アレイスター=クロウリー(とある魔術の禁書目録) 単語

アレイスタークロウリー

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注意 この記事は新約とある魔術の禁書目録の重大なネタバレが含まれています。
了承した方のみ自己責任で突っ走ってください

アレイスター=クロウリーとは、ライトノベル『とある魔術の禁書目録』の登場人物である。
CV:関俊彦

モデルは19世紀に実在した同名の魔術師・神秘主義者。そちらについてはアレイスター=クロウリーを参照。

概要

(・ ̄・)学園都市の創設者にして最高権力者。

その正体は世界最大の魔術結社「黄金夜明」に在籍し、後に『銀の星』を名乗る魔術師クロウリーその人。
史実で「マスター・テリオン(大いなる獣666)」を自称するように、本作でも大いなる獣テリオンの等価である「Beast666」の魔法名を持つ。

現存する魔術の大半は彼の影響を受けているとまで言われる程に高名を轟かせた世界最高峰の魔術師である。

そんな彼はやがて魔術を憎むようになり、魔術を見限って魔術勢力にフルボッコにされ、イギリスの片田舎で虫の息だった所をカエル医者に拾われて一命を取り留めた。
その後、一度訪れた事もある日本に渡り、学園都市を設立した。

現在のアレイスターは史実の終わり、つまり彼が死亡したと伝えられる運命の1947年を乗り越え、 通常方法では進入不可かつ核兵器の直撃にも耐える「窓のないビル」内部にて、弱アルカリ性培養液で満たされた巨大ビーカー(生命維持装置)の中で生き長らえている。

かつて1904年に聖守護天使エイワスから口伝された『法の書』を基に「セレマ」を提唱し、人類の意識をイシス、オシリス、ホルスの3つの時代(アイオーン)に切り分けた。
彼の持論によると『法の書』の完成と共に十字教は終焉を迎え、人類の次なるステージ「ホルスの時代」に移行するのだという。セレマ思想は魔術業界からすれば過激的で反発の声も上がっていたようだ。

魔術師としての実力は高く、新約聖書に登場してもおかしくないレベルと伝えられている。
実際に魔術を極めて神となった『魔神』から、魔術の道を正しく進んでいれば『魔神』になっていたと認められる程のとんでもない実力者なのだが、当人は魔術を嫌っているので『魔神』になる気は全くない。それどころかあえて『魔神』にならぬように自分を制御しているらしい。

魔神』ではないが彼もまた「世界の法則の頂点」に届いた者の一人とされる。カバラの『生命の樹(セフィロト)』の概念において一定以上の上部組織が「言葉で説明できない」のと同じように、「0と1では説明できない高次的な存在」と化しており、文字通り強さの次元からして違う。
(シークレットチーフの一学説「エイワス」の『窓口』であるため存在自体が非常に曖昧になっている。この状態はシークレットチーフの高次存在「アンナ=シュプレンゲル」と同質との事)

基本的に淡々とした口調で話す。人外離れした印象を与える人物だが、食わせ物でありながらVIP相手でも奇妙な言葉で話してくるローラ=スチュアートや、恩人であるカエル医者には人間臭い言動をとることもある。
史実のアレイスターが「変人」と称される通り禁書でも非常に変態的ユニークな人間であったようで、蓋を開けてみればクールで思慮深いだけのイメージとは程遠かったりする。

今作では人間の価値観・共通認識を操作する技術「原型制御(アーキタイプコントローラ)」を使用して、学園都市や超能力をもとに「魔術」に対する「科学」という名の新たな枠組みを創出し、人類全体を科学信仰に巻き込んでパラダイムシフトを起こした。
本来、統一理論で説明可能な禁書世界を「魔術」と「科学」に二分したのはアレイスターである。

実に50年以上も魔術勢力から身を隠しながら暗躍しており、「ある人物」を誘致して活躍させるためだけに学園都市を創るなど、裏で自身の構築した「プラン」を推し進めている。

