Krita 単語

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クリタ

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Krita ロゴ

Kritaとは、オープンソース開発されているフリーペイントツールである。

読み方は「クリタ」など。

概要

フリーでありながら、ペイントツールの中では有償のものを含めてもトップレベルの高機を誇るペイントツール。強ブラシ・キャンバス操作機と、ペイントツールというよりレタッチソフトの様な高度な色管理・変形・レイヤー関係の機を特徴とする。

だがそれにもかかわらず日本での知名度は低い。Pixivの使用ツール一覧からもハブられている2015年11月28日付でKritaがPixivの使用ツール一覧exitに記載されたことを確認。やったぜ。そして使われてもしばしばPsd読み込み機として使われたりCMYK出機として使われたりとどの高機は腐ったままにされる。多分そうやって使っている人のペイントツールより大抵Kritaは強な機を備えてるのにである。かなしい。

2023年末時点でのバージョン5.2.2exit2016年5月31日に3.0シリーズが正式リリースされたことにより2.9シリーズから大きく変化した箇所が出ている。

Linux及びWindowsVista以降)OSX/macOS(10.9 "Marvericks"以降)に対応するクロスプラットフォームソフトである。本来Linux向けのデスクトップ環境KDEの描画ツールとして開発されているのだが、現在KDEを使用しないLinuxディストリビューションWindowsOSX/macOS向けに単独で配布も行われている。OSX及びmacOSへの対応はバージョン3.1でようやく実現した(Kritaが依存するGUIキットQt自体を書き換える大工事を要するものだった)ただしKritaのGPLライセンスAppleの規約が干渉するため、OSX/macOS版の配布はMac App Storeではなく、Krita公式サイトでのディスクイメージの配布で行われている。

多言対応であり、日本語はもちろんエスペラントからマイティリーまで世界中の70の言に対応している。バージョン3.0からWindows版についてはデフォルト英語ではなくシステムで起動するようになり、英語UIから日本語UIに変えるのにもたついたり、間違えて変な海賊版翻訳ソースを突っ込んでしまう心配がなくなった。

ちなみにKritaユーザーはKritanとよばれる。かわいい

特徴

説明
豊富かつ強ブラシ機 Kritaはペン鉛筆・筆など描画ツールに加え、消しゴム先などのツールまでがブラシに統合され、100える膨大な数のブラシが使用可になっている。そしてこれと下記のポップアップパレットの組み合わせによりスムーズなお絵描きが可になっている。

Gペンエアスプレー現実の画材に準拠した必要十分な数のブラシがずらりとそろっており、さらにラフ画の様な線を描けるスケッチブラペンタブペンの傾きセンサーを利用して彫刻するように法線マップを描画できる接線法線ブラ等のこのソフト以外では見られないようなユニークブラシも備えられている。

さらに多数の設定からそれらのブラシをカスタマイズ・新たにブラシを作成することもでき、また第三者の制作したブラシについてもソースバンドシステムによりブラシがたくさんあっても簡単に導入・管理できる。基本的にKritaのサードパーティーブラシセットには数十個のブラシが入っているのが標準的であるため、それを加えると落でなく数ブラシを使用できるソフトと言えよう
ポップアップパレットKritaのポップアップパレット Kritaのハイライトともいえる機。キャンバス上で右クリックすることで左のような、カラーサークル(中心の三角とそれを囲むグラデーション色の輪)・現在使用している色と背景の色左上)・最近使用した色カラーサークルの一つ外側の色の輪)・現在タグ右下アイコンで切り替えられる)に含まれるブラ(外側の輪)・現在ブラシのパラメータ右下矢印アイコンでその表示非表示を切り替えられる)がコンパクトにまとまったポップアップパレットが表示される。

膨大なブラシの中から使用するものを予め複数のタグに分類しておけば、カラーサークルブラ一覧を常時表示しておかずともキャンバス上でどの作業を完結させることが可になる。Kritaの膨大な数のブラシを使いこなすためにも重要となる機である。
自動保存 設定した時間間隔で自動でファイルに上書き保存が行われる。これより保存するの忘れたままソフトが落ちて数時間分の作業がパーに…ということはなくなっており、作業の安定性が非常に高まっている。
アニメーション製作 タイムライン前後フレームの表示(所謂オニオンキン)機を持つ本格的なフレームバイフレーム方式(一枚づつコマを書いて動かす方式)アニメーション実装している。さらにレイヤーの不透明度についてはトゥイーン方式(パラメータを自動補で変化させる)アニメーションが可であり、また音ファイル読み込みとアニメーションとの同時プレビューも可である。

ラスタベースでこれほどの本格的なアニメーション製作と描画機を持つフリーソフトはおそらく他には商業アニメ制作ソフトToonzがオープンソース化されたOpenToonzぐらいであろう。

レイヤータイムラインを持つシステムを採用しているため、普通イラストを描く感覚で各フレームに複数のレイヤーを使いながらコマを描く、あるいはハイライトなどのレイヤーを各個にアニメーションさせていく感覚で直感的にアニメーションを作ることが可になっている。
クロスプラットフォーム WindowsOSX/macOSLinux要三大OS全てに対応するクロスプラットフォームアプリケーションである。つまり、大まかに言うとどんなPCでも同じように動き、また異なる環境PCの間でデータのやり取りも可であるということである。まあPCが古すぎると動かないんだけどね。
おそらく、この要三大OS全てに対応しているペイントソフトはKritaが一であるという点では画期的な存在であろう。こらそこ普通ソフトLinuxサポートする意味なんてあるのかとか言わないの
G'micフィルタ 界線を認識して自動で色の塗り分けを行う機線画全に閉じていなくても塗り分けを行うことができる。(ただしG'micはKritaとは異なる独立したプロジェクトであり、単にそれだけのための機ではないが、そのまま行くとKritaではなくG'micの話になるので詳しくは割愛

またこれとは別の機として自動塗り分けブラシ/自動塗り分けマスク開発が行われている。G'micの弱点である操作のややこしさとアニメーションとの致命的な食い合わせの悪さも解消した新機となる予定で、現在GUI完成し、アルゴリズム開発中である。
手ブレ補正 フリーハンドブラツール選択時にツールオプションドッキングネルから選択可。簡易手ブレ補正、重みづけ手ブレ補正、安定化手ブレ補正の3種があり、さらにパラメータで細かく設定できる。
様々なキャンバス操作 キャンバスの拡大縮小・回転はもちろん、上下・左右の反転、キャンバス全画面表示、上下・左右に対称に描画したり、はてはテクスチャのようにキャンバスを上下左右に連続して繰り返し描画するラップアラウンドモードなど、自分の的に合わせてキャンバスを様々に操作することができる。
描画補助線 ブラシをスナップさせられる補助線をキャンバス上に展開することができる。特に遠近法グリッドを用いるとパースを簡単に描画することが可となる。(その他にも直線、楕円、視点などの補助線を設置可である)
高度な変形機 どの有償ペイントツールを上回る高度な変形機を備える。Photoshopと同様のゆがみツール、変形させたい部分をアンカーポイントで囲ってその移動によって滑らかに変形させるケージ変形パースに基づいて変形する遠近法変形などがある。

また、下記の変形フィルタを使用することで、非破壊的に変形を行うことも可である。
ビット深度・CMYK対応・フルカラーマネジメント 32ビットまでのビット深度に対応、そしてCMYKのみならず、グレースケールXYZLabなどほとんどあらゆるカラーモデルに対応し、Little CMS(所謂ICM・ICCプロファイルを使うもの)とOpenColor IO映像関連で用いられる。HDRサポートの項で後述)による非常に高性の色管理システムを持つ。またソフトプルーフ機もあり、色プロファイル変換による色味の変化も事前に確認することができる。

