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曖昧さ回避 曖昧さ回避

Armホールディングス

現在の会社名はArm Holdings plc英国ケンブリッジに本社を置く、ARMアーキテクチャ(後述)のCPU設計を提供ライセンス)する企業

ライセンス形態はソフトウェア的に記述されたデータソフトマクロ)である「ARM RTL」が基本だが、回路配線とある程度の最適化を済ませた「ARM POP」も用意している。GPUなどの周辺コアはARMのものを使っても良いし、顧客自身が開発したものや他社のものを組み合わせても良い。さらには周辺回路の選択の幅が狭まるが、特定ファウンドリ(TSMCなど)にそのまま渡せば作ってくれる「ハードマクロ」も用意している。

AppleやQualcomm、富士通など一部の企業に対しては「アーキテクチャライセンス」としてCPUマイクロアーキテクチャの設計を独自に行うことを認めている。

歴史

元々は6502ベースパソコンを製造していたAcornというコンピュータメーカーからスピンアウトした会社である。同社はBBC Microのヒットを経て新しい32ビットRISCプロセッサであるARM2を独自開発し、 Acorn Archimedes というマシンに搭載した。ARMという名前Acorn RISC Machineの略である。

1990年、このCPUをつけたApplePDA分けであるNewtonへの採用を決め、Acornのプロセッサ開発部門(わずか12人のエンジニア)がAppleと製造メーカーのVLSI Technologyの出資を受けてスピンアウトする形で独立企業Advanced RISC Machinesになった。この社名は1998年に上場の際、ARM Limited称された(上場にあたり、Appleの持っていたARMは売却され、Appleに多額の利益をもたらした)。

また、Newtonが発売されたのと同年の1993年に発表されたゲーム機3DOにもARMが採用された。結果的にはNewton3DOも成功しなかったのだが、同じ年にTIのGSM携帯電話向けのチップセットに採用されたのがARMの運命の分かれとなった。TIはARMベースCPUを利用することを強く勧めたが、携帯メーカーノキアは32ビットによりメモリ利用量が増えることを強く懸念した。ARMは日立SuperHに倣い、16ビットの短縮命(Thumb)を組み込むことにした。このThumb命実装したARM7TDMIノキアシンビアンOS世界GSM携帯の標準となる。ノキアSymbian OSGSM携帯の標準であり、Symbian OSサポートするのはARMだけということで多くのメーカーがARMからライセンスを取得、携帯電話向けチップセットリリースするようになった。

1995年にはDECとの共同開発プロジェクトStrongARMに着手。NewtonArchimedesに採用されたほか、CompaqiPAQなどにも採用された。のちにこの部門はIntelに売却されXScaleとしてPocket PCなどに採用された。ARMのエンジニアはこの経験で高性プロセッサの設計技術を学び、ARM9/ARM10/ARM11といった製品に生かされた。体であったAcornによる パソコン の製造は2003年に終了したが、ARM9やARM11は携帯電話ニンテンドーDSなどのゲーム機などのアプリケーションプロセッサで広く採用され、ライバルMIPSに代わり32bit組み込みプロセッサの標準の座を固めていく。

2006年ノルウェーGPUベンチャーFalanx社を買収。同社の技術を吸収し、MaliブランドGPUコアとしてオプション提供を始める。

また、これに先立つ2005年には製品ラインアップを再編し、携帯電話などのアプリケーションプロセッサ向けの高性Cortex-Aリアルタイム制御向けであるCortex-R、組み込みシステム向けのCortex-Mと用途別にCPUコア提供する方針を打ち出した。ここまでは組み込みとクライアントシステムに特化していたため全て32ビットであったが、顧客からは電効率に優れるARMアーキテクチャサーバへの応用を望むが高まり、2011年には64ビットセットであるAArch64を発表。2018年にはデータセンター向けのIPとしてNeoverseシリーズを追加し、ハイエンサーバー市場への本格的な進出を果たした。

2016年ソフトバンクグループがArm社を約3兆3000億円で買収した。その後業績が思わしくなくなったソフトバンク2020年にはArmのNVIDIAに売却することで合意したものの、規制当局の合意が得られず断念。結局2023年にArm社はNASDAQに再上場した。

ARMアーキテクチャ

セットは32ビットと64ビットで全く異なり(64ビット実装でも32ビットが実行できるようになっているため互換性はある)、また32ビットでも途中で命が多数追加されている。

ARMコアの出荷数は加速度的に伸びており、2008年1月の時点で100億個以上、2010年9月の時点で200億個以上。2023年の上場時には累計2500億個のコアを出荷したと発表している。

ローエンド品は電子タグにも採用されるなど、低消費電定評があるが、64ビット版のAArch64は実装次第では富岳(スーパーコンピュータ)に搭載されたA64FXのような非常に強プロセッサを設計することも可である。ただしCortex-MのようなローエンドとNeoverseのようなハイエンドでは全な互換性があるわけではない。

32ビットARM

一応はRISCセットに分類され、32ビット固定長でマイクロコードを持たず、ロード/ストアアーキテクチャを採用する。ただし、RISCとしては例外的に豊富なアドレッシングモードを備えている。また、全命に条件コード部が設けられ、ほぼ全ての命を分岐命しに条件付きで実行することができるという特異な設計である。汎用レジスタは基本的に16本。

VFP (Vector Floating Point)やAdvanced SIMD (NEON)など多数の拡があるが、オプションとして顧客が選択できるようになっている。中でも16ビット長の命モードThumbはARM7TDMI以降のほとんどのARMプロセッサが搭載している。

64ビットARM

変態的だった32ビットARMと異なり条件付き実行命の大半が削除されるなど常識的なRISCセットである。命長は32ビットであるが16ビットのThumb命も引き続き搭載している。汎用レジスタは31本。また上記のVFPとNEONが統合されSIMDが大幅強化されており、SIMD and Floating-pointと称されている。

SIMD2021年発表のARMv9Scalable Vector Extension 2(SVE2)として発展し、最大2048ビットの演算ができるよう定義された。

ARMアーキテクチャを採用している有名なSoC

アーキテクチャライセンスに基づき独自設計されたコアを搭載しているものは太字

IntelAMDを含め名だたる半導体企業でARMとの取引のない企業はほとんどないと言ってよく、Raspberry PiPlayStation Vitaなど数え上げればキリがないほど多数の機器に採用されている。CPUx64系のパソコンであってもARMベースコントローラーがいくつも入っているはずだ。

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