Kritaとは、オープンソースで開発されているフリーのペイントツールである。
フリーでありながら、ペイントツールの中では有償のものを含めてもトップレベルの高機能を誇るペイントツール。強力なブラシ・キャンバス操作機能と、ペイントツールというよりレタッチソフトの様な高度な色管理・変形・レイヤー関係の機能を特徴とする。
だがそれにもかかわらず日本での知名度は低い。Pixivの使用ツール一覧からもハブられている2015年11月28日付でKritaがPixivの使用ツール一覧に記載されたことを確認。やったぜ。そして使われてもしばしばPsd読み込み機として使われたりCMYK出力機として使われたりと殆どの高機能は腐ったままにされる。多分そうやって使っている人のペイントツールより大抵Kritaは強力な機能を備えてるのにである。かなしい。
2023年末時点でのバージョンは5.2.2。2016年5月31日に3.0シリーズが正式リリースされたことにより2.9シリーズから大きく変化した箇所が出ている。
Linux及びWindows(Vista以降)OSX/macOS(10.9 "Marvericks"以降)に対応するクロスプラットフォームソフトである。本来Linux向けのデスクトップ環境KDEの描画ツールとして開発されているのだが、現在はKDEを使用しないLinuxディストリビューションやWindows、OSX/macOS向けに単独で配布も行われている。OSX及びmacOSへの対応はバージョン3.1でようやく実現した(Kritaが依存するGUIキットQt自体を書き換える大工事を要するものだった)ただしKritaのGPLライセンスとAppleの規約が干渉するため、OSX/macOS版の配布はMac App Storeではなく、Krita公式サイトでのディスクイメージの配布で行われている。
多言語対応であり、日本語はもちろん、エスペラントからマイティリー語まで世界中の70の言語に対応している。バージョン3.0からWindows版についてはデフォルトで英語ではなくシステム言語で起動するようになり、英語UIから日本語UIに変えるのにもたついたり、間違えて変な海賊版翻訳リソースを突っ込んでしまう心配がなくなった。
ちなみにKritaユーザーはKritanとよばれる。かわいい。
項目 | 説明 |
豊富かつ強力なブラシ機能 | Kritaはペン・鉛筆・筆など描画ツールに加え、消しゴム・指先などのツールまでがブラシに統合され、100を超える膨大な数のブラシが使用可能になっている。そしてこれと下記のポップアップパレットの組み合わせによりスムーズなお絵描きが可能になっている。 Gペン、エアスプレー等現実の画材に準拠した必要十分な数のブラシがずらりとそろっており、さらにラフ画の様な線を描けるスケッチブラシ、ペンタブのペンの傾きセンサーを利用して彫刻するように法線マップを描画できる接線法線ブラシ等のこのソフト以外では見られないようなユニークなブラシも備えられている。 さらに多数の設定からそれらのブラシをカスタマイズ・新たにブラシを作成することもでき、また第三者の制作したブラシについてもリソースバンドルシステムによりブラシがたくさんあっても簡単に導入・管理できる。基本的にKritaのサードパーティーブラシセットには数十個のブラシが入っているのが標準的であるため、それを加えると洒落でなく数百のブラシを使用できるソフトと言えよう |
ポップアップパレット | Kritaのハイライトともいえる機能。キャンバス上で右クリックすることで左のような、カラーサークル(中心の三角とそれを囲むグラデーション色の輪)・現在使用している色と背景の色(左上)・最近使用した色(カラーサークルの一つ外側の色の輪)・現在のタグ(右下のアイコンで切り替えられる)に含まれるブラシ(外側の輪)・現在のブラシのパラメータ(右下の矢印アイコンでその表示非表示を切り替えられる)がコンパクトにまとまったポップアップパレットが表示される。 膨大なブラシの中から使用するものを予め複数のタグに分類しておけば、カラーサークルとブラシ一覧を常時表示しておかずともキャンバス上で殆どの作業を完結させることが可能になる。Kritaの膨大な数のブラシを使いこなすためにも重要となる機能である。 |
自動保存 | 設定した時間間隔で自動でファイルに上書き保存が行われる。これより保存するの忘れたままソフトが落ちて数時間分の作業がパーに…ということはなくなっており、作業の安定性が非常に高まっている。 |