魔術師クロウリー

本作のアレイスターは、まさしくエドワード=アレクサンダー本人。
19世紀末から20世紀にかけてオカルティストとして名を馳せ、後世に数々の功績を残し、1947年に死亡したとされていた彼の運命に続きが与えられたのが、禁書における学園都市統括理事長アレイスターである。

アレイスター本人なのでエピソードや功績を挙げれば事欠かない。少なくとも禁書では本筋に関わる設定として以下の痕跡が触れられている(新約19巻時点)。

  1. 黄金夜明
    ウェストコット、メイザース等の天才魔術師が創設した世界最大の魔術結社。
    ヘルメス学、薔薇十字団(ローゼンクロイツ)を下地に魔術の発展に大きく貢献し、「黄金系」と呼ばれる魔術結社の祖となった。新人であるアレイスターを含め業界きっての変人ども凄腕の魔術師が集まったが、内紛と分裂を繰り返し、衰退の一途を辿る。モデルは近代西洋最大の魔術結社「黄金の夜明け団」。
  2. 銀の星
    新約9巻でオティヌスが言及した「銀の星を名乗るあの男」とは、史実でアレイスターが創設した魔術結社「銀の星」の事である。史実の所属メンバー、ヴィクター=ニューバーグの存在も新約19巻で判明している。フィアンマが旧22巻で彼と対峙した際、「銀」をイメージしたのも恐らくこの関係と思われる。
  3. 法の書
    謎の高次存在「聖守護天使エイワス」がアレイスターの最初の妻・ローズに憑依して口伝した魔道書。
    難解な言語で記され解読が全く進んでいないが、『法の書』の術式はあまりにも強大で、使用すれば十字教が支配する今の世界が終わりを告げると言われている。
  4. 法(セレマ、テレマ)
    アレイスターが提唱した神秘哲学および宗教。聖典は「法の書」。
    十字教(キリスト教)以前の時代を「イシスの劫(アイオーン)」、十字教が支配する時代を「オシリスの劫」、神に隷属する時代を終え、人間が神となり主導する新たな時代を「ホルスの劫」という。
    また、アレイスターにとっての学園都市は形を変えただけのテレマ僧院に過ぎないらしい。
  5. トート・タロット
    黄金(GD)版を基にアレイスターがデザインしたトート式と呼ばれるタロット。問答型思考補助式人工知能(リーディングトート78)にも組み込まれている。
  6. 家族構成
    最初の妻「ローズ」、第一子「リリス」、第二子「ローラ」の他、愛人がいた事が判明している。
    史実では数多くの愛人が存在しており、リア・ハーシグ、レイラ・ワドル、ニネット・シャムウェイ、ドロシー・オルセン、ディアードレ・パトリシア・マカパインなど何十人もの女性と関係を持ったが、結婚した女性はローズ・エディス・ケリーとマリア・テレサ・フェラーリ・ド・ミラマーの2人だったようだ。
    史実での彼の実子は少なくとも5人。ローズとの子「ニュイ・マ・アサヌール・ヘカテ・サッポー・イザベル・リリス」と「ローラ・ザザ」、リアとの子「アン・リア」、ニネットとの子「アスタルテ・ルル・パンテア」、マカパインとの子「アレイスター・アタテュルク」が確認されている。
  7. 獣の魔法名「Beast666」
    魔法名の元ネタはそのまま「黙示録の獣666(テリオン)」。
    先述した通り、史実では「大いなる獣666」「マスター・テリオン」を自称していた。

『人間』アレイスター=クロウリー

アレイスターには迷エピソードも多い。
来日した際に大仏を見て感化され主旨変えしようとしたり、酸素吸入なしで8000mを超える『K2登山』に挑んで失敗したり、社会的には無職だったり、それだけ聞けばカリスマ性の欠片も感じさせない。

また、彼は史実だと超がつく変態であり、禁書も殆どは元ネタ通りだったりする。
性魔術に精通してたり、男性器の表現だけで3桁に達した超大作の官能小説を執筆したり、儀式場に自分の精子を持ち込んで実験を始めたり、裸の銅像の局部を隠すための蝶飾りをズボンに身に着けてパーティーに出席したり、同僚と韻を踏んだ下ネタトークを飛ばす等、上条に言わせれば人格が破綻したド変態クソ野郎である。

