K21歩兵戦闘車とは (ケーニジュウイチホヘイセントウシャとは) [単語記事]

K21歩兵戦闘車とは、韓国の歩兵戦闘車である。

概要

韓国軍ではアメリカ製M113とそれの改良版であるK200 装甲兵員輸送車を配備しているのであるが、敵対する北朝鮮の朝鮮人民軍はBMP-1を配備しており、自国車両の攻撃力不足が叫ばれていた。
そこで1999年、M113を更新する次期兵員輸送車開発計画が立ち上がり、韓国国防科学研究所と斗山インフラコアが共同で開発を担当。2005年には試作車第一号が公開され、2009年には実戦配備が開始された。

特徴

車体は軽量なアルミ合金＆グラスファイバー製で前面や主要箇所は複合装甲を用いる。
高出力の750馬力のディーセルターボエンジンを搭載し、整地で時速70㎞出せる。
左右スカート内のエアバックを展開し、時速約7ｋｍで水上浮航可能
乗員は3名で兵員9名を積載可能
上部の回転砲塔に40ｍｍ機関砲、副武装として機関砲同軸に7.62ｍｍ機関銃、砲塔左側面にイスラエル製スパイク対戦車ミサイルを元に開発した韓国製ミサイル2基を搭載。

など優れた性能を持つことから自称世界3強の装甲戦闘車と評価されている。

運用

2009年に実戦配備され、戦力化される。

が、、その年の12月に渡河演習中にエンジンが水没し、沈没する事故が発生。翌年にも訓練場の池で沈没し、兵士1名が死亡する事故が起きた。この事故を受けて韓国国防部は軍民合わせた合同調査団を編成し、調査を行った結果、前方が浮力不足でトリムベーン（整流翼）機能不全、エンジン室の排水ポンプの作動不良と基本設計に問題があることが判明し、改修されるまで一時配備が中断される事態となった。

2010年にはサウジアラビアの展示会の帰り途中で香港に寄港したところ、書類上の不備で香港税関により差し押さえられる事件が発生。なんと51日間も抑留されてしまい、その間に分解されて解析され、軍事機密が中国に漏洩した可能性がある。

2012年には射撃がまともにできないほどセンサー故障が頻発する欠陥があることも判明。

と、配備直後から問題が続いていた。

……その後の情報がほとんどないので「あいつらまさかこのまま放置してんじゃなかろうか？！」と思ってるネトウヨの方も多いだろうが実際は流石にそんなことはなく、センサー類の故障については2014年に改修を終了。問題になってた渡河中の事故については2015年に韓国会計監査院より

死重でしかない前方ドーザーブレードの撤去
前方トリムベーンに浮力材（ウレタン）追加
エンジンルーム内排水管に逆止弁設置。
排水ポンプを強化・二重化

の改善勧告を受け改修。ようやく本格的に運用できるようになった。

海外セールスは？

『名品兵器』_{このこっぱずかしい言い方恥ずかしくないんだろうか}を自称するK21。確かに性能は高く値段も安い。しかしベストセラーと化したK9自走榴弾砲と違いこちらの海外セールスはさっぱりである。考えてみれば当たり前の話で『装軌式歩兵戦闘車がいるような鉄火場って意外にない』のである。21世紀現代の歩兵戦闘車はより安くより整備が楽な装輪式がトレンドで装軌式の需要は案外なく、必要な現場は大抵自前で何とかしてるのである（米帝のM2とかイスラエルのアチザリッドとか）。ただし中国の軍拡状況から世界各国は正規戦の勃発はあり得ると読んでいるらしく、装軌式装甲車／歩兵戦闘車の配備に動き出している。

話をK21に戻すと、現在オーストラリアが興味を示しておりK21の渡河能力をオミットし装甲マシマシにしたAS21なるものを提案。ドイツのリンクス歩兵戦闘車相手にトライアルを行っている。成功すれば270億ドル（約2兆9千億円！）かけて450両ものオーストラリア陸軍のM113を更新する予定。
⇒2023年 12月8日、AS21『レッドパック』として採用が決定。2028年までに129両調達予定で、開発製造元のハンファディフェンスがオーストラリアに作った工場で製造するとのこと。