特筆すべきことはペイントツールでちゃんとした色管理システムを持つものは、実は有償まで含めてもCorel Painter以外にはKritaぐらいしか例がないということである。
SAIFireAlpaca等通常のペイントツールプロファイル定せず単にRGB値をモニタRGBプロファイルに従って表示するだけであるため、使用するデバイスそれぞれのRGBプロファイルの違いによって色味が変化してしまうことが避けられない。
それらのツールを単体で使用する場合、CMYK変換による色味の変化以前に実はそこで色味の変化が発生してしまっているのである(なお、Clip studio paintCMYK対応を謳ってはいるものの、そもそも色管理システムを持っていないため、結局正確なCMYKへの変換は行えない仕様となっている)

それらにべてKritaは最初からICCプロファイル定してどのデバイスでも同じ色味で見える画像を作ることが可である。CMYKでの色味の変化が気になってしょうがないなどという人は、まず絵の描き始めからKritaを使うことが強く推奨されるであろう。
SAIPhotoshop互換ショートカット SAI及びPhotoshop互換のショートカット設定に簡単に切り替えを行える機を持つ。メニューの設定→Kritaを設定→キーボードショートカット及びキャンバスの設定から可
高度なレイヤーマスク Kritaのレイヤーの種類は7つペイントグループ、複製、ベクターフィルタ、塗りつぶし、ファイル参照)、マスクの種類は4つである(透過・フィルタ・変形・ローカル選択)。レイヤークリッピングやグループ化はもちろんだが、特に強なのはマスクである。

Kritaのマスクは非常に高機であり、これによりペイントツールの中では突出した非破壊編集を持っている。具体的に言うと、透過・フィルタ・変形・選択範囲をレイヤーから切り離して保存し、必要な時に適用の有効効を切り替えられるのである。

またPhotoshop準拠のレイヤースタイルに加え、レイヤー分割(単独のレイヤーを色ごとに新たなレイヤー分割する機)、タイル状繰り返し複製(あるレイヤー、例えばシーレステクスチャ画像を任意の回数繰り返して貼り付ける機)などの強な機を備える。

ちなみにKritaにはレイヤーの枚数の上限がプログラム上では存在しない(つまりメモリの上限まで無限レイヤーを追加できる)というペイントツールの中では結構レアな特徴を持っている(SAI1は256枚、SAI2は10248190枚、FireAlpacaMedibang Paint Proでは2561024枚、CLIP STUDIO PAINTでは99910000枚)。他のソフトではあとから緩和されたが、Kritaでは最初の安定版1.4から制限であった。
ベクター図形の編集 ベクター図形を扱うことができる。どちらかというとSVGライク(厳密にはODGと呼ばれるオフィス系のフォーマット)。文字ベクター図形として入・編集可
膨大な数の合成モードフィルタ Photoshopブレンモードの数を上回る膨大な数の合成モードが備わっている。またフィルタの数もペイントツールとしてはかなり多い(レタッチソフトべるとやや不足ではある)
対称ブラ 様々な対称図形を描画できる対称ブラシ機が搭載されている(上下・左右の対称描画はキャンバスに設定される別個の機であることに注意)。アラベスク文様や魔法陣などを簡単に描画できる。
HDR・OpenColorIOOpenEXR対応 HDR(ハイダイナミックレンジ。大きくダイナミックレンジを取れる方式で、映像関連でよく用いられる)画像の編集・保存が可となっている。これはペイントツールの中では有償のものまで含めてもKritaにしかできない。またHDR画像のための形式であるOpenEXR、HDR画像のためのカラーマネジメントシステムであるOpenColorIOサポートしている。これによりBlender等の映像ソフトとも連携が可になっている。
PSD対応 PSDを開ける…と謳っている。残念ながらおそらく日本で最もよくKritaが使われている(そして直後に捨てられる)用途である。

なお、余談ながらAdobe公式から配布されているソフトウェア開発キットに「アドビの知的財産権を第三者にライセンス供与する必要がある、または第三者と共有する必要があるライセンス条件求められるソフトウエアと併合、統合、または使用しないものとします。exit」と書いてあるように、GPLライセンスのKritaはAdobe公式ソフトウェア開発キットという正規のルートが使えず、リバースエンジニアリング(非正規的にソフトウェアの動作を解析してソースコードを割り出す方法)頼りでこの機実装されている。

