B-36 単語

14件

ビーサーティシックス

2.1千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

B-36とは、アメリカ空軍が運用していた爆撃機である。

概要

第2次世界大戦中に計画されたが実戦配備されたのは大戦後となり冷戦初期の核抑止の一を担ったがB-52の登場により運用されたのは10年程度と短い。

なお、『ピースメーカー』という称で知られるがこれは非公式である。

全長49m、全幅70mの機体はB-29(全長30m、全幅43m)とB-52(全長47m、全幅56m)を上回る。
これ程大化したのは計画[1]で『本土から欧州への渡往復爆撃』が想定されていた為で発注段階で『最大航続距離16000km、爆弾5t弱搭載で大西洋往復可』が明記されていた。

これに応じたのが当時、B-24爆撃機を製造していたコンソリデーテッド社だが規模とB-24の生産が優先されたために試作機[2]が飛行したのは第2次世界大戦終戦から1年後、量産型の配備開始が1948年にずれ込む事になった。

完成した本機は発注通りの航続距離に加え、後退+推進式[3]レシプロエンジン(最大4000)全8基を採用する事で最高時速610㎞越えを達成した。しかしこれでも出不足とされたため後に両端にジェットエンジン2基=4基を追加することで最高時速700㎞に達した。

そして『爆弾5t弱で大西洋往復可』も発注通りだが最大爆弾搭載量は40t弱(B-29は9t、B-52は31t)でこの状態でも最大5000㎞を飛行できた。なお、自衛用に機体8か所に連装式座を設けているが従来の12.7㎜機関銃は全され、20㎜機関に統一された。また座の内6か所は未使用時に機体内に格納される方式だった[4]

この機体を運用する乗員は十数人程度に及び、機首と機尾にある与圧式居住部に分割されて搭乗することになるがB-29と同様、トンネルによる通行ができた[5]。なお、内部にもトンネルが設けられ内部からレシプロエンジンを点検・整備することが制約付(駐機時・非与圧高度飛行時)で可だった

こうして配備されたB-36だったが実戦で使用されることはかった。

備中朝鮮戦争が行われているが本機は『ソビエト連邦との核戦争時に敵地に突入し戦略標を破壊する』ことが運用的になっていた事や余剰気味になっていたB-29B-50で充分と判断されていた為である。

ところが朝鮮戦争ではソビエト中国が送り込んだMiG-15ジェット戦闘機によって爆撃機隊が甚大な損を出した事で『爆撃機の自衛用機関銃はほぼ意味』、『ジェット戦闘機にはジェット戦闘機で対抗すべし』の実態が浮き彫りになった。

なお、1950年2月に訓練中のB-36がカナダ墜落事故を起こし5名が死亡しているがこの際、Mk4核爆弾を1個放棄している。この核爆弾プルトニウムを入れた起爆装置を装着しない状態で積載されていた為、爆発を含む臨界事故を起こす事はなかったがウランが封入された状態のまま2022年現在も発見されていない。

派生型

FICON

B-36の爆撃ミッションエスコートできる長距離戦闘機は存在しないため、B-36の爆弾倉内に護衛用戦闘機を収容、必要に応じて発進、回収するというもので、護衛機として開発されたXF-85は失敗に終わり、RF-84Fを改造したGRF-84FとRB-36Dを改造したGRB-36Dのコンビ1955年末から実際に運用されたが短期間で中止された。また、同じ頃にTom-Tomトムトム)と呼ばれる同種の計画もあり、こちらはB-36の端のフックに各1機を繋留するというもので実際に試験も行われたが、戦闘機パイロット10時間以上もコクピットに座りっぱなしになるため、採用されなかった。[7]

関連作品

動画

静画

関連項目

脚注

  1. *定時期は1941年独ソ戦ドイツ攻勢の最盛期。
  2. *この段階では機首はB-29同様、爆撃照準席+操縦席が一列配置
  3. *プロペラ部を正面ではなく後方に配置する方式
  4. *使用時は空気抵抗が増大+内部配線+電子機器に損傷を与えるリスクがあった
  5. *トンネル内では台車這いになりロープを掴んで移動
  6. *絵空事でなく実在した「原子力飛行機」計画 あまりにも強すぎる強みと案の定のオチexit 2021.6.23
  7. *巨人機ものがたり (別冊航空情報)」 酣燈社 1993 pp.157-158
この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2024/04/24(水) 20:00

ほめられた記事

最終更新:2024/04/24(水) 20:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP