2018 FIFAワールドカップとは、2018年6月14日~7月15日にかけてロシアで開催されたサッカーの国際大会である。
2018 FIFAワールドカップ | |
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期間 | 2018年6月14日~7月15日 |
場所 | ロシア連邦 |
出場国 | 32ヶ国 |
公式球 | テルスター18(アディダス) |
マスコット | ザビバカ |
21回目のワールドカップであり、東ヨーロッパ地域では初開催となる。出場枠はヨーロッパ13+1枠(開催国ロシア)、南米4.5枠、アフリカ5枠、アジア4.5枠、北中米カリブ海3.5枠、オセアニア0.5枠。
初出場の国はアイスランドとパナマ。また、ペルーは36年ぶり、エジプトは28年ぶりの出場となった。一方、強豪国・常連国では60年ぶりの予選敗退となったイタリアをはじめ、前回大会3位のオランダ、コパ・アメリカ2連覇中のチリ、7大会連続出場中だったアメリカなどが出場権を逃した。
ロシア開催のため、前回の2014年ブラジル大会同様、開催会場間にも時差があることに注意(日本との時差は4~7時間。最も多いのはモスクワなどを含む時差6時間)。日本から見ると時差は西~中ヨーロッパ開催の場合よりも縮まり(2006年ドイツ大会や2010年南アフリカ大会のときは時差7時間であった)、中東などと近い時間になっている。
今大会から、主審の判定を補助するビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が採用されている。得点やPK、退場など、勝敗に大きく絡む場面での誤審をなくすため、映像によるビデオ判定を行うシステム。試合中、VAR担当のビデオ副審が常に映像をチェックし、必要に応じて主審に無線でビデオ判定の要求を伝え、主審が映像を確認して改めて判定を下す。
ちなみにテニスのチャレンジやプロ野球のリクエストとは異なり、選手や監督にはビデオ判定の要求をする権利はなく、主審にビデオ判定を求めるのはあくまでビデオ副審の役目であり、また最終的に判定を決めるのはあくまで主審である。
他には、大陸予選とグループステージ(GL)における順位決定にフェアプレーポイント(FPP)が導入された。具体的にはイエローカード1枚につき-1、警告2回による退場-3、一発退場-4、警告を受けた上で一発退場-5という減点方式となっている。
また今大会から決勝トーナメントでは、90分間での選手交替は3人までだが、延長戦に入ると4人目の選手交代が認められる。
(順位は本大会前最後の発表となった2018年6月7日発表のFIFAランキング)
グループA | グループB | グループC | グループD | グループE | グループF | グループG | グループH |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ロシア (70位) |
ポルトガル (4位) |
フランス (7位) |
アルゼンチン(5位) |
ブラジル (2位) |
ドイツ (1位) |
ベルギー (3位) |
ポーランド (8位) |
サウジアラビア (67位) |
スペイン (10位) |
オーストラリア (36位) |
アイスランド (22位) |
スイス (6位) |
メキシコ (15位) |
パナマ (55位) |
セネガル (27位) |
エジプト (45位) |
モロッコ (41位) |
ペルー (11位) |
クロアチア (20位) |
コスタリカ (23位) |
スウェーデン (24位) |
チュニジア (21位) |
コロンビア (16位) |
ウルグアイ (14位) |
イラン (37位) |
デンマーク (12位) |
ナイジェリア (48位) |
セルビア (34位) |
韓国 (57位) |
イングランド (12位) |
日本 (61位) |
順 位 |
国名 | 勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ウルグアイ |
― | ○ 3-0 |
○ 1-0 |
○ 1-0 |
9 | 5 | 5 | 0 |
2 | ロシア |
● 0-3 |
― | ○ 5-0 |
○ 3-1 |
6 | 4 | 8 | 4 |
3 | サウジアラビア |
● 0-1 |
● 0-5 |
― | ○ 2-1 |
3 | -5 | 2 | 7 |
4 | エジプト |
● 0-1 |
● 1-3 |
● 1-2 |
― | 0 | -4 | 2 | 6 |
【Before】
ロシア「開催国の意地を見せる」
サウジアラビア「まぁ、がんばる」
エジプト「2位ならなんとか」
ウルグアイ「1位通過するよ」→ 【After】
ロシア「開催国の意地を見せたよ」
サウジ「久々に勝てたからまあいいか」
エジプト「サラーが万全だったら…」
ウルグアイ「ざっとこんなもんよ」
FIFAランクでは出場32カ国中最下位のロシアは、ユーリ・ガジンスキーがオープニングゴールを決めると、そのままサウジアラビアを5-0と圧倒。続くエジプトにも3-1で快勝し、2戦目でウルグアイとともにグループリーグ突破を決めた。ロシアのグループリーグ突破はソビエト連邦時代の86年メキシコ大会以来で、ロシアとしては初。
グループ1強という前評判のウルグアイは、初戦のエジプトに苦戦したものの試合終了間際のゴールで勝利すると、その後もしたたかな試合運びを見せ、第3戦では勢いに乗るロシアに3-0で完勝し、無失点の3連勝で悠々と1位通過を果たした。
開幕戦でロシアに惨敗を喫したサウジアラビアは、続くウルグアイ戦も敗れ早々に敗退が決まってしまったが、第3戦では同じく敗退の決まったエジプトに後半アディショナルタイムの得点で2-1と逆転勝ち。1994年アメリカ大会以来、24年ぶりのW杯での勝利を挙げた。