このためKritaはしばしばPSDファイルを開けないことがあることに注意が必要である(かつて上記の条項が追加された際にKritaの開発者は新たな工業規格ファイル形式としてORAという形式を開発したが、現在はMypaintネイティブ形式としてしか利用されていない)ある意味当然のことだが、PSDファイルAdobe社の製品を買って開いた方がいろんな面においていいのだと言えよう。

高頻度ショートカット

これはKritaのデフォルトショートカットであるが、前述のようにPhotoshopSAI互換のショートカットに切り替えることも可であることに注意

キャンバス平行移動
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバス行移動 マウスボタンドラッグ
スペースキー+マウスボタンドラッグ
キャンバス回転
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバス回転 Shiftキーマウスボタンドラッグ
Shiftキースペースキー+マウスボタンドラッグ
左に15°回転 4
回転リセット 5
右に15°回転 6
キャンバス拡大縮小
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバス拡大 マウスホイール上へ
キャンバス縮小 マウスホイール下へ
キャンバス拡大縮小 Ctrlキーマウスボタンドラッグ
Ctrlキースペースキー+マウスボタンドラッグ
キャンバス拡大 -(マイナス
キャンバス縮小 =(イコール
拡大縮小リセット 1
ページに合わせる 2
幅に合わせる 3
その他キャンバス操作
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバスのみ表示/表示解除 Tabキー
全画面表示 CtrlキーShiftキー+F
キャンバス左右反転表示 M
ラップアラウンドモード W
ブラシ・色
操作 ショートカット(デフォルト)
ポップアップパレット マウスクリック
カラーピッカー(全体から) Ctrlキーマウスクリック
カラーピッカー現在レイヤーのみ) AltキーCtrlキーマウスクリック
ブラ B
ブラサイズ変更 Shiftキーマウスボタンドラッグ方向)
合成モード消しゴムモードに切り替え E
直前のブラシプリセットに切り替え /
レイヤー
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバス上からレイヤーを選択 R+マウスクリック
キャンバス上から複数のレイヤーを選択 Shiftキー+R+マウスクリック
現在レイヤー背景色で塗りつぶす Backspaceキー
選択
操作 ショートカット(デフォルト)
左右固定 Shftキー
中心を固定 Ctrlキー
範囲の大きさを保って移動 Altキー
交差選択 ShiftキーAltキー
追加選択 Shiftキー
A
減算選択 Altキー
S
全選択 Ctrlキー+A
全選択解除 ShiftキーCtrlキー+A
移動
操作 ショートカット(デフォルト)
矢印の方向に既定のピクセル(デフォルトでは1px)だけ移動 矢印キー
矢印の方向に既定のピクセルの10倍(デフォルトで10px)だけ移動 Shiftキー矢印キー
変形
操作 ショートカット(デフォルト)
左右固定 Shiftキー+(拡大縮小中)
遠近法変形 Ctrlキー
アニメーション
操作 ショートカット(デフォルト)
一つ前のフレーム キー
一つ後のフレーム キー
フレームコピー コピー元のフレームを選択し、コピー先のフレームCtrlキーマウスボタンドラッグ
フレームを追加選択 Ctrlキーマウスクリック
アクティブフレームクリックしたフレームの間の全フレーム選択 Shiftキーマウスクリック