アニメーション製作機能 | タイムライン・前後フレームの表示(所謂オニオンスキン)機能を持つ本格的なフレームバイフレーム方式(一枚づつコマを書いて動かす方式)アニメーション機能を実装している。さらにレイヤーの不透明度についてはトゥイーン方式(パラメータを自動補完で変化させる)アニメーションが可能であり、また音声ファイルの読み込みとアニメーションとの同時プレビューも可能である。 ラスターベースでこれほどの本格的なアニメーション製作機能と描画機能を持つフリーソフトはおそらく他には商業アニメ制作ソフトToonzがオープンソース化されたOpenToonzぐらいであろう。 各レイヤーがタイムラインを持つシステムを採用しているため、普通にイラストを描く感覚で各フレームに複数のレイヤーを使いながらコマを描く、あるいは影、ハイライトなどのレイヤーを各個にアニメーションさせていく感覚で直感的にアニメーションを作ることが可能になっている。 |
クロスプラットフォーム | Windows、OSX/macOS、Linuxの主要三大OS全てに対応するクロスプラットフォームアプリケーションである。つまり、大まかに言うとどんなPCでも同じように動き、また異なる環境のPCの間でデータのやり取りも可能であるということである。まあPCが古すぎると動かないんだけどね。 おそらく、この主要三大OS全てに対応しているペイントソフトはKritaが唯一であるという点では画期的な存在であろう。こらそこ普通のソフトがLinuxをサポートする意味なんてあるのかとか言わないの |
G'micフィルタ | 境界線を認識して自動で色の塗り分けを行う機能。線画が完全に閉じていなくても塗り分けを行うことができる。(ただしG'micはKritaとは異なる独立したプロジェクトであり、単にそれだけのための機能ではないが、そのまま行くとKritaではなくG'micの話になるので詳しくは割愛) またこれとは別の機能として自動塗り分けブラシ/自動塗り分けマスクの開発が行われている。G'micの弱点である操作のややこしさとアニメーションとの致命的な食い合わせの悪さも解消した新機能となる予定で、現在GUIは完成し、アルゴリズムの開発中である。 |
手ブレ補正 | フリーハンドブラシツール選択時にツールのオプションドッキングパネルから選択可能。簡易手ブレ補正、重みづけ手ブレ補正、安定化手ブレ補正の3種があり、さらにパラメータで細かく設定できる。 |
様々なキャンバス操作 | キャンバスの拡大縮小・回転はもちろん、上下・左右の反転、キャンバス全画面表示、上下・左右に対称に描画したり、はてはテクスチャのようにキャンバスを上下左右に連続して繰り返し描画するラップアラウンドモードなど、自分の目的に合わせてキャンバスを様々に操作することができる。 |
描画補助線 | ブラシをスナップさせられる補助線をキャンバス上に展開することができる。特に遠近法グリッドを用いるとパースを簡単に描画することが可能となる。(その他にも直線、楕円、魚眼視点などの補助線を設置可能である) |
高度な変形機能 | 殆どの有償ペイントツールを上回る高度な変形機能を備える。Photoshopと同様のゆがみツール、変形させたい部分をアンカーポイントで囲ってその移動によって滑らかに変形させるケージ変形、パースに基づいて変形する遠近法変形などがある。 また、下記の変形フィルタを使用することで、非破壊的に変形を行うことも可能である。 |
高ビット深度・CMYK対応・フルカラーマネジメント機能 | 32ビットまでの高ビット深度に対応、そしてCMYKのみならず、グレースケール、XYZ、Labなどほとんどあらゆるカラーモデルに対応し、Little CMS(所謂ICM・ICCプロファイルを使うもの)とOpenColor IO(映像関連で用いられる。HDRサポートの項で後述)による非常に高性能の色管理システムを持つ。またソフトプルーフ機能もあり、色プロファイル変換による色味の変化も事前に確認することができる。 特筆すべきことはペイントツールでちゃんとした色管理システムを持つものは、実は有償まで含めてもCorel Painter以外にはKritaぐらいしか例がないということである。 SAI、FireAlpaca等通常のペイントツールはプロファイルを指定せず単にRGB値をモニタのRGBプロファイルに従って表示するだけであるため、使用するデバイスそれぞれのRGBプロファイルの違いによって色味が変化してしまうことが避けられない。 それらのツールを単体で使用する場合、CMYK変換による色味の変化以前に実はそこで色味の変化が発生してしまっているのである(なお、Clip studio paintはCMYK対応を謳ってはいるものの、そもそも色管理システムを持っていないため、結局正確なCMYKへの変換は行えない仕様となっている) それらに比べてKritaは最初からICCプロファイルを指定してどのデバイスでも同じ色味で見える画像を作ることが可能である。CMYKでの色味の変化が気になってしょうがないなどという人は、まず絵の描き始めからKritaを使うことが強く推奨されるであろう。 |