プレミアリーグ得点王のモハメド・サラーを擁し28年ぶりのW杯に挑んだエジプトは、そのサラーが怪我で欠場した初戦のウルグアイ戦を落とすと、サラーが復帰したロシア戦も連携を欠き1-3で敗れ、最終戦のサウジアラビアにも逆転負けして3連敗で大会を去った。
順 位 |
国名 | 勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | スペイン |
― | △ 3-3 |
○ 1-0 |
△ 2-2 |
5 | 1 | 6 | 5 |
2 | ポルトガル |
△ 3-3 |
― | △ 1-1 |
○ 1-0 |
5 | 1 | 5 | 4 |
3 | イラン |
● 0-1 |
△ 1-1 |
― | ○ 1-0 |
4 | 0 | 2 | 2 |
4 | モロッコ |
△ 2-2 |
● 0-1 |
● 0-1 |
― | 1 | -2 | 2 | 4 |
【Before】
ポルトガル「敵はスペインだけ」
スペイン「敵はポルトガルだけ」
モロッコ「勘弁してくれ」
イラン「勘弁してくれ」→ 【After】
ポルトガル「危なかった」
スペイン「危なかった」
モロッコ「意地は見せたよ」
イラン「あと一歩が遠かった…」
ポルトガルとスペインという隣国同士の強豪国に、どちらも予選を無敗で突破してきたイランとモロッコが挑むグループになった。初戦のスペイン対ポルトガルの直接対決は壮絶な激闘となり、3-3の引き分けに。
大会直前に監督が交代するトラブルのあったスペインは、2戦目のイランの固い守備に苦しみながらも何とか勝利を挙げたものの、3戦目でも既に敗退の決まったモロッコに苦戦。危うく敗退の危機だったが、試合終了間際に一度はオフサイドと判定されたゴールがVARで覆って追いつき2-2の引き分けで終え、総得点差で1位通過を決めた。
ポルトガルも2戦目のモロッコに苦戦しつつなんとか勝利。3戦目のイランには終了間際にPKで追いつかれ、さらにあわやイラン逆転という決定機もあり肝を冷やしたが、なんとか1-1の引き分けで逃げ切り2位通過となった。
初戦のモロッコ戦で終了間際のオウンゴールにより20年ぶりのW杯での勝利を掴んだイランは、その固い守備で2強を苦しめた。初の決勝トーナメントを目指しポルトガル相手に健闘したが、惜しくも引き分けとなり敗退となった。
モロッコは2戦目のポルトガル戦で主審のポルトガル寄りの判定に苦しめられ、連敗で出場32カ国中最初にグループリーグ敗退が決まってしまったが、3戦目でスペインを土俵際まで追いつめるなど、強豪国相手にもひけをとらない戦いを見せた。
順 位 |
国名 | 勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | フランス |
― | △ 0-0 |
○ 1-0 |
○ 2-1 |
7 | 2 | 3 | 1 |
2 | デンマーク |
△ 0-0 |
― | ○ 1-0 |
△ 1-1 |
5 | 1 | 2 | 1 |
3 | ペルー |
● 0-1 |
● 0-1 |
― | ○ 2-0 |
3 | 0 | 2 | 2 |
4 | オーストラリア |
● 1-2 |
△ 1-1 |
● 0-2 |
― | 1 | -3 | 2 | 5 |
【Before】
フランス「そこそこの組み合わせかな」
オーストラリア「2位いけるな」
ペルー「2位いけるな」
デンマーク「2位いけるな」→ 【After】
フランス「本番はここから」
オーストラリア「白星は遠かった」
ペルー「次は36年もかからず来たい」
デンマーク「2位行けた」
優勝候補のフランスが大本命、欧州予選プレーオフを突破したデンマーク、大陸間プレーオフを勝ち抜いてきたオーストラリアとペルーによる2位争いは混戦模様という前評判のグループ。とはいえ、終わってみれば本命フランス、対抗デンマークという前評判通りの結果となった。
他のグループの優勝候補が思わぬ苦戦をする中、フランスは初戦で見せた不安をしっかり修正し、危なげなく2連勝であっさり突破を決めた。デンマークとの第3戦は大会初のスコアレスドローで1位通過。
初戦でペルーを破ったものの、2戦目でオーストラリアと引き分け、3戦目のフランスに負けると敗退の可能性もあったデンマークは、確実に2位通過を確保。2002年日韓大会以来の決勝トーナメント進出を果たした。
36年ぶりの出場となったペルーは、デンマーク、フランス相手に互角の戦いを繰り広げるも決定力不足を露呈して連敗、南米勢で最初の敗退となったが、最終戦ではオーストラリアに2-0で快勝、W杯では40年ぶりの勝利を挙げ、南米の意地を見せた。
オーストラリアは2戦目のデンマークと引き分け、辛うじて最終戦まで突破の可能性を残したが、南米勢の壁に弾き返され、前回大会に続き未勝利で大会を終えた。
順 位 |
国名 | 勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | クロアチア |
― | ○ 3-0 |
○ 2-0 |
○ 2-1 |
9 | 6 | 7 | 1 |
2 | アルゼンチン |
● 0-3 |
― | ○ 2-1 |
△ 1-1 |
4 | -2 | 3 | 5 |
3 | ナイジェリア |
● 0-2 |
● 1-2 |
― | ○ 2-0 |
3 | -1 | 3 | 4 |
4 | アイスランド |
● 1-2 |
△ 1-1 |
● 0-2 |
― | 1 | -3 | 2 | 5 |
【Before】
アルゼンチン「またナイジェリアかよ」
アイスランド「またクロアチアかよ」
クロアチア「またアイスランドかよ」
ナイジェリア「またアルゼンチンかよ」→ 【After】
アルゼンチン「クロアチアめ…」
アイスランド「クロアチアめ…」
クロアチア「これがクロアチアだ」
ナイジェリア「アルゼンチンめ…」
アルゼンチンがやや抜けているが、全体としては実力が拮抗しており、展開によってはアルゼンチンの敗退もあり得る、という前評判で迎えたグループ。