弱点

重い
しばしば言われること高速プレビューモードLoD)の実装により大幅に善された。OpenGLと高速プレビューを有効にすれば、かつてのように大きなキャンバスサイズブラサイズで大きくカクつくことはほとんどない。
ただし環境と設定によってパフォーマンスが大きく変化する場合があるため、極端に重たい場合は合点せずに設定からOpenGL関係のパラメータを弄る等exitして確認した方がいいであろう。また高機AzPainterなどの軽量ツールべて重いのはどうしようもないという点には注意。
バグ
Kritaは非商業的に開発が行われているため、常勤開発者が2人しかおらず、その結果バグがやや多くなりがちと言える。これに対して開発は長期的な標としてさらなる常勤開発者の確保、短期的な対策としてバグ対処へのユーザーの積極的参加のためのガイドラインexitの作成等を行っている。また3.0.1から6週間毎の定期リリースサイクルへ移行し、バグ修正へ大きな労を割けるようになった。
現状では特にOpenGL関連でトラブルが起きやすい。3.0でOpenGLに関するトラブルはほぼ全に解消された。ただし古いバージョングラフィックドライバを使っているとこの問題が稀に発生することがあるので、特にIntel製のグラフィックについてはドライバをなるだけ最新版に保っておくようにした方がいいだろう。
ただしどのバグについては自動保存機のおかげで途中でクラッシュしても実はそれほど大きくなく、むしろ作業の安定性自体は他のツールべても高いと言える。上のガイドラインを軽く読み、後はあまり気負いせず使っていけばよいだろう。
OSXは正式サポートされていない】
OSXでの正式サポートは未だになされていないことに注意である。ついにバージョン3.1でOSX/macOSに正式に対応した。公式サイトからディスクイメージ版を手に入れられる。ただしKritaのライセンスであるGPLAppleの規約と干渉してしまうため、Mac App Store経由での配布はおそらく未来永劫不可能である。これは同時にKritaのiOS版が出る望みがほぼであることも意味している。
【Krita Geminiが有償にもかかわらず若干微妙
Krita GeminiSteamで配布されているタッチネル用のUIを持った特殊バージョンのKritaであり、開発を集めるため有償で配布されているが、バージョンがなぜか最新版になっていない、そもそもKritaはタブレットで動かすには若干重すぎるなどがあり、Krita Desktopの方が使い勝手がむしろいいというよくわからないことになっている。開発お金を貢ぎたいなら素直に公式サイトから寄付しに行った方がいいだろう。
消しゴム独立したツールではなくショートカットを割り当てられないブラシプリセットとして存在している】
使っている際の違和感としてわりとよく上げられるもの。Kritaで消しゴムツールブラシの一種として存在しており、独立したツールとしては存在しない。代わりにブラシの合成モード消しゴムに切り替えるボタンなどもあるが、これはポップアップパレットにどれだけ慣れるかという側面もあるだろう。
Kritaのブラシの豊富さは単にブラシ機が強というだけではなく、様々なツールブラシ機に統合されている(例えばツールなど。Krita内では混色ブラシという形で使用できる)側面があり、ブラシプリセットショートカットキーを割り当てられないことも重なってポップアップパレット活用はKritaを使用するうえで非常に重要となっている。
ただし消しゴムについてはあるバグの存在を発端として現在善策が開発によって検討・開発されている。将来に期待である。
漫画関係の機が欠落している】
漫画が描けないわけではないのだが、コマ割りページ管理など、漫画を描くうえで重要な機が欠落している。特に後述の様に文字不足が大きく、縦書きができないのは日本語漫画を描くうえではかなり致命的であり、ほぼ他ソフトとの連携が前提となってしまう。
なお2016年度のKickstarterexit縦書きを含めたテキストの大幅強化開発標として掲げており、また2017年度の開発標としてもコマ割りなどの漫画系機の大幅強化が検討されており、先行きが暗いわけでは全くない。ただし縦書きについては、2021年現在実装
ベクター図形・文字の編集がやりにくい】
に機としてはそこまで悪いものではないのだが、操作性がかなり悪く、とかくに扱いづらい。また、しばしばペイントツールにしばしばあるベクターでの線画も存在していない。また文字周りの操作性もにひどく、日本語は一応できるものの編集が非常にやりづらくなっている。また縦書きができず横書きしかできないというのは漫画などを描く際には大きな弱点の一つと言えるだろう。
ただし、テキストの大幅強化及びベクターODGからSVGへの移行等のベクターの大幅な強化開発標に掲げた2016年度のKickstarterexitが成功し、2021年時点でKritaでのSVG読み込み及び保存が行える段階まで開発されている。しかし、現状KritaでベクターをやるぐらいならInkscape等、文字入れをするぐらいならFireAlpaca等を使うというのが賢い選択であろう。
初見殺しカラーマネジメント仕様
まず大前提として一般に色管理、カラーマネジメントはそんなに簡単なものではないのだが、それに加えてKritaは

