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エヴァーグレイス

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エヴァーグレイス』 (EVERGRACE) とは、2000年4月27日にフロム・ソフトウェアから発売されたPS2用着せ替えアクションRPGである。続編として『エヴァーグレイス2』も発売されている。

PS2用ソフトの中でもかなり初期のソフト(PS2発売日が同年3月4日)。余談だがPS2初参戦のRPGソフトが同社製の「エターナルリング」であるなど、ことPS2に関しては早くから先鞭を切っている。
一見マイナーそうなゲームに見えるが、まだラインナップが少なくPS2初のFF作品となるFFXに関する情報も少なかった時期に独特のゲームデザインを持っていた事から、当時を知るゲーマーの間では知名度が高い。

ある意味で、「デモンズソウル」の遠い先祖とも言える。

概要

プレイヤーキャラは「ユテラルド」「シャルアミ」の二人。この2人に与えられた奇妙な境遇からゲームがスタートする。

ごく簡潔に言うと「第三者視点になってグラフィックがきれいになったキングスフィールド」。
そのためか、キングスフィールド伝統の「床が明示されていない崖へ落ちると即ゲームオーバー」がある。

PS2発表当時としてはかなり美麗なムービーが特徴で、特にOPの美しさはフロムのこだわりが見受けられる。
ゲーム内のグラフィックも秋を基調にした美しいもので、この「秋」という設定は2にも通じている。

反面、内実は典型的なフロムゲーであり、操作性は余り良くなく、さらに装備の染色の説明が一切ないなど道中の謎解きも一見しただけでは分かりにくい。
ゲーム中でのチュートリアルやオンラインヘルプは存在しないので、説明書はきっちり読んでおきたい。

ゴリ押しするとすぐ即死しかねないバランスやとっつきにくい謎解きが多い反面、ゆっくり丁寧に進めば難易度はそう高くない。不親切で遊びにくいか、装備や謎解きが楽しいゲームか、評価が人によって大きく二分されやすい。

「装備する」RPG

パッケージ裏面のキャッチコピーがこれ。このゲーム最大の特徴が「ドレスアップシステム」である。
武器・防具・アクセサリを含めた全ての装備部位の変更がキャラの見た目に反映される。
今でこそ珍しくないシステムだが、当時はせいぜい武器程度しかグラフィックが変わらないのが相場だったので画期的だった。
システムを際立たせる為か、各装備品は性能の完全上位互換や劣化品は少なく、一方で見た目やモーションの差異は大きくデザインされており、単純なステータスに囚われずに見た目をコーディネートして選ぶ楽しみがある。
頭装備には髪型が変わる物があったり、中には地球儀・フライパン・鳥の巣などの珍妙な装備品もありネタ衣装化する事も可能。
ゲームボリューム自体は少ない割に、装備品関連のメニューはカラー変更まであったりとやたら充実している。

武器や防具には火・凍・樹・雷、斬・叩・突の7属性があり、敵によって弱点があったり攻撃の属性が固定されていたりするので、戦闘時は装備の使い分けが求められる。装備は各々に「パルミラアクション」(魔法や必殺技のようなもの)を持ち、装備品毎に使える技が異なり、こちらも使い分ける為には装備を変える必要がある。

一方で、このゲームの設定の一つとして、ほとんどの武器や防具はパルミラという樹木を利用した「パルミラ製」とでもいうべきものであり、そのため武器は攻撃するたび、防具とアクセサリーは装備しているだけで徐々に「パルミラポイント(PP)」を消費していき、パルミラアクションを発動させると大幅にPPを失い、PPがゼロになると役立たずになってしまう。
これらは修理することでPPを回復できるのだが、そのためには通貨の支払いが必要なので、通貨がなくなると不便な戦いを強いられる。一方で新しい武具の購入や強化、回復薬などの消耗品も通貨を支払って入手するため、このシステムを理解していないと修理代だけで多くの金が消えてしまうということになる。
とある純金属製の武器は劣化しないため、時には裸一貫で敵を倒したほうが効率が良い場合もある。
余談だが通貨は敵を攻撃したり倒したりすると入手でき、自キャラの運勢が高いほどよく落とす。そのため序盤で運勢が上がるアクセサリーを買うと、それを買うまでの手間が掛かるが以後の進行が大幅に楽になる。

また仕掛けも「装備品を赤色の物で揃える」「雷属性の武器を持つ」等、装備品が鍵となるギミックが多い。

なお、キングスフィールドひいてはフロム作品を象徴する「MOONLIGHT」は本作では「聖剣ムーンライト」として登場。あらゆる能力増加値が高く、攻撃力も最大斬375+雷370と非常に強力。もちろん刀身も美しい。ただし入手には隠しダンジョン「デモンズタワー」最下層のボスを倒す必要があり、非常に難易度が高い。

ストーリー

フロム・ソフトウェアの一部のソフトには、ゲーム中に多くを語らず、プレイヤーに想像を委ねるという作風がある。
このゲームも例外でなく、専門用語の羅列や「消滅帝国リューベーン」「人秘学研究所」「クレスト」等の思わせぶりな用語解説がロード中に挟まれたりするなど、やけに凝った設定を伺わせる部分がある。
そのためか、ストーリーやキャラクターの台詞にはどこか「間」が感じられる箇所がある。(関連:フロム脳)

シナリオ設定は実は細かいのだが、ゲーム中ではあまりに描写不足で、「何がわからないのかすら分からない」といった事もしばしば。幸い、このゲームを楽しむ際にバックストーリーの理解は必須ではないので、分からなくても困る事は無い。というかセリフだけちゃんと聞いててもあまