FF:U 〜ファイナルファンタジー：アンリミテッド〜とは (ファイナルファンタジーアンリミテッドとは) [単語記事]

『FF:U 〜ファイナルファンタジー：アンリミテッド〜』とは、ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズを原作としたオリジナルアニメである。
アニメーション制作はGONZO。

ニコニコ動画では、基本的に略称の「FF:U」でタグ登録される。

概要

お前に相応しいソイルは決まった！(`・ω▼´)9ｍ

2001年 10月2日～2002年 3月26日にテレビ東京系列、火曜18:30 枠で放送された。全25話。

「召喚獣」「オメガ」「クリスタル」「チョコボ」「サボテンダー」などといった、ゲームと共通するキャラクターや設定が沢山登場している。
しかし、世界観は完全にオリジナルで、ファイナルファンタジーシリーズとしては奇抜な設定も多々登場する。
（シドを若者に設定するなど、意図的なものかは不明だが本家 FFに先駆けて色々冒険もしていたりする）
野村哲也・天野喜孝のキャラクター原案によるキャラクター達のほか、CGが多用されているのも特徴。
特に、主人公である風が「魔銃」を撃つシーンは本作最大の見所である。
ベースコンセプトプランニング（全体の原案）は、『ファイナルファンタジー』シリーズ（初期）や『サガ』シリーズなどで知られる河津秋敏。

まったくの現実世界から話が始まるという冒頭の展開や、序盤の数話の内容などは批判も結構あったものの、その後は視聴者がメインキャラクターに慣れていくにつれて安定した人気を獲得していった。
作画や個々の話の内容について出来不出来の差がやや激しい作品ではあったが、メインキャラクターや全体的な話の流れなどは総じて評価は良く、「ファイナルファンタジー」の新解釈としても興味を引かれたファンが少なくなかった。

しかし、本来は全52話（4クール、一年）の予定だったのに対し、スクウェアが映画版『ファイナルファンタジー』でギネス級の記録的大赤字を出してしまったことで、スクウェアは映像事業からの撤退を開始。本作のスポンサーからも撤退したことで本作は放映を続ける手立てがなくなり、25話に短縮された。
映像事業から撤退するって言っておいて直後にアドベントチルドレン作ってたことは秘密な！
他にエイベックスも主要スポンサーだったため、DVDなどの関連媒体はエイベックスから出ている。

その後、書籍やドラマＣＤなどで本編終了後の続編にあたる物語が語られたが、未完のまま終わっている。
今もなお、続編を求めるファンの声は多い。

ストーリー

ある日、佐渡ヶ島の洋上に突如として現れた巨大な黒い柱「闇の柱」。
さらに闇の柱からは黒く輝く竜が現れて出撃された軍隊をなぎ払うが、そこに白い竜が現れ、戦いの末に相打ちとなって共に消滅した。
残された闇の柱は、後に研究者のハヤカワ夫妻によってこことは異なる異世界「異界」に通じる扉だと提唱されることになる。

『界列の日』と呼ばれるその日から12年。
自ら異界に行ってその存在を確かめたハヤカワ夫妻は、再び異界に行ったまま戻らず行方不明になっていた。
ハヤカワ夫妻の子供であるアイ、ユウの二人は両親を探すため、ネットの噂をもとに見つけた異界に通じるという「地下鉄」に乗り込む。
地下鉄の車内で出会った女性・リサと共にやってきた世界は、まさに「異界」であった――――

登場人物

個別のキャラ紹介はWikipediaやファイナルファンタジー用語辞典 Wikiなどに詳しい（ただし、ネタバレ記述も多いので注意）。

「風」と「雲」

黒き風 - CV：神奈延年
本作の主人公。常に無口で無表情な謎の男。ユウやリサなどからは単に「風」と呼ばれる。
かつての戦いの後遺症で記憶を失っており、唯一記憶に残っていた「白い雲」を追って異界をさまよっている。
右腕と一体化した銃「魔銃」に「ソイル」の込められた魔弾を装填、発射することによって、様々な召喚獣を呼び出す力を持つ。その力は強大。
決め台詞は「ソイル、我が力！」「お前に相応しいソイルは決まった！」

白い雲（魔剣士） - CV：石田彰
ミステリアスな雰囲気を持つ謎の青年。
混沌の化身たる伯爵に仕えており、時折風の前に現れては意味深な言葉を残していく。
瓶に込められた「ミスト」を剣で一刀両断することによって、一刀獣（召喚獣）を呼び出す力を持つ。その力はやはり強大。
合言葉は「相変わらず素敵だね……」「感謝する……」

その他のメインキャラクター

アイ・ハヤカワ - CV：桃井はるこ　/　ユウ・ハヤカワ - CV：今井由香
両親を追って異界へやってきた双子の姉弟。姉のアイは強気で活発、弟のユウは弱気だが心優しい性格。
専ら本編はこの2人の視点で描かれている。
- ポシェポケ - CV：神奈延年
  アイがファーブラから貰ったポシェット型の生物。言わば生きる四次元ポケット。
- チョビ - CV：矢島晶子
  一行が異界で出会ったチョコボ。ユウに懐いて一緒に行動するようになる。
リサ・パツィフィースト - CV：氷上恭子
アイとユウが地下鉄の中で出会った女性。異界を旅する二人の保護者的存在だが、その素性は謎に包まれている。
「氣現術」と呼ばれる特殊な格闘術によって、自然エネルギーを操る力を持つ。

