M13/40とは、イタリア軍が第二次世界大戦中に開発・生産した中戦車である。
当記事では本車の改良型である「M14/41」および「M15/42」についても、バリエーションの一種として取り扱う。
第一次世界大戦後にイタリア軍が装備していた戦車は「L3軽戦車」であった。この車両は世界恐慌による軍事予算の削減、および山岳地帯の多いイタリア本土には小型軽量の戦車が最適であるという軍上層部の判断により主力となっていたものであった。しかし1936年に起きたスペイン内戦においては、ドイツ軍のI号戦車と同様に機銃しか装備しないこの車両は強力な砲を搭載したソ連製戦車の前になす術がなかった。
この戦いでより強力な戦車の必要性を痛感したイタリア軍は、最初の中戦車である「M11/39」を開発した。これには37mm砲が搭載されていたものの「車体前面左側に限定旋回式で搭載する」という自走砲のような形式がとられたために、全周旋回砲塔を持つ車両に対しては軽戦車相手にすら不利になりかねないものであった。
これに代わる新型中戦車として開発されたものが「M13/40」である。開発はフィアット社でM11/39と同時期に始まったが一刻も早く戦力化するため足回りは車台の延長以外M11/39と同様とし、全周旋回が可能な砲塔には47mm砲を搭載し戦闘能力を大きく向上させた。試作車両は1939年末に完成、1940年の初めに採用された。
生産されたM13/40は早速リビア方面に派遣されたが、到着して間もなく様々な弱点を露呈した。本車は砂漠での運用を前提とした設計をしていなかったため、機関部や足回りに砂が入り込みたびたび故障した。また他国の戦車に比べ踏破性が低く不整地における速度も芳しくなかった。
さらに、これらに加え構造上の問題があった。本車についている乗降用のハッチは2つしかない上に小さく、乗員4人が一度に乗り込めず脱出も困難であった。その上砲塔には換気装置が装備されていなかったため砲撃後の煙が車内に充満してしまい、砂漠での炎天下も相まって乗員への負担は大きかった。そのため行軍間はハッチをあけっぱなしにしておくことが当然のこととなった。
そしてなお悪いことに、戦術上の問題もあった。この車両が完成した時には既にドイツ軍が戦車の集中運用による絶大な効果を世界に知らしめたものの、イタリア軍は移動トーチカとして分散配置したため各個撃破されやすい状況を作ってしまった。砲撃も止まって撃つ静止射ではなく、移動しながらの行進射であったため命中精度が悪かった。
これら多くの欠点を抱えてしまった本車ではあるが、それでも火力に関しては十分なものを持っていた。本車の主砲である47mm砲はイギリス軍戦車の主砲である2ポンド砲(40mm砲)よりも威力に優れ、特に巡航戦車に対しては優位性を示すことができた。また、前方で最大4つもの射線を持つ8mm機銃は当時としては強力なもので、榴弾の撃てる47mm砲と相まって歩兵相手に善戦した。
M13/40の「M」はイタリア語で「中」を意味する「メディオ(Medio)」、「13」は車重の「13トン」、40が開発年の「1940年」をそれぞれ表している。また、イタリア軍の公式呼称から「カルロ・アルマートM13/40」と表記されることもあるが、この「カルロ・アルマート(Carro Almato)」とはイタリア語で「装甲車両」を意味する言葉であり、単に本車のみを指し表すものではない(「カルロ・アルマートP26/40」など)。
よって、あえて和訳するとしたら「13トン級40年式中型装甲車両」という感じになる。
なお、資料によっては開発会社から取って「フィアットM13/40」と表記するものもある。
1968年に公開された映画「砂漠の戦場エル・アラメン」終盤にセモベンテM40と共に登場。
劣勢の中、最後の1両まで必死に抵抗する勇姿を見ることができる。
タミヤから発売されているM13/40のキット。かつて1974年にシリーズ番号34で初登場したのだが、2008年11月にリニューアルしてシリーズ番号296として再び登場した。
主な変更点はキャタピラがベルト式から重量表現に特化した連結組立式となったこと、主砲が精度に優れたアルミ製になったこと、対空機銃用の照準などのエッチングパーツの追加、マーキングの種類が増えたことなどである。
足回り以外は従来からさほど変化がないため、隙間やパーティングラインの処理が必要な場面が出ることもある。
定価は2970円。旧品も古い模型を扱う模型店などで1500円程度で入手可能。
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最終更新:2025/03/22(土) 06:00
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