Rk-92 サベージとは、賀東招二氏のライトノベル「フルメタル・パニック!」、及びそれを原作とするアニメシリーズに登場する人型兵器、アーム・スレイブの機種名である。
その独特の存在感から、作者及び作中のAS乗りから非常に愛されている機体。
本記事では、全面改修モデルであるRk-96bis<サベージ2>を初めとした派生機体についても記載する。
ソビエト連邦のリャカ設計局がRk-89<シャムロック>に続いて開発した、第二世代型のアーム・スレイブ(以下「AS」と表記)で、卵の様に丸みを帯びたずんぐりとした胴体と、カエルの様な頭部が特徴の機体。
初期型のRk-91の投入から短期間の間に、後期型のRk-92が登場。世界の殆どの戦場でみかけるのは、おそらくは後期型である。RK-91とRk-92はある程度のパーツの互換性があり、初期型でトラブルがあったパーツを後期型のものに替えることで対策を施す事ができると語られている。終盤では更なる改良モデルとしてRk-96という機体が作中に登場した。
作中では本編開始時の時点で既に旧式機として位置付けられているものの、近代化改修を重ねているため通常の歩兵や装甲車両に対しては優位に立てるだけの戦闘能力を維持しており、まだ数の上ではソ連や東側諸国の主力機としての座を維持している。
輸出用も盛んに行われた様で、機体価格の安さや整備の容易さから世界中の紛争地帯で普及している他、テロ組織等の手にも渡っている、アサルトライフルのAKシリーズの様なASである。
「サベージ(Savage,野蛮人の意)」という名は当機の初期型であるRk-91にNATO側が付けたコードネームであり、開発国であるソ連が付けた正式名称は「リーヴェニ(暴風)」なのだが、こちらの名で呼ばれる事は殆ど無い。
余談だが、NATOコードネームはその兵器の種類の頭文字と同じ頭文字で始まる名を付けるのが通例である。例えば戦闘機の場合、FigtherのFから始まる「ファルクラム」や「フランカー」、爆撃機の場合はBomberのBから始まる「ベア」や「ブラックジャック」等。
このため、本来なら当機を始めとするソ連製ASはAから始まるコードネームを付けられる筈だが、既にAから始まるコードネームはAAM(「Air-to-Air Missile」。空対空ミサイル)に使われている。こういった事情からソ連製ASはAではなくSをそのNATOコードネームの頭文字に充てられたと考えられ、事実、これまでに登場したソ連製ASはいずれもその例に漏れていない(Shamrock,Savage,Shadow,Septor)。
本稿の起稿時点ではRk-92に関する記事であったため、以下の機体特徴についてはRk-92に関する記載となる。
駆動系はマッスル・パッケージ(別名「電磁収縮筋」。通電によって収縮する特殊な形状記憶プラスティックの繊維を束にした人工筋肉)と一般的な油圧系を併用したバイナリ方式であり、動力源はRk-91がディーゼルエンジン、Rk-92はガスタービンエンジンである。尚、フルメタル・パニック!の世界はブラック・テクノロジーの影響で科学技術が異常発達している為、現実の同種のエンジンよりも高性能である(それでもM9 ガーンズバック等の第三世代型ASと比べれば鈍重な感は否めないが)。
しかし、ガスタービンエンジンの騒音が大きい為静粛性に欠け、隠密行動には向かない。また、油圧系を抱えるバイナリ方式は重量が嵩むものの、マッスル・パッケージのみの駆動系しか持たないM9等と比べて規格外の荷重に対して強く、凄まじい重量物を強引に動かしたい状況では(その様な状況は滅多に無いが)油圧駆動を併用しているサベージの方が有利な場合が有る。
胴体は一体成形の鋳造装甲(Rk-91の場合)であり、形状も避弾経始に優れる卵形という事もあって旧式機にしては装甲防御力は高い(アニメ版では陸上自衛隊の87式偵察警戒車(?)から25mm機関砲(弾種は不明)による砲撃を受けてもほぼ無傷であった)。
また、M9等の第三世代機と比べ機体構造が簡素で部品数も少ない為、比較的整備が容易で故障頻度も低く信頼性では勝る。