なのに中性的な美貌を持ち、特に何もしてないのに女からモテたらしい。努力の必要がなかったからアレイスター自身は普通の恋愛に興味を持てなかったんだとか。上条「最悪だなリア充」

もちろんオカルティストとしては天才の部類だが、同時に失敗も多かった。
しかしこの変人は「成功と失敗は等価値」と捉えており、成功すれば良し、失敗しても次に繋がる何かしらの成果が得られ、反動でさらなる飛躍に繋がるという、ある種ポジティブな考え方の持ち主である。
よって仮に失敗しようが彼の作り出す流れそのものに大した変化はなく、成功と同じペースで構わず目標へ邁進することができる。この考え方は後の「計画(プラン)」にも反映されている。

ある超越者が言うには、アレイスターの日記には「涙の跡」が染み付いているらしい。そこに世界最高峰の魔術師と呼ばれながらも魔術を憎み、『魔神』とならずに『人間』であり続けた理由が隠されているようだ。

過去・目的

むかしむかし、せかいさいだいのまじゅつしがまだこどもだったころ。
かれがすんでいたまちは、それはそれはひどいところでした。
かみさまをしんじるおとうさんとおかあさんはわからずやで、がっこうのせんせいはいじわるばかり。なのに、うわっつらばかりいいものだから、かれらはみんなまちのかおやくでした。おさないかれはそんなはきだめのようなまちでくらしながら、こんなうそつきをさばくこともできない、かんたんにだまされる、はんぱなせかいをつくったかみさまなんてたいしたことないんだなとおもうようになりました。

だったら、わたしがほんものをみせてやろう。
はんぱなかみさまにかわってただしいルールをみつけてやろう。
これが、のちにせかいさいだいのまじゅつけっしゃとなる『おうごん』のもんをたたき、あまたのじゅつしきやれいそうをかいはつしたにんげんのスタートちてんです。

19世紀。アレイスターは、上辺だけは立派な偽りだらけの身近な大人を見て、大人が信仰する神すら大したことはないと思うようになった。これが魔術師クロウリーのスタート地点である。

その後、魔術結社『黄金』創設者の一人、サミュエル=リデル=マクレガー=メイザースに見出され、黄金の新人魔術師として迎え入れられた。
そして数多の霊装や術式を開発し、後世にまで残る偉業を打ち立てる事になる。

ブライスロードの戦い

『黄金』の分裂と衰退の直接的な原因となった魔術師同士の派閥争い。

史実で起こった争いだが経緯と内容が異なり、禁書では「魔術・運命を憎んだアレイスターが黄金を破滅させる為に仕組んだ内乱」という扱いになっている。メイザースやウェストコットなどをアレイスターが始末しているし、当然ながら人物の立ち位置も内情も結構オリジナル要素が入っている。

アレイスターはこの戦いで『先代の幻想殺し』である究極の追儺霊装『ブライスロードの秘宝』を使用。メイザースと半不死性を持つウェストコットを始末したが、戦闘の最中に秘宝は完全に破壊されている。
(後の時代、同じ能力が上条当麻の右腕に宿る事を予期したアレイスターは、次代の幻想殺しの所持者である上条を活躍させるためだけに学園都市を作った)

リリスの死とアレイスターの目的

アレイスターが『ブライスロードの戦い』を引き起こしたのは、自身の娘「リリス」の死に起因する。

アレイスターが師と仰ぎ、組織内で唯一利害なく接したアラン=ベネットの占術によって「アレイスターの娘の死」が予見されていた。
リリスを死に追いやったのは、『位相』同士の衝突から生じる運命だった。

とあるシリーズの魔術は「世界に折り重なるように存在する異世界」の法則を、強引に現世に適用して超常現象を起こす方法である。この異世界は「位相」と呼ばれ、天国や地獄、冥府やニライカナイなど宗教・神話の概念が律する世界となっている。
魔術は世界に存在する等価交換の原則を騙して一の出費で十の成果を得る技術だが、実は偏った集まりが「位相同士の衝突」を引き起こし、「火花・飛沫(運命)」となって人に押し寄せていた。