南米予選で大苦戦し、メッシ頼みである点などが不安視されていたアルゼンチンは、初戦で初出場のアイスランドに引き分けに持ち込まれると、2戦目のクロアチアには0-3でまさかの完敗。崖っぷちに追いつめられたが、3戦目でおなじみナイジェリアから今回もなんとか勝利をもぎ取り、辛うじて2位でグループステージを通過した。
3連勝で1位通過したのは、総合力はモドリッチを中心にアルゼンチン以上とも言われるタレントを揃えたクロアチア。ナイジェリアとアルゼンチンを圧倒し、3位になった98年フランス大会以来20年ぶりのグループリーグ突破ながら、一気に大会のダークホース的存在に。
6度目の出場でアルゼンチンと同じグループになること実に5度目のナイジェリアは、過去4戦全てアルゼンチンに敗れており、崖っぷちに立った因縁の相手に5度目の正直を狙ったものの、今回も敗れて目前だったグループリーグ突破を逃した。
初出場ながら初戦でアルゼンチンと引き分けるという大健闘で注目を集めたアイスランドも、予選では順位で上回ったクロアチアに3戦目で勝てばグループリーグ突破の可能性は充分にあったが、力及ばず1分2敗で惜しまれつつ敗退した。
順 位 |
国名 | 勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ブラジル |
― | △ 1-1 |
○ 2-0 |
○ 2-0 |
7 | 4 | 5 | 1 |
2 | スイス |
△ 1-1 |
― | ○ 2-1 |
△ 2-2 |
5 | 1 | 5 | 4 |
3 | セルビア |
● 0-2 |
● 1-2 |
― | ○ 1-0 |
3 | -2 | 2 | 4 |
4 | コスタリカ |
● 0-2 |
△ 2-2 |
● 0-1 |
― | 1 | -3 | 2 | 5 |
【Before】
ブラジル「問題なし」
スイス「2位でいけるだろ」
コスタリカ「今回も頑張る」
セルビア「舐められちゃ困る」→ 【After】
ブラジル「調子出てきた」
スイス「順当」
コスタリカ「今回はダメだった」
セルビア「壁は厚かった…」
優勝候補ブラジルが1位通過の大本命、スイスとセルビアの欧州勢と前回大会で旋風を巻き起こしたコスタリカによる2位争いという、グループCに近い前評判のグループ。そしてこちらもグループC同様、終わってみれば本命ブラジル、対抗スイスという前評判通りの結果に。
とはいえブラジルは初戦のスイス戦は終始主導権を握りながら引き分けに持ち込まれ、2戦目でもコスタリカを崩しきれず後半アディショナルタイムの2得点でどうにか勝つなど苦戦した。しかし3戦目では本来の調子を取り戻し、セルビアの猛攻を跳ね返して快勝、順当に1位通過を決めた。
初戦でブラジルに引き分けたスイスは、2戦目のセルビアにも先制を許しながら冷静な試合運びで逆転勝利。3戦目では既に敗退の決まったコスタリカに土壇場で追いつかれて引き分けに持ち込まれたものの、2位で通過。
セルビアは3戦目でブラジルを破れば決勝トーナメント進出だったが、何度も掴んだ決定機をことごとく弾き返され、王国の壁の前に膝を屈した。
前回大会では3強1弱の1弱と言われたグループを首位通過し、ベスト8まで勝ち進んだコスタリカだったが、今回は前回の再現とはならず。それでもスイス相手に2点を奪って引き分けに持ち込み、最後に意地を見せて大会を終えた。
順 位 |
国名 | 勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | スウェーデン |
― | ○ 3-0 |
○ 1-0 |
● 1-2 |
6 | 3 | 5 | 2 |
2 | メキシコ |
● 0-3 |
― | ○ 2-1 |
○ 1-0 |
6 | -1 | 3 | 4 |
3 | 韓国 |
● 0-1 |
● 1-2 |
― | ○ 2-0 |
3 | 0 | 3 | 3 |
4 | ドイツ |
○ 2-1 |
● 0-1 |
● 0-2 |
― | 3 | -2 | 2 | 4 |
【Before】
ドイツ「連覇しか見えない」
メキシコ「韓国には勝つとして」
スウェーデン「韓国には勝つとして」
韓国「\(^o^)/」→ 【After】
ドイツ「(゚Д゚)」
メキシコ「サンキュー韓国」
スウェーデン「ドイツ乙」
韓国「ドイツ乙」
いわゆる3強1弱グループだが、FIFAランク1位で優勝候補筆頭、連覇を目指すドイツの首位通過は固く、メキシコとスウェーデンの熾烈な2位争いと目された。
ところが、初戦でドイツがメキシコに0-1で敗戦(ドイツのW杯初戦黒星は36年ぶり)、一気に混沌とした状況に。メキシコは続く韓国戦も勝利し2戦目を終えて首位に立つ。
ドイツは続くスウェーデン戦も苦戦、引き分け寸前のところを試合終了間際の勝ち越しゴールで勝利し、何とか3戦目の韓国戦へ繋いだ。連敗の韓国もこのドイツの勝利で首の皮一枚のところで可能性がつながり、4チームとも突破・敗退の可能性を残したまま第3戦へ。
引き分けでも1位通過の首位メキシコと、自力での突破には勝利が絶対条件の3位スウェーデンの第3戦は、スウェーデンがメキシコの持ち味を完全に封じ込め、3-0で快勝。大逆転でグループ1位通過を決めた。
メキシコが2点リードを奪われた時点で、ドイツは1点でも取って勝てばメキシコをかわしてグループリーグ突破という状況に。だが、韓国を相手に全く攻撃が繋がらず、シュートはことごとく枠の外へ。0-0のままただ時間だけが過ぎていき、逆に後半アディショナルタイムに韓国に2点を奪われ万事休す。
かくして、過去18回のW杯で一次リーグ敗退が一度もなかった前回王者ドイツは、まさかのグループリーグ最下位で大会を去ることに。2002年のフランス、2010年のイタリア、2014年のスペインと、「優勝した欧州のチームは次の大会でグループリーグ敗退する」という21世紀のジンクスに飲みこまれた。
2戦目を終えて首位だったメキシコは、スウェーデンに完敗しドイツが勝てば逆転で敗退という窮地に立たされたが、ドイツが敗れたため2位で7大会連続のグループリーグ突破。韓国はスウェーデンが勝ったため敗退となったが、2002年日韓大会準決勝で敗れたドイツに16年越しのリベンジとなる歴史的白星を挙げた。W杯でアジア勢がドイツに勝ったのは史上初。