レイヤーメニューの「レイヤー」>「レイヤーカラースペースを変換」で色プロパティ(色モデル・深度・プロファイル)の変更が可

画像ファイルメニューの「画像」>「プロパティ」で色プロパティの変更が可

のそれぞれに別個にカラーマネジメントを行う仕様であり(かつ色プロファイル定しないということができない)他のソフトを使っている人でも分かっていないと混乱してしまう可性がある(この仕様上、同一の画像ファイルに色プロファイルどころか色モデルの違うレイヤーを共存させることすら可となっている。まあそれを高機と言われれば確かにそうなのだが…)それぞれのカラーマネジメントの担当は

それぞれのレイヤー上での編集はそれぞれのレイヤーの色プロパティで行われる

画像をエクスポートした場合に出される画像の色プロパティは画像のカラーマネジメント設定に基づいて行われるすなわちレイヤーの色プロパティが画像のそれらとは異なった場合、それらはエクスポートの際には強制的に画像の方の色プロパティに変換される。またメニューの「画像」>「画像のカラースペースを変換」を使うと画像ファイル及び画像ファイル内の全レイヤーの色プロパティを統一して変換できる。

という感じである。またKritaにはソフトプルーフ機も存在しており、非破壊的にCMYK色間のプロファイルへの変換の際の色味の変化も確認することができる。ただしQtの問題から現在印刷機は存在していない。CMYKが使えるPhotoshop代替ソフトとしてKritaを用いたい人はここら辺の仕様をちゃんと理解しておくべきであろう。まあでも何よりPhotoshopを使うのが一番というのが事実なのだが…
日本語の資料がほとんどなく、英語資料すらそんなにない】
ある意味最大の弱点の一つ。ユーザー数の少なさから資料が少なく、日本語資料に至っては数えるほどしかない。一応公式で日本語ガイドは配布しているexitものの、途中までであり、公式Wikiexitは割と充実しているものの全部英語である。3.0のリリースに合わせて公式の新Wikiexitが設立された。情報は充実しているが多言化がまだあまり進んではいない。みんなもぜひガイドとかチュートリアルとか記事書いてうpってほしい…
→そう言っても結局も書いてくれなかったので自分で書きました。
Kritaガイド@Niconicoexit_nicochannel
現在基礎事項・色・ブラシ・レイヤーまでの限定開だがこの範囲に関しては現時点でのKritaの日本語資料の中では一番詳しく書いてあるはずである。

Kritaの歴史

Qtのライセンスの問題で対立していたKDEGnomeの間で発生した1998年GIMPを巡る炎上騒ぎによって、1999年5月31日KDEがそのオフィススイートKOfficeに所属するKDE独自の描画ツールKImageShopとして開発を開始したのがKritaの始まりである。

かしここからが長く、数回の放置プレイを経て初の安定版1.4のリリースはその約6年後の2005年6月21日だった。初版なのに1.4である理由は所属先のKOfficeが1.4だったからである、ちなみにKritaの開発開始時にKOfficeはまだリリースもされていなかった。ほんとだらしねぇな

そこからはちゃんと継続して開発が進み現在に至る。初期は安定性がかなり低かったこと、長らくKOffice及びCalligraの一部としてしかインストールできなかったこと(そしてKOffice及びCalligra自体もLibreOfficeに常にその存在を覆い隠されていた)Linux以外の環境への対応がつい最近までなされなかったこと、そもそもどこにいてもGIMPというあまりに強大なソフトに存在を覆い隠され続けたことが、現在まで続く不当な知名度の低さとユーザー人口の少なさの原因である。

開発当初はPhotoshopモデルにして開発が行われていたが、KDE 2からKDE SC 3への移行を行ったバージョン1から2への移行期間の間にレタッチツールではなくペイントツールとして開発モデルCorel Painterに切り替え、以降ペイントツールとしての機強化を行い、今に至る。色管理機等、ペイントツールとしては相当異色な機はこの時期の遺産でもある。

