野生動物のレースとは (ヤセイドウブツノレースとは) [単語記事]

野生動物のレースとは、Steamで398円で発売されているPC用のレースゲームである。

まんまなネーミングなのは、開発元はイギリスのチームであるため英語で開発されたゲームを他言語に対応させて販売しているのだが、日本語も対応と言いつつ機械的に翻訳を当てただけのためだと思われる。ゲーム中にも機械翻訳そのまんま臭がする用語が多数登場する。

第1位…第一場所
フィニッシュ…完成しました
サーキット…道路

概要

パッと見だけなら『マリオカートのパチモノ』。
野生動物がハッピーセットのオマケみたいなカートに乗り込み、コース内で拾うアイテムを駆使してレースを繰り広げる。
2016年発売のPCゲーにも拘わらず初代PS レベルの美麗なグラフィックだが、398円と思えばむしろいい方なのかも知れない。

参加する動物はキリン・サイ・ゾウ・ライオン・カバ・シマウマの6種。
ただしライオンはミニマップ上のアイコンだとたてがみがあるが、実際にカートで走る奴はたてがみがないメスである。

ちなみにキャラクターおよびマシンに性能差はない。誰を選んでも60km/hの法定速度遵守の安全なレースができる。
ただしキャラによるスタート位置の差はある（後述）ので、やっぱりキャラ差はある。

ガチの対戦ツールとするには明らかなキャラ差と、それを覆す事が困難なシステムから物足りない部分が多いが、通常のレースゲームでは見られない珍妙な現象や駆け引きがしょっちゅうみられるため、バカゲー・パーティゲーとして知人と楽しむには結構いいかも知れない。

アイテム

「？」マーク（ボックスにあらず）を取るとアイテムを、以下のうちからランダムで1つアイテムを取得できる。

バナナの皮
マリカでもおなじみの設置アイテム。踏むとスピンしてタイムロスを強いられる。
大幅に先行しているトップに（次の周回が残っていれば）妨害を食らわせられる可能性がある上、設置アイテムである関係上、アイテム連打の連続使用の恩恵を最も強く受けられるため、恐らく野生動物のレースにおいては最も重要なアイテム。
複数人が同じ場所でやると道が全部バナナで埋まって通行不能になるという事も平気で起こる。
ミサイル
前方にミサイルを発射する飛び道具。当たるとその場でひっくり返され、バナナ同様にタイムロスを強いられる。ある程度先行されたライバルを撃墜できる可能性があるが、まっすぐしか飛ばないのでよほど上手い人でないと、基本当たらない。
真価を発揮するのは混戦時。カーブしながら連打すると扇状に掃射できるため、周囲にいるライバルを一度に妨害できる。
ハンマー
左右どちらかにハンマーを振り下ろして叩く。叩かれた相手はスリップしてタイムロス。
左右どちらに振り下ろすかは自動でライバルをサーチしてくれる。アイテムの効果時間中は自動でずっと振り続けるオート仕様。
スパイク
 カート横のホイールの部分から回転する槍先のようなものを出す。
左右両側に出て効果時間中出っぱなしであり、ライバルと接触した際は自動でライバルの方だけをスリップする。
常時効果発揮型のアイテムだが射程はハンマーよりもさらに短い。
バリア（？）
ピンク色の球状のバリアを張る…が、何の効果もない。見た目からして、バリアではなく巨大なガムかも知れない。
お金
？マークから出るアイテムではなく、？マークそのものと同じようにコース上に設置されている。これまたマリカと同じく、これを取得すると最高速が若干上がる。
しかし、3～5個程度取得して60km/hが61km/hになる程度の微々たる効果であり、このくらいの僅かな速度の差が意味を持つようなデッドヒートは基本的に「どっちが物にぶつかって遅れるか」の勝負になるため、ほぼ意味がない。
最高速以外でも、1つ取得するごとに5点の得点が入る。この得点を貯めていくと映像コンテンツをアンロックできる^[1]が、映像コンテンツの存在価値は謎である。

