U-234単語

ユーニーサンヨン

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U-234とは、第二次世界大戦中にドイツ海軍が建造したXB型Uボート8番艦である。1944年3月2日工。友永英夫技術中佐庄司元三技術中佐日本に送り届けようとしていたが、大西洋上でドイツの降を知り駆逐艦サットンに投降。1947年11月20日に標的艦として処分された。

概要

XB型とは機敷設用大Uボートである。体は二重殻になっており、内殻は7区画に分かれ、外殻の大部分は燃料タンクとなっている。SMA機66発を収容可。一応魚雷戦も可で、艦尾に魚雷発射管2門を持つ。U-116、U-117、U-118、U-119、U-219U-220、U-233、U-234の計8隻が生産された。燃料タンクが大なので機敷設任務以外にも僚艦への給油任務、遠く離れたペナンやバタビアへの輸送任務にも投入。

諸元は排水量1763トン、全長89.8m、全幅9.2m、喫4.71m、最大速16.4ノット(水上)/7.0ノット(水中)、燃料搭載量368.2トン、安全潜航深度115m、乗員52名。武装はSMA機66発、10.5cm単装1門、37mm単装機関1門、20mm連装機関1基。U-234は1945年初頭にホーヘントヴィール線測定装置を装備。敵哨戒機が放つレーダー波を逆探知し、位置を知られる前に敵機の存在を把握できた。

艦歴

1940年12月7日ゲルマニアヴェルフト社のキール所に発注1941年10月1日にヤード番号664の仮称を与えられて起工するが、1943年6月13日に発生したキール襲でB-17が投弾した爆弾が艦前部に命中し、艦首9mを全損して交換の必要が出たため工事に遅延が発生。同年12月23日にどうにか進水式を迎え、1944年3月2日工。艦長にヨハンハインリッヒ・フェラ中尉がするとともに第5潜隊群へ編入される。

3月3日から17日までキールで工事を続け、3月18日から4月22日にかけてゲルマニア所で油圧システム改造工事に着手、4月24日よりヴァーネミュンデで試を実施するが、バルト全域に敷設された敵の機により何度も予定に狂いが生じている。窮屈な思いをしながらも5月4日から6日にかけてシュヴィーネミュンデで対教練、5月7日から25日までゴーテンハーフェンで電動エアコンレッサービルポンプの試運転と修理を、5月26日から31日までヘラ半島で機敷設訓練を行う。敷設した機66発が回収されている間、6月1日から7月12日にかけてゴーテンハーフェンのホルム造所で電気推進器と送信機を追加修理。出渠後は7月14日から22日までピラウにて第20潜隊群と戦術演習を、7月23日からはリバウで第25潜隊群と魚雷発射訓練。8月1日から9月3日まで東プロイセン首都ケーニヒスベルクのドックで故障した線機器の修理を受けた。

ドイツの敗色が濃くなっていく中、ヒトラー総統は同盟日本から持ち掛けられた核分裂物質と技術支援の要請を受諾。ドイツから戦時貨物を積んだ潜水艦を送る事とした。フランツ・ベッカー中佐が議長を務める委員会が貨物の種類と的地を選定。U-234はその物資を輸送する艦に選ばれ、9月5日からはキールで輸送用潜水艦になるための修工事を開始。変更点は以下の通り。

  1. 大きなチューブを艦首部分に取り付け
  2. 貨物庫の拡充
  3. 距離航行用のシュノーケルを装備
  4. 油圧系統を調節して温度調整装置を内蔵
  5. GHG集音装置を新鋭のバルコンに換装
  6. 右舷推進軸を騒音の少ないタイプに換装

また駐独海軍武官の小島秀雄少将は帰が出ている友永英夫技術中佐庄司元三中佐をU-234に便乗出来るよう取り計らった。本来の予定では第五次訪独艦伊52に乗艦して帰するはずが、往路で撃沈されてしまい、ドイツ立ち往生していた訳である。

