エイシンサンルイス 単語


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エイシンサンルイス

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エイシンサンルイス(Eishin Sun Luis)とは、1996年生まれの元競走馬である。伝説の追い込みで差し切られた馬。

概要

血統

父 Conquistador Cielo、母 Macharoundtheclock、母父 Devil's Bagという血統。アルファベットだらけの血統表からも分かる通りマル外の馬である。

父はミスプロ産駒でメトロポリタンハンデキャップ(1600m)とベルモントステークス(2400m)を連闘で制覇(しかも前者は7馬身差、後者は14馬身差逃げ切り)し、その年の年度代表馬になったスーパーホース。種牡馬としては大失敗ではないものの期待されたほどの成果は出せず、日本で一番活躍した直仔は本馬になる。他に血縁関係のある日本関連の馬としてはエイシンチャンプやサイレントウィットネス(父父)、ツルマルツヨシやゼネラリスト(母父)、ヨカヨカ(3代父)などがいる。
母は5戦1勝の条件馬。近親の活躍馬としては米GⅠ馬Nostalgia's Starがいるが、日本馬としてはかなり遠いところに日本ダービー馬ロングエースがいるくらいである。
母父は2歳時に圧倒的な成績を残しクラシック制覇を期待されながらも故障で出走できずに終わった馬。日本ではタイキシャトルの父やサトノダイヤモンドの母父として知られる。

デビュー~4歳(1998~1999年)

1996年に誕生した本馬は「エイシン」冠でおなじみの平井豊光氏の所有(この時点の代表馬はエイシンワシントンやエイシンバーリン)に所有され、かつてエイシンウイザード(89年桜花賞5着)を管理した栗東の太宰義人厩舎の所属となる。主戦には同年に騎手デビューした太宰氏の次男、太宰啓介が据えられた。その後太宰は本馬が中央所属時に走った15戦すべてでコンビを組むことになる。

そんな本馬、芝のデビュー戦は落とした(6番人気4着)ものの2戦目のダート未勝利戦では逃げて上がり最速(上がり2位とは2.6秒差)、1400m戦なのに2位と3秒差をつける圧勝劇を見せる。続く条件戦も逃げて4馬身差の快勝、オープン昇格を果たす。
しかし続くオープン2戦は減量騎手の特典が使えなくなり、距離の壁にも当たって逃げ切れず7着、4着。ちなみに後者には最強の二番手メイショウドトウ(8着)や秋華賞馬ブゼンキャンドル(7着)が参戦していたり。
そこで距離短縮してデビュー戦以来となる芝の菩提樹ステークス(1400m)に参戦。ここにはすでに重賞戦線での実績があるサイキョウサンデー(デュランダルの全兄)やゴールドティアラ、あのダンシングブレーヴを破った英愛ダービー馬シャーラスタニの産駒であるヴィエントシチーらも参戦しており、彼らに次ぐ4番人気。前2頭はともかくなんでオープン昇格戦のヴィエントシチーが1番人気だったんだ?しかしレースはというと前半4ハロンを46.0秒のスロー逃げに持ち込んだ本馬が後続を完封。オープン初勝利を飾る。
休みを挟んでダートに戻った(以後は全戦ダート)次走ギャラクシーステークス(1400m)は7番人気と低評価だったが、2番手から押し切って2馬身差の快勝。続く神無月ステークス(1600m)は距離の壁か7歳の古強者チョウカイライジンにアタマ差差し切られたものの2着を確保。期待の新星として4歳シーズンを終えた。

5歳 -化け物登場-

2000年の始動戦すばるステークス(1400m)は8着と惨敗したが、続くコーラルステークス(1400m)は圧倒的1番人気のサウスヴィグラスをクビ差封じてオープン3勝目。続く栗東ステークス(1200m)ではまたしてもサウスヴィグラスが圧倒的1番人気だったが本馬はそれに次ぐ2番人気、1ケタ台はこの2頭だけであった。

