GFP(Green Fluorescent Protein)とは、オワンクラゲ(Aequorea victoria)から単離された生命科学の発展に多大な影響を与えているタンパク質である。
GFP(日本名:緑色蛍光タンパク質)とはオワンクラゲから日本人科学者下村脩により単離された、最も有名なタンパク質の一つである。青色の光を吸収し、緑色に蛍光する特徴的な性質を持っている。
他の蛍光タンパク質(リシフェリン)とは違い、GFPの遺伝子のみを導入すれば酵素を必要とせずに蛍光できる、また異種の細胞への発現方法が確立されているために生命科学の研究によく用いられている。
生命科学だけでなく、多大な科学分野にわたる影響から2008年、ノーベル化学賞を受賞した。
1962年、発光タンパク質のイクオリンとともに下村によりオワンクラゲからGFPの単離、分離精製が行われる。当時はホタルイカの発光様式である"ルシフェリン-ルシフェラーゼ系"しかないと信じられていたためにその衝撃は当時からすさまじいものであった。しかし、分子生物学的な実験手法が当時は確立されなかったために30年近く日陰にいるものとなる。
1992年、下村と一緒にノーベル化学賞を受賞したプラッシャーらによりGFP遺伝子の同定・クローニングが行われる。この研究により、GFPを他のタンパク質と融合させることにより、目的のタンパク質の目印としてつかえるようになった。
1993年、GFPの正確な発色団の分子構造と発色のメカニズムが明らかとなる。発色団とはGFPのどの部分が蛍光に重要であるかという原子的な構造・メカニズムのことである。
1995年、GFPの構造を変化させたBFP(青色蛍光タンパク質:Blue Fluorescent Protein)が、下村と一緒にノーベル化学賞を受賞したチェンらにより発見される。これにより蛍光タンパク質による多色観察・FRET(Forster Resonance Energy Transfer)の基盤ができる。多色観察はのちにチェンらはCFP(シアン色蛍光タンパク質:Cyan Fluorescent Protein), YFP(黄色蛍光タンパク質:Yellow Fluorescent Protein)を発見する。
1996年、GFPの立体構造が発見される。
2008年、スナギンチャクからチェンらによりRFP(赤色蛍光タンパク質:Red Fluorescent Protein)がつくられる。それ以降、フルーツ蛍光タンパク質シリーズという、バナナ色、オレンジ色、トマト色、プラム色、ラズベリー色、イチゴ色、サクランボ色などなどの様々な蛍光タンパク質がつくられるようになる。
GFPは酵素なしで蛍光できる、また異種の細胞への発現方法が確立されているためレポーター遺伝子として利用されており、GFPを用いた2012年には4000報以上の論文が報告されている。その多大な影響力から2008年にはノーベル化学賞を受賞した。
生命科学分野で多く受賞されているノーベル医学・生理学賞ではなくノーベル化学賞を受賞した理由としては、のちの遺伝子工学やタンパク質工学への応用だけでなく、それ以外の応用を加味した新しい化学性質を持つ蛍光タンパク質の発見が評価されての受賞となっている。
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最終更新:2024/04/20(土) 13:00
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