TVアニメ版この世の果てで恋を唄う少女YU-NOとは、MAGESから発売された同タイトルのADVを原作としたテレビアニメである。
原作ゲーム版および小説、OVAなどその他のメディアミックス、詳細な設定紹介については別記事「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」を参照のこと。
2019年4月から10月までTVアニメ版が2クール、全26話で放送された。
アニメ公式サイトには、かつて存在したélfのYU-NO公式ホームページのデザインが再現されて隠されており、アクセス数のカウンターやキリ番、マウスカーソールを追う8個の宝珠など懐かしい雰囲気だと話題になった。
TVアニメ版の原作となったリメイク版は5pb企画のゲームとなったので、科学アドベンチャーシリーズの『STEINS;GATE』からヒロイン、まゆしぃ☆が集めていた「うーぱー」や、『CHAOS;HEAD』の「ゲロカエルん」がところどころで友情出演(?)を果たしている。
前期EDで描かれている板が樹木の枝のように分岐して焼け焦げるアニメーションはリヒテンベルク図形。樹木の図は19世紀ドイツの生物学者・哲学者のエルンスト・ヘッケルの時空系統樹、人類進化の系統樹である。
フルリメイク版では全てのキャストが一新されたが、TVアニメ版では藤原啓治の体調不良によって主人公の父親の有馬広大のみ、SS版オリジナル・キャストと同じ声優の立木文彦が復帰している。
監督・構成・脚本には本作が初の2クール作品となった代表作「ゼロから始める魔法の書」の平川哲生。
キャラクターデザインは「灼眼のシャナ」、「のんのんびより」で著名な大塚舞が担当している。
平川監督は、こだわったことは原作ゲームに出てくる全キャラ全ルートを描いていくことと明かし、また原作では主人公たくやの一人称視点で進行していくが、アニメ版ではたくやを巡る女性陣の人間関係も描くという。さらにたくやについては(有馬たくやの声は林勇さんなので)原作に負けないくらい、下ネタ増し増し、澪はツンデレ増し増し、神奈はミステリアス増し増しで描く述べ、ユーノは「まだ内緒」としながらも、「原作よりも登場が増えるのではないか」と言及した。
TVアニメ版は概ねゲームの筋書きをなぞるように進められているが、ゲームとは異なる大胆な変更が行われている(変更点は多数に及ぶため詳細はリンク先のレビューサイトをなどを参照されたし)。
改変は世界観、設定、雰囲気、登場人物の性格など細かいところにまで及んでおり、ゲームのアーカイブとしてこのアニメを用いることは出来ないので留意されたし。もはや別物である。
よってこのアニメを元に原作を考察、評価することはほぼ不可能である。
平川監督が述べたようにひとつの「変奏曲」、別物として楽しんで観て欲しい。
とはいえ、過去のOVAよりは表面的な筋書きは似せられている。
変更点について解説すると、例えば大きく異なるところでは「カオスの矯正(原作ゲームの記事の「キーワード」の項目で詳しく解説されている)」と呼ばれる現象での描写に顕著で、カオスの矯正が発動されてスタート地点に戻る際は原作とは異なり、並列世界での記憶は消去されず、毎回激しい頭痛に苦しめられる様子に改変されたことである。
このことによって記憶を制限されていないと成立しない原作の物語とは異なる展開が描かれている。
Rデバイスの設定も変わっており、主人公がRデバイスでリフレクター・マップを空間に投影し、可能性世界の分岐ルートを目視で確認して並列世界間を移動することはなく、宝珠セーブも宝珠の個数とは関係なく、複数セーブは出来ない仕様で、ロードはセーブした直前の世界に戻る描写だけがされており、現在の時間軸からすると、未来にあたる並行世界への移動は行われていない。
ゲームでは、Rデバイスがダーウィンの自然淘汰説なようなものにもとづいて、対象事象に関する事象密度を測定し現実味のある世界を選び出し、またカオスが拡大し世界の許容出来る範囲を逸脱すると、因果律の補正であるカオスの矯正もかかり、主人公の記憶が消される為、自ずと主人公が選べる世界線は限られたものとなるのだが、アニメではこの設定を採用せず独自設定を施し、主人公の選べる人生の選択は無限なものであるとして蜘蛛巣状の世界線を描き、リフレクター・マップをゲームとは異なるものとして実質廃している。
