VECTOR BALL(ベクターボール)とは、雷句誠による漫画作品である。
おびえろ 概要!!
「金色のガッシュ!!」「どうぶつの国」の雷句誠による連載作品。
『週刊少年マガジン』2016年22・23合併号より2017年16号まで連載された。単行本は全5巻。「金色のガッシュ!!」以来、8年ぶりとなる週刊連載である。
第1話から、独特の切れと勢い(読むものによっては「ガッシュのとき以上」とも)を持つギャグと、雷句誠お得意の熱いバディもの要素を持つ作品。
このあらすじではおかしなことが続いている
「お前、何者?」
学校は、人知れず死にかけていた。
平穏な日常の裏で進行する、謎の生物たちによる“侵略”。
米炊おかかは、その異変を解決したいと思っていた。
群青新太は、ただ一人、侵略を食い止めようとしていた。
“戦う意思”を持つ二人の出会いが、全ての始まり。
新時代を創る“絆”の学園ファンタジー、堂々開幕!!
単行本第1巻より引用。
登場人物!!! 最低だ!!!
主人公
- 米炊おかか(こめたき おかか)
- 主人公のひとり。お金持ちの息子で、特異な才能を持ち、なんら努力せずとも勉強ができる恵まれた高校生。学園に蔓延る恐怖を自らの手で解決したいという思いから行動を起こす中、新太の奮闘を知り協力する。
「ブスを笑う」というどうしようもない趣味を持ち、ストレスを感じるとブスウォッチングでリフレッシュしている。
また、ブスを笑う以外にもちょくちょく主人公らしかぬクズ行為に走るが、学校の窮地に奮起し、敵の非道に怒り、友のために命を賭ける、少年漫画の主人公らしい、好漢らしさを併せ持つ。
「ブスを笑う」ことは学校中に知れ渡っているため、大概のブスは彼の心の声が聞こえる。
しかし、自分にない美点を持つ人物に対しては素直に敬意を表し、尊重しようとする。
一目見ただけで物の寸法を0.0000mmレベルまで正確に目測できるという特技を持ち、そのためルービックキューブや知恵の輪など、立体パズルを解くのが得意。
思念体がバラ撒いたベクターボールを解いたことから、思念体“ジル将軍”の器にされかかるも、敵に体を乗っ取られそうになった時の、少年誌史上最低かつ究極の対処法で辛くも逃れた。
ベクターボールを解いた影響で「ヴェクター」という思念体の創った物質を吸収し、形を作り変える、いわば「頭に直接つながった3Dプリンター」と言える能力に覚醒。
持前の空間把握能力と物理学の知識から、思念体の出す素材を最大限に活かすための道具や武器を創り出し、それらを駆使して戦う。
- 群青新太(ぐんじょう にいた)
- 主人公の一人。原因不明の難病に侵された妹と、やんちゃ盛りの弟がいる高校生。バレー部所属。
元々は普通の少年だったが、人類掌握の尖兵として送られた思念体に乗っ取られるも、その思念体が人類の支配に抵抗し、家族や学校を守るため反旗を翻し、人知れず孤独な闘いを繰り広げていた。
現在の新太の人格は完全に乗っ取った思念体のものである。
思念体としては最下位のビオクラスで、鉱物を出現させることしかできない。
「ベム・バゥア・ハルバード」の掛け声とともに巨大な槍を出現させ戦う。
友人(?)達
- 魑魅魍魎(ちみ もうりょう)
- おかかの知り合い。お互いに友達だとは思ってないらしい。
極端な前傾姿勢で、歯は前歯2本しかなく、鋭く黒い爪を持ち、なぜか宙返りしながら移動し、なぜか学校のベンチの脇に魑魅くん専用の止まり木があるなど正に妖怪じみた風体だが多分人間。
ベンチは「高級すぎる」と言い座れないほどの貧乏性であり、上記止り木はそんな彼のためにおかかが設置したもの。友達とは思ってないもののおかかにそうした恩があり、おかかを「ダンナ」と呼び、さながら情報屋のように働く。おかかの方も彼に信頼を置いており、罵り合いどつき合いもしばしば、交友関係としては良好である。
思念体では無いため直接的な戦闘能力はないが、魑魅家に伝わる魑魅君忍法の会得者。吹き矢からイカを射出したり、遠くの海でウミウシが現れたり、友達を操って盾にするなどして敵を翻弄する他、ブスを操る魑魅君忍法十奥義を繰り出す。
ある意味本作のカオスさを象徴するキャラクターであり、彼が戦う話は毎度抱腹絶倒必至である。決して蟹と涙が入り交じった切なく塩辛い味が口に残るような思いは…。
- 英茶火勇(えいさ ほいさ)
- 米炊の悪友。米炊にはあまりいい友達だと思われていないが、相撲部に所属し、学生相撲の高校生横綱で、生徒会副会長を務め、人望も厚い。