アランいわく「運気とは奇跡になり損ねた火花(飛沫)」。
コイントスの表裏、料理の順番、結婚と離婚、出会いと別れ、生と死など、位相同士の軋轢が生む飛沫は現世に薄く広く影響し、運命として確実に顕れる。
つまり、この世界中の不幸な出来事に偶発的なものはなく、全て位相の衝突から発生する「運命」が人間に押し寄せたから起こる。

禁書における魔術理論では悪戯に位相を束ね、掴み、衝突を誘う。多かれ少なかれ魔術は世界に「火花」を撒き散らし、人を運気の奴隷とさせていたのである。
だからアレイスターは魔術を、位相を、運命を憎む事になる。位相衝突の火花を知りながら黙認していた黄金を壊滅させるためにも『ブライスロードの戦い』と呼ばれる内乱を仕組んだ。
(因みに「ブライスロードの秘宝」は不幸払いの機能を有し、黄金はその庇護下にある)

黄金時代より後、アレイスターは最初の妻・ローズと結婚。予見通りローズとの間に子供が生まれた。
(1904年に魔術的位相に依らない物理世界に佇む高次存在、つまり聖守護天使エイワスとの接触を果たし、ローズを霊媒とするエイワスの口伝を基に革新的な魔道書『法の書』を執筆した)

アレイスターはリリスの死の運命を回避するために尽力したが、救えなかった。その後、数回の国外退去処分を受け、1947年にイギリスの地で「死亡」したとされていた。

アレイスターの目的はわだかまる魔術的な位相を取り除き、まっさらな世界を取り戻すこと。救う対象はリリスだけでなく、世界中の偶発的に発生した悲劇を前に「仕方ない」と涙し、諦める者も含まれる。

「奇跡や神に頼らない努力が成果となる世界」「火花・飛沫による運命の偏りから解放された世界」がアレイスターの理想であり、その実現こそが父親としての務めだと思っている。

ですが、もちろんすべてがせいこうしたというわけではありません。
かれがこたえにちかづくたびに、あちこちからじゃまがはいります。きょうこなけっしゃはうちわもめをおこし、こどもはたおれ、つまとはわかれ、かぞくはばらばらになって。かれがつまずくたびに、いつもどこかでくすくすとわらうものがいるのです。

それでも、かれはがんばります。
かみさまにもだせなかったこたえをみつけて、せかいをよりよくするために。

なげいて、なきさけんで、うちのめされて、ぜつぼうしても。
きょうもアレイスター=クロウリーはかみさまのルールとたたかっていくのです。

新約とある魔術の禁書目録 14巻340-341頁より


プラン

アレイスターが推し進めている、そのものズバリ「計画」の事。

この為に彼は学園都市を作り、50年以上の時を懸けて事態を遂行している。計画の"メイン"に据えられているのは一方通行。勿論超能力開発もプランの一角を担っており、当初は「レベル5の先にあるもの」「神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの」とされ、概念上だけ存在しているレベル6(絶対能力)を目指しているのかと思われていた。

しかし、レベル6には原作13巻時点で、やり方次第では既に達成出来る条件が成立したらしく、アレイスター自身の目標は絶対能力の、その先にあるもの」であることが判明した。

このプランを想定範囲内で掻き回す"イレギュラー"として招かれたのが上条当麻幻想殺しである。実際に彼は学園都市の敵を次々に破っているほか、一方通行の精神にも大きく影響を与えた。
むしろ、「今代の幻想殺し」が上条の右手に宿っているからこそ、学園都市と呼ばれる形になったらしい。あまりにも学園都市が隙だらけで悲劇が蔓延っているのも、上条あるいはその内に潜む「何か」の成長を促すために上条を活躍させるという目的があった。

上条当麻と一方通行、この二人が関わった事件は、どれほどの規模になったとしても、彼らの持つ能力が最大限に発揮されたとさえ考えていれば、最終的な着地点が想定しやすい為、プラン進行の重要なファクターとなり得る。