タッチツールからペイントツールへの移行を行った同時期に、寄付による資を選抜した開発者に集中させてのフルタイム雇用での開発という方式を採用した。これによりそれ以降フルタイム雇用での強開発背景に、オープンソースアプリケーションとしては非常に開発速度を実現している。

最終的にKritaが名を挙げたのは、クラウドファンディングサイトKickstarter」において、開発者のフルタイム雇用を拡大するため近年行われたキャンペーンによる開発募集と、それによって実現した強開発を生かした爆発的なペースでの機追加が大きい。2016年度のKickstarterキャンペーンではPaypal経由の寄付を併せると1かで約4ユーロ日本円で500万円)を集めることに成功している。

2014年Kickstarterキャンペーン "Accelerate Development"exit
標:次バージョン2.9に24個の開発標の中から12個を実装する
期間:2014年6月10日2014年7月10日
額:15000ユーロ/最終額:19955ユーロPaypal込み20801.99ユーロ(約274万/285万円)
成果:上記にあるように24個の中から12個が選ばれたが、結果的に選ばれなかったものの中からもいくつかが実装されることとなった。最終的に約束した機バージョン2.9.7.で全て実装された。
2015年Kickstarterキャンペーン "let's make it faster than Photoshop!"exit
標:次バージョン3.1で高解像度画像及び巨大ブラシでのパフォーマンスの大幅向上とアニメーション製作実装を実現する
期間:2015年5月4日2015年6月4日
額:20000ユーロ/最終額:30521ユーロPaypal込み33628ユーロ(約423万/466万円)
結果:上の開発標に加え、過による追加標が11個加わることになった。アニメーション製作及び動作の高速化機は3.0.0.に実装されており、残りの追加標は3.1での実装を予定している。
2016年Kickstarterキャンペーン ”Let's Make Text and Vector Art Awesome!”exit
標:縦書きの導入や組版機の強化、自動での吹き出し付け等のテキストの大幅強化、及びODGベースからSVG 2ベースへの移植UI良等のベクターの強化
期間:2016年5月9日2016年6月8日
額:30000ユーロ/最終額38579ユーロPaypal込み42809ユーロ(約464万/515万円)
結果:キャンペーンは成功し、Kritaのベクターの内部規格のSVGへの移行とテキストツールの大幅な機向上が行われることになる。また追加標についてはPythonスクリプト実装SVGインポート/エクスポート機実装が選ばれた。
Kickstarter本ページの日本語翻訳はこちらからexit

ちなみに上述の様にKritaは過去2回名称が変わっている。最初はKImageShopという名前だったが、流石パクリはどうなんという意見によりKrayon名された。しかし実はこちらの方がパクリ判定を喰らって問題を引き起こし、最終的に現在の名称になった。Kritaはスウェーデン語クレヨン(Crayon)の意であり、サンスクリット語で「完璧」を表すकृत(発音は/kɹ̩t̪ɐ/)、KDEのK+書くという意味の動詞ritaという意味もかかっているとは言ってるがおそらく後ろ二つは単なる偶然の一致である

Kritaの開発

KritaはKDEプロジェクトと呼ばれるオープンソースデスクトップ環境とそれに付属する多数のアプリケーション開発(雑に言えばオープンソースOS開発していると言っていいだろう)を的とした際的な大プロジェクト下にあるアプリケーションである。Kritaの70言にも渡る広範囲の際化もKDEがそうしているのが理由である。かつてはKDEオフィススイートであったCalligra(KOfficeの後継プロジェクト)の1プロジェクトであったが、バージョン3.0をリリースするにあたりCalligraから離脱した。

KritaはKDEに所属するソフトであるが、開発元及び開発の管理のためKrita Foundation(Krita財団)と呼ばれる組織を持っている。Krita財団はBlender財団と同じBlender財団はアムステルダムオランダのデーフェンテル所在する。ただし下記のように開発者はヨーロッパを中心にロシアアメリカインド中国等各から参加している。

Kritaの開発の特徴はとりわけそのユーザーフレンドリーな姿勢にある。自らユーザーフォーラムユーザーの質問に答える・作品投稿フォーラム感想リプを付けてくれるのはもちろん、最も重要な事項は「ユーザーによる新機の提案等を開発に検討し、しばしば実際に採用、実装してくれる」ことである。公式も自ら

オープンソースのいいところの一つに自分自身の手で機を追加することができるということがあります。そしてたとえ自分はプログラミングができなくても、自分の作業に必要な機について開発者に直談判することも可です。これはオープンソースでない商業ソフトウェアでは不可能なことです!