順 位 |
国名 | 勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ベルギー |
― | ○ 1-0 |
○ 5-2 |
○ 3-0 |
9 | 7 | 9 | 2 |
2 | イングランド |
● 0-1 |
― | ○ 2-1 |
○ 6-1 |
6 | 5 | 8 | 3 |
3 | チュニジア |
● 2-5 |
● 1-2 |
― | ○ 2-1 |
3 | -3 | 5 | 8 |
4 | パナマ |
● 0-3 |
● 1-6 |
● 1-2 |
― | 0 | -9 | 2 | 11 |
【Before】
ベルギー「なんだ楽勝じゃん」
パナマ「\(^o^)/」
チュニジア「\(^o^)/」
イングランド「なんだ楽勝じゃん」→ 【After】
ベルギー「順当やね」
パナマ「初ゴールやったぁ!」
チュニジア「40年ぶりの白星は良いのう」
イングランド「借りは必ず返す」
ベルギーとイングランドの突破は確実、完全な2強2弱グループという前評判通り、順当に2強が勝ち進んだ。
豪華メンバーを揃えた優勝候補ベルギーは、初戦のパナマに3-0と快勝すると、チュニジアも5得点で圧倒し、イングランドにも勝って3連勝で1位通過。
イングランドも初戦のチュニジアにやや苦戦したものの終了間際のゴールで勝利すると、2戦目のパナマは6-1と今大会の1試合最多得点で圧勝し、ベルギーとともに突破を決めた。
チュニジアはイングランド戦の前半でGKが負傷交替、ベルギー戦では前半だけでDFが2人負傷交替し、パナマ戦は控えGKなしで挑まなければならなくなるなど不運に泣かされ敗退となったが、パナマとの最終戦に逆転勝利し40年ぶりのW杯勝利を挙げた。
初出場のパナマは欧州の強豪2国に格の違いを見せつけられ、グループリーグ最多失点の3連敗で敗退となったが、最後まで果敢な戦いを見せ、新たな歴史の一歩を踏み出した。
順 位 |
国名 | 勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | コロンビア |
― | ● 1-2 |
○ 1-0 |
○ 3-0 |
6 | 3 | 5 | 2 |
2 | 日本 |
○ 2-1 |
― | △ 2-2 |
● 0-1 |
4 | 0 | 4 | 4 |
3 | セネガル |
● 0-1 |
△ 2-2 |
― | ○ 2-1 |
4 | 0 | 4 | 4 |
4 | ポーランド |
● 0-3 |
○ 1-0 |
● 1-2 |
― | 3 | -3 | 2 | 5 |
【Before】
ポーランド「まあ一位通過でしょ」
セネガル「日本には勝つとして…」
コロンビア「日本には勝つとして…」
日本「準備は整った(キリッ」→ 【After】
ポーランド「\(^o^)/」
セネガル「紙一重だったなぁ…」
コロンビア「まあこんなもんよ」
日本「紙一重だったわ…」
本命不在の混戦だが、全体としては3強1弱で日本が草刈り場という前評判のグループ。結果はなんと今大会から導入されたフェアプレーポイントが順位に影響した最初の事例となり、これによるグループリーグ敗退国が出たのもW杯史上初。
ハリルホジッチ監督の突然の解任や、ベテラン中心の選出などで国内でもあまり期待されていなかった日本だが、初戦でコロンビアが開始早々に10人になるという思わぬ展開で、アジア勢として南米勢からW杯での初勝利となる歴史的白星を挙げる。
続くセネガル戦も2度リードされながら追いつき引き分け、2戦目を終えてグループ首位に。
3戦目では敗退の決まっているポーランドに0-1でリードされていたが、同時に行われていたコロンビア対セネガル戦でコロンビア先制との情報からこれ以上の失点等を防ぐ守りの体制に転じ、結果として試合には敗れたがセネガルと勝ち点・得失点差・総得点・直接対決の結果全てで同率となり、フェアプレーポイントの差で2大会ぶりのグループリーグ突破を果たした。ただ『負けている試合でパス回しによる時間稼ぎ』という前代未聞の行為には国内外から賛否の声が上がる事となった。
初戦で日本にまさかの敗北を喫したコロンビアは、続く負けた方が敗退決定のポーランド戦に3-0で快勝。3戦目はセネガルに押し込まれるもセットプレーから奪った1点を守り切り、終わってみればグループ1位での突破を果たした。
初戦でポーランドに快勝し、3戦目では引き分けでも突破だったセネガルは、コロンビアを攻めきれず敗れ、フェアプレーポイントの差で涙を呑むことに(日本:-4、セネガル:-6)。
ポーランドは、エースのレバンドフスキが徹底したマークで封じられ、守備の脆さを露呈し連敗であっさり敗退決定。第1ポット国では唯一の敗退となってしまったが、第3戦では日本に勝利して面目を保った。
前回王者・ドイツのグループリーグ敗退(史上初)という大波乱があったものの、それ以外で番狂わせと言えそうなのはグループHの日本の突破程度で、結果を見ればほぼ前評判通り、ほとんどのグループで強豪国が順当に勝ち進む展開となった。2006年ドイツ大会以来の欧州開催ということもあり、南半球での開催だった前回(ブラジル大会)や前々回(南アフリカ大会)では半数が敗退するなど苦戦が目立った欧州勢は、今回は14カ国中10カ国がグループリーグを突破している。
ブラジル、アルゼンチン、コロンビアといった南米勢も、出足でややもたついたものの、最終的にはきっちり突破した。それだけに、ひときわドイツの敗退が目立つ結果となっている。
一方アフリカ勢は82年スペイン大会以来のグループリーグ全滅となり、アジア勢は日本のみ、北中米カリブ海勢はメキシコのみの突破となった。ベスト16の内訳はヨーロッパ10、南米4、アジア1、北中米カリブ海1。全体として、無風と言われた2006年ドイツ大会に近い結果になったと言えるだろう。当のドイツを除けば。
ねぇねぇ、韓国に負けてグループリーグ敗退して今どんな気持ち?