レース本番、本馬はいつものようにダッシュ良く2番手を確保。そして当日は雨の重馬場。日本のダートの場合重馬場になるほど脚抜きが良くなるため先行馬が有利になる展開である。サウスヴィグラスも先行してきたが大外枠のため外を回らされる展開。サウスヴィグラスを引き連れて先頭で粘るキーゴールドを捕まえに行き―

黄色い帽子キーゴールド、リードは1馬身くらいですが、
エイシンサンルイス、エイシンサンルイスとサウスヴィグラスであります、
サウスヴィグラス外から差を詰める、エイシンサンルイスとサウスヴィグラス、
粘っているのはキーゴールド、粘ったキーゴールド、

1番外を突いておおブロードアピールが突っ込んできた!フラワータテヤマと突っ込んでまいりました!

先頭はサウスヴィグラス、すごい勢いでブロードアピール!ブロードアピール!
エイシンサンルイス、エイシンサンルイス、ブロードアピール、サウスヴィグラス、
差し切ったか!外10番のブロードアピール差し切ったか!松永幹夫!

わずかに外10番ブロードアピール差し切ったか!エイシンサンルイス粘っていました!サウスヴィグラスは3番手か!

―――2000年栗東ステークス 石巻ゆうすけアナウンサー(関西テレビ)

ーその刹那、直線後方5番手にいたはずの馬が大外を飛んできていた。ダートは1年半ぶりの2戦目、斤量57kg、3走前にシルクロードステークスを勝ったとはいえこその後の2戦は大敗の7歳牝馬、どう考えても来る要素のない6番人気ブロードアピールである。本馬はキーゴールドをきっちり捕まえ、サウスヴィグラスも競り落とし、上がり3ハロン35秒3で駆け抜けた。1分9秒2はそれまでのコースレコードを0秒4も縮めた時計である。それをブロードアピールは上がり34秒1という異次元の脚でアタマ差捕まえたのであった。なにこの無理ゲー。

さて、訳の分からん化け物に勝利を攫われたとはいえここまでの好成績を受け、本馬はいよいよ重賞挑戦。初重賞挑戦はすでにプロキオンステークス(1400m。ここの相手はすでに中央重賞を2勝・交流重賞を1勝し、フェブラリーステークスではウイングアローの2着に突っ込んだ同期のゴールドティアラ。この2頭で人気を分け合い、本馬は2.5倍の2倍人気。そしてレースでは太宰騎手初重賞の夢を載せて逃げたが最終直線で実況に「残念ながら」といわれつつゴールドティアラに差し切られて2着。それでもサンフォードシチーらの追撃を退けて収得賞金の積み増しには成功した。

2000年 根岸ステークス

そして秋。ゴールドティアラが南部杯でGI馬となり本馬としてもタイトルをつかみたいところ、初戦は秋開催最後となった根岸ステークス(1200m)。ここには北関東最強馬のベラミロード、史上初めて根岸ステークスを連覇した真っ白な馬体になったワシントンカラー、のちのJBCスプリント初代チャンピオンである黒い帽子のノボジャックなどが参戦。その中で本馬は3番人気。

そしてレース本番。大外からベラミロードがE’良いダッシュで先行するが、内枠を利して本馬も応戦。名古屋からやってきたゴールデンチェリーを交えて3頭で先頭集団を形成する。

大ケヤキの向こうを各馬が通過していく
600標識を通過した

前3頭の体勢です
1番外ベラミロード、内に3枠2頭エイシンサンルイス、ゴールデンチェリーです

公営2頭が先行する形になった。内からエイシンサンルイス
この前3頭で直線を向いた根岸ステークス

後ろから攻めてくるのはノボジャックの黒い帽子か
不気味に前に迫ってきて400標識を通過した

前4頭。後続勢、まだなかなか追ってこないぞ
ワシントンカラー、懸命に叩いているがちょっと前との差は詰まってこないか

―――2000年根岸ステークス 青嶋達也アナウンサー(フジテレビ)

府中の長い最終直線に入り後続も追い込んでくるが本馬の粘りは折り紙付き、ともに逃げた2頭を競り落としノボジャックを引き離していく!