1945年1月クリンゲンベルクが異動となったため、フェラー艦長は仮装巡洋艦アトランティスに乗艦していた時の知り合いリチャードブラを登用。2月に出発する予定だったが工事に遅延が発生して出港出来ず。メッサーシュミットMe262の設計図、新兵器写真ウラン560kg、軍需品240トンを積載した後、便乗者を乗せた状態で試験航を行う。3月4日装工事了。

駐日ドイツ大使館付空軍武官ヴォルフガング・フォン・グロナウ少将の後任ウルリッヒ・ケスラー大将電波兵器の専門ハインツ・シュリッケ博士海軍法務官カイ・ニーシュリングMe262トップ技術者アウグスト・ブリンゲヴァルトといった日本行きの便乗者がU-234に乗艦する。

届かなかった想い

1945年3月24日深夜、闇に紛れるようにしてU-516とキールを出港、3月27日ドイツ占領下ノルウェーのオスロフィヨルドにあるホルテン軍港へ入港してシュノーケルを使った潜航試験を実施。演習中の3月31日U-1301と衝突事故を起こして双方損傷を負い、第1潜タンクと第1燃料タンクが開いたものの演習を続行出来る程度のものだった。修理ついでに左右の貨物室の拡工事を実施し、同時にこの輸送作戦のため特別に作られたコンテナ8つを積載。4月5日にホルテンを出港したU-234は翌日クリスチャンサンへ回航。追加の修理と燃料・食糧の補給を受ける。

4月16日午後、クリスチャンサンを出発して日本本土への長に臨む。しかし祖国は敗色濃厚、発達し切った連合軍の対潜技術を前に乗組員全員が「日本へは辿り着けない」と思っており、フェラー艦長でさえも「これから日本に向かうが、到達できないだろうと心の中で確信している」と彼らの前で打ち明けたという。出港からは16日間は敵に発見されるのを防ぐためシュノーケル潜航で進んだが、ローゼンガルデン直前でしいに阻まれてやむなく浮上、以降は間の2時間のみ水上航行し、日中深40~100mを潜航。輸送の成功を優先して部から攻撃を禁じられていたため、中で大と出くわすも見逃している。

ローゼンガルデンを通過した頃から部からの信号が受信されなくなり、それ以降受信される通信は全て短波になった。5月4日英のラジオ放送から「デーニッツが最高官に昇進した」という断片的な情報を得たため、全な情報を得るためU-234は浮上を試みた。

戦後

1945年5月10日大西洋で浮上した時に「全てのUボートは降し、その時の位置に応じた連合軍の港へ行け」との通信を傍受。U-234はドイツの降を知った。艦内では士官と乗客の間で今後取るべき行動についてかなりしい議論が繰り広げられた。英の港に行くべきだとするU-234の士官に対し、友永中佐庄司中佐アルゼンチンまたはウルグアイへの回航を要請したため意見が対立。その間敵に見つからぬよう日中は潜航、間のみ浮上して南下し続けた。その後、何らかのトラブルがあったらしく、2人は監禁されて武装したドイツ人の監視下に置かれる。

に従う別のUボートの通信を傍受したU-234は、一緒に投降しようと際短波帯で呼びかけたが受信に失敗したのか応答はく、600メートル波帯に切り替えるもやはり返答はかった。

5月11日フェラー艦長は友永庄司の両名に「連合へ投降する」と意志を伝える。その時に2人は自決を決意し同日中に遺書をしたためた。艦長は自決を思い留まらせようと説得を試みたが失敗。彼らの「客室内で静かに留まらせてくれ」という要許可し、自決を止められないと確信すると以前贈られた日本刀へ投げ捨てている。U-234が降する電文を発した事で友永中佐庄司中佐は機密文書を処分。そして睡眠薬ルミナール用して自決した。とはいえ最初の36時間は息があったようでU-234の軍医が蘇生を試みるも失敗に終わり、乗組員たちは2人の死を残念に思った。手元にはフェラー艦長に宛てた感謝手紙が残されており、同封されていた信号を日本へ送るよう最後の要が書かれていたが、フェラー艦長はそれを実行しなかった。彼らの遺体ドイツ人の手で葬され、残っていた機密文書も一緒に処分されている。