と表明し、ユーザーが機能提案を行う上でのガイドラインexit公式提供する等、ノリノリユーザーたちの参加を歓迎している。下線部のように商業ソフトウェアでは不可能な、オープンソースソフトウェアならではの特徴と言える。

また開発に必要な分の額を直接寄付することで的の機実装させることも可であると開発自らが表明している(ただし当然然るべき額が必要になってくるので実際は法人向けの呼びかけと言える)

そもそも開発者たちはボランティアであり、ソースコード開されていることからプログラミングの知識さえあればだれでも開発に携わることが可である(事実今まで開発に何らかかわりをもってこなかった人が突然パッチを提出して機実装されたという例は稀ではない)このように開発ユーザー界がある種あいまいになっており、もが開発に貢献しその成果を利用できるというあり方はオープンソースが本来意図するところであるが、Kritaは特にそれがよく表れたソフトであると言えよう。

Kiki

Kritaのマスコットキャラクタ。ケモノアンドロイド。いちおうリス(Kritaはアルバニアリスを意味するそうな)。デザイン中国イラストレーターTyson Tanexit氏。Kritaのスプラッシュ画面にはよく氏書き下ろしのKikiイラストが登場する。など随所にを思わせるデザインが施されており、季節に合わせて植物の様に姿が進化する。

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Kritaの開発チームの一員であるScott L. Petrovic氏(公式サイト管理人でもある)による解説書。すなわち現時点で最も公式に近い解説書である。

著者は開発チームの一員であり、開発者本人たちとタッグを組んで書かれただけあり、2.9台でのKritaについては最も詳しい書籍と言える。特にブラシ周りの機解説についてはこれをえる解説書籍は存在していないと言ってよい。解説書が欲しいならまずこれを買うべきだろう。

日本語版も存在するが、印刷本はAmazonでは販売しているexitものの、なぜかニコニコ市場にはいつまでたっても登録される気配がない。そして販売ルートが特殊であるため、書店には並ばず、Amazonでのオンデマンド販売のみである(そして少々割高である。フルカラーなので仕方ない側面もあるのだが…)

よって日本語版についてはKindle版exitがお勧めである。印刷本にべて相当に割安であることだし。Kindle Unlimitedでも読めるので会員登録している人はぜひ読んでみるといいだろう。

実は世界初のKritaの解説がコレである。世界初のKritaの解説書が日本語によるものであった事実公式にとっても大いなる驚きだったらしく、わざわざ言及の上、サンプルを公式サイトに上げるなどexit、中々テンションの上がった様子であった。

なお最初にKritaの読み方を「ケリッタ」だと言い出したのはこの本である。いや普通クリタって呼びゃあいいのになぜ…(公式によれば「いや、どう読んでくれたって別にかまわないけど、俺らは「クリ・タ(Kree-tah)」って読むよ」exitだそうである。少なくとも「正しい読み方はケリッタなんやで」とドヤ顔すると痛いを見るのは確実だろう。)

内容はKritaの解説書というよりKritaを使ってデジタルイラストを描く講座と言った方が近いものになっている。買う時はそこら辺を考慮して買うべきであろう。イラスト講座としては初心者にもわかりやすい良質な本である。

雑誌I/Oスピンオフのような立ち位置の解説書。上の解説書と異なりこちらは百科事典的にKritaの機解説する本である。レイヤーフィルタなどレタッチよりな機については詳しいが、ブラシ等の機についてはかなり記述不足である。まあI/Oは他の描画ツールについてもこんな本乱造してるししかたないね

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