SAI・Photoshop互換ショートカット | SAI及びPhotoshop互換のショートカット設定に簡単に切り替えを行える機能を持つ。メニューの設定→Kritaを設定→キーボードショートカット及びキャンバス入力の設定から可能。 |
高度なレイヤーとマスク機能 | Kritaのレイヤーの種類は7つ(ペイント、グループ、複製、ベクター、フィルタ、塗りつぶし、ファイル参照)、マスクの種類は4つである(透過・フィルタ・変形・ローカル選択)。レイヤーのクリッピングやグループ化はもちろんだが、特に強力なのはマスクである。 Kritaのマスクは非常に高機能であり、これによりペイントツールの中では突出した非破壊編集能力を持っている。具体的に言うと、透過・フィルタ・変形・選択範囲をレイヤーから切り離して保存し、必要な時に適用の有効無効を切り替えられるのである。 またPhotoshop準拠のレイヤースタイルに加え、レイヤーを分割(単独のレイヤーを色ごとに新たなレイヤーに分割する機能)、タイル状繰り返し複製(あるレイヤー、例えばシームレステクスチャ画像を任意の回数繰り返して貼り付ける機能)などの強力な機能を備える。 ちなみにKritaにはレイヤーの枚数の上限がプログラム上では存在しない(つまりメモリの上限まで無限にレイヤーを追加できる)というペイントツールの中では結構レアな特徴を持っている(SAI1は256枚、SAI2は1024→8190枚、FireAlpaca・Medibang Paint Proでは256→1024枚、CLIP STUDIO PAINTでは999→10000枚)。他のソフトではあとから緩和されたが、Kritaでは最初の安定版1.4から無制限であった。 |
ベクター図形の編集 | ベクター図形を扱うことができる。どちらかというとSVGライク(厳密にはODGと呼ばれるオフィス系のフォーマット)。文字はベクター図形として入力・編集可能。 |
膨大な数の合成モードとフィルタ | Photoshopのブレンドモードの数を上回る膨大な数の合成モードが備わっている。またフィルタの数もペイントツールとしてはかなり多い(レタッチソフトと比べるとやや力不足ではある) |
対称ブラシ | 様々な対称図形を描画できる対称ブラシ機能が搭載されている(上下・左右の対称描画はキャンバスに設定される別個の機能であることに注意)。アラベスク文様や魔法陣などを簡単に描画できる。 |
HDR・OpenColorIO・OpenEXR対応 | HDR(ハイダイナミックレンジ。大きくダイナミックレンジを取れる方式で、映像関連でよく用いられる)画像の編集・保存が可能となっている。これはペイントツールの中では有償のものまで含めてもKritaにしかできない。またHDR画像のための形式であるOpenEXR、HDR画像のためのカラーマネジメントシステムであるOpenColorIOもサポートしている。これによりBlender等の映像系ソフトとも連携が可能になっている。 |
PSD対応 | PSDを開ける…と謳っている。残念ながらおそらく日本で最もよくKritaが使われている(そして直後に捨てられる)用途である。 なお、余談ながらAdobe公式から配布されているソフトウェア開発キットに「アドビの知的財産権を第三者にライセンス供与する必要がある、または第三者と共有する必要があるライセンス条件求められるソフトウエアと併合、統合、または使用しないものとします。」と書いてあるように、GPLライセンスのKritaはAdobeの公式ソフトウェア開発キットという正規のルートが使えず、リバースエンジニアリング(非正規的にソフトウェアの動作を解析してソースコードを割り出す方法)頼りでこの機能は実装されている。 このためKritaはしばしばPSDファイルを開けないことがあることに注意が必要である(かつて上記の条項が追加された際にKritaの開発者は新たな工業規格ファイル形式としてORAという形式を開発したが、現在はMypaintのネイティブ形式としてしか利用されていない)ある意味当然のことだが、PSDファイルはAdobe社の製品を買って開いた方がいろんな面においていいのだと言えよう。 |
これはKritaのデフォルトのショートカットであるが、前述のようにPhotoshopとSAI互換のショートカットに切り替えることも可能であることに注意
操作 | ショートカット(デフォルト) |
キャンバス平行移動 | マウス中ボタンドラッグ スペースキー+マウス左ボタンドラッグ |
操作 | ショートカット(デフォルト) |