だが、プランの想定とは異なる形で生き残ったのが浜面仕上である。彼は無能力者であるが故に、プランに組み込むことは出来ず、利用も不可能な存在となった。これにより浜面仕上は"真のイレギュラー"として、学園都市に命を狙われる結果となる。

また、右方のフィアンマが術式「聖なる右」を完全なものに仕上げるために起こした事件や、グレムリンなどの暗躍などで徐々にプランの進行に問題が起きはじめていたようで、レイヴィニア=バードウェイなどの一部キャラにその点を指摘されていた。

窓のないビル

窓のないビルも参照。
その正体は、地球に縛られた魔術を捨て、より強力な魔術を行使するために宇宙への脱出を企図したアレイスターが用意させたロケットブースター付きの箱庭(宇宙関連は旧約15巻で既に示唆されていたことである)。

ただ、下部に装備されていたロケットブースターは、新約16巻で木原唯一が暴走したせいで上里翔流に理想送りで新天地へと飛ばされ、宇宙に脱出できなくなった……。と思われたが、内部空間をユークリッド幾何を無視して無限に引き伸ばすことでも宇宙へ到達できる。まぁ全く関係ない方法で強引に宇宙に行かせたが。

なおエンデュミオンが原作でも存在した事になったので、アレイスターは先を越された際に多少焦ったらしい。

新約以降のアレイスター

とある魔術の禁書目録22巻のラストで「右方のフィアンマ」を打ち負かした後、プランに許容不可能な誤差が発生して迂闊に動けなかったため、オティヌス及びグレムリンに完全に遅れを取ってしまう。そのため、オティヌスによって世界が消滅を迎えた際にも特に動きは見られなかった。

新約10巻では本来存在しないはずの別位相「隠世」へ繋がる数値の解析に成功し、単身で隠世へと乗り込み『魔神』との接触に成功する。しかし会話の際に魔神「僧正」の挑発に乗ってしまい、魔神と戦闘になる。体の三分の一を焼き焦がされながらも隠世を破壊し、魔神を現世に引きずり出した。

魔神の安易な挑発に乗ったことで一部で格の低下が危ぶまれていたが、実はその行為にも「魔神に共通するパラメーターを入手する」という意味があった。新約12巻では対魔術式駆動鎧を木原脳幹に使わせ、秘密裏に魔神「ゾンビ」を撃破し、そのゾンビ少女が開発した『鏡合わせの分割』を改竄。
魔神が現世に入る際に偽物の『鏡合わせの分割』を適用し、可殺状態になる程に魔神を弱体化させた。そして木原脳幹によって磔にされたゾンビ少女の亡骸を魔神に見せ、宣戦布告する。

新約13巻で宇宙に放り出されアローヘッド彗星を取り込んで地球に帰還しようとした魔神「僧正」を対魔術式駆動鎧を装備した木原脳幹に撃破させた。アレイスターは魔神「僧正」にこのような伝言を残している。
『覚えているか。……世界をより良くしたい、人類を余さず救ってみたい。そんな幼稚な歯車ですり潰されるようにして運命論に命を奪われた、私の娘の名を』

新約14巻で、木原脳幹が上里翔流との戦闘で瀕死の重傷を負いコールドスリープが必要になった際、彼は慟哭し初めて自分のプランを呪っている。

新約15巻では対魔術式駆動鎧を入手した御坂美琴を脅威と認識し、新約17巻で「アブラ・クアタブラ」を使用して地球に飛び交うあらゆる呪詛(呪い・妬み・恨み)を美琴に向け、呪殺しようとした。
「エレメンタル事変」が終局に向かった後、元上里勢力でローラ=スチュアート直属のスパイでもある烏丸府蘭の確保に動いたが、土御門元春によって銃で撃たれた(この程度では死ななかったようだが)。

