For He's a Jolly Good Fellow(フォー・ヒーズ・ア・ジョリー・グッド・フェロー)とは、英語圏で広く親しまれている祝歌・民謡である。日本語圏では定訳が存在せず、邦題には「彼はいいやつだ」「彼はいかしたやつだから」などの訳例がある。
英語のやや古めかしい言い回しで「あいつは本当にいいやつだから!」と繰り返す短い楽曲である。集まった人々が主役となる人物に向けて合唱し、その場を盛り上げるために用いられる。
英語圏において、特定の人物を祝福したり称えたりするお祝いの席で歌われる非常に有名な楽曲である。ギネス世界記録において、「Happy Birthday to You」「Auld Lang Syne(蛍の光)」と並んで、英語圏で最も歌われている3大英語楽曲の一つに数えられたこともある(記事「世界で最も歌われる3曲」も参照)[1]。
「Happy Birthday to You」と異なり、シーンが限定されないため汎用性が高く、誕生日、結婚式、昇進、退職、スポーツの祝勝会など幅広い場面で歌われる。2017年にイギリスのエディンバラ公フィリップ王配が公務引退となった際にも、海兵隊により本楽曲が演奏されている[2]。
日本ではあまり馴染みのない楽曲であるが、映画やテレビドラマなどのサプライズパーティーや宴会のシーンでこの曲が合唱される場面がしばしば登場するため、メロディーを聴いたこと自体がある人は意外といる、かもしれない。
というのも、実は長年の間、誕生日を祝う定番曲である「Happy Birthday to You」はワーナー・チャペル・ミュージックという音楽出版社が著作権を主張しており、映画やテレビ番組で使用すると高額な使用料を請求されるという問題を抱えていた(※2015年の裁判でこの著作権主張は無効とされ、現在はパブリックドメインとなっている)。
そのため、ハリウッド映画や海外アニメの制作者たちは著作権使用料を回避するために、誕生日パーティーのシーンであっても「ハッピー・バースデー〜」ではなく、すでにパブリックドメイン(著作権切れ)であった「For He's a Jolly Good Fellow」を合唱させるという手法を頻繁に用いたのである[3]。要するに大人の事情。例えば映画『風と共に去りぬ』などがその一例である。
この楽曲のメロディーは、18世紀のフランス民謡『マールボロ公は戦に行く(Marlbrough s'en va-t-en guerre)』に由来している。
このフランス民謡は、スペイン継承戦争におけるマルプラケの戦い(1709年)の際、イギリス軍の優秀な司令官であった初代マールボロ公ジョン・チャーチルが戦死したという「誤報」を元に、フランス軍の兵士たちが彼をからかって歌ったものが起源とされている(実際にはマールボロ公は生きており、この戦いでもイギリス側が勝利している)。
その後、このメロディーはマリー・アントワネットを通じてフランス宮廷で流行し、さらにイギリスへ海を渡った。19世紀半ば頃のアメリカやイギリスにおいて、このフランス民謡のメロディーに「For He's a Jolly Good Fellow」という英語の歌詞が乗せられるようになり、現在のようなお祝いの歌として定着していったと考えられている。
異説として、もともとアラビアに「マブルーカ」という似た歌があり、十字軍の兵士がヨーロッパに持ち帰ったのを、5世紀ほどして、ルイ16世の皇子の乳母がヴェルサイユ宮殿に歌い広めた、などという説もあるらしい[4]。
また、同じメロディーを用いた別の民謡として、英語圏には「The Bear Went Over the Mountain(クマさんが山へ登ったよ)」、「We Won't Go Home Till Morning(朝まで帰れない)」が存在する。
地域や時代によって細かいバリエーションが存在するが、最も一般的な歌詞は以下の通りである。
For he's a jolly good fellow, for he's a jolly good fellow,
For he's a jolly good fellow, which nobody can deny!
和訳すると以下のようになる。
だって彼は いいやつだから だって彼は いいやつだから
だって彼は いいやつだから 誰にも文句は 言わせない!
対象が女性の場合は「he's」を「she's」に置き換えて歌われる。古い曲であるため最近ではあまり用いられない古い英語表現が混ざっている。例えば「Fellow」は「いいやつ」、「Jolly good」は「とてもいい」といった意味合いである。
なお、上記の歌詞はアメリカにおける一般的な歌詞であり、イギリスにおいては、最後の「Which nobody can deny(誰もそれを否定できない=誰にも文句は言わせない)」の行が「And so say all of us(俺たちみんなそう思ってる)」と歌われることが多い。
歌い終わった後の定番のくだりとして、「Hip, hip, hooray!」がある。音頭をとる人物が「Hip, hip!(ヒップ、ヒップ!)」と叫び、周りの人々が「Hooray!(フレー! / 万歳!)」と応じる「万歳三唱」である。これを3回繰り返して、お祝いの対象者を盛大に称えるのが通例となっている。
日本では全く定着していない本楽曲は、定訳(定着した翻案)も存在しない[5]。ここでは過去の文献から題に言及・翻訳を試みている例を抜粋して紹介する。
※★が付いているものは、原資料で歌詞の訳も付記されている例である。
あいつは陽気でいいやつだから」——上原裕美子、2013年[6]
あいつは愉快ないいやつよ」——C・W・ニコル、1972年[7]
奴は陽気な気のいい男」——栗田勇、1962年[8]
あいつはとてもいいやつだ」——旺文社、1950年代[9]
あいつは大変良い奴だから」——横川信義、1959年[10]
なぜってあいつは好いやつだから」——横川信義、1958年[11]
それは、彼が愉快ないゝ男だから」——清水晶、1947年[12]
彼は大好漢だ」——勝田孝興、1925年[13]
気軽なる善き人」——村松守義、1887年[14]

ELLEgirl編集部, 2017年8月3日。2026年3月14日閲覧
- Mike Roe, 2015年9月23日。2026年3月14日閲覧掲示板
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最終更新:2026/09/12(土) 11:00
最終更新:2026/09/12(土) 10:00
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