∩___∩ ∩___∩
♪ | ノ ⌒ ⌒ヽハッ __ _,, -ー ,, ハッ / ⌒ ⌒ 丶|
/ (●) (●) ハッ (/ "つ`..,: ハッ (●) (●) 丶
| ( _●_) ミ :/ :::::i:. ミ (_●_ ) |
___ 彡 |∪| ミ :i ─::!,, ミ、 |∪| 、彡____
ヽ___ ヽノ、`\ ヽ.....::::::::: ::::ij(_::● / ヽノ ___/
/ アルゼンチン /ヽ < r " .r ミノ~. 〉 /\ ブラ 丶
/ /  ̄ :|::| ドイツ ::::| :::i ゚。  ̄♪ \ ジル丶
/ / ♪ :|::| ::::| :::|: \ 丶
(_ ⌒丶... :` | ::::| :::|_: /⌒_)
| /ヽ }. :.,' ::( :::} } ヘ /
し )). ::i `.-‐" J´((
ソ トントン ソ トントン
↑前回準優勝 ↑前回優勝国 ↑前回ミネイロンの惨劇
決勝トーナメント開幕カードは、優勝経験国同士の顔合わせに相応しい、壮絶な激闘に。
フランスは前半13分、エムバペの突破から得たPKをグリーズマンが決めて先制。しかしアルゼンチンも40分にディマリアの強烈なミドルシュートで同点に追いつき、1-1で前半を折り返す。
後半開始早々にアルゼンチンが逆転するが、12分、フランスはパヴァールのスーパーボレーシュートが決まり再び同点とすると、19分と23分にエムバペの連続ゴールで再逆転。アルゼンチンは終了間際に1点を返すも及ばず、優勝候補フランスが華麗かつ熾烈な点取り合戦を制し、2大会連続のベスト8入りを決めた。
MOMに選ばれたフランスの弱冠19歳、エムバペの大暴れにより、リオネル・メッシの4度目のW杯はベスト16で終了となった。
メッシを擁するアルゼンチンに続き、クリスティアーノ・ロナウドを擁するEURO2016王者ポルトガルもベスト16で姿を消した。
グループリーグを唯一の無失点で突破したウルグアイは、前半7分、スアレスの速いクロスにカバーニが見事に頭で合わせ先制。ポルトガルも後半10分、CKからペペのヘディングで同点に追いつくが、17分、GKからのロングボールからポルトガルの守備の隙を突き、再びカバーニが鮮やかに決めてウルグアイが勝ち越し点を奪う。
ポルトガルはウルグアイの7本を大きく上回る20本のシュートを放ったが、ウルグアイの堅固な守備に阻まれ、枠を捉えたのは僅かに3本。ウルグアイがポルトガルの攻勢を凌ぎきり、2大会ぶりのベスト8へと駒を進めた。しかし、2得点を挙げたカバーニの負傷交替が不安を残す勝利でもあった。
アルゼンチン、ポルトガルに続き、今度はスペインがロシアの徹底した守りを崩しきれず、PK戦の末姿を消した。
スペインは前半12分、相手のオウンゴールで幸先よく先制。しかしその後はロシアの守備の前に攻めあぐねる展開が続き、前半40分にジューバのPKで同点に追いつかれる。スペインは試合を通じて圧倒的にボールを支配するものの、攻め手を欠いて守りに守るロシアを崩しきれないまま、今大会初の延長戦でも決着がつかずPK戦へ。
PK戦では後攻のロシアが4人全員が決めたのに対し、先攻のスペインは2度に渡ってロシアGKアキンフェエフに阻まれ勝負あり。
終わってみれば開催国ロシアが狙い通りの試合運びで見事にジャイアントキリングを達成。ソ連時代の70年以来48年ぶりのベスト8入りを果たした。
「出会って4分で同点」
キックオフから僅か1分、クヌドセンのロングスローから混戦の中ヨルゲンセンのシュートが決まり、いきなりデンマークが先制。しかしその3分後、クロアチアもマンジュキッチのゴールで同点に追いつき、開始4分で1-1という展開に。
しかしその後は試合が膠着、両チームとも一進一退のまま90分で決着つかず、こちらも延長戦へ。延長戦はデンマーク優勢で進むが、延長後半9分、クロアチアは1対1からGKをかわしたレビッチが倒されPKを獲得。しかしこのPKをデンマークGKシュマイケルが見事に防ぎ、こちらもPK戦へもつれこむ。
PK戦はシュマイケルとクロアチアGKスバシッチが共に見事なセーブを見せるが、5回中3度のセーブを決めたスバシッチに軍配。クロアチアが苦しみながらもベスト8の切符を手にした。
王国ブラジルが貫禄を見せつける試合運びで快勝、7大会連続のベスト8進出を果たした。
メキシコは序盤から果敢に攻めていくものの、ブラジルの守りを崩せず、試合は徐々にブラジルペースに。後半6分、ウィリアンのクロスにネイマールが滑り込んで押し込みブラジルが先制。メキシコはブラジルの守備に対して有効な打開策を見いだせないまま単調な攻撃に終始してしまい、終了間際にはフィルミーノに押し込まれて2点目を奪われ勝負あり。
グループリーグでドイツを破ったメキシコだったが、過去4戦未勝利のブラジル戦とベスト16という二重の壁を今回も破れず、なんと7大会連続のベスト16敗退となった。
まさに「2-0は危険なスコア」という言葉通り、後半45分間に天国と地獄が交錯した。
前半、序盤は日本が積極的に攻めるも、中盤からはベルギーの猛攻を浴びる。それを何とか無失点で凌ぎ前半を0-0で終えると、後半3分、カウンターから原口のゴールで日本が先制。さらに7分には乾がミドルシュートを叩き込み、なんと日本が優勝候補ベルギー相手に2点をリードする。
