もしお前が――自分より強い男が、戦いを挑んで来たとする。
それを無視してその男を……射殺する。
それは負けを認めたのと同じ事じゃないのか?
MUR閣下とは、2008年の映画『イップ・マン 序章』に登場する池内博之演じる三浦将軍のことである。階級については明言されていないが、佐藤大佐の上官である事を鑑みると少将以上と思われる。
香港で製作されたカンフー映画『イップ・マン序章』のラスボス。本名は三浦武介。
大日本帝國陸軍に所属する軍人。抗日色が強い『イップ・マン序章』では珍しく正々堂々を好む高潔な武人として描かれており、イップ・マンの前に正座して対話を試みたり、勝手にリュウ師匠を射殺した佐藤大佐に対しては拳銃を突き付けて脅迫混じりに諫めるなど、公正であるとともに軍紀を乱す者は味方だろうと容赦しない。脱いだ軍服を丁重に畳んでいる所を見るに几帳面な性格のようだ。
空手の高段者であり、武術が盛んな佛山の中国人格闘家3名を同時に相手した上で圧倒、その隔絶した実力差を思い知った彼らはすぐに負けを認めてしまった。また「彼ら(中国人)に、日本の空手というものを知らしめてやる」と口にしており、空手に誇りと敬意を持っている事が窺える。
物語中盤より登場。
日華事変勃発後の1938年10月11日、帝國陸軍は中国国民党軍最大の補給線となっている広東省を占領すべく白耶士(パイヤス)湾へ上陸し、10月21日に攻略完了。イップ・マンが住む佛山(ふっさん)市に今村均司令率いる第五師団の指揮官として進駐してきた。直接の描写こそ無いが、イップ・マンの豪邸を徴発して司令部にしており、彼を極貧生活に追いやっている。
武術に興味がある三浦は兵士を鍛えるための道場を開く。その練習相手として佛山中の格闘家を集め、勝てば米一袋を贈呈、降参すれば攻撃の手を止めるという適切な運営がなされていた。日華事変により物資や食糧が乏しくなっていた背景もあり、道場には腕自慢の格闘家たちが押し寄せて相手には困らなかった。中国人との通訳には元警察署長のリー・チウが、対戦相手の募集は副官の佐藤大佐が担当。
日本軍が進駐する前から腕の立つ格闘家だったリュウ師匠の戦いぶりを見て、刺激を受けた三浦は「軽く肩慣らしなどでもしてくるか」と自身も参戦、3人を同時に相手するとともに勝敗に関係なく米を与えると宣言した事で挑戦したい格闘家が殺到し、リーが選んだ3名が挑戦権を得る。その中にはイップ・マンの弟子ラムもいたが、三浦の前では簡単に蹴散らされ、実力差を思い知った2名は負けを認めてしまう。だが日本軍に恨みを持っていたラムは憎悪に心を囚われて無鉄砲に突撃、実力差を理解しないまま三浦に挑み続けた結果、彼の怒りを買って蹴り殺された。
翌日、姿を見せないラムを心配して道場へやってきたイップ・マンは、リュウ師匠が佐藤大佐に射殺される現場を目撃してラムの死を悟り激怒。勝手に発砲した佐藤大佐には三浦も激怒しており、「ここは試合をする場所だ。今後一切ここでの銃の使用を禁止する」と佐藤の顎に銃口を突き付けて諫めた。ラムの仇を取るべくイップ・マンは10名の日本兵を同時に相手すると宣言、そして完勝するとともに硬く結んでいた握り拳を解く。一部始終を見ていた三浦はイップ・マンに関心を持ち、リーを通じてまた来るよう言ったが、米が目的でなかったイップ・マンはもう姿を見せる事は無かった。
道場に来ないイップ・マンを探し出すため三浦は全部隊に捜索を命じたが、そこへ綿花工場を襲った山賊からイップ・マンの目撃情報が入り、部隊を率いて出撃。佐藤が口を割らせようと工場長に乱暴していると工員を守るためイップ・マン本人が駆け付けてきた。試合外で彼から殴られていた佐藤は激情に任せてイップ・マンを射殺しようとするが三浦が制止、「あなたは、我が日本軍に対し抵抗したそうだな?なれば…死んだも同然」「だがあなたの腕はとても素晴らしい。使える男だとお見受けする」「日本の天皇に忠誠を尽くし、我が日本軍に中国の武術を教えるのだ」「そうすればあなたにはまだ存命の余地がある」と助命を条件に教官になる事を勧める。イップ・マンは「教えはしない、直接戦って盗み取れ」と正面から拒否、しかしイップ・マンを殺される訳にはいかないリーは「前向きに考えています」とわざと好意的に通訳し、日華文化交流試合を開く運びとなる。こうしてイップ・マンは連行されて一時的に営倉へ入れられる。彼のもとへ自ら食事を運び、正座して対話を試みようとする三浦だったが、拒絶されたため食事のみを残して立ち去った。
