Arens-Eellsの埋め込み定理 単語

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数学におけるArens-Eellsの埋め込み定理(Arens-Eells embedding theorem)とは、任意の距離間があるノルム間へ一次独立な閉集合として等長に埋め込まれる、という定理である。1956年R.F.ArensとJ.Eellsにより共同で示され、のちにE.Michaelによりその明が簡易化された。

証明

位相間Xに対してC(X)でX上の連続関数全体、C*(X)でX上の有界連続関数全体を表す。これらは自然に環となり、またf∈C*(X)に対して||f||=sup{|f(x)|:x∈X}によりノルム間となる。また、Xがノルム間のとき、X上の線形汎関数(XからRへの線形写像)全体をD(X)とすれば、f∈D(X)に対して||f||=sup{|f(x)|:||x||≦1,x∈X}によりD(X)にノルムが定義され、D(X)もノルム間となる。D(X)をXに対する双対間という。

さて、Xを距離間とし、(Y,d)はXをに含む距離間であって、dのXへの制限はX上にもともと備わっていた距離と等しいとする。x0∈Y-Xをとる。f(x0)であって、あるK≧0があって任意のx,y∈Xに対して|f(x)-f(y)|≦Kd(x,y)となる連続関数f:Y→R全体をH(Y)と置く。Y上の連続関数fに対して、||f||により、任意のx,y∈Yに対して|f(x)-f(y)|≦Kd(x,y)となるKの下限を表すとする。H(Y)はこれによりノルム間となる。H(Y)の双対間をAとする。x∈Xとする。x*により、x*:H(Y)→R,x*(f)=f(x)なる写像を表すとする。これは線形写像であるから、x*∈Aとなる。φ:X→Aを、φ(x)=x*と定義する。これが単射であることは自明である。

φが等長であることを示す。まず、

 ||φ(x)-φ(y)|| = ||x*-y*|| = sup{|f(x)-f(y)|:||f||≦1,f∈H(Y)}

 ≦ sup{||f||d(x,y):||f||≦1,f∈H(Y)} = d(x,y)

である。

逆向きの不等号を示すために、y∈Yをとり、a:Y→Rをa(x)=d(x,y)-d(y,x0)とする。このとき、a(x0)=0であり、

 |a(x)-a(y)| = d(x,y)

よりa∈H(Y)かつ||a||≦1となる。従ってこれより、

 d(x,y) = |a(x)-a(y)| ≦ sup{|f(x)-f(y)|:||f||≦1,f∈H(Y)} = ||φ(x)-φ(y)||

となり、φが等長であることが示された。

φ(X)が一次独立であることを示すために、φ(x)がxi∈X,ai∈R,i=1,...,nによりφ(x)=a1φ(x1)+...+anφ(xn)と表されたとする。g(y)=min{d(y,xi):i=0,...,n}と置くと、||g||≦1となるのでg∈H(Y)となる。明らかに、y∈Yがxiのどれにも一致しないとき、g(y)>0であり、g(xi)=0,i=0,...,nである。一方、

 g(x) = φ(x)(g) = a1φ(x1)(g)+...+anφ(xn)(g) = a1g(x1)+...+ang(xn) = 0

であるから、これからφ(X)が一次独立であることがわかる。

X*をXの備化とする。今までに示されたことから、X*はあるノルム間Bの中へ等長かつ一次独立に埋め込まれる。埋め込みをf:X*→Bとする。f(X*)はBの備な部分集合であるからBで閉である。L(X)により、Bの中でf(X)によりられる部分間を表せば、f:X→L(X)はXをノルム間L(X)の中へ等長かつ一次独立に埋め込む写像であって、f(X)=L(X)∩f(X*)であることから、f(X)はL(X)で閉となる。

以上で示された。◻︎

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