しかし24分にヴェルトンゲンのヘディングがゴールに吸い込まれると、29分にはフェライニのヘッドでたちまちベルギーが同点に。
そして2-2で迎えた後半アディショナルタイム。日本は本田のフリーキックをGKクルトワに防がれ、カウンターからシャドリが流し込み、ベルギーが土壇場で逆転して試合終了。
日本は世界3位のベルギーを追いつめながら、掴みかけた初のベスト8を目前で逃した。
スウェーデンが固い守備でスイスの攻撃を防ぎきり、94年アメリカ大会以来となるベスト8へと駒を進めた。
前半は中盤での激しい奪い合いから両チーム一進一退の攻防。どちらも決定機を作るものの決めきれず0-0で前半を終える。
後半はややスイス攻勢の展開となるが、後半22分、フォルスベリのシュートがスイスDFアカンジの足に当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれてスウェーデンが先制。その後はスウェーデンが高い守備意識でスイスの猛攻からこの1点を守り切った。
自国開催だった54年大会以来のベスト8を目指したスイスだったが、何度も作った決定機を決めきれず、2大会連続のベスト16敗退となった。
「PK戦に弱い」という評判を覆し、イングランドがPK戦を制して3大会ぶりのベスト8入り。
試合はイングランドの攻撃にコロンビアが対応しカウンターを狙う展開で進むが、前半から小競り合いの目立つ荒れ模様で進む。
後半9分、日本戦に続いてコロンビアのサンチェスがPKを与えてしまい、これをハリー・ケインが決めてイングランドが先制。以降両チームともファールや判定を巡って抗議する場面が目立ち、イエローカードが飛び交った。
そんな中、後半アディショナルタイムにCKからミナが今大会3得点目のヘディングシュートを決め、土壇場でコロンビアが同点に追いつく。
延長戦でも決着はつかず、試合はPK戦へ。イングランドは過去W杯のPK戦で3戦全敗という歴史が不安を感じさせる中、3本目を止められてしまう。しかしコロンビアが4本目を外し、5本目を止められたことで逆転。4度目の正直でようやく勝利を掴み取った。
アルゼンチン戦で華麗な4得点を挙げた「矛」フランスと、4試合で僅か1失点の「盾」ウルグアイの対決は、「矛」に軍配が上がった。
前半立ち上がりは両チームともスピーディーな攻防を見せるが、試合は徐々にフランスペースへ。前半40分、グリーズマンのFKにヴァランが頭で合わせフランスが先制する。前半終了間際にはウルグアイがCKからカセレスの決定的なヘディングシュートを放つも、フランスGKロリスがスーパーセーブでこれを阻み、前半は1-0で終了。
後半16分、グリーズマンのミドルシュートがウルグアイGKムスレラの手前で大きくぶれ、ムスレラは弾ききれずボールはゴールに吸い込まれ2点目が入る。
ポルトガル戦での怪我でカバーニが欠場したウルグアイは、エースのスアレスがシュート0に終わるなど本来の攻撃の形を作ることができず、フランスの守備をこじ開けられないまま試合終了。
優勝候補フランスが2-0というスコア以上の内容で完勝し、3大会ぶりのベスト4へと駒を進めた。
ベルギーが王国ブラジルを打ち倒し、86年メキシコ大会以来のベスト4進出を果たした。
試合開始からブラジルが攻め入り、ベルギーが縦に鋭いカウンターを繰り出す展開で激しい攻撃の応酬となる。そんな中、前半13分、ベルギーのCKがフェルナンジーニョの肩に当たってゴールに吸い込まれ、オウンゴールでベルギーが先制するという思わぬ展開に。さらに前半31分、素早いカウンターからデ・ブライネのシュートが突き刺さりベルギーが追加点。2-0で前半を終える。
後半はブラジルが猛攻を仕掛けるが、中央を固めて守るベルギーをなかなか打開できない。それでも後半31分、レナト・アウグストのヘッドでようやく1点差に迫ると、疲れの見えたベルギー守備陣の隙を突いて2度の決定機を作るが、シュートが枠を捉えきれず。ベルギーはアザールのドリブルからファールを貰う形で着実に時間を稼ぎ、そのまま逃げ切って試合終了。
前回大会のミネイロンの惨劇から雪辱を期したブラジルだったが、ベスト8で姿を消すことに。
これで南米勢も全滅、残りは欧州勢のみに。また前回大会の4強が全て姿を消し、4強総入れ替えは66年イングランド大会以来のこととなった。
欧州予選でオランダとイタリア、GLではドイツを押しのけ、組織的な堅守で静かに勝ち上がってきたスウェーデンだったが、その躍進を阻んだのは、MOMに選ばれたイングランドGKピックフォードだった。
試合は静かな立ち上がりとなったが、前半30分、CKからマグワイアの強烈なヘッドでイングランドが均衡を破る。後半14分には、リンガードの完璧なクロスにアリが頭で合わせイングランドが追加点を奪った。
今大会初めて先制を許したスウェーデンは後半から反撃に出るものの、ここ一番でピックフォードがファインセーブを連発。都合3点分のシュートをことごとく阻止され、ゴールネットを揺らせないまま試合終了。
イングランドが快勝で、90年イタリア大会以来28年ぶりのベスト4へと勝ち上がった。
ベスト16をともにPK戦で勝ち上がった両チームの対戦は、またもPK戦にもつれ込む死闘に。