このようにアニメ版ではA.D.M.Sなどのシステム、特徴的な設定をシナリオに反映させることはされていない。
ゲームではカオスの矯正が発動される際に波多乃神奈が介入して、たくやにその意味が伝わり難い、励ましにも似た謎めいた言葉を述べては闇に消え去るシーンがあるが、TVアニメ版ではその役割を広大が代わって担当したようになり、重大なワードや今後の展開を語り、たくやをナビゲーションしている。
第18話から異世界編となるが、主人公が異世界へ旅立つ「動機」は完全アニメオリジナルとなっている。
ゲーム版では神奈は現世編で救われ、超念石はジオ・テクニクス社で精製可能であるが、TVアニメ版では「超念石は異世界でしか精製出来ない」というアニオリジナル設定に改編され、神奈を救うため異世界に自発的に赴くという物語となっている。
現世編での様々な設定変更や細かい部分にまで及んだ改編は、この動機との整合性のために行われたものと思われる。
TVアニメ版のストーリーは監督曰く主人公が異世界に赴くには動機が必要であるという主張に沿って考え出されたとされる。
また異世界編も原作の筋書きをなぞるかのようであるが現世編と同じく細部が異なり、ゲーム同様の場面を描いていても結果、原作とは経緯や結果が異なり、意味合いが変えられていたり、ゲームとは性格が異なるかのような登場人物や、アニメオリジナルキャラが続々登場、原作では起こらない数々の事件、場面が追加されたが、原作からのエピソードは省略と変更が施され、ゲームの根強いファンたちを困惑させ、不興を買う結果となった。
ゲーム版の持つハードSF要素、ダークファンタジー、オカルトホラー、サスペンス要素は丸くされ、上記にもあるようにオリジナルの下ネタも多数加えられている。
主人公自体も菅野ひろゆきが創ったオリジナルの性格では無く、平川監督が好むキャラクターに変えられている。
一例としては主人公は怒りに任せて人を殺すような人物ではなく、自分を裏切った結城を殴るようなこともなく許す人物であった。
悪役はコミカルに描かれ、ゲーム版でのような激しい憎悪は掻き立てられない。映画ドラえもんや藤子・F・不二雄の作品、海外のSF映画などからの引用と思われる場面が散見され、それらが原作よりも優先されている節が見られる。また、引用元の作品のファンからも抵抗を示す反応が出ている。
反面、死を見せる場面がゲーム版よりも多く、本作は非18禁のポルノ表現が抑えられた家庭用ゲーム版を原作としているが、原典のアダルト版ゲームにすら無い神奈の売春での性交シーンが描写されるなど性的にきわどいシーンがみられる。
亜由美でみられるギャグとも思えるような自殺のオンパレードはゲームでは起こり得ず、これもアニオリである。豊富とのやり取りも意味合いが変えられており、亜由美に悪印象を抱かせるかのような描写になっている。
アニメの改編の弊害としては主人公は神奈を救うという目的が念頭にされた為、とくに異世界編での主人公の言動が嫌われ、観る者には感情移入し難いものとなってしまったことは否めない。
現世編は1995年が舞台なのだが、原作ゲームは時代を感じさせるテキストは特に無く(時事ネタ的に「ワイドテレビ」や「ファジー洗濯機」などが出てくるが)、TVアニメ版は監督が自分たちの青春時代であるとして、時代を感じさせる描写を意図的に行ったようにも思える。
この時代を感じさせる表現は、原作を知らない者に度々掲示板、Twitterなどで、しょせん20年以上昔の作品だと見下された感想を述べられるので、原作ファンたちは暗澹たる思いをさせられている。
原作では神奈、北条、豊富、女守衛は携帯電話を所有しているが、それらは失くされ、かわりに原作には一切無い公衆電話やトランシーバーが描かれている。
原作ゲームはインド哲学に通じたショーペンハウアーの哲学を骨子に物語が展開され、その言葉が引用されているのだが、TVアニメ版はショーペンハウアーの言葉ではなく原典であるカントの言った言葉とされ直された。
しかしこれではインド哲学とは繋がらなくなり、作品の世界観が原作ゲームとはかけ離れることになってしまった。せっかく原作を知悉しているであろう志倉千代丸がインド風の旋律をOP曲に与えたのだが、台無しではないであろうか。