新約18巻で遂にアレイスターの目的と過去が判明。また、その過去を上条当麻も幻視する事となる。
そして「窓のないビル」に乗り込んだ上条当麻と交戦。聖守護天使エイワスを理論値そのままの状態で出現させ、上条当麻の「奥底に潜む存在」を握りつぶすなど戦闘で圧倒し続ける。
しかし土御門や府蘭、オティヌス、インデックス、美琴、食蜂などの外側からの干渉により、エイワスが存在することができなくなった為、アレイスターと上条の一騎打ちにもつれ込んだ。

アレイスターの過去を見た上条は、アレイスターの為すことを『天国』という位相にいるリリスを否定する行為と捉えている。アレイスターは魔術・位相を憎むあまり、いつしかリリスの尊厳を否定しかねない立場に回っていたことを指摘され「まやかし」だと言い放った。

言葉と力の応酬の末に、遂にアレイスターは上条当麻に敗れた。

その後

上条に敗れたアレイスターに直接トドメを刺したのは、ローラ=スチュアートだった。

史実のアレイスターには「ローラ=ザザ」という名の娘(第二子)がいる。名前から禁書のローラ=スチュアートはアレイスターの娘ではないかと言われていた。
結果的に言えばその考察通り、ローラはアレイスターの娘である。

しかし、中身は違った。

コロンゾン
ああ、ああ。哀れなるかなローラ。狂気の破綻者と因果の糸で連なる二人目の娘よ。

普段はあれだけ悪態をつきていたのに、最後は泣きながらこう懇願していたぞ。
お父さん、お父さん、助けてお父さん、ってなぁ!!!!!!

ローラの身体は大悪魔「コロンゾン」に乗っ取られていた。

コロンゾンは1909年にアレイスターが召喚した、10番目の領域に潜む「悪魔」だが、実際にはアレイスターが召喚する前にメイザースと「クロウリーを破滅に導け」という契約を交わしていた。
アレイスターの方も10番目の領域の主が危険な者だと理解していたので、あらかじめ弟子のヴィクター=ニューバーグをセーフティとして付き添わせ、未然に防いでいる。

だがメイザースの死後もコロンゾンは契約に束縛され続けた。
そこでアレイスターの第二子「ローラ」の体に憑依して「ローラ=スチュアート」と名乗り、アレイスターを殺害する為に暗躍していたようだ。

コロンゾンは「ダモクレスの剣」をアレイスターに突き立て、契約を完遂したかと思われたが…。

10億8309万2867通りの可能性

アレイスターはその身に10億8309万2867人もの自分の可能性を重ね合わせ、封じ込めていた。

第三次世界大戦の終局、右方のフィアンマを制裁したのは「アレイスターの可能性の一つ」である。
この時のアレイスターは確かに学園都市にいる筈だったが、「0と1で表現できない」と同次元に複数の自分が存在できることを仄めかしていた。
実際には10億以上もの途方もない分岐先を秘めていたことが判明。男性・女性・老人・子供・聖人・罪人など多様に重なって見えたどれもがアレイスター本人であった。

「私の魂は極彩に輝いていた」
「元々一つの体にあらゆる可能性を封じ込めていた、という訳だな。とはいえ、世界に私が複数いてもかち合うばかりでおおよそ協力態勢など期待できぬと判断してな、そこから先は自縄自縛で私は全ての私を重ねて一つの座標に留めるしかなくなった。つまりいつも通り考えなしの大後悔という訳さ」

「かつてあった『樹形図の設計者』が演算し、問答型思考補助式人工知能が証明した数値が正しければ、私が選び得る事のできる選択肢、そしてそこからの分岐先は十億八三〇九万二八六七通り。つまり多様な可能性としてそれだけのアレイスター=クロウリーが存在する。君はその瞬間を目撃した。そう、今さら何をしようが目撃した『だけ』なんだ。この一点から、花火でも打ち上げるようにな」

ローラ(コロンゾン)は確かにアレイスターを殺したが、それは可能性の一つに過ぎない。アレイスターの内一人が死んだことで、他の全ての可能性も解き放たれた。

「「「『計画』はまた失敗だ。形を変えた僧院、学園都市は君にくれてやる」」」
「「「では代わりに、君のオモチャを私がもらうとしようか。イギリス連邦に属する全ての国家と……本丸の連合王国そのものをな」」」

