THE ビッグオーとは (ザビッグオーとは) [単語記事]

『THE ビッグオー』とは、サンライズ制作で、WOWOWで1999年に放送されたオリジナル巨大ロボットアニメである。全26話。

概要

アメリカのカートゥーンコミックスを意識したデザインと退廃した街とそこに巣食う悪者とハードボイルド志向な探偵を思わせる主人公。古典的な雰囲気と現代の感性をうまく融合した作品。

第一期(全13話)がWOWOWノンスクランブル放映枠で1999年に放送され、第二期(26話まで)が数年後に地上波で放送された。当初は13話のみだったが、海外でのあまりの人気から続きを作った経緯がある。

第一期はフィルム撮影（セル）、第二期はデジタルと、一作品でアニメ制作の転換期を跨いでいると言う特徴もある。線や色合いがセルとデジタルでどう変わるのかを比較しながらの視聴も良いだろう。

今のところ新作が作られる予定はないが、第二期終了後でも幾つかの謎は残ったままである。

物語

40年前に起きた何かによって、『記憶を失った街』パラダイムシティ。崩壊した秩序は遅々としてではあるが回復の兆しを見せ始めていたが、未だ混沌とした混乱と暴力が残っていた。

警察では手に負えないこれらの荒事を処理する為、ネゴシエーター(交渉人)という者達が活躍する場面も多かった。ドームの外側で暮らす男、ロジャー・スミスも一流のネゴシエーターである。彼は、メガデウスと呼ばれる巨大なロボット「ビッグオー」を駆り、難事件を解決していく。

ある日一人の老人の孫娘が誘拐され、身代金を要求される事件が起こる。老人に雇われたロジャーは、大金を持って交渉の場へ向かう。相手である誘拐犯・ベックと交渉し、人質の孫娘を取り戻すロジャー。

――しかし、その孫娘=R・ドロシー・ウェインライトはアンドロイドだった。そして、彼女との出会いから、ロジャーの「運命」が動き出す。そう、この掛け声とともに。

ビッグ・オー、ショータイム！！

やがて彼は過去の記憶(メモリー)の秘密の一部を見ることになる。メモリーとは、メガデウスとは、そして自分の夢の意味とは?全ての答えが分かった時、ロジャーは一体―――

登場人物

■ロジャー・スミス(CV：宮本充): 主人公。25歳。パラダイム随一のネゴシエイター。一度受けた仕事は何としてもやりとおすが、自らの信念に背く行為は絶対にしない。フェミニストで、(ドロシーやエンジェル以外の)女性には優しい。黒色が好きで、ドロシーとノーマンにも黒服を着させている。趣味は砂時計収集。; 巨大人型機動兵器『メガデウス』の一つである、『ビッグ・オー』のドミュナス(パイロット)でもあり、卑怯な相手などには実力行使も厭わない。~~とか言いつつ、ネゴシエイションより実力行使が多かったりする。~~; 普段はシティを覆っているドームの外側にある巨大なビルに住んでおり、朝は遅い。ちなみにドーム外は貧乏人の住むところだが、ロジャーの生活は見る限り十分豊かである。お約束ブレイカーの面も持つ。; 後ろに逆立った独特の髪型、スーツ姿、そして交渉による対話を仕事とするなどの特徴の所為か『逆転裁判』の主人公である、弁護士の成歩堂龍一と比較されることが多いが、ロジャーの方が2年前に登場している。
■R・ドロシー・ウェインライト(CV：矢島晶子): アンドロイド。外見年齢は18歳。メガデウスと同じく、現代(パラダイム)の技術では製作が不可能な存在。; ピアノの腕は強弱も完璧で譜面に非常に忠実らしいがロジャー曰く何か違和感を覚える(不気味の谷現象のことか？)腕前。最初の頃は唯一覚えている曲が朝に相応しくない曲で、毎朝ロジャーを悩ませていた。; アンドロイドなので、か弱そうな外見にも関わらず体重が100kg越えをしていたり、大の大人でも両手持ちの重量を片腕にかけて歩けたり自転車で車以上の速さを出したり出来る。ほぼ無表情なので動作が時々コミカル。; カチューシャの部分はメモリー解析装置で、開くと灯り替わりになる。; 「貴方の服の趣味、最低だわ」
■ノーマン・バーグ(CV：清川元夢): スミス邸執事。左目はアイパッチをしている。戦闘もロジャーの世話もビッグ・オーの整備もこなせたりと、実は超万能。老けて見えるがこれでも54歳。海の底に幽閉されたロジャー救出の為に披露したダイバー姿は一見の価値あり。大柄なロジャーと並ぶことが多いので目立たないが、実は身長195cm。; コミック版では彼が主人公の回がある。
■ダン・ダストン(CV：玄田哲章): パラダイム・シティ軍警察。47歳。階級は少佐→大佐。ロジャーの元上司で今は良き友人。; 軍警察の力では解決出来ない事件をあっさりと解決していくメガデウスとその乗り手（正体がロジャーである事は知らない）を半ば敵視する。部下からの評判と人気が高い。
■エンジェル(CV：篠原恵美): 神出鬼没で正体不明の美女。26歳。ロジャーの周りに度々現れ、過去のメモリーを得ようと暗躍する。
背中に「羽根をもがれたような」傷跡を持つ。自分を「天使」と称するがロジャーからは「堕天使」と評される。
■ジェイソン・ベック(CV：大塚芳忠): 黄色いスーツを纏ったパラダイム・シティの犯罪者。22歳。; 自分を逮捕したロジャーを「このカラス野郎!」と罵り、いつかギャフンと言わせてやろうと変形ロボを作ったりしている。ネタキャラで、シリアス続きの展開で良い息抜きになる。; インターフェース関係のメモリーを所持している。基本的にメモリーは『失われている』ので実は凄い人、かもしれない(具体的には明言されずに第二期が終了している)。
なお放送から10年以上経って発売されたブルーレイボックスのオーディオコメンタリー内で、当初は1話限りの使い捨てキャラだったが、大塚芳忠の演技が製作側の印象に強く残り準レギュラーになったことが明かされた。