コモディーン

ナーヴ - CV：堀之紀
地下反乱組織「コモディーン」の隊長で、やたらカッコを付けたイタリア人顔の中年男性。再登場以降はギャグキャラ化することも多い。
シド - CV：関俊彦
コモディーンのメカニック担当。全てに女性名を付けるほどの強烈な機械好きで、普段は温厚だが機械を傷つけられると豹変する。
ミィレス - CV：桑島法子
コモディーンの戦闘隊長。男勝りの豪快な性格だが、意外と乙女らしいところも持っている模様。
ファンゴ - CV：桑島法子
最近コモディーンに加わった謎の生き物。やや倫理観に問題があるが、野性のカンに優れる。

伯爵＋ガウディウム四凱将

タイラント伯爵 - CV：矢島晶子
異界を支配する混沌の化身。幼い子供の姿をしており、、非常にわがままでよく空腹を訴えている。
空中要塞「ガウディウム」に住み、ガウディウム四凱将と呼ばれる4人の部下を持つ。
- フングス - CV：郷里大輔
  四凱将の一角で、キノコを司る。元は軍人であったらしく、格好や口調にそのあたりが垣間見える脳筋キャラ。
- ヘルバ - CV：植田佳奈
  四凱将の一角で、植物を司る。四凱将の紅一点で、とにかく楽しければいいという快楽主義者。
- ピスト＝シャーズ11世 - CV：子安武人
  四凱将の一角で、海を司る。鮫でもヒトデでもない謎の姿をした魔人。テラ子安。子安自重しろ。
- オスカー - CV：石井康嗣
  四凱将の一角で、傀儡を司る。無表情の仮面をつけた怪人。自分の意見をほとんど出さず、伯爵の執事役に徹する。
  - クルクス - CV：井上喜久子
    オスカーに命を吹き込まれた人形。アイ・ユウたち一行の偵察役で、言葉は「くっくるゆー」としか話せない。

その他のキャラクター

ファーブラ - CV：井上喜久子
アニメ冒頭と予告を担当する「導く者」。時折アニメ本編にも登場し、アイやユウたちを導いてくれる。
赤い霧（魔道士） - CV：田中秀幸
魔剣士の実兄。かつての争いで亡くなっているが、弟の才能に対する嫉妬を利用されオスカーの手によって甦る。
ルー・ルプス - CV：KAORI
「ウェアウルフ」の唯一の生き残り。故郷の世界はオメガによって滅ぼされた。風に救われて以降、「風サマ」と呼び慕うようになる。
モーグリ - CV：半場友恵
かつて風の「相棒」であったモーグリ。風の過去を知る数少ない人物である。
アウラ - CV：半場友恵
風の記憶の中に登場する女性。悲しい別れ方をしていることが窺える。
クリア - CV：緑川光
オメガの「心」。少年の姿をとっており、一行からはぐれたアイと仲良くなるが……
ソルジャッシー - CV：成田剣
「外界の章」にのみ登場。伯爵の手下のうちの一人だが、異界の章では別の世界に出張していた。
その姿はまるでサラリーマンであり、言葉巧みに人間を惑わす外界の章の強敵……だったが、ついにアニメに出ることはなかった。

外界の章

予定されていた全52話のうち、実際に放送された前半25話は「異界の章」、語られなかった残り半分が「外界の章」と呼ばれている。
「外界」とは異界ではない「この世界」のことで、舞台をこの世界に移して物語が展開されている。
しかし、この「外界の章」についても未だ完全に語りきられてはおらず、全てをつなぎ合わせても未だ残されている謎は多い。

『FF:U After〜外界の章：外界〜ゆめのおわりとはじまり』 - ムック本。アニメ最終回直後の物語が描かれている。
『FF:U After Spiral』 - 公式ファンサイトに掲載されたWeb小説。アイとユウの故郷である佐渡ヶ島での物語。
『FF:U After 2：リサ〜たちきられたくさり』 - ドラマCD。外界の章の続きで、外界の章の新たな敵ソルジャッシーとの対決まで。
同封されているプロットでムックの続きにあたる外界の章の主な流れが参照できる。

しかし、現在ムックとWeb小説については入手・閲覧共に困難な状況である。

大人の事情

前述の通り、坂口博信が製作した『ファイナルファンタジー(映画)』がギネスブックにも認められるほどの大赤字になった影響で、全52話の予定が半分の25話になったと言われている。

しかし、あるファンが総監督の前田真宏、コンダクターの米たにヨシトモのお二方に直接話を伺ったという文章によると、アニメ製作のスタッフは経験の少ない者が多く、当時のスケジュールはとても厳しいものだったらしい。FF:Uの大人の事情には、そうした元々アニメを続けていくのが困難だったという事もあるのかもしれない。

その他にも、製作会社の事情や親会社の方針などで続編には多くの壁が立ちはだかっている。
当時のスクウェア側での責任者も少なからず社を離れていることもあって、現状としては絶望的である。
（ちなみに本作のゼネラルプロデューサーである田中謙介は、現在角川ゲームスで『艦これ』のプロデューサーをしている）
真の結末は視聴者の胸の中に……