『このミステリーがすごい!』大賞とは、宝島社が主催するミステリー小説の公募新人賞。略称は「『このミス』大賞」。
誤解している人がいるが、毎年刊行されるムック『このミステリーがすごい!』の上位を表彰する賞ではない。一般からの応募原稿による新人賞である。募集対象は「エンターテイメントを第一義の目的とした広義のミステリー」。
2002年に、江戸川乱歩賞(1000万円)を超える日本最高額の大賞賞金1200万円を謳い創設(のちにポプラ社小説大賞が賞金2000万円で最高額になったが、第5回で終了したため現在は再び最高額)。宝島社は本賞の創設とともに本格的に文芸出版に進出した。
選考委員は第1回からずっと大森望、香山二三郎、茶木則雄、吉野仁の4名。日本の文学賞の選考委員は有名な小説家が務めるのが普通だが、宝島社は色々な事情で有名作家に頼めず、書評家・評論家で固めたらしい。ほか、普通の新人賞では名前の出ない一次選考・二次選考担当者の名前もオープンにされている(いずれも同じく書評家・評論家)。
また、第1回から選考過程をwebで全て公開しており、一次選考から担当者のコメントが全て読める。第7回までは最終選考に残った応募作の序盤が公開され、読者投票で選ばれる読者賞も存在した。
一般文芸の新人賞では1作か2作の受賞作以外は出版されないのが普通だが、『このミス』大賞はライトノベルの新人賞を参考にしたのか、大賞のほかに優秀賞を設け、毎年3作前後の受賞作を出してどんどん本にする。さらに最終選考で落ちた作品や、最終選考にすら残らなかった作品も、売れそうだと判断されれば「隠し玉」として出版されるため、1回につき5~6人デビューすることも。大賞・優秀賞受賞作はハードカバーで、隠し玉は最初から文庫で出るのだが、ハードカバーの文庫落ちも1年後と異常に早い(普通は3年前後)。
選考委員の大森望いわく、「掛け金をバーンと張って勝ちに行く」「ヤマっ気しかない」賞。第4回では当時12歳の水田美意子『殺人ピエロの孤島同窓会』に特別奨励賞を与え、何かと物議を醸した。
第1回から大賞金賞の浅倉卓弥『四日間の奇蹟』の文庫が100万部を超え映画化されるなど順調に滑り出し、受賞作からは海堂尊『チーム・バチスタの栄光』、中山七里『さよならドビュッシー』、安生正『生存者ゼロ』、隠し玉からは岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿』といったベストセラーが生まれており、商業的には十分成功している。
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最終更新:2025/12/10(水) 03:00
最終更新:2025/12/10(水) 02:00
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