キャンバス回転 | Shiftキー+マウス中ボタンドラッグ Shiftキー+スペースキー+マウス左ボタンドラッグ |
左に15°回転 | 4 |
回転リセット | 5 |
右に15°回転 | 6 |
操作 | ショートカット(デフォルト) |
キャンバス拡大 | マウスホイール上へ |
キャンバス縮小 | マウスホイール下へ |
キャンバス拡大縮小 | Ctrlキー+マウス中ボタンドラッグ Ctrlキー+スペースキー+マウス左ボタンドラッグ |
キャンバス拡大 | -(マイナス) |
キャンバス縮小 | =(イコール) |
拡大縮小リセット | 1 |
ページに合わせる | 2 |
幅に合わせる | 3 |
操作 | ショートカット(デフォルト) |
キャンバスのみ表示/表示解除 | Tabキー |
全画面表示 | Ctrlキー+Shiftキー+F |
キャンバス左右反転表示 | M |
ラップアラウンドモード | W |
操作 | ショートカット(デフォルト) |
ポップアップパレット | マウス右クリック |
カラーピッカー(全体から) | Ctrlキー+マウス左クリック |
カラーピッカー(現在のレイヤーのみ) | Altキー+Ctrlキー+マウス左クリック |
ブラシ | B |
ブラシサイズ変更 | Shiftキー+マウス左ボタンドラッグ(水平方向) |
合成モードを消しゴムモードに切り替え | E |
直前のブラシプリセットに切り替え | / |
操作 | ショートカット(デフォルト) |
キャンバス上からレイヤーを選択 | R+マウス左クリック |
キャンバス上から複数のレイヤーを選択 | Shiftキー+R+マウス左クリック |
現在のレイヤーを背景色で塗りつぶす | Backspaceキー |
操作 | ショートカット(デフォルト) |
左右比固定 | Shftキー+ |
中心を固定 | Ctrlキー+ |
範囲の大きさを保って移動 | Altキー+ |
交差選択 | Shiftキー+Altキー+ |
追加選択 | Shiftキー+ A |
減算選択 | Altキー+ S |
全選択 | Ctrlキー+A |
全選択解除 | Shiftキー+Ctrlキー+A |
操作 | ショートカット(デフォルト) |
矢印の方向に既定のピクセル(デフォルトでは1px)だけ移動 | 矢印キー |
矢印の方向に既定のピクセルの10倍(デフォルトで10px)だけ移動 | Shiftキー+矢印キー |
操作 | ショートカット(デフォルト) |
左右比固定 | Shiftキー+(拡大縮小中) |
遠近法変形 | Ctrlキー+ |
操作 | ショートカット(デフォルト) |
一つ前のフレームへ | ←キー |
一つ後のフレームへ | →キー |
フレームをコピー | コピー元のフレームを選択し、コピー先のフレームへCtrlキー+マウス左ボタンドラッグ |
フレームを追加選択 | Ctrlキー+マウス左クリック |
アクティブなフレームとクリックしたフレームの間の全フレーム選択 | Shiftキー+マウス左クリック |
・レイヤー(メニューの「レイヤー」>「レイヤーカラースペースを変換」で色プロパティ(色モデル・深度・プロファイル)の変更が可能)
・画像ファイル(メニューの「画像」>「プロパティ」で色プロパティの変更が可能)
のそれぞれに別個にカラーマネジメントを行う仕様であり(かつ色プロファイルを指定しないということができない)他のソフトを使っている人でも分かっていないと混乱してしまう可能性がある(この仕様上、同一の画像ファイルに色プロファイルどころか色モデルの違うレイヤーを共存させることすら可能となっている。まあそれを高機能と言われれば確かにそうなのだが…)それぞれのカラーマネジメントの担当は・それぞれのレイヤー上での編集はそれぞれのレイヤーの色プロパティで行われる。
・画像をエクスポートした場合に出力される画像の色プロパティは画像のカラーマネジメント設定に基づいて行われる。すなわちレイヤーの色プロパティが画像のそれらとは異なった場合、それらはエクスポートの際には強制的に画像の方の色プロパティに変換される。またメニューの「画像」>「画像のカラースペースを変換」を使うと画像ファイル及び画像ファイル内の全レイヤーの色プロパティを統一して変換できる。
という感じである。またKritaにはソフトプルーフ機能も存在しており、非破壊的にCMYK色空間のプロファイルへの変換の際の色味の変化も確認することができる。ただしQtの問題から現在印刷機能は存在していない。CMYKが使えるPhotoshopの代替ソフトとしてKritaを用いたい人はここら辺の仕様をちゃんと理解しておくべきであろう。まあでも何よりPhotoshopを使うのが一番というのが事実なのだが…Qtのライセンスの問題で対立していたKDEとGnomeの間で発生した1998年のGIMPを巡る炎上騒ぎによって、1999年5月31日にKDEがそのオフィススイートKOfficeに所属するKDE独自の描画ツールKImageShopとして開発を開始したのがKritaの始まりである。
