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マクドネル・ダグラスMD-11McDonnell Douglas MD-11)とは、アメリカ合衆国マクドネル・ダグラスDC-10を元に良・開発したワイドボディ・ジェット旅客機である。

概要

マクドネル・ダグラスMD-11
McDonnell Douglas DC-11
用途 民間旅客機 / 民間貨物機
分類 ワイドボディ・ジェット旅客機
製造者 マクドネル・ダグラス
製造期間 1988年 - 2000年
総生産数 200機
初飛行 1990年1月10日
先代 マクドネル・ダグラスDC-10

マクドネル・ダグラスが中長距離用の機材として先代のDC-10近代修・製造したワイドボディ3発式ジェット旅客機/貨物機。外観は原DC-10とほぼ同様であり、座席数は約300席と丁度B747B767の中間に入る形になる。
初飛行は1990年1月10日内ではかつて日本航空JAL)がJ-Birdジェイバード)の称で10機を運航していたが、現在では全て退役している。

DC-10からの良点は、にグラスコクピット化と、2名乗務の操縦システムとなった点である。簡単に言えば、MD-11は、B757及びB767エアバスの新世代機(いわゆるハイテク機)に対抗するため、DC-10ハイテク機に仕立て直したものである。この操縦システムを逆にDC-10の方へ移植させたことでMD-10が開発されている。
機を開発しなかったのは、マクドネル・ダグラス社の苦しい御事情や、3発機自体の将来が不透明であったこともある。(後述の「背景」を参照)

しかし、その良にも大きく手間取り、当初はカタロスペックが出せず、エンジンの燃費も悪く、マクドネル・ダグラス社への航空各社からの信頼性は大きく揺らぐこととなってしまった。
加えて、良に手間取って本格的に生産を開始する前に、さらに次の世代の双発機(B777など)の開発計画が発表されてしまい、航空各社はMD-11をキャンセルしてこれらの新機の導入に動いてしまった。

結果的に、約200機で生産終了という成功機とは言いがたい機体となってしまった。

背景

機となったDC-10やそのライバルロッキードL-1011 トライスターもそうであるが、この種の3発機が開発された背景には、当時のジェットエンジンの信頼性の問題から、双発機に対してエンジン1発停止時の飛行時間に規制がかけられていた点がある。
(具体的な規制の内容や、規制が行われた背景については、WikipediaETOPS/LROPSexitを参照)
そのため、大陸間の長距離路線には4発のB747が用いられていたが、最大で500席以上の機であり、路線によっては採算が合わないこともあった。3発機はこのような路線に使用されてきた。

ところが、技術の進歩により、ジェットエンジンの信頼性が飛躍的に向上したため、双発機への規制は大幅に緩和された。また、航空各社の側も、燃料費高騰から3発よりも燃費の良い双発機を好むようになった。
結果的に、3発機のメリットは薄れてしまい、現在はこのMD-11が最後の3発ジェット旅客機となっている。

しかし、3発による余裕ある推や大ワイドボディ機ゆえの広い室内は、貨物機としての需要には適しており、旅客機から貨物機へ改造されたものも少なくない。

DC-10との見分け方

前記のように、DC-10からの良はに機体内部で行われたため、ぱっと見で外観から両機を識別することは難しい。DC-10との外観上のもっとも大きな相違点は、ウイングレットと呼ばれる小さな垂直端についたことである。その他の識別点としては、DC-10べると尾翼がやや小さいことがあるが、これは両機を見慣れていないと識別は難しい。

また、尻尾が丸いのがDC-10たいのがMD-11という見分け方もある。

事故

2009年3月23日成田国際空港で発生したフェデックス80便着陸失敗事故記憶している者も多いだろう。

残念ながら、MD-11はいわゆるハイテク機の中では、生産機数及び100万回飛行回数に対する航空事故の発生件数が突出して高い、つまり事故率の高い機体となってしまっている。[1][2]
原因としては、機体の特性から操縦系が過敏に反応するためと言われている。
全損事故7件のうち6件が離着陸時に機体が安定を失ったことが原因で発生しており、全損に至らずとも、巡航中に安定を失い、機体がしく上昇下降を繰り返す(ポーポイズ)状態に陥って乗客や乗員が死傷する事故が2件発生している。

事故の最大の要因は空気抵抗を減らすために、DC-10よりも平尾面積を縮小して、重心を後ろに寄せたことによる。この事によって空気抵抗が減らせた反面、縦方向の安定性が著しく欠いてしまうことになってしまった。メーカーもそのことを承知しており、システムによる補正でカバーしようとしたが、その補正が切れれば自での操縦が困難な機体になってしまった。着陸時における全損率の高さがそれを物語っている。
ちなみに、重心を後ろにずらすのは戦闘機に対する手法である。戦闘機の場合は高機動のためにわざとバランスを崩す必要があるわけで、それとは正反対に安定性が何よりも重視される旅客機でやってはいけなかった。

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関連項目

脚注

  1. *参考までに、同様のハイテク機であるB767は約1000機が生産されたが、運航中のハイジャック以外での機体全損事故は6件である。(それ以外に、ハイジャックでの全損事故が5件、戦争中に地上で破壊される事件が2件発生している。
  2. *飛行機はなぜ墜ちるか―航空安全のシステムexit
    これは全日空の総合安全推進部(当時)が2002年に発表したレポート。この中の図3はIATAの統計を引用し、式別の「事故件数/100万回飛行」を示したもの。MD-11は100万回飛行あたり4件以上の事故を起こしており、DC-10の約2倍の事故率となっている。他の機種とべても、事故発生率が高い方であるのが分かる。
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最終更新:2024/03/19(火) 14:00

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