他にも、卵形の胴体は圧力に強く、簡素な構造と少ない部品数も相俟って、兵器としてはともかく、単純な構造物としての堅牢性ならばM9に勝っている部分も有る。
しかしレーダーを始めとする電子兵装の性能は西側諸国の同世代機と比べても貧弱である。
固定武装として頭部の両側に二挺搭載している14.5mm重機関銃は、一応「銃」と銘打ってあるものの、その実包のサイズはF-15戦闘機の20mm機関砲弾と同じ位の大きさがあり、「ちょっとした大砲」である。
作中にはこの機銃で自機に迫る対戦車ミサイルを撃ち落とす描写も有る為、FCS(「Fire Control System」。射撃統制装置)の性能も存外悪くはないと思われる。
世界中で知られる<サベージ>の初期型モデル。センサ類は最低限、ECS等も搭載されていないが既に完成度の高さはこの時点で立証されていたとも言える。ディーゼルエンジン駆動であり、また、ASの運用ノウハウが黎明期であったにも関わらず、アフガニスタンの山がちな戦闘に特に合致した為、作中世界においてはソ連側が圧倒する要因となった機体。幼少期、宗介が拾われたアフガンゲリラの部隊が奪取し、宗介が初めて乗ることになったのもRk-91である。
輸出用モデルとしてRk-91Mという機体があるが、すぐに改修型のRK-92Mに生産が切り替わった為、ある意味レア機体として語られている。
全高 | 8.1m |
基本重量 | 12.5t |
最高自走速度 | 130km/h+ |
最大跳躍高 | 20m |
最大作戦行動時間 | 230時間 |
動力源 | ガスタービン・エンジン クリモフ及びゴーリキー・モータープラント製 1300hp |
固定武装 | 14.5mm重機関銃×2 |
作中で最も出番の多いモデル。<サベージ>と言えばこの型を指すと言っても過言ではない。
機体詳細にある通り、ガスタービンエンジンによる出力向上がなされ、Rk-91の実戦データを元に改修が進められ、ソ連によるアフガン攻略後半で登場した。
第二世代ASとしてはセンサ類は最低限でECSも搭載されていないが、機体のタフさ、整備のし易さと機体価格の易さは発展途上国はおろか、ゲリラ側にも好評を博している事から各地の戦場で見られる非常にポピュラーな機体となっている。
Rk-92Mという輸出用モデルが存在しているが、どの程度の差異があるかは不明。
本編終盤に登場した改修モデル。西側諸国のASとくらべて貧弱であった電子兵装の強化が成されていると語られている。また詳細は不明ながら、Rk-96M(おそらくは輸出用モデル)、Rk-96MK(既存の命名規則からすれば指揮官機などの上位モデル?)という名も原作者により言及されている。
全高 | 8.2m |
基本重量 | 12.6t |
最高自走速度 | 140km/h+ |
最大跳躍高 | 25m |
最大作戦行動時間 | 220時間 |
動力源 | ガスタービン・エンジン クリモフ GTG1250 1250kw |
固定武装 | 14.5mm重機関銃×2 |
アナザーにて登場した、全面改修モデル。<サベージ2>又は西側関係者からはスーパーサベージと呼ばれている。
既に設計が古くなっていた<サベージ>の各所を見直し、電子兵装、動力、制御系を近代化し、構造材も軽量で強靭な新素材に更新し、西側の現用第二世代ASに匹敵する性能を得ることに成功している。端的に言えば、重量は少し増しているが機体はさらに頑丈になり、機動性も向上し、目端も効く上、整備性は以前と大差ないと言う感じだろうか。
全体的に丸みを帯びたフォルムは変わらないが、改修により頭部とセンサ類周りを保護する為と思われる、服で言えば襟状の装甲が追加され、一見頭部の無いような見た目に変化した。
第三世代ASとまともにやり合えないのは他の現用第二世代と同じだが、以前のRk-92と較べて一線を画す性能向上と、それでいて以前と程近い整備性の良さ、何より軍備の金策に悩む国々にその抑えられた価格は大好評との事。製造のOKBリャカとしては第三世代の<セプター>を買って欲しいのに、Rk-92に引き続きこちらの方がよく売れているという状態な上、ロシア本国すらも優先してRk-96bisを配備している。
