平行する新幹線が無く、毎時2本もの在来線特急が設定されている常磐線。そこで長らく使用されてきた485系がいよいよ老朽化してきたことから、完全に置き換える目的で新規設計され誕生したのがE653系である。
同車の特徴はなんといっても5種類のカラーバリエーションが存在することである。戦隊モノも余裕。赤・青・黄・緑・橙のそれぞれは常磐線沿線の景勝地をモチーフとしたもので、各車のドア脇に貼付けされているエンブレムも各地を図案化したデザインとなっている。沿線の観光資源の豊富さをこのようなカタチで有効活用したJR東日本のセンスには脱帽である。大きな窓から覗くシートの黄色い枕カバーもお洒落。
前面は球のように滑らかな曲面で、鮮やかな5色の中に埋め込まれる腰部左右のライトも丸形二連。かわいい。中心には「Hitachi express」を図案化(上イラスト)したヘッドマーク窓が設けられ、そこから前面窓ガラスまで続く広いブラックは顔全体を引き締めている。
発足当初のJR東日本は特急型電車を投入する際、豪勢にもこだわりの専用設計を各地域に投入してきた(251系や253系が典型例)。しかしバブルがはじけ効率化が求められたE653系では、一転し「汎用」を目指すこととなった。
あずさ号・わかしお号等で活躍するE257系やつがる号のE751系、これらは系列名こそ違うが、交流・直流両電源対応のE653系を直流/交流電源各専用にダウングレードした以外はほとんど共通な三つ子の兄弟である。
詰め込みを目的としたためにシートピッチは485系と同じ910mmで造られているが、座面スライド機構の導入や背もたれを極力薄く造るなど、できるだけ座席の狭さを感じさせないための努力はされている。
最高速度は130km/hで常磐線特急の先輩651系と同じ。急行「ときわ」をルーツとするため停車駅が多い(一部時間帯では特別快速並みに停車駅が多い)フレッシュひたち号に投入するため、一昔前の通勤型電車と渡り合えるほどの加速力を有する。
しかしこれは耐久性の高いVVVF用モーターの回転数にモノを言わせている節があり、モーター直上の快適性で言えば651系に軍配が上がる(※編集者の主観)。
高さを抑え側面を限界いっぱいまで広げた形状の車体は、アルミニウムをトコロテンのように型から押し出した巨大な板から組み立てられた。歪みねぇ(平面的な意味で)仕上がりはメタリックの側面塗装を引き立てている。
窓ガラスは車体外側から接着したため、車体表面との段差がごく僅かで見栄えが良い。窓貼り職人が熟練したのか、次に登場するE257系からは完璧なツライチとなった。おみごと!
元々は常磐線のみの活躍で、上野から近距離の中規模駅をこまめに拾う特急・フレッシュひたち号専用として活躍していた。気軽な利用を想定してのためかグリーン車はなかった。
編成は7連と4連があり、それぞれ基本編成・付属編成として呼ばれる場合もある。7連は赤・青・黄・緑が各2本、4連はすべて橙で4本存在。7連は色に関係なく運用され、何色が来るかは日によってランダムである。
常磐線は上野から離れるにつれ需要が細くなっていくため、時間帯・区間ごとに乗客の多寡に応じて連結を行う。最小は7連単独で、7連+4連の11連、7連を連ねた14連まで輸送力の調整が可能。
なお、2012年春にE657系が投入される事となっており、上野駅発特急は2012年秋にはE657系に統一されE653系はいわき駅~仙台駅間の特急(名称未定)に充当される事となっていた。なっていたのだが。
2011年3月発生の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)によりいわき駅~仙台駅間では壊滅的な被害を受けている区間があるほか、福島第一原子力発電所事故の放射線汚染に伴う長期の入場規制地域があり、短期での全線復旧は不可能となった。つまり、E653系を2012年秋に走らせることは現実的では無いのである。これらの事情もあってか、E653系(7連8本)を1000番台に改造の上で現在「いなほ」運用に就いている485系を置き換える事となった。
転用に伴う改造で誕生した本系列初のグリーン車クロE652は横2+1列座席で、普通車時代の窓割りと合わせるため、シートピッチは1,820mm(=普通席2列分)という、グランクラスをも遥かに超越する破格の数値となっている(座席の前後はパーテーションで区切られている)。
一方、「いなほ」運用に着かなかった付属編成は北陸新幹線開業後に「北越」の代替として設定される「しらゆき」(新潟~上越妙高・新井)に充当される。この結果、いわき駅~仙台駅間の特急は事実上取りやめになったと言えよう(いわき駅〜仙台駅間は最終的に「ひたち」の延長と言う形になった)。
なお「いなほ」の利用客減少により、一部は4両に置き換えられている。
交流区間も直流区間も走れる数少ない車両と言うこともあって、常磐線や新潟地区を中心に様々な場所で臨時列車として使われることも多い。2018年には7連1本が国鉄色とした上で勝田車両センターに戻っており、常磐線を中心に臨時列車や団体列車として使われている。
2021年・2022年に東北新幹線が地震の影響で不通となった際には、並行する東北本線が直流と交流を跨ぐことや、そもそも交流区間を走れる車両が少ないことから代替の臨時列車として「いなほ」用の7連1本が使用された(2022年については途中から国鉄色も使用)。
掲示板
26 ななしのよっしん
2019/06/25(火) 00:14:47 ID: MCajnnzcit
国鉄色が波動用として勝田に帰ってきた。
「いなほ」運用は5運用なので、予備2編成を確保するとしても7本あれば足りる。
秋田に8本配属はさすがに過剰と判断されたようだな。
27 ななしのよっしん
2020/06/28(日) 23:47:27 ID: NqBxUghwDg
>>27
ということは定期列車では完全に拝めなくなったのか残念です
28 ななしのよっしん
2024/03/14(木) 17:41:55 ID: oAurk6HhtB
国鉄色の次は上沼垂色か
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最終更新:2024/04/26(金) 02:00
最終更新:2024/04/26(金) 02:00
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