異世界編での絵理子の事象科学説明は、原作ゲームの現実の物理学や事象科学に基づいた理路整然なものと比べると意味合いが変えられており、簡素であった。
原作の哲学を想わせる奥深い部分やハードSFはこうして撤廃されている。
原作ゲームは原作者が2004年にファウスト誌上のインタビューで語ったように、マルチシナリオであるが例えば『Kanon』のようなADVとは異なり、完全なマルチエンディングは採用せず、分岐した物語はどのようなルートを進もうとも、最終的に不自然無く一つに繋がるように設計された一連の物語なのだが、TVアニメ版はその為のギミックである、Rデバイスやカオスの矯正の設定を変えた為、シナリオの連結が壊され、神奈以外のヒロインとの結びつきが非常に希薄となり、物語の辻褄が全く合わない印象となった。
TVアニメ版はミステリー要素の答えの先出しを行い、平行世界を描くマルチシナリオゆえに必然的に時系列がシャッフルされている物語を、ウェルメイドとは思えない強引な構成で繋げており、これも上記リンクや様々な掲示板、Twitterに指摘されてあるように不評を買っている。
タペストリーの如く緻密なシナリオ、洗練されたスタイリッシュなテキストと評された、原作の物語とは明確に異なっている。
音楽についても通常のADVの2~3倍にも相当する楽曲数、80曲以上もの豊富で多彩なゲーム版のBGMはTVアニメ版ではアレンジが変えられ曲名が変更された上でわずか3曲しか使われず、稀に使われてもゲームでの使用場面とは大きく異なっており活かしきれていない。
最終回ではゲームのエンディングで流される壮大で感動的なED曲『Ending』は使用されず、
PC-98版のOP曲『Opening(オープニング)』のアレンジ版を流す有様だった。
アニメオリジナルBGMでは新たに、ゲーム音楽家の川村竜や壮大な曲の作曲で知られるエバン・コールが参加したが、ニコニコにあるオリジナル版やフルリメイク版の動画を観ればわかる通り、原作になったゲーム版にはゲーム史上で語り草になるほどの名曲が多数あり、アニメでわざわざ新曲に差し替えた理由は不明である。
この音楽の不一致は非常に不評の声が多く、TVアニメ版がゲームとの関連性が薄い印象を抱かせる大きな一因ともなっていた。メディアミックスとして下策と思われる。
例えばADVゲームのアニメ化において京都アニメーションやジェー・シー・スタッフは、ゲームの曲を大事にし、ゲームとアニメが別物であるような印象を抱かせることを未然に防いでいた。
売上については公式発表で予約は1000枚達成。オリコン発表のBlu-ray第1巻BOXセットの初週売上は467枚を記録した。第2巻は売上枚数の発表はされていないが、通例では99枚以下の範囲と思われる。
2019年春アニメにおいて、円盤の売上枚数が計測可能な25作品中18位となった。
参考までに平川哲生監督の前作『ゼロから始める魔法の書』の第1巻が363枚、その第2巻が集計外となっている。
また放送期間がちょうど重なっていた、本作と同じく大塚舞がキャラクターデザインを行い、脚本(構成)を大知慶一郎が担当した『まちカドまぞく』は第1巻が5232枚であった。
伝説的な評価や根強い支持のあった原作ゲームは、アダルトゲーム版が推定4万枚~10万枚(「エロゲー文化研究概論」出典)、セガサターン版が30万枚以上、フルリメイクのPS4版が4万枚以上という記録である。
Steam版の評価も発売から1ヶ月以上が経過した2019年11月後半の現在のところ「非常に好評」とある。
これらのゲーム版に比べて、TVアニメ版は評価の面でも売り上げの面でも苦戦する結果となった。
ニコニコ生放送でのアンケートの「とても面白かった」の推移はコチラ。
本作の原作、リメイク版ゲームはセガサターン版と同じく18歳未満購入禁止のアダルトゲームではない。
原典のアダルト版ゲームから削除されたポルノ的表現は、本作の原作のストーリーに影響を与えていない。また原典のアダルト版のポルノ的表現は薄い作品である。
様々な作品に影響を与え、今尚語り継がれる伝説のゲームが、ついにTVアニメ化!