どこでも出てくるやられ役として描写される事が多いが、それだけに本編・アナザー共に主人公たちとの関わりも多い、名脇役と言える。
サベージは本作の主人公である相良宗介が人生で初めて搭乗したASでもあり、その搭乗頻度や操縦時間は本編開始後の愛機であるARX-7 アーバレストにも引けを取らず、彼は当機の構造や特性を第二の身体と言っても過言ではないほど熟知している。脚部が動かない状態でも、両手で器用に前進、格闘戦を仕掛けるなどお手の物のようだ。
初期型のRk-91は、アフガニスタンでイスラム・ゲリラの一員としてソ連軍と戦っていた少年時代の宗介(カシム)の愛機であり(なぜソ連製のASであるサベージが敵であるイスラム・ゲリラの手に渡ったのかは、原作のサイドアームズ2「北極からの声」に詳しい)、長編八巻の「燃えるワン・マン・フォース」でも再び彼の愛機として活躍する。この際は性能的に雲泥の差が有る第三世代型ASのM9 ガーンズバック1機と第二世代型AS10機を連続で撃破するという驚異的な戦果を挙げた。
後期型のRk-92にも宗介(カシム)はアフガンを離れた後、原作版・アニメ版を問わず度々搭乗している。
フルメタル・パニック!本編終了後十数年が経過しても、未だ現役の機体。その質実剛健な設計と機体の安価さは電子兵装の貧弱さや他国製第二世代との性能差を補って余りあるのか、世界中の戦場でみかける。
ヤラレ役として最適なためか、ハリウッド映画などでは、スティーブン・セガールが素手で倒す作品まで存在するらしい。
ヒロインであるアデリーナは旧ロシア系のためかはたまたASについて凝り性なためか、サベージについて語り始めると止めることが難しい。なんだこの残念なヒロインは。
主人公である市之瀬達哉は訓練でRK-91の輸出用モデル(ディーゼルエンジン駆動。初期型サベージの輸出仕様というレア物)に搭乗し、PSのダイダラ(ディーゼルエンジンと油圧駆動の人型作業重機)に乗り慣れていた経験から、第三世代ASと比べて煩雑な操作にも「しっくりくる」と表現した。ただし、しっくり来ただけでその後の模擬戦ではアデリーナに完敗している。
尚、世界中の戦場でみかけるベストセラー機体であり輸出も非常に好調なのだが、リャカ設計局が開発したサベージの後継機となる第三世代AS、Rk-02 セプターのセールスは芳しく無く(サベージの主な輸出先である所謂第三世界においては、セプター程の高性能機は求められておらず、また、それを運用できる態勢が整っていないということもある)、最新鋭機は売れず、旧式機が売れ続けるジレンマに悩まされている。
掲示板
41 ななしのよっしん
2019/03/18(月) 22:45:28 ID: rfrHsH/aYr
プラモのカラバリが
グレー→本土、東欧
グリーン→中南米、東南アジア、中央アフリカ
サンド→中東
って雰囲気が出てていい感じ
42 ななしのよっしん
2021/08/19(木) 19:25:53 ID: EJJWDIY3Sy
>>39 スーパーカブもサベージも丸みがあるボディが魅力なんだよな スーパーカブは中国産になってライトが角型になった時期があったけど評判悪かった
性能も実際は悪く無いというか 長いモデルは常に改修され続けるから最新ロットは大抵性能が良い 値段も上がったりするけど・・・
43 ななしのよっしん
2022/04/20(水) 20:57:03 ID: FDe1W5KaA3
作劇構成上カメラが当たることはなかったが、ジムとかスコープドッグみたいな、
ベテラン向けチューン機や現地カスタム機の類もあったんだろうか
改造費や維持補修費で考えると、コスパという最大の利点を潰してしまってるようなある意味本末転倒な奴
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/19(金) 02:00
最終更新:2024/04/19(金) 02:00
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