US-2 単語

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US-2とは、海上自衛隊が運用している新明和工業製の陸両用飛行艇である。

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概要

US-2と護衛艦

US-2の主任務はP-3C後方支援で、P-3C事故を起こした場合に捜索・救難を行う。航続距離P-3Cと同等で、機内の担架配置もP-3Cの乗員11名全員を担架救護できるように設計されている。副次的な任務として民間船舶難救助、災害派遣、離支援を行っている。[1]

良く動画で見られる白色を基調にした塗装の機体は1号機であり、2号機以降は濃青色の洋上迷彩塗装となっている。

配備は基本的には岩国基地が中心だが、厚木基地に常時1機が派遣され、小笠原諸島などにおける急患移送などに活躍している。

2020年に7号機が完成している。[2]

開発

先代のUS-1Aは、その長距離進出、荒大洋でも離着できることなど(波高3mまで離着)、地上滑走路にも着陸できるなどのを生かして長らく日本航空救難で活躍していた。しかし運用開始から20年余り経過し運用側からの要望もあり新たに良を行うことになった。良点は、

これにより、機体形状にあまり大きな変化はないものの、その内容は大きく変化することになった。与圧キャビンによってそれまで気条件に左右されていた飛行ルートが制限を受けづらくなる(高度を上げるなどの方法があるので)。職人芸の領域である離着時を最新の技術でフォローするなどパイロットの負担を軽減できる…など各種メリットがあるためだ。

名称は当初US-1Aであったが、US-2になっている。

PS-1/US-1

昭和30年代前半にソーナーを使用した対潜飛行艇の構想が検討され、グラマンアルバトロス改造したUF-XS実験機による試験を経て昭和40年より新明和工業による試作を開始、昭和45年部隊使用承認が下りてPS-1と呼称された。[3]

してディッピングソナーで潜水艦を探し、離してはまた着してディッピングソナーを使う、という運用だったが、波が高い場合の離着は難しく、飛沫エンジンに悪を与え、23機中6機を事故で失うほど事故率が高くなってしまった。[4]

飛行艇としての性は悪くなかったので、そのまま揚陸用脚の代わりに着陸用脚を装備したUS-1も開発された。

US-1と、新しいエンジンを搭載したUS-1Aは合計20機が生産された。2017年12月に最後の機体が退役している。[5]

飛行艇のメリットとデメリット

もともと飛行艇メリットとは、嶼間など飛行場を作れない場所への連絡手段という側面がある。もっとも戦後ヘリなどの普及により新規に開発するような日本ロシアぐらいとなってしまった。
飛行場いらずでに離着出来れば使い勝手が良いと思われるが、着する際の衝撃などのために機体構造を丈夫にすると、機体そのものが重くなり速度も航続距離も短くなる。また整備など維持管理の手間もかかる。

他の余り積極的に飛行艇開発していないのにはそれだけの理由がある。

日本のUS-2にしても7機しか導入されない機体であるため、費用対効果などの面を考えてよく批判を浴びる機体でもある。
新明和工業は森林火災などで使用できるなどのメリットを生かして民間での発売などを考えているようだが、大洋への離着など、どうみてもオーバースペックにすぎて(それだけ整備などランニングコストもかかるうえ)、価格面に跳ね返る現状を踏まえると導入は難しいだろう。

…つまり、森林火災など対応するにはカナディアCL-215/415ぐらいのサイズでいいわけで、軽トラで十分と思っているところに8tトラックは売れないよね…という泣くに泣けない事情がそこにある。ちなみに海上保安庁も同様の理由で飛行艇配備を見送っている経緯もある。

最近では航空救難でわざわざ数機の飛行艇を維持するなら、C-130による空中給油ヘリを長進出させたほうがいいとかV-22オスプレイを導入すればいいとかいう意見もある。

また「単純にPS-1がコケて、(導入した責任所在とか)扱いに困って理やり救難飛行艇にしたてたのがUS-1で、数を減らすわけには行かないから今も残っているんでしょ?」という辛らつな見方も一部には存在する。

だがちょっと考えてほしい。

世界がUS-2のような航空機を望んでいないのは、日本のような広大な領を持っていないからで(また適切な場所の航空機離発着が出来る施設もない)、ヘリで行くには遠距離過ぎる、時間もない…さらにそれに荒などの悪条件が重なるような嶼、あるいは救難事件が発生した場合には「あきらめてください」というわけにはいかない。何事もコストだけで判断できる問題ではないのもそこにある。

ちなみに実例として、アメリカ空軍機が三陸太平洋上で墜落した際にアメリカ空軍の要請をうけてUS-1Aが長進出。ヘリでは足も短く速度も遅いなかUS-1Aはパイロットを救出し空軍から表を受けている。

今後、日本の特殊事情を踏まえた上で飛行艇を選択しつづけるか、もしくは違う方法をとるのか、それは次の為政者(納税者)の判断によるだろう。

関連動画

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外部リンク・関連項目

脚注

  1. *「防衛産業とその将来 防衛装備庁」森本敏:編著 海竜2015
  2. *US-2救難飛行艇 7号機完成 新明和の海上自衛隊向け飛行艇50機目にexit 2020.3.7
  3. *http://www.sjac.or.jp/common/pdf/toukei/50nennoayumi/4_7_2_nihonnokoukuki_kakuron2.pdf
  4. *航空部隊の戦う技術 を制する者が戦場を制する」かのよしのり SBクリエイティブ 2017年 p.182
  5. *海自国産飛行艇US-1Aとは? 全機が退役 そのDNAは後継へ、そして世界へexit_niconews 2017.12.16
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掲示板

  • 123 ななしのよっしん

    2023/11/14(火) 22:14:48 ID: R5Ort1+hw6

    これライセンスごとインドに投げ売りした場合逆輸入機の方が安く手に入るんじゃないか?
    もう日本で製造できないのなら興味を持ってるに権利を譲るのもありな気がしてくる

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  • 124 ななしのよっしん

    2023/11/16(木) 23:19:16 ID: 1eGID2Bx1p

    後継検討本格化って記事がでたのはもう6年も前か、頓挫したのかね

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  • 125 ななしのよっしん

    2023/11/27(月) 13:02:06 ID: QmNvmUL/QA

    まだ開発中とは言えV-280っていう強過ぎるライバルが登場したからな。V-22と違ってダウンウォッシュもかなり軽減サれてるだろうし

    機が49年、試作機も含めると56年も前の機体だしもう十分働いたよ

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