮辱が起き、準々決勝以降では試合前に各チームのキャプテンが人種差別に対して反対を表明するスピーチを読みあげるようになった。
決勝でジダンがイタリアのマルコ・マテラッツィに対して頭突きを見舞い退場になった事件は、大会後も大きな話題となり、現役最後の試合で退場となったジダンがワールドカップトロフィを横切ってピッチを去って行く姿は大きなハイライトとなった。
世界中の関心はジダンが激昂して頭突きするに至った動機に寄せられ、暴言を吐いたマテラッツィのほうにむしろ非難が集まるようになっていた。当初、アルジェリア移民の出身であるジダンに対して人種差別的な発言があったのでは?という疑惑が持たれたが、これに関しては両者ともに否定。2人の発言に食い違いがあるが、マテラッツィがジダンの母や姉を侮辱する発言をしたというのが有力となっている。
FIFAは大会を最後に引退したジダンに対しては3日間の社会奉仕活動と罰金7500スイス・フラン、マテラッツィには2試合の出場停止と500スイス・フランの罰金が科された。
年代別の世界大会で結果を残した黄金世代が円熟期となり、過去最強とまで言われた日本代表だったが、結果は自国開催だった前回を下回る1分2敗のグループ最下位で早期敗退となった。
監督を務めたジーコは、選手に任せた放任主義を貫いたが、これが選手間での軋轢を生み、チームの大黒柱であるはずの中田英寿と他の選手の間に溝が生じることとなった。また、炎天下のオーストラリア戦で1点を守り切るべき時間帯での采配など、ジーコの監督経験の無さが大事なところで露呈されてしまった。
ブラジルに大敗した試合後、中田英寿はピッチに倒れ込み、しばらくの間動くことができなかった。その数日後、中田英寿は29歳の若さで現役引退を表明し、日本サッカーの一つの時代が終わった瞬間となった。川淵三郎キャプテンの有名な「オシムと言っちゃったね」発言からまた新たなサイクルが始まることに。
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最終更新:2023/03/23(木) 18:00
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