「O.R.B.S.」とは、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)により開発された汎用大型筐体である。
第39回AMショーに「スターブレード オペレーション・ブループラネット」と共に参考出展された。
綴りの読みは「オー・アール・ビー・エス」である。
「O.R.B.S.」は「Over Reality Booster System」の略であり、現実を超越した仮想現実を提供する筐体である。
プレイヤー(1名)は、ドーム状の筐体内部に搭乗することにより密閉空間の中でスクリーンと相対する。
半球状のスクリーンは視野角180度を実現し、仮想現実の中にいるかのような体験が可能な筐体である。
また、音声は5.1chのサラウンドシステムに対応し、映像面だけでなく音響面でもリアリティの再現に努めていた。
1999年、劇的に進化を遂げつつある家庭用ゲーム機の攻勢に対してアーケード・ゲーム業界は停滞していた。
「家に居ながらにしてゲームセンターと同等のゲーム体験ができる」が文字通り現実味を帯びてきたからである。
だが、その流れに「待った」をかけるべく人的・物的資源を投入するメーカーがあった。その1つがナムコである。
より高い臨場感を得られる仮想空間を創出する「没入型ゲーム機」を目指し開発は進められた。
その鍵となる技術が従来までの平面的なディスプレイではなく「球面スクリーン」であった。
社内で使えるものは何でも使ってみた。投影するのに最適な材質を求めて様々な試作も行った。
そうした試行錯誤を続けていく中、開発陣は球面ディスプレイに投影される映像に手応えを感じていた。
2000年3月、ナムコ社内で行われた研究発表会にて球面スクリーンはその姿を現すこととなる。
今までの常識を覆す圧倒的なリアリティは社内でも注目を集め、プロジェクト参加者は増えていく。
当初は筐体技術者たちが中心だったプロジェクトも、ソフトウェア系の技術者が加わることで開発速度は速まった。
奇しくも、集まった開発者たちは「ギャラクシアン³」や「スターブレード」に魅せられた世代だった。
ついには運も味方に付けて2001年9月のAMショーにて披露することが可能となった。
筐体の魅力を余すことなく伝えられるデモとしてUGSFシリーズの「スターブレード」に白羽の矢が立てられた。
人間の視界を超える視野角180度の世界の再現に、UGSFシリーズのタイトルはまさに打って付けであった。
まるで映画のような5分程度のデモには「スターブレード オペレーション・ブループラネット」と名が付けられた。
果たして、第39回AMショーにおいて「O.R.B.S.」は技術展示でありながら全展示中3位の注目を集めたのである。
だが、この日を境にしてドーム型筐体「O.R.B.S.」は終息に向かっていくこととなる。
それは「スターブレード オペーレーション・ブループラネット」も同じであった。
「O.R.B.S.」は大型汎用筐体として全国のゲームセンターでの展開を考慮されていた。
そのため搬出入を考慮した小型化及び省電力化に多大な力が注がれている。
そのサイズは一般的なプライズゲームと比較しても同等程度の設置面積である。
また「汎用」という言葉の通り、各社のシステム基板の接続が考慮されていることも特徴である。
球面スクリーンへの投影を可能にする画像処理を行えば、自社以外のシステム基盤と接続が可能なのである。
つまりはナムコの「O.R.B.S.」で他社のフライトシューティングやフライトシムも想定していたのである。
そうした汎用性から、操作箇所もレバーやハンドル、スティックなど交換可能であった。
また、開発当初から目標とされた高い没入感の実現も大きな特徴である。
椅子に座り、筐体内部へ進むと周囲の騒音はかき消され、眼前の映像と出力される音声に集中可能となる。
直径1.5mの半球状スクリーンは視野角180度を実現し、映像に包まれるような感覚をプレイヤーに引き起こさせる。
さらにはスクリーンは人間の視野を超えるため、周囲を見渡すことが要求され、高い没入感をもたらすのである。
この高い没入感をゲームセンターの汎用筐体で実現するためにさまざまな工夫が(特にコスト面で)施された。
単一の照射装置で1.5mの半球状スクリーンに映像を投影するのもコストとリアリティのバランスの産物である。
直径1.5mという仕様もスクリーンの存在が気にならないギリギリのサイズを狙って小型化を図ったものであった。
また、半球状スクリーンを採用したため、映像がシームレスに投影されるという利点も没入観の実現に寄与している。
もちろん、投影される画像の視認性ということで筐体内の遮光性も考慮されている。
つまり、既存ゲームでも「O.R.B.S.」でプレイすると従来以上に感動と興奮が得られるのである。
2005年、ナムコはバンダイと合併しバンダイナムコホールディングスが誕生した。
「O.R.B.S.」開発中断はキラーコンテンツ不足の要素が大であったため、風向きは変わろうとしていた。
強力なIP「ガンダム」を手に入れたことで、「O.R.B.S.」プロジェクトは「P.O.D.」として再始動。
ついには2006年「機動戦士ガンダム 戦場の絆」として初の「P.O.D.」筐体採用のゲームが登場したのである。
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最終更新:2024/04/20(土) 04:00
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