Nature Goddess (?)

「Nature Goddess (?)」（和訳：「自然の女神（？）」）とは、ロサンゼルス・カウンティ美術館に収蔵されている古代インドの石像である。

概要

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https://twitter.com/kamlesm/status/1612643232554586112

アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスにある美術館「ロサンゼルス・カウンティ美術館」（Los Angeles County Museum of Art、略してLACMA）に収蔵されている美術品で、女性を象った石像。首、右腕、左腕の肘から先、両足の脛から下は欠けて失われている。

• Nature Goddess (?) | LACMA Collections

LACMA公式サイトにおける作品情報によれば、インドのウッタル・プラデーシュ州の都市マトゥラのもので西暦200年頃のもの。

寸法は28 1/2 x 14 1/2 x 6インチ（72.39 x 36.83 x 15.24センチ）とのことで、上下が切れていることを勘案しても等身大ではなくやや縮小したサイズの像であったようだ。

「the Nasli and Alice Heeramaneck Collection」（NasilとAliceのHeeramaneck夫妻のコレクションより）とあり、この夫妻は20世紀に活動したニューヨーク在住の美術商だったようだ。

キュレータ―の解説文によれば、この像はおそらくジャイナ教もしくは仏教のストゥーパ（宗教的なモニュメント）の周囲の仕切りの飾りだった、自然の女神であるヤクシー（ヤクシニーとも呼ばれる、夜叉の女性。男性はヤクシャ）の像ではないかと推定されるそうである。上半身はほとんど裸に見えるが、薄い布を纏っているようで、また頭部が失われているが、胸のあたりに髪の先が垂れ下がっているので長い髪型をしていたようであるとのこと。マカラ（インド神話に登場する怪魚）を象った首飾りや腕輪などのアクセサリーを付けている。

ただし「女性の彫刻だからと言ってヤクシだと呼ぶのはいかがなものか。女神や女王の像や物語の一場面かもしれないではないか」といった意見を述べる人もいるようだ^[1]。美術館側としても、ヤクシだと確信は持てないために説明を推測として記載し、作品タイトルにも「(?)」を付けているのであろう。

制作者は不明であるが、マトゥラ由来のものでこの特徴的な垂れ下がった腰帯などが非常に類似した別の彫像が存在しており、同じ制作者、あるいはそうでなくとも同流派の制作者によるものではないかと思われる。

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https://twitter.com/kamlesm/status/1738446960057790465

こちらの方はアメリカ合衆国ニューヨークにある「Carlton Rochell Asian Art」というギャラリーが収蔵しているものであるようだ。

• Asia Week New York 2011

マトゥラは、近傍にあるシクラという土地で採れる黄斑のある赤色砂岩を用いた彫像が盛んに制作されていた土地であり、「マトゥラ美術」「マトゥラ仏」等の用語で知られる。

• Art of Mathura - Wikipedia
• マトゥラ美術(マトゥラびじゅつ)とは？ 意味や使い方 - コトバンク
• マトゥラ仏(マトゥラぶつ)とは？ 意味や使い方 - コトバンク
• 第５１回　仏像の源流をゆく　その２　インド・マトウーラ - 粟津征二郎の紀行エッセイ
• アジアの風景！ > アジアの宗教美術と博物館！ > インドの仏教美術 > マトゥラー（Mathura)美術（２） 王侯と守護神像
• 河原道三のホームページ > 私の旅行記 > インドの旅 > シャーラバンジカー

2024年10月に話題に

2024年10月28日、年代物の面白画像などを扱うX（旧Twitter）アカウント「vintage.stuff」(@vintagestuff4)がこの彫像の画像をXに投稿した。

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https://twitter.com/vintagestuff4/status/1850704787274072294

その数日前の2024年10月24日に掲示板サイト「reddit」にこの彫像の写真が投稿されており、そこから転載したものかもしれない。

• Sculpture of a female figure, probably a yakshi (nature spirit). Mathura, India, around 200 AD [4400x5700] : r/ArtefactPorn
• Sculpture of a female figure, probably a yakshi (nature spirit). Mathura, India, around 200 AD [4400x5700] : r/AncientCivilizations

約1800年前のものとは思えない、現代でも通用するようなセクシーな造形についてredditでもXでも多くの注目が集まり話題となった。

• 1800年前のインドに、スタイル抜群ギャル像を作ったドスケベ古代人がいたという事実にロマンを感じざるを得ない→ゼロじゃなくてエロを発見ってやかましいわ - Togetter [トゥギャッター]

「本当に実在する像なのか？」と疑う声もあったようだが、前述のように美術館に収蔵されている実在の像である。

当時の彫像の頭部・顔の造形はさすがに現代の感覚からは歴史や古さを感じさせるものであるはずだが、「この彫像は顔が失われているためにそういった古さを感じさせない」ということが、「まるで現代の作品のようだ」と感じさせる一因となったのかもしれない。

イラスト化する絵師も登場した。1800年後に自分の像がイラスト化されるとは、彫刻家も夢にも思わなかったであろう。

• XユーザーのPzKpfwIさん: 「Yakshini figure, Kushan Empire, around 2nd century AD.」 / X

フィギュアとの比較

中にはよく似たポーズ・体型の現代のセクシーフィギュアと比較して「移ろいゆくなかにも、変わらないものもある」と言った趣旨のポストをするXユーザーもおり、

• Xユーザーの『MrInfamousCheckmark𝕏Man』さん: 「The more things change. The more they stay the same.」 / X

このポストも多くの共感を得たようだ。

• ほぼ1800年前のインドのマトゥラーのヤクシー像が現代の日本の美少女フィギュアとスタイルが変わらない🇮🇳🇯🇵 - Togetter [トゥギャッター]

中には「このフィギュアの制作者がタイムスリップして石像をつくったんじゃねえの？」といった声も挙がっていた。

ちなみにこのフィギュアは、アルファマックス株式会社のフィギュアブランド「SkyTube」から2019年にリリースされた「年上彼女 illustration by けけもつ」である。イラストレーター「けけもつ」氏のイラストを元に原型師「zac」がフィギュア化したものらしい。

• : 年上彼女 illustration by けけもつ（※リンク先18禁注意）

関連静画

関連項目

• 芸術
• 美術
• 石像

脚注

1. *Xユーザーのಮಹೇಶ 𑀰𑀸𑀲𑁆𑀢𑁆𑀭𑀺さん: 「This whole business of calling any and all female sculptures as Yakshi is ridiculous and has no historical, literary, or textual basis. They could well have been sculptures of goddesses, queens, scenes from stories, etc.」 / X