野生動物のレースが独創的な点

スタート位置は前のレースの順位結果に全く関係なく、キリン・シマウマ・ゾウ・カバ・サイ・ライオンの順で固定。
自身が加速するのではなく他人を妨害する事によってのみレースするゲームなので、スタート位置の格差はレース結果に強く影響する。
アイテムは割といっぱいあるが、加速アイテムが全くないため、順位を逆転するにはコース取りなどのテクニックで抜く（極めて近い時限定）か、相手が妨害アイテムや地形に引っかかってスピードダウンするかした時のみ。
そして妨害アイテムも、マリカにおけるサンダーやトゲ甲羅のように離れていても当たるものはないため、妨害アイテムの射程圏外まで一度離されてしまうと、逆転がほぼ不可能になる。
アイテムの使用判定が雑。
？マークを取るとアイテムを取得できるが、使用したか否かに関わらず一定時間で消失する。また、アイテムを保持している状態で？マークをさらに踏むと、アイテムが上書きされて前の物は消える。
なお、アイテムは一定時間で消えるが、逆に言うとアイテムを使用しても一定時間は消えないので、ボタン連打により扇状にミサイルを掃射したり、10コくらいまとめてバナナの列を置いて道を埋めたりなどが可能。
レースの終了基準がイマイチ不明。
6人プレイ（参加人数よりも多い部分はCPU）なのだが、第六場所（6位の事）までゴールしても20秒くらいウイニングラン的なものを見せられながら待たされることもあれば、第三場所くらいまでしかゴールしてないのに画面が切り替わって次のレースが始まる事もある。
コースの造形が雑。
グラフィックの美麗さの問題ではなく（グラフィックも大概だが…）、殆どのコースは単純な円1つのオーバルコースを多少凹ませたり障害物を配置したりした程度のものばかり。最も複雑な形をしていると思われるのがただの8の字コースである。
ただしコースのデザインのテーマは様々な他、後述の接触による減速が酷いせいで「道幅の狭さ」1つでもコースを強く特徴づけているため、意外とバリエーションに富んではいる。とんでもないサイケデリックなコースもある。
ダートの区別が不明。
街系のコースなど道路で走るコースはいいのだが、オフロード系のコースだと、どこからが速度の落ちるダートなのか分からない。というか、道の真ん中を走っていると思われる時でもいきなり減速したりする。ただしこれはお金の取得によるスピードの増減が関わっている可能性もある（最高速が増えるのではなく、取らないと減速する等）ため、正直よく分かんない。
なお、道の真ん中や端っこのきわどい所にはダート判定があるくせに、山の上など明らかなコース外にはダート判定がない（正規のルート同様に走れる）事が多く、壁でさえなければ露骨なショートカットが可能な場所が意外とある。
地形などにぶつかった時の減速が酷い。
地形などの障害物や他マシンにぶつかった時に減速するのはどのレースゲームでも同じだが、野生動物のレースにおいては引っかかるとものすごい摩擦でビタッと止められる。そして接触している限りこの強力な摩擦が働き続けるため「壁にぶつかりながらズレてコースに戻る」という手が使えず、わざわざバックしてコースを戻して再スタートしなければならない。
先述の通り加速アイテムは何一つないため、操作をミスったり不要なデッドヒートを繰り広げて事故でも起こそうものなら、大幅なタイムロスを強いられる。
コースの端の壁と壁の狭い隙間や動く障害物に挟まれたりすると脱出が困難になり詰む事もある。
バックの操作が特殊。
レースゲームにおけるバックの操作は、ブレーキボタンがバックを兼ねていて停止した後もブレーキを押し続けるとバックになる…というものが多いが、野生動物のレースにおいてはシフトレバーをバックに入れなおした上でアクセルという、なぜここだけと言いたくなる無駄なリアルさを発揮している。