Battotai Drip

Battotai Drip（バットータイドリップ）とは、海外ミーム/動画/楽曲である。

動画内の音楽として、軍歌「抜刀隊」のアレンジ曲が用いられている。

概要

文章で説明するならば

「ブランド「Supreme」のロゴ付きシャツの上に、ブランド「THE NORTH FACE」のロゴ付きで「By Any Means Necessary.」と大きくプリントされたダウンジャケットを着こんだファッションで立っている人物の絵。顔部分には昭和天皇の顔写真がコラージュされている。背景では旭日旗の光線がグルグル回っている。音楽として「抜刀隊」のアレンジバージョンが流れている。」

といった感じの海外ミーム。

「Hirohito Drip」などとも呼ばれる。「Hirohito」とは昭和天皇の諱「裕仁」（ひろひと）を指す。

ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/TrollerOfPolska/status/1354047787034415104

なかなか意図するところが不可解かつ、いわゆる「菊タブー」もあって、日本人としてはコメントしづらいと感じる方も少なくなさそうな動画である。

だがビジュアルや楽曲に謎の中毒性があるものだったためか、最も再生数が多い以下の動画はYouTubeで300万回以上（2022年4月30日現在）も再生されている。

• Drip of The Japanese Emperor (Hirohito Drip) - YouTube

ちなみに投稿者のコメントは「Glory to the Japanese Empire」（大日本帝国に栄光あれ）。どの口が言うか。

なお、これはあくまで「最も再生数が多い動画」というだけであって「最初の動画」ではない。上記の動画（再生時間は2分7秒）は2021年3月17日に投稿されたものだが、以下の別動画（再生時間は32秒のみ）は一か月以上前の2021年1月27日に投稿されている。

• Battotai Drip - YouTube

こちらの投稿者のコメントでは「Not my video, credit goes to whoever made this I couldn’t find it anywhere on YouTube found this clip on discord」（私のビデオじゃなくて、誰か別の人が作ったもの。YouTubeのどこにもないみたいだ。私はこのビデオクリップをDiscord（コミュニケーションアプリ）で見つけた）とある。

つまり、出所不明/制作者不明のミーム動画ということになろうか。

ちなみに、歌詞は

我は官軍我（わが）敵は　　天地容れざる朝敵ぞ
敵の大將たる者は　　古今無雙（双）の英雄で
之に從ふ兵（つわもの）は　　共に慓悍（ひょうかん）決死の士
鬼神（きしん）に恥（はじ）ぬ勇あるも　　天の許さぬ叛逆を

という部分だけがリピートしているが、本来の「抜刀隊」はこの後にも「起しゝ者は昔より　　榮えし例（ためし）あらざるぞ」……と続いていく。それなのにこの部分のみがリピートされる理由は、元動画がそもそも32秒だけのもので、もっと長いものはその32秒の動画を加工してリピートさせているためではないかと思われる。

派生動画

妙にキャッチ―な楽曲にひかれてか、再生時間をさらに引き延ばした動画や、

• Battotai drip (Extended) - YouTube　（6分55秒）
• BAttotal remix 1 hour - YouTube　（1時間1分47秒）

アニメオープニング風に仕立てた動画、

• Imperial Japan anime opening (Battotai drip) - YouTube

さらに楽曲にアレンジを重ねてリミックスした動画なども投稿されている。

• B a t t o t a i | P h o n k R e m i x - YouTube

成り立ち

いきなりこれを見せられても「なんなんだこれは？」と混乱してしまう方も多いだろう。

だが、この形となるまでにもそれなりのコンテクスト、すなわち文脈・背景があった。それを踏まえれば理解が及ぶかもしれないので学んでみよう。

Hypebeast

まず、英語圏には「Hypebeast」と呼ばれる、服装に関連する文化が存在している。

• Hypebeast | Know Your Meme
• Streetwear - Wikipedia (「Hypebeast_culture」の節)

この言葉「Hypebeast」は「奇抜なファッションで目立つことや富裕さを誇示することなど、主に他人を感心させることを主目的として、ブランドの服や靴などで着飾るやつ」といったネガティブな意味合いもある。

しかし時に「ブランドの服や靴を見せつけるような服装・ライフスタイルを愛する者たち」として、ポジティブな意味合いで自称されるようにもなっていったという。

特にストリートファッションの分野で、有名ブランドのロゴが目立つ形で入った服を組み合わせて他人に「魅せる」かたちにコーディネートして身に着ける文化が典型的なものであるようだ。

Goku Drip

そして2017年ごろに、『ドラゴンボール』の孫悟空がHypebeast風の服装をしてキメ顔をしている画像が作成される。

ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/MacheteBlak/status/874659652235079681

これこそが「Battotai Drip」で使用されている画像の体部分である。

この画像は「Goku Drip」としてミームとなったようだ。

• Goku Drip | Know Your Meme

様々な派生ミームが生まれたようだが、その中には「ダグラス・マッカーサーと昭和天皇が並んで映っている有名な写真」にコラージュしたものなどもあったようだ。おそらくここから「Battotai Drip」へとつながったものか。

関連動画

関連商品

ちなみにこの「By Any Means Necessary.」と大きくプリントされたダウンジャケットはブランド「Supreme」と「THE NORTH FACE」のコラボ商品として実在していて、どうやら2015年に販売されたものらしい。

古着屋のオンライン店舗などでの扱いを見るに、2022年4月30日現在の日本の古着市場での中古品の価格相場は、状態によるが20万円強程度のようだ。

• 【楽天市場】supreme THE NORTH FACE any means necessaryの通販　（「楽天市場」での検索結果。「ほぼ同じデザインだが、ダウンジャケットではなくパーカーの商品」も混じって検索結果に表示されるため、購入を考える方は注意）

関連項目

• 昭和天皇
• 抜刀隊
• 旭日旗
• 海外ミーム
• スタイリッシュ不敬罪