しかしここからが長く、数回の放置プレイを経て初の安定版1.4のリリースはその約6年後の2005年6月21日だった。初版なのに1.4である理由は所属先のKOfficeが1.4だったからである、ちなみにKritaの開発開始時にKOfficeはまだリリースもされていなかった。ほんとだらしねぇな。
そこからはちゃんと継続して開発が進み現在に至る。初期は安定性がかなり低かったこと、長らくKOffice及びCalligraの一部としてしかインストールできなかったこと(そしてKOffice及びCalligra自体もLibreOfficeに常にその存在を覆い隠されていた)Linux以外の環境への対応がつい最近までなされなかったこと、そもそもどこにいてもGIMPというあまりに強大なソフトに存在を覆い隠され続けたことが、現在まで続く不当な知名度の低さとユーザー人口の少なさの原因である。
開発当初はPhotoshopをモデルにして開発が行われていたが、KDE 2からKDE SC 3への移行を行ったバージョン1から2への移行期間の間にレタッチツールではなくペイントツールとして開発モデルをCorel Painterに切り替え、以降ペイントツールとしての機能強化を行い、今に至る。色管理機能等、ペイントツールとしては相当異色な機能はこの時期の遺産でもある。
レタッチツールからペイントツールへの移行を行った同時期に、寄付による資金を選抜した開発者に集中させてのフルタイム雇用での開発という方式を採用した。これによりそれ以降フルタイム雇用での強力な開発力を背景に、オープンソースアプリケーションとしては非常に早い開発速度を実現している。
最終的にKritaが名を挙げたのは、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」において、開発者のフルタイム雇用を拡大するため近年行われたキャンペーンによる開発資金募集と、それによって実現した強力な開発力を生かした爆発的なペースでの機能追加が大きい。2016年度のKickstarterキャンペーンではPaypal経由の寄付を併せると1か月で約4万ユーロ(日本円で約500万円)を集めることに成功している。
ちなみに上述の様にKritaは過去2回名称が変わっている。最初はKImageShopという名前だったが、流石にパクリはどうなんという意見によりKrayonに改名された。しかし実はこちらの方がパクリ判定を喰らって問題を引き起こし、最終的に現在の名称になった。Kritaはスウェーデン語でクレヨン(Crayon)の意であり、サンスクリット語で「完璧」を表すकृत(発音は/kɹ̩t̪ɐ/)、KDEのK+書くという意味の動詞ritaという意味もかかっているとは言ってるがおそらく後ろ二つは単なる偶然の一致である。
KritaはKDEプロジェクトと呼ばれるオープンソースなデスクトップ環境とそれに付属する多数のアプリケーションの開発(雑に言えばオープンソースのOSを開発していると言っていいだろう)を目的とした国際的な大プロジェクトの傘下にあるアプリケーションである。Kritaの70言語にも渡る広範囲の国際化もKDEがそうしているのが理由である。かつてはKDEのオフィススイートであったCalligra(KOfficeの後継プロジェクト)の1プロジェクトであったが、バージョン3.0をリリースするにあたりCalligraから離脱した。
KritaはKDEに所属するソフトであるが、開発元及び開発資金の管理のためKrita Foundation(Krita財団)と呼ばれる組織を持っている。Krita財団はBlender財団と同じ国(Blender財団はアムステルダム)オランダのデーフェンテルに所在する。ただし下記のように開発者はヨーロッパを中心にロシア、アメリカ、インド、中国等各国から参加している。
Kritaの開発の特徴はとりわけそのユーザーフレンドリーな姿勢にある。自らユーザーフォーラムでユーザーの質問に答える・作品投稿フォーラムに感想リプを付けてくれるのはもちろん、最も重要な事項は「ユーザーによる新機能の提案等を開発が真面目に検討し、しばしば実際に採用、実装してくれる」ことである。公式も自ら
と表明し、ユーザーが機能提案を行う上でのガイドラインを公式で提供する等、ノリノリでユーザーたちの参加を歓迎している。下線部のように商業ソフトウェアでは不可能な、オープンソースソフトウェアならではの特徴と言える。