（この作品、誰がラスボスかははっきりしていない）

ビッグオー

本作に登場する巨大人型機動兵器”メガデウス”の中でも最も格上の存在で、最強の力を持つとされる”ザ・ビッグ”に属する兵器。ロジャー・スミスをドミュナスとする陸戦型のザ・ビッグ。
黒色の装甲で巨大な腕を持ち盾としても使える(この腕の形状はザ・ビッグ共通のシルエット)。ロジャーの持つ腕時計に「ビッグオー、ショータイム！」と叫ぶことで、地下の破棄された鉄道”プレーリードッグ”を使いどこにでも呼び出すことが出来る。機動の際は「ビッグオー、アクション！」と叫ぶ。
起動する際コックピット内前方に取り付けられた丸窓モニターに「CAST IN THE NAME OF GOD. YE NOT GUILTY.」という言葉が流れる。意味は「我、神の名においてこれを鋳造する。汝ら罪なし」で、ザ・ビッグがあなたをドミュナスとして認めていますよ、という意思表示。ドミュナス以外が乗ると「YE GUILTY」とNOTが外れて起動しないどころか、最悪アラン・ゲイブリエルのように機体に取り込まれて殺害される場合すらある。
乗り込む際には腕に乗り胸部の装甲を展開してからコックピットに飛び乗る。また爪先から愛車”グリフォン”を収納することでエレベーター式に登ることも可能。

内蔵装備
- アークライン - 両目から放つレーザー兵器。ザ・ビッグ共通の装備でもある。
- クロムバスター - 頭部の半透明パーツから放つ高出力レーザー。発射には独特のモーションを取る。
- ミサイルパーティー - 腹部から発射する時限装置付きのミサイル。
- キャノンパーティー - 胸部の装甲を展開して発射する爆発力の強いキャノン砲。
- モビーディックアンカー - 腰部に内蔵された姿勢制御用の錨。敵を突き刺す武器にもなる。
- サドンインパクト - パンチと同時に肘に装備されたストライク・パイルで圧縮空気をぶつけるビッグオーの必殺武器。水中では水を圧縮発射することで使用可能になる。
- O(オー)サンダー - 腕部の装甲を展開して放つ強力な機関砲。使用の際は操縦桿が専用のものになる。
- プラズマギミック - 足元のペダルを操作することで上半身の装甲を展開し、防御と同時に周囲の敵を吹き飛ばすプラズマフィールドを発生させる。
- ファイナルステージ - ドロシーを機動キーとすることで使用可能になるビッグオーの最終兵器。モビーディックアンカーで機体を固定することで胸部から巨大な砲身が現れる。そしてストライク・パイルでの反動軽減と同時にドームを全壊させるほどのビームを放つ。使用後は砲身が焼き付いて強制パージされる。

リスペクト

第一期のOPである『BIG-O!』はQueenの『フラッシュのテーマ』に酷似しており、パクリじゃねーの？とよく言われている。が、それは制作側が「フラッシュのテーマっぽくOP曲作ってよ」と永井ルイに言ったらほとんどそのまんまの曲を作ってきたという経緯がある。

更にOPの動画はまんま『ウルトラセブン』であり、両方とも意図的なものである可能性が高い。詳しくはインターナショナル版DVD-BOXの解説を読むと良いよ。

ちなみに第二期のOPは「謎の円盤 UFO」に酷似している。

そのためか、インターナショナル版DVD-BOXでは第1期および第2期のOPは差し替えられているが、そこで使われたOP曲『Big-O! Show Must Go On』のイントロもまたキンクスの『オール・オブ・ザ・ナイト』に非常にそっくりだったりする。インターナショナル版での曲差し替えは徹底しており、7話の劇中で『BIG-O!』が使用された場面でも、新OP『RESPECT』に差し替えられている。
差し替えはブルーレイボックスでも徹底されており、遂には『RESPECT』すら無かったことになっている。

しかし独特の音楽と映像が融合した『BIG-O!』版OPが印象に残っている当時の視聴者も多く、このまま黒歴史化するのではなく何かしらの措置が欲しいものでもある。