日本の鉄道路線屈指の急勾配を誇る碓氷峠は開業以後アプト式による運転が行われていたが、戦後になり高崎鉄道管理局が設備の老朽化を指摘した事で碓氷峠の設備改修を行う事となった。この際にそれまでのアプト式から通常の粘着運転に変更する事が決まり、新たに碓氷峠での粘着運転に対応する機関車として開発されたのが本形式である。
同時期に信越本線全線での運用が可能なEF62が設計されているが、EF63は碓氷峠専任車両として設計された。この事から本形式は「峠のシェルパ」、形式称号から「ロクサン」の愛称がある。基本的な部分はEF62と同一にされているが66.7‰という急勾配の碓氷峠専任である為、EF62よりも厳重に急勾配対策が施されている。
1号機によって明らかになった問題点に対する改良を加えた量産車と共に粘着運転化された碓氷峠(横川~軽井沢間)で1963年より運用に就いている。
運用は2両1組とされ登場後、常に碓氷峠を通過する車両の補助(横川側に連結)を務め、下り(軽井沢・長野方面)の上り坂は機関士は後ろ向きで運転操作を行い、上り(横川・高崎方面)の下り坂は発電ブレーキを使用していた。
1998年の長野冬季オリンピックに合わせて北陸新幹線が長野まで先行開業する際に信越本線横川~軽井沢間の廃止が決定。登場時の塗装に戻され惜別のヘッドマークを付けられたEF63は1997年9月30日の「あさま37号」補助を最後に引退。1度も他線区に転属する事なく碓氷峠でその使命を終え廃車された(一部は動態、静態保存)。
なお、現在の北陸新幹線での碓氷峠区間は30‰で九州新幹線筑紫トンネルの35‰にこそ及ばないが、今でも急勾配区間として知られている。
誕生以来ねぐらとしていた横川機関区は、跡地が博物館施設「碓氷峠鉄道文化むら」として活用されている。この目玉として投入されたのが「EF63の体験運転」である。
これは、3万円の料金を払って予約制の講習を受ければ、実際にEF63のハンドルを握って、ありし日の横軽の一部で運転できるという、鉄道ファン、特に横軽のファンにはたまらないサービスである。
料金は安くはないが、大型の電気機関車を運転できる、日本で他にないチャンスである。今後EF63が故障し修理できなくなれば、このサービスも止めざるを得ないそうだ。
座学と実技の講習を終え、ペーパーテストにパスすれば、帽子と終了証が授与され、以後5,000円で運転体験をできるようになる。
体験回数を重ねるごとに、重連運転など複雑な運転にチャレンジできる。50回以上参加している猛者もいるようだ。
この他にも、実際の運転台を使ったシミュレーターなど、往年の横軽の雰囲気を今日に伝える役目を果たしている。
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最終更新:2024/03/19(火) 12:00
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