200を通過した! 先頭エイシンサンルイス突き抜けた!

―――2000年根岸ステークス 青嶋達也アナウンサー(フジテレビ)

人馬初の重賞制覇まで後200m!競り合いで本馬も消耗しているとはいえノボジャックの伸びもいまいち、あとは化け物みたいな末脚持ちがいなければ重賞制覇だ!

―それではゴールまでの実況をご覧ください。

―――外から飛んできたブロードアピール!

外からブロードアピール、オレンジの帽子が飛んできた!
しかし前にはまだ5、6馬身以上ある!

200を通過した! 先頭エイシンサンルイス突き抜けた!

2番手は、すごい脚! ブロードアピール!
3番手! 2番手!前に! 届くか! 届くか! 届くか! 届くか! 届いた! 届いた!
差し切り勝ち、すごい脚だ!
 
ブロードアピール、ダート3戦3勝快勝!

2着エイシンサンルイス!

―――2000年根岸ステークス 青嶋達也アナウンサー(フジテレビ)

そう、半年前に撫で切りやがったブロードアピールが中1週で参戦してきたのである。直線最後方から一気の強襲を受けた本馬は抗えずに差し切られ、ノボジャックは半馬身抑え込んだが2着

そしてこのレース、青嶋アナの臨場感あふれる実況と噛み合わさった結果「絶望的な位置から圧倒的な末脚ですべてをひっくり返した伝説のレース」としてネット上で大人気になり、ひっくり返された本馬の名もネットに知れ渡ってしまったのである。哀れ。

それから

勝ちをひっくり返された本馬の次走はシリウスステークス(当時1400m)。ここにはブロードアピールもゴールドティアラも居なかったので1番人気に推されたが、57.5kgの最大斤量を課されたことが祟り、3.5kgも軽い斤量を背負ったマイネルブライアンの強襲を躱し切れずハナ差、3度目2着

年明けのガーネットステークス(1200m)ではまたしてもブロードアピール・サウスヴィグラス・ノボジャックと相まみえるも、今度は枠の関係でサウスヴィグラスに先行を許して捉えられず、最後は伏兵ビーマイナカヤマとブロードアピールに差し切られて4着。
とはいえ後ろのノボジャックは5馬身ちぎっているのでいずれは重賞も…と思われたがここで脚が限界を迎えたか1、年9か月の長期休養を余儀なくされる。園田競馬に移籍して再起を図り、3戦して1着1回2着1回と実力は見せたが再び脚部不安を発症して引退と相成った。

その後は乗馬となり、2015年に吉備ひだまり牧場に引き取られたことまでが分かっている。

太宰騎手はこの後も2001年菊花賞でマイネルデスポットで大穴を開けかけるなどしたものの重賞には長らく手が届かなかったが、2011年にフミノイマージンで初の重賞制覇を成し遂げ、2025年10月現在で重賞7勝を挙げている。

血統表

Conquistador Cielo、母 
1979 鹿毛
Mr. Prospector
1970 鹿毛
Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
K D Princess
1971
Bold Commander Bold Ruler
High Voltage
* タミーズターン Turn-to
Tammy Twist
Macharoundtheclock
1990 黒鹿毛
FNo.4-m
Devil's Bag
1981 鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Ballade Herbager
Miss Swapsco
Clocks Secret
1982 鹿毛
Apalachee Round Table
Moccasin
Dinky Pinky What a Pleasure
Little Dunce
競走馬の4代血統表

クロス:Turn-to 4×5、Bold Ruler 4×5、Nasrullah 5×5

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なんだこいつ

 

関連項目

  • 競馬
  • 競走馬の一覧
  • 1999年クラシック世代 
    • ゴールドティアラ
    • サウスヴィグラス
  • ブロードアピール
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