街中に作られた特設リングを、観衆と警護の日本兵が取り囲む。リング上では既に柔道着に着替えた三浦が正座して呼吸を整え、兵に連行されるイップ・マンが姿を現すとゆっくりと立ち上がり、一礼をしてから構える。そして試合が始まると両者ともに目にも止まらぬ速さで打ち合う。作中でのイップ・マンはまさに最強で、対戦相手を勝負にならないレベルで悉く撃破してきたのだが、三浦との戦いでは唯一試合になるほどの互角の戦いとなった。イップ・マンにダメージを入れたのも三浦だけである。が、次第にイップ・マンに押されるようになり、動きにも乱れが生じ、その隙を突かれて更なる窮地へ追いやられる。それでも拳を振るい続けて勝負を諦めなかったが、ついにイップ・マンの乱打を浴びて身動きが取れなくなり、最後は鉄塔に頭を強打して気絶。座り込むように倒れて意識を失った。試合という名目上、死亡した訳ではなさそうだが目を覚まさないまま物語が終了。
正式に含まれるかどうかは不明だが、未公開シーンでは試合の後、三浦が畳の部屋で単身切腹する場面がある。「閣下が中国人(イップ・マン)と試合をするという事は、その勝ち負けは最早閣下個人の問題ではありません。我々日本人の、国民全体の名誉に関わります!」と佐藤から忠言を受けた上で試合を行っただけに、敗北した三浦は責任を取らなければならなかったと思われる。またサウンドトラックには「腹切り」という未使用BGMが収録されており、例の切腹シーンが使用される予定だったのかもしれない。ただ、同じく未公開シーンで三浦に射殺されたカム・サンチャウが続編で生存確定している事から、切腹はパラレル扱いの可能性が高い。
三浦にMUR閣下の愛称が付けられたのは、『真夏の夜の淫夢』に登場するホモビ男優MUR大先輩にそっくりだったからである(すっとぼけ)
坊主、同じ苗字、空手という共通点があり、池沼なのは「イップ・マンとの試合で頭部を強打したから」と推測される事などから、MURと三浦は同一人物と見なされる事が多い。このためBB先輩劇場ではMURの覚醒した姿として三浦が使われたり、彼の台詞が淫夢実況シリーズで使われたりする。ひとたび覚醒するとこれまでの池沼っぷりから一転、空手の高段者という高い実力と知略を発揮する知将と化す。中国に本拠を置くbilibili動画でも「MURが池沼になった真実(意訳)」というタイトルで三浦の戦闘シーンが上げられており、中国のホモたちにも同一人物説が広がっている。そのためかMURが登場すると「日 本 陸 軍」とコメントされる事も。
何がともあれホモビ男優と一緒くたにされる池内兄貴かわいそう。
俳優の池内博之氏のもとへ海外映画の出演オファーが届いた。『イップ・マン序章』という映画で敵のMUR閣下役だった。子供の頃から知っているサモハン・キンポーと一緒に仕事が出来るという事で、凄く嬉しかったという。イップマン序章の撮影をするにあたって、MUR閣下役の池内博之氏は香港でサモハン・キンポーから一ヶ月の特訓を受けている。
脚本製作の段階では、MUR閣下は極悪人の設定だった。このため池内氏はMUR役での出演を躊躇したという。監督に対し、「武道を通じて二人(イップマンとMUR)が通じ合える瞬間がある、そういうものだったらやりたい」と池内氏は伝えたという。監督も戦争の話ではなく武道の話にしたいと思っており、要求が通って作中のMUR閣下像が出来上がった。高潔な武人たるMUR閣下は、池内氏によって生み出されたと言えるだろう。MURはラスボスであるため、クランクインから一ヶ月間は池内氏の出番は無かった。その間にずっとアクションの練習を重ねていた。ちなみに嫌味な奴で有名な佐藤大佐は最後に作られた登場人物だった。劇中で佐藤大佐が行った悪行は、本来MUR閣下が行う予定だったのかもしれない。