また開発に必要な分の金額を直接寄付することで目的の機能を実装させることも可能であると開発自らが表明している(ただし当然然るべき金額が必要になってくるので実際は法人向けの呼びかけと言える)
そもそも開発者たちはボランティアであり、ソースコードが公開されていることからプログラミングの知識さえあればだれでも開発に携わることが可能である(事実今まで開発に何らかかわりをもってこなかった人が突然パッチを提出して機能が実装されたという例は稀ではない)このように開発とユーザーの境界がある種あいまいになっており、誰もが開発に貢献しその成果を利用できるというあり方はオープンソースが本来意図するところであるが、Kritaは特にそれがよく表れたソフトであると言えよう。
Kritaのマスコットキャラクタ。ケモノのアンドロイド。いちおうリス(Kritaはアルバニア語でリスを意味するそうな)。デザインは中国のイラストレーターTyson Tan氏。Kritaのスプラッシュ画面にはよく氏書き下ろしのKikiのイラストが登場する。耳など随所に花を思わせるデザインが施されており、季節に合わせて植物の様に姿が進化する。
Kritaの開発チームの一員であるScott L. Petrovic氏(公式サイトの管理人でもある)による解説書。すなわち現時点で最も公式に近い解説書である。
著者は開発チームの一員であり、開発者本人たちとタッグを組んで書かれただけあり、2.9台でのKritaについては最も詳しい書籍と言える。特にブラシ周りの機能解説についてはこれを超える解説書籍は存在していないと言ってよい。解説書が欲しいならまずこれを買うべきだろう。
日本語版も存在するが、印刷本はAmazonでは販売しているものの、なぜかニコニコ市場にはいつまでたっても登録される気配がない。そして販売ルートが特殊であるため、書店には並ばず、Amazonでのオンデマンド販売のみである(そして少々割高である。フルカラーなので仕方ない側面もあるのだが…)
よって日本語版についてはKindle版がお勧めである。印刷本に比べて相当に割安であることだし。Kindle Unlimitedでも読めるので会員登録している人はぜひ読んでみるといいだろう。
実は世界初のKritaの解説書がコレである。世界初のKritaの解説書が日本語によるものであった事実は公式にとっても大いなる驚きだったらしく、わざわざ言及の上、サンプルを公式サイトに上げるなど、中々テンションの上がった様子であった。
なお最初にKritaの読み方を「ケリッタ」だと言い出したのはこの本である。いや普通にクリタって呼びゃあいいのになぜ…(公式によれば「いや、どう読んでくれたって別にかまわないけど、俺らは「クリ・タ(Kree-tah)」って読むよ」だそうである。少なくとも「正しい読み方はケリッタなんやで」とドヤ顔すると痛い目を見るのは確実だろう。)
内容はKritaの解説書というよりKritaを使ってデジタルイラストを描く講座と言った方が近いものになっている。買う時はそこら辺を考慮して買うべきであろう。イラスト講座としては初心者にもわかりやすい良質な本である。
雑誌月刊I/Oのスピンオフのような立ち位置の解説書。上の解説書と異なりこちらは百科事典的にKritaの機能を解説する本である。レイヤー・フィルタなどレタッチよりな機能については詳しいが、ブラシ等の機能についてはかなり記述不足である。まあI/Oは他の描画ツールについてもこんな本乱造してるししかたないね
掲示板
73 ななしのよっしん
2023/02/21(火) 05:01:26 ID: D6Be3l9cN1
イラスト習いたいわけだけど、世の中の講座ってクリスタ基準が多くて、Kritaでもついていけるんかな?月一とかで趣味で描く場合、ほんとお金払いたくない
74 ななしのよっしん
2023/02/21(火) 12:46:11 ID: snVJUYP3/H
英語ができるなら、って感じかなー
無料でやりたいって動機ならアイビスやメディバンの方が日本語公式チュートリアル充実してていいと思うよ
75 ななしのよっしん
2024/01/12(金) 22:33:48 ID: n4qOA5mGoS
KRITA 5 2.2 NEW features. UPDATE NOW!! in 2024
Krita
>3.3万 回視聴
7 日前
https://
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最終更新:2024/04/20(土) 10:00
最終更新:2024/04/20(土) 10:00
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