1996年に発売され、大人気となったゲーム『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』が
TVアニメになって2019年4月より放送開始。
原作は、「ミステリート」シリーズなど数多くの名作を世に送り出した
ゲームデザイナー・シナリオライターである、
故・菅野ひろゆき氏の代表作の1つで、無数に存在すると言われる並列世界を渡り歩き
旅するアドベンチャーゲーム。
2017年にMAGES.よりキャラクターデザイン・キャストを一新し、リメイク版が発売された。
TVアニメ化に当たっては、リメイク版をベースに、林勇、釘宮理恵、内田真礼ら
ゲームと同じキャスト陣がCVを担当。
そして制作は、実力派スタジオのfeel.が担当する。
放送局 | 放送日 | 曜日 | 時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
AT-X | 2019年4月2日 | 火曜 | 23:00 | リピート放送 |
TOKYO MX | 2019年4月3日 | 水曜 | 22:00 | |
ABCテレビ | 26:50 | |||
BSフジ | 2019年4月4日 | 木曜 | 24:00 | |
メ~テレ | 2019年4月6日 | 土曜 | 26:44 |
配信サイト | 配信日 | 曜日 | 時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
dアニメストア | 2019年4月4日 | 木曜 | 12:00 | dアニメストア ニコニコ支店でも配信中 |
AbemaTV | ||||
ニコニコチャンネル | 2019年4月7日 | 日曜 | 12:00 | 最新話1週間無料 |
ニコニコ生放送 | 23:00 | タイムシフトあり | ||
その他配信サイト | 2019年4月7日 | 日曜 | 12:00 |
その他配信サイト:U-NEXT、Amazon Prime Video、FOD、アニマックスオンデマンド、バンダイチャンネル、ビデオパス、J:COMオンデマンド、milplus(みるプラス)、Hulu、ひかりTV、GYAO!、Rakuten TV、ビデオマーケット、HAPPY!動画
前期OP曲は本作の世界観の礎であるショーペンハウアーのインド哲学を反映したものか、どこかアラブ中近東風かインド音楽風のワールドミュージックを思わせる旋律であり、曲が始まるとニコニコ動画では「インドロ」というコメントが多く付けられ、最後に「小うどん!」という空耳コメントが大量に投稿され大人気であった。
後期OP曲も「とろみアンコ」「きしめんあったママ」などの空耳が観測され、いとおかし。ED曲もニコニコ動画での人気は高いようだ。
聴けばカレーが食べたくなるイントロ(インドロ)
カンジダもの全てに
秘められた
バリカタ!
ウォウウォウオ~
ウォウウォウオ~
願いsage
それは奇跡じゃなくて
\デレデレデン!!/
全ての意識がひとつエッッッッッッッ!!!
この世の果てで~
恋を唄う
OP主題歌「この世の果てで恋を唄う少女」
作詞・作曲 - 志倉千代丸 / 編曲 - 悠木真一 / 歌 - 亜咲花
OP主題歌(後期)「MOTHER」
作詞・作曲 - 志倉千代丸 / 編曲 - 高木龍一(Dream Monster)/ 歌 - 鈴木このみ
ED主題歌「真理の鏡、剣乃のように」
作詞・作曲 - 志倉千代丸 / 編曲 - 白戸佑輔 / 歌 - 鈴木このみ
ED主題歌(後期)「神の数式」
作詞・作曲 - 志倉千代丸 / 編曲 - 悠木真一 / 歌 - 亜咲花
話数 | サブタイトル | 動画 |
---|---|---|
第1話 | You Know? | |
第2話 | 並列世界構成原理 | |
第3話 | 止められない涙 | |
第4話 | 穢された白い肌 | |
第5話 | 悲劇の螺旋 | |
第6話 | 青白き光の彼方に | |
第7話 | タタリ騒動の元凶 | |
第8話 | 燕雀いずくんぞ | |
第9話 | 彼と彼女の距離 | |
第10話 | 重なる想い | |
第11話 | もう一度あのキスを | |
第12話 | 白衣の下の秘密 | |
第13話 | 定められた運命 | |
第14話 | 転校生のお友達 | |
第15話 | 戻らない夏 | |
第16話 | 動かない時の中で | |
第17話 | 青く儚き誓い | |
第18話 | デラ=グラントの黄昏 | |
第19話 | 親子の絆 | |
第20話 | ラファエロ砂漠へ | |
第21話 | 悪魔の支配する採掘場 | |
第22話 | 採掘場からの脱出 | |
第23話 | 風の吹く帝都 | |
第24話 | デラ=グラントの真実 | |
第25話 | 約束の儀式 | |
第26話 | この世の果てで恋を唄う少女 |
掲示板
23 ななしのよっしん
2020/08/28(金) 20:42:35 ID: 81JVo3AUv/
千代丸さん、ツイキャスでYU-NOが好きじゃなければ作らなかったとゲームの方を述べたのが救いかな
24 ななしのよっしん
2021/09/25(土) 04:06:12 ID: 7VzgDmrDhd
見たら明らかに予算と時間が足りないって感じの作りだった
監督がコンテと演出をやると色々な簡素化が目立つ
監督以外がやると何とか表現を工夫しているあたり、監督自身は広い意味でのアニメ作りで手一杯だった感がある
近年のアニメを見るに、制約条件下ではましな方の作りだったのかもしれない
25 ななしのよっしん
2022/02/17(木) 21:26:48 ID: VH8etaCJA7
鬼滅の刃並に予算かけてじっくり作ってくれればなあ。。
まあこれはどの作品にも言えるけどw
予算かけられなくてもせめて全36話くらいあればよかったな
まぁこのアニメはある世界線のうちの1つだと思えばそれほど悪くはない
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最終更新:2024/04/19(金) 21:00
最終更新:2024/04/19(金) 21:00
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