イカ焼きが好きで、常に学校鞄に忍ばせている。
米炊に対しては全く遠慮が無いが、高校生横綱の自分の張り手に耐える根性と、その才能には一目置いている。
- 松原柚子(まつばら ゆずこ)
- 米炊の家がお向かいの幼なじみ。
そばかすだらけで小さい眼、一般的にいえば「ブス」。米炊には散々笑われている。
米炊とは対照的に貧乏で頭もよくは無く、クラスメイトには雑事ばかり押し付けられている不幸な少女。
根っからボンボンの米炊からは、親の夕飯を作ったり、親の内職を代わりにやったり、小学生の時から一人で病院に行ったりと、責任感や自立心のあるところ、我慢強いところを大いに尊敬されている。
- 木筒つづみ(きづつ つづみ)
- おかかたちの後輩にあたる少女。眼鏡に髪をまとめた文学少女の風体。
日々ブスウォッチングに勤しみ学校中から嫌われるおかかを「いい人」と呼び慕い、おかかもさりげなく「かわいい子」と評している。おかか自身は忘れていたが、昔イジメられていたのをおかかに助けられたことがある。
実は特殊な力を持つ思念体・ゼルの器。乗っ取られた身体で家族を虐待させられている。
思念体
この漫画における人類の敵であり侵略者。
「ベクタープレート」、「ベクターキューブ」、そして「ベクターボール」と呼ばれる3種のパズルで人間の素質を測り、その素質に合った思念体がその人間を乗っ取る。
「プレート」「キューブ」「ボール」の順に難易度が高く、難しいものを解いた人間ほど高位で強力な思念体の器として選ばれる。中でも「ベクターボール」は相当の難易度で、思念体の間では「不可能」とも言われていた。
思念体に乗っ取られても、思念体が滅ぶか、体から抜ければ乗っ取られた人間は元に戻る。
思念体には使える力のレベルによる階級が存在する。
- ビオ
- 作中最下位のザコクラス。鉱物、ゴムなどそれぞれの属性に応じた素材を具現化する。
「素材・力・形」を意味した呪文を唱えることで素材を出し、「力」で操る。能力の都合上、おかかのパートナーとなることが多い。アルマ以上にはある固有名を持たないため、乗っ取った人間の名前を自身のものとして使う。
- アルマ
- ビオよりワンランク上のクラス。自身の思念体としての肉体を具現化する。乗っ取った人間の身体の一部のみを思念体としての姿に変えることも可能。
- セレクター
- 新太曰く「中ボス」クラス。肉体と素材、両方の具現化ができる。素材の具現化ではビオクラスのような呪文を必要とせず、また出した素材を強化可能。また、肉体だけでもアルマクラスより遥かに高性能。
- ランナー
- セレクターよりさらに上のクラス。自身の身体そのものを自身の持つ属性の素材に変換することが可能。セレクターのように素材で自身を鎧うのではなく、肉体そのものが素材になる。
作中に登場したクラスは以上4種だが、ランナーより上の階級も存在する。
さらに、クラスとは別に「ロゥダー」と呼ばれる役員もある。これは人間で言うと「最高学位を持った学者」であり、思念体達の計画を仕切っている。ロゥダーも思念体としては強大な力を持つが、思念体たちを問答無用で拘束する「ロゥダー・ロウ」以外の力を封じられている。
主要な思念体たち
- 棋学仔晃征(ごがくし こうせい) / ロゥダー・リオウル
- クラスは不明。思念体の計画を統括する「ロゥダー」。
侵略計画のボスとは思えないほど理知的かつ温厚な性格で、おかかの話し合いにあっさり応じ、共に「人間と思念体が共存して生きていける世界」を模索することになった。
言うことを聞かない部下を多数抱える苦労人だが、自分の思惑をオシャカにしようとする部下の暴走を身を張って止めた上に許す器の大きさと厳格さを併せ持つ。
上記通り、強大な思念体ではあるがその力のほとんどを封じられており、思念体の封印をする特権能力「ロゥダー・ロゥ」のみを持つ。ただし本人はこの力を好まず、「力には頼らず話し合いで思念体たちをまとめる」思想を持つ。
思念体の力を吸収して作り変える一般人、大量のブスを操る忍者、人知を超える行動・容姿・思考をした大量のブスたちなどが混在するニワトリ高校の侵略という無理ゲーを仕切ることになった不幸なひとでもある。
多分この作品の登場人物で一番まとも。
- 三条雪奈(さんじょう ゆきな)
- ビオクラス。おかかが新太の次に出会った、人間に味方する思念体の少女。
ジャックが入り込む前の安藤先輩に命を救われており、彼を一心に慕って侵略計画に反発する。