試合開始当初はロシアが攻め込むも、徐々にクロアチアペースに。しかし前半31分、チェリシェフのシュートがゴール左上隅に吸い込まれロシアが先制する。だがクロアチアも39分、マンジュキッチのクロスからクラマリッチがヘッドを突き刺しすぐに同点に追いつく。
後半は激しい攻防になるが、ペリシッチの決定的なシュートがポストに阻まれるなど両チームとも勝ち越し点を奪えず、試合は延長戦へ。
延長前半11分、CKからヴィダのヘッドがゴールに吸い込まれクロアチアが勝ち越し。クロアチアはGKスバシッチが右足を痛めながら必死にこの1点を守るが、延長後半10分、ロシアのFKからマリオ・フェルナンデスのヘッドが決まり土壇場で再び同点。
またもPK戦までもつれた試合は、スバシッチとアキンフェエフがともに1本ずつセーブを見せたあと、ロシア3人目のマリオ・フェルナンデスが枠の外に外し、クロアチアは残りを冷静に決めてクロアチアに軍配が上がった。
フランスが鉄壁の守りで1点を死守し、3大会ぶりとなる決勝へと勝ち進んだ。
互いに鋭いカウンターを軸にした素早い攻撃を武器にするチームだけに、前半から非常にスピーディーなカウンター合戦が展開される。ともに決定機を掴むものの、両GKの好セーブもあり、前半は0-0で終了。
試合が動いたのは後半6分。フランスはCKからウムティティが頭で合わせ、待望の先制点を奪う。ベルギーはそこから猛反撃を仕掛けるが、フランスは慌てることなく冷静に対処。ベルギーにボールを持たせることで得意のカウンターを封じ、GKロリスを中心に堅固な守備で相手の攻勢を防ぎ続け、そのまま1-0で逃げ切りに成功した。
黄金世代を擁して初の決勝を目指したベルギーだったが、最後はフランスのペースに持ち込まれ、ベスト4で涙を呑んだ。
自国開催で初優勝した66年大会以来の決勝を目指したイングランドだったが、その勢いを打ち破ったのはクロアチアのタフさだった。
前半5分、ペナルティエリア手前からのFKをトリッピアーが直接ゴール右上隅に突き刺し、イングランドが早々に先制。その後は両チームとも目まぐるしい攻防を繰り広げ、決定機を掴むものの得点には至らない展開が続く。
後半はクロアチアが高さで勝るイングランドの守備を打開しようと様々な攻撃を繰り出す。それが実ったのは後半23分。ヴルサリコのクロスにベリシッチが足を高く上げて合わせ同点に追いつき、試合はまたしても延長戦へ。
延長後半4分、ペナルティエリアで浮いたボールをペリシッチが頭で送りこみ、素早く反応したマンジュキッチのボレーシュートが突き刺さりクロアチアが逆転。その後はイングランドのパワープレーを凌ぎきり、3試合360分を戦い抜いたクロアチアが初の決勝戦の切符を掴み取った。
グループリーグで同組だった両チームの顔合わせとなった3位決定戦は、クロアチアとの延長戦から中2日のイングランドはスタメンを大きく入れ替え、ベルギーはほぼベストメンバーで挑むことになった。
前半4分、ベルギーはシャドリのクロスにムニエが合わせて幸先良く先制。イングランドは得意のセットプレーから数度のチャンスを作るものの、ベルギーのカウンターを警戒して攻めあぐねる展開が続き、1-0で前半を終える。
後半はイングランドが攻勢を強める。24分にはダイアーがGKと1対1になり決定的なシュートを放つが、ゴールラインを割る寸前でアルデルワイレルトに掻き出されてしまうなど、決定機を活かしきれず。逆に37分、デ・ブライネのスルーパスから抜け出したアザールのシュートが突き刺さり、ベルギーが2点目を奪って勝負あり。
グループリーグでの対決に続いてベルギーが快勝し、過去最高となる3位で大会を終えた。
フランスが初優勝した98年フランス大会、初出場だったクロアチアは準決勝でフランスに敗れた。それから20年、2度目の優勝を目指すフランスと、初優勝を目指すクロアチアが決勝で顔を合わせることとなった。
試合は序盤からクロアチアが攻め込む展開となったが、前半18分、フランスのFKがマンジュキッチの頭に当たってゴールに吸い込まれ、オウンゴールでフランスが先制。28分、クロアチアもFKからヴルサリコが折り返したボールをペリシッチがゴールに突き刺し同点に追いつく。しかし34分、CKをそのペリシッチがブロックしたのがVARでハンドと判定されPKとなり、これをグリーズマンが決めて2-1。フランスの前半のシュートはこのPKの1本のみで、クロアチアが押しながらフランスリードで前半を折り返す。
後半もクロアチアの波状攻撃が続くが、後半14分、カウンターからボグバが自ら打ったミドルシュートのこぼれ球を打ち直して3点目を奪う。3試合連続延長戦を戦ったクロアチアは疲労からか守備の足が止まり気味になり、20分にはエムバペが4点目を奪って試合を決めた。クロアチアは24分に相手GKロリスのミスで1点を返すが、その後の反撃は決め手を欠き、追いつくことはできなかった。
かくして、大会を通じて変幻自在の柔軟な戦いを見せたフランスが5大会ぶり2回目の優勝。6カ国目の複数回優勝国の称号を獲得して、大会は幕を閉じた。
2018 FIFAワールドカップ 大会結果 | |
---|---|
優勝 | フランス(2回目) |
準優勝 | クロアチア |
3位 | ベルギー |
4位 | イングランド |