言葉通り、多くのアレイスター集団が大挙してイギリス連合の制圧を開始した。

アレイスター=クロウリー(美少女)

新約18巻ラストで、その可能性の一つである美少女アレイスターが上条当麻と接触している。

知識は男を引き継いでる様だが女の体は未知数らしく、新約19巻では上条に耐久性テストと称して性行為を迫ったりしている(しかもその後も性行為を要求)。
極めつけに上条と一緒にピンクなホテルに入っていた。もうやだこの変態親父。

変態具合はともかく、アレイスターなので色々凄いのは確かなようだ。具体的には、

  • 10億人以上の自分をアイテム感覚で5人ほど消費する
  • コロンゾンの制御下にある烏丸府蘭を、豊富な知識と圧倒的な力で完全に救う
  • 「霊的蹴たぐり」と「衝撃の杖」の倍増効果で「軽く見積もって宇宙を10回作れるほどの力」を使う
  • 計算ずくでウラシマ効果を起こし、コロンゾンを罠に嵌めて「新天地」に追放(セルフ理想送り)

などラスボス候補、あるいは超越者としての実力を存分に発揮している。

新約19巻の試し読み範囲で「変態美少女あれいすたん」と化し、上条を振り回し続ける統括理事長。強キャラ感とか完全に吹き飛んだと思われていたが、根はやはり世界最高峰の魔術師だったのだ。

再会

そして新約19巻では衝撃的な展開が待ち受けていた。まさかのリリス再誕である。

誰からも理解されず約1世紀も失敗と苦難の道のりを歩み、愚直なまでに自己を貫き通したアレイスター。そんな彼に対するエイワスからの、流した血と汗と涙の重さに見合うだけの祝福であった。
→リリス(とある魔術の禁書目録)

自身の娘・リリスとの再会。感動の対面になるかと思われたが、

リリス
大人気がなさ過ぎでしてよクソ野郎!! 何ですのその格好?
人がわざわざ奇跡の大復活を遂げて感動のご対面をしようって時にどうしてあなたが私以上に女の子女の子しているんですの!?
知らぬ間に性転換して下手すりゃ自分の娘よりかわゆく変貌した『父親』を私はどんな顔で迎え入れたら良いっていうのでして!?普通にしていれば無理なく泣きに繋がるこの場面を無理矢理笑いに変えるんじゃねえよまったくもおーっ!! と代読中

まず最初にぶん殴られた。1世紀越しの感動の再会が台無しである。

アレイスター自身もリリスとの接触を心のどこかで躊躇っていた。
だが、エイワスとミナ=メイザースから「幸せになるための努力を常に怠るな」「幸せになることから脅えて逃げるな」という言葉を受け取り、静かに眠るリリスを腕の中で抱いて再び父親に戻るのだった。

新約19巻の最後の挿絵には、リリスを抱えたアレイスターの姿があった。

イギリスへ

終章では一方通行(アクセラレータ)と浜面仕上と交渉し、条件付きでひとまず行動を共にする事となる。
交渉内容については二人の記事も参照。

さらにコロンゾンに乗っ取られそうになった学園都市にウィルスをばら撒き、学園都市が有する次世代兵器も最先端知識も使えないように機能停止・凍結状態に追い込む。
そして、もう一人の娘を取り戻すと宣戦布告。上条当麻、一方通行(アクセラレータ)、浜面仕上達と共にイギリスへと殴り込むために行動を開始する。

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関連項目

  • とある魔術の禁書目録
  • アレイスター=クロウリー・・・モデル
  • エイワス
  • リリス(とある魔術の禁書目録)
  • ローラ=スチュアート
  • コロンゾン
  • ミナ=メイザース
  • 上条当麻 / 幻想殺し
  • 一方通行(アクセラレータ)
  • 浜面仕上
  • 窓のないビル
  • 魔術(とある魔術の禁書目録)
  • 魔神(とある魔術の禁書目録)
  • とある物語の人物目録

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