容姿は黒髪ロングの姫カットという大和撫子な風貌でクールを装うが、その実かなり感情的で短気な性格であり、気に入らない相手や態度には間髪入れずに鞭での制裁を入れる。
無邪気で天然なところもあり、また無防備。年頃のお嬢さんなのに動きが派手なため頻繁にパンモロする。おかかの自宅で行ったBBQパーティでは何故かおでんを食べていた。
属性はゴムであり、単独では「ゴム・バゥア・ウィップス」の呪文でゴムの鞭を出現させて戦う。おかかとのコンビネーションではゴムの「元に戻ろうとする」特性を利用した、恒久的に効果を得られる拘束具や罠を操る。
- 蒔苗陽祐(まきなえ ようすけ)
- ビオクラス。唇が厚い小柄な少年で、おかかの後輩に当たる。
元々人間を皆殺しにする思念体の侵略計画に否定的であり、これを打破する存在であるおかかの出現に喜び、積極的に仲間になろうと接触してきた。
泣き虫でお調子者だが、心優しく、いざという時は勇気を持って戦うことができる強い正義感の持ち主。また、人懐っこく純粋なところで思念体と関わらない部分でもおかかと仲が良い。
属性は木材。「ハナクロ・ピータン・ヤッパラゲー」という適当感溢れる呪文で力を行使するというギャグ要素の持ち主だが、それで出来上がる武器がガチなため始末に負えない。
- 蒔苗縫(まきなえ ぬい) / ネイリー
- アルマクラス。髪をおさげにした少女で、陽祐の姉。
早弓という友人がおり、陽祐共々世話になっている彼女を思念体の器にしたくないという想いから、最初は信用できないまでもおかかの仲間となる。
おかかにとっては初めて仲間になったアルマクラスであり、専ら頼れる前衛担当。ヴェクターで作られた武器や鎧を装備し、格上殺しを為す武器や作戦を完成させるための時間稼ぎが主な役目である。
あと、かわいい。
- 安藤晴光(あんどう はれみつ) / ジャック
- アルマクラス。学校一のイケメン男子・安藤先輩の身体を乗っ取ったヤツ。思念体としての姿は鋭い牙を、顔だけでなく両手や胸に備えた人型の異形。
身体の持ち主である安藤先輩はおかかや魑魅くんも一目置く人格者であり、ジャックが乗っ取った後の性格の乖離からその正体に気づく。また、三条の片想い相手でもあり、彼女の行動理由は彼である。
登場時は安藤先輩の身体を人質にする卑怯な乱暴者という一面が強調されていたが、アルマクラスとして確かな実力を持つものの魑魅君忍法に心奪われたり、揚げおだまきに買収されたりするお調子者かつ臆病者。
- 十文字兜(じゅうもんじ かぶと) / オルガ
- セレクタークラス。棋学仔派閥が擁する唯一のセレクターで、「ロゥダーの護衛」を任務としている側近。
強さを至上とする性格で、弱い者に価値を見出さない。そのため人類抹殺計画に積極的であり、おかかの持ち出した「人類と思念体の共存」を受け入れた棋学仔に反発心を抱く。
また、粗暴かつ好戦的。物事を暴力で解決したがり、また自分より弱い者は使い潰して当たり前という態度を取るため、彼を嫌うビオやアルマは多い。
陽祐曰く「セレクターとしては強い方」。アルマの縫とおかかの拘束具を付けることに成功した三条の2人の押さえを跳ね除けて大弓の射撃を躱すパワーと敏捷性を持つ。属性は鉱物系。
敵対する思念体たち
- ビリイナ
- 「セレクター」クラスの女性思念体。
松原を乗っ取り、米炊を道具の無い空間に誘い込み、ジル将軍による乗っ取りの手引きをした。
属性は新太と同じく鉱物系で、思念体の姿としては頑丈な鎧(棘付き)を纏ったを巨躯を持つ。一般人のおかかとビオクラスの新太を相手に無双していたが、ヴェクターの力に目覚めたおかかの戦いのチュートリアルとなった。
- ノーマン / 隅寸音一(すみす おといち)
- オルガの反乱の際、織部が勝手に持ちだしたペンタゴンのベクターキューブが解かれて降りてきた思念体で、ロゥダー・棋学仔の指示に従わない。
その正体は、勝手な行動を行う棋学仔たちを見限った思念体世界の幹部が送り込んだ刺客で、ロゥダー派とは別の派閥を作り、新たな「門」を建設し始める。
クラスは本作初となるセレクターの上位であるランナー。思念体としての姿は怪獣めいた巨人で、その大きさやパワーはオルガのものを凌ぐ。また、力だけではなくおかかのトラップを見抜くなど頭も切れる。そして、ロゥダーの粛清が目的のひとつでもあるため、「ロゥダー・ロゥ」を無効化するアイテム、「ロゥ・リサイン」を持たされている。