事前に台本は渡されていたが、大まかな指示しか書いておらず、監督の指示に従いながらその場その場でシーンが撮影された。これには池内氏も苦労したようである。本番直前になって突然入れられたシーンもあった。いやーキツいっす。
池内氏は黒帯を絞めるほどの柔道家だが、アクションは初挑戦だった。後のインタビューで「(格闘するシーンで)うそ臭いの嫌だ」と明言しており、妥協を許さない姿勢で撮影に望んでいたという。
そのため池内氏の体には生傷や痣が絶えず、「もしマネージャーがいたら撮影を中止させていただろう」と苦笑気味に答えていた。初挑戦だけに撮影は苦労の連続だった。池内氏は前もってアクションの練習をしていたが、全然ついていけなかった。「大変でしたね」と当時を振り返る。撮影中はアクション大スターのドニー・イェンとも交流があった。イップマン同様、ドニー氏も紳士的で「この作品でこれだけ出来れば、他の現場に行っても大丈夫だよ」と励ましてくれたという。優しい人物だがお茶目に一面もあり、池内氏に悪い日本語を聞きたがっていた。教えたお返しに池内氏も悪い広東語を教わったという。ウレシイ…ウレシイ…。
イップマン対MUR閣下のラスボス戦は短いが、撮影には二週間を要している。妥協を許さぬ姿勢だったようで、少しでも当たってないように見えたらリテイクを喰らった。表情にもこだわり、ドニー氏とともに「本当にこの顔で良いか」と何度も試行錯誤を重ねた。佐藤大佐を演じた渋谷天馬氏も「そこまでするのか?」と驚いていた。見ごたえのある迫力のラストシーンは、こうして作られていった。
MUR閣下について池内氏は「三浦はそういう武道というものが大好きで、だから詠春拳を作ったイップ・マンと出会って、刺激的を受けてひかれたんでしょうね」と評している。MURの存在を軽くしないよう、ずっしりとしたイメージを持って演じたという。池内氏自身もMURが好きだと語っている。そうだよ(便乗) 今後もアクション映画のオファーがあったら挑戦していきたいと前向きな考えを述べた。
イップマン序章を見たディン・ジェン監督はMUR役の池内氏の演技に惚れ込み、オファーを出した事で映画「レイルロード・タイガー」(2016年公開)への出演が決まった。今作では抗日レジスタンスを追う憲兵隊長山口を演じ、中国での人気が爆発。MUR閣下役をきっかけに、活躍の舞台を中国に移した。たまげたなあ。なお、佐藤大佐役の渋谷氏もイップマン序章出演以降出演オファーが激増したと語っており、池内・渋谷両氏にとって不動不変の出世作であるといえる。
掲示板
199 ななしのよっしん
2024/09/02(月) 23:12:13 ID: SeihpuJ9Gn
普段のギャップがあるからこそ根付いたんだな
200 ななしのよっしん
2024/11/16(土) 18:46:23 ID: Zsn+LenmF1
この頃のMURは立派な武人であり、軍人だった。
末路がホモビ男優なんてあまりにも悲劇だ。
201 ななしのよっしん
2025/01/29(水) 02:37:06 ID: paOQhLrGyY
実はMUR閣下は大佐の階級章で、佐藤が大尉の階級章だからきっと
考証担当「(この年齢で将軍は無理ゾ。自分のせいにされても困るから黙って大佐の階級章付けとこ)」きっとこういう経緯があったに違いないゾ(迷推理)
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最終更新:2025/04/05(土) 21:00
最終更新:2025/04/05(土) 21:00
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