5月12日午前8時頃、イギリスから短波通信が入り、ハリファックスへの移動と現在位置及び速を毎時報告するよう命じられる。これに従って定期的現在位置と速を送信するU-234だったが、実のところ速を誤って報告していたため実際の位置が西へズレていた。このため連合軍が航空機を発進させて当該域を捜索しても見つからない事態に陥った。午後12時45分、駆逐艦サットンスコットにU-234の拿捕を示。スコットには士官が9名しかおらず、また投降したU-1228の捕虜も収容していたため、身軽なサットンがU-234の方へ向かった。いつまで経っても迎えが来ない現状からフェラー艦長はハリファックスに通信が届いていないと判断。当初はカナダハリファックス港に向かう予定だったが、途中で変更してアメリカ東海へと向かう。

5月14日14時36分、U-234からの位置報告を傍受したサットンはその針路上へと急行し、21時41分にサットンから停を命じられて投降。操艦要員を除いて乗組員はサットンへ移乗した。入れ替わる形でサットンからの乗隊がU-234に乗り込み、「お土産」と称した大規模な略奪を行って諜報機関興味を抱きそうな物品をU-234から持ち去ったが、乗隊にも良心があったようで記念品は艦内に残されていた。一旦メイン州キャッコ・ベイに立ち寄り、5月17日ニューハンプシャー州ポーツマスに入港。ここにはU-234以外にも投降したU-805、U-873、U-1228が停泊していた。乗組員は尋問官から取り調べを受けた際に腕時計、装飾品、指輪財布、個人的な写真に至るまで海兵隊員に略奪され、しかもそれらを得意げに見せびらかしていたため、乗組員の協が得られなくなる事を危惧する報告が出されている。また海軍刑務所のロビーで預かったケスラー大将財布からスイスフランノルウェークローネがアメリカ軍下士官に盗まれる窃盗事件も起きていたようで軍内部の腐敗が進んでいた。一方、U-234艦内では最も重要な機密書類を確保するため海軍作業部隊海兵隊警備分遣隊が片端から調べていたが、こちらでも部品や銘の持ち去りが確認されている。

5月20日、イーワルド中尉がU-234に乗艦すると艦内で酔っ払っている海軍兵を発見。また海兵隊員が勤務中にも関わらず寝台で眠っている様子が何度も撃された。実はU-234には当初約900本のが積み込まれており、そのの本数が明確に減っていた事から彼らが飲したのは間違いなかったが、犯人特定には至らなかった。他にもU-234の機関士が搭載魚雷から撃発装置が抜かれていると報告(地雷処理官の立ち合いしで爆発物を艦から取り除くのは軍規違反)。あまりに酷い扱いにフェラー艦長は不満を漏らし、「このままでは乗組員のかがレバーを引いて機放出するかもしれない」と脅しをかけたため、同日深夜アメリカ軍側はチェーンと南錠で敷設装置にロックをかけた。5月21日にU-234がポーツマスから出港した時、海軍作業部隊の1人からドイツトランプパックが見つかった事で窃盗が明らかになり、ポーツマス海軍官ウィザーズ提督はその男を軍法会議にかけるよう命じている。

U-234の積み荷だったウランは評価の的でワシントンに送られた後、テネシーオークリッジに移送。一部資料では広島へ投下された原子爆弾はこのウラン材料にしたと摘しているが、実のところ否定的な意見が多い。

1947年11月20日、ケープコッド北東40里で潜水艦グリーンフィッシュ撃を受けて処分。

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