と、上記までは恐ろしさや強大さを書き連ねたが、棋学仔に捕まってもおもむろにパック餅を取り出して生で食べだし「うめぇ……」と渋くコメントしてみたり、魑魅君忍法十奥義を見て攻撃することも忘れて「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」と叫び続けたり、どこか憎めないところを持つ。
- ゼル
- ノーマン編で登場する思念体で、もうひとりのランナークラス。
木筒つづみの身体に憑依しており、「元の身体の魂を追いださずに同居し、必要な時だけ身体の制御権を奪う」特殊能力の持ち主。主導権はつづみではなくゼルの方にあり、またつづみが表に出ている間は思念体としての反応が消失する。このためクラスメイトの棋学仔もつづみの中に思念体が居ることに気づかなかった。
性格は最悪の一言。つづみのフリをしつつ彼女の両親を虐待するなどの悪行に手を染めており、意識が残っている分つづみを苦しめていた。
思念体としての姿は比較的女性の人型に近く、どちらかと言えば敏捷に優れた身体能力を持つ。属性はガラス。反射で自分の姿を映して位置を惑わすなど、トリッキーな戦術も使う。
- ジル将軍
- 今まで解かれたことが無かったベクターボールを解いたおかかを乗っ取るために現れた思念体。
「三大将軍」のひとりと言われ、その名前を聞いたオルガと棋学仔は心底驚いていた。クラスは不明だが、恐らく作中登場した中では最高位だろう。
しかし、現れておかかの身体を乗っ取ろうとするや否や、あまりにも汚すぎる上記少年誌史上最低かつ究極的対処法によっておかかの身体を離れたスキを突かれ、よりにもよって最下級であるビオクラス・新太の槍の一撃によって倒される。
ウ○コに驚いた隙に雑魚にやられるという、凄まじく情けない、かつ可哀想な退場の仕方をした哀れまれるべき中ボス。
突然の終了
2017年の『週刊少年マガジン』16号において、本作は“第一部完結”というラストページの小さなアナウンスのみで唐突に最終回となった。
事前告知や前週号での予告は一切無いばかりか、本誌でも最終回である旨はハシラにも無く、明確な連載終了が記された文面が前述の最終頁にしか描かれておらず、読者にとってみれば何が起きたのか分からない状態での終了である。
また、巻末コメントでは「VECTOR BALLはこれで終わりとなります」と記載しており、現時点では月刊移籍や続編執筆の時期などは特に公表されていない。
前々回で一旦バトル展開には区切りは付いたが、話は継続地点のまま。コレは大ボスを倒して終わり、というよりは「ドラゴンボールでドドリアを倒した次の回でいきなり終わった」ぐらいの地点であり、物語序盤から貼られていた伏線や謎は完全放置になっている。
最終回は魑魅がこのマンガ最後の敵になってしまった、どう見てもネタキャラな蟹型思念体キャプテン・カニジュースを倒した後に一口で食して「カニ味だ!!!」と叫んでいる所で終わった。魑魅くんがどのような思念体の力を得たのか否かすらも定かではない。
近年の『マガジン』には珍しく打ち切りENDだが、何故このような突然の連載終了となったのかについて、雷句誠本人のブログにおいて『マガジン』発売当日に詳細な説明があり、アンケートが10週目時点で既に壊滅的であったこと(ネットアンケートになってからはより厳しくなったという)に加えて「編集部サイドが提案した展開が自分にとって苦手な部類であったため、不快な展開しか作り上げられず、自分なりに消化して漫画に反映する事の出来なかった自分自身の力不足である」としている。
この新展開は1ヶ月ほど前から準備と反映に尽力したものの、やはり現在の実力での制作が困難だったことで、打ち切るなら打ち切るなりの「一旦纏め上げるラスト」すらも描けないままとなり、雷句自身も「まさかこの回で終わるとは思っていなかった」という。第一部完のゲラチェックも目を通してはいるが、編集サイド推奨展開は描けそうにないとしており、「多分もう描けないだろうと思います」として、現状続編執筆の意志は非常に薄い模様。
この件について、雷句誠は相当に打ちのめされてしまったらしく、Twitterではこの直近まで精神的に辛そうな内容が幾度も掲載されていたが、ブログにおいては「今回の件で疲弊が今まで以上に大きく、少し漫画から離れたい思い」とも語っている。
なお、単行本についてはこの「最終回」も含めた第5巻を発売してもらえる運びにはなったという。
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