個人表彰 | |
大会MVP | ルカ・モドリッチ |
得点王 | ハリー・ケイン |
最優秀若手選手 | キリアン・エムバペ |
最優秀GK | ティボー・クルトワ |
1998年フランス大会や2006年ドイツ大会と同じく、欧州開催だけあって欧州中心の大会となった(4強を欧州で独占したのもドイツ大会以来3大会ぶり)。しかし、イタリア・オランダの予選敗退、ドイツのグループリーグ敗退、また残った強豪国が山の片側に集まって潰し合いになったこともあり、ベスト4の顔ぶれは、前評判からするとなかなか意外なものになった。ちなみにブラジルとドイツ(西ドイツ)がどちらもベスト4に残れなかったのは1930年の第1回大会以来。
決勝トーナメントではワンサイドゲームはほぼなく、拮抗した熱戦が繰り広げられた。ベスト16から準決勝まで3試合連続で延長戦を戦って初の決勝まで勝ち上がったクロアチアが象徴的と言える。
準優勝のクロアチアや3位のベルギー、ベスト8に残ったロシアやスウェーデンなど、有名なサッカー大国を押しのけて欧州の中堅国の活躍が目立った。また、ブラジル、アルゼンチン、ポルトガルなど、絶対的エースを軸にするチームはベスト8までに姿を消し、優勝したフランスを筆頭に全体的な組織力を活かして戦ったチームが上位に勝ち残った大会でもあったと言えるだろう。
今大会の最大の特徴は、VARの導入によるPKの多さ(計29回)。特にグループリーグでPKが多発し、1大会でのPK数の最多記録(18回)を大幅に更新した。決勝戦でもVARによるPKが結果的に決勝点となったのは象徴的な出来事と言える。また、この影響でかスコアレスドローが極端に少ない大会となり、なんと大会を通じてグループCでのフランス対デンマークの1試合のみだった。この試合までの36試合連続スコアレスドローなしは大会新記録。
ここ数回、大会ごとに騒がれた誤審問題に関しては、VARの導入により、以前に比べて決定的な誤審の多発が防がれたのは確かだろう。しかしVARを使うか否かの判断が主審に一任されたこともあり、使用基準の不明確さなどの課題も残した。VARによる前述の決勝戦のPKが物議を醸す判定になったのは皮肉と言うべきか。
また、なぜか非常にオウンゴールの多い大会にもなり、こちらも最多記録を更新(12点)。やはり決勝戦でもオウンゴールが出て(決勝戦でのオウンゴールは史上初)、大会を象徴することになった。
大会2か月前の4月にヴァヒド・ハリルホジッチがコミュニケーション不足が理由で解任となり、後任には監督業から数年離れていた西野朗が就任。若手よりもベテラン勢の経験を優先した人選、直前の親善試合の不甲斐ない結果から日本のファンからは失望の声が多く、サッカー協会への不満から応援しないと宣言するファンすら出現するほどだった。
だが、初戦のコロンビア戦で試合開始早々に相手が退場となる幸運もあって予想外の白星を飾ると、空気は一変。決勝ゴールを大迫勇也が決めたことから「大迫半端ないって」が再クローズアップされ、ネットはもちろん地上波のテレビでも取り上げられる社会的ブームとなった。続くセネガル戦には、好勝負を演じながら本田圭佑の3大会連続ゴールとなる同点ゴールで引き分けに持ち込む
GL突破がかかったポーランド戦では、メンバーを大幅に入れ替えたこともあってリードを許すが、他会場でコロンビアがリードしていたことから新たに導入されたフェアプレーポイントでの突破を狙い、試合終盤にはパスを回すだけで時間を稼ぐ作戦に出る。結果的に3度目のGL突破は果たせたが、この消極的な戦い方には賛成派と否定派で大きく分かれ、物議を醸すこととなった。
ラウンド16では強豪ベルギーと対戦。途中まで2点をリードするまさかの試合展開となるが、ベルギーの戦術変更に対応ができず、終盤に立て続けに3失点を許して敗退。試合後、西野は呆然としながら「何がダメだったんですかね?」と答えた。
掲示板
1517 ななしのよっしん
2022/12/02(金) 23:09:20 ID: PnTWUmTW/E
2018年はグループ突破こそしたけど、試合内容はどれもつまらなかった。
まさか4年後はこんな楽しい大会になったとは。
1518 ななしのよっしん
2022/12/03(土) 17:04:57 ID: rGlXoJQhgn
>>1513
ナメプつーかあの一点目のヘディング、物理法則無視したかのようなとんでもない軌道してたろ
あんなきれいにゴールポスト端いくかってね
1519 ななしのよっしん
2022/12/04(日) 23:02:30 ID: rfYRz0iM0K
>>1518
ベルギーは2-0になって、やっと日本戦を舐めプで温存できねぇって焦ったから交代してガチできたと思うよ
最初からベルギーが自国と同等とか各上って認識で出し惜しみ無しで選手もそれで出して来たら4-1とか5-0とかもあり得た それくらい交代してから強かった というか強すぎ あれが世界レベルなんだよなぁ
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/18(木) 21:00
最終更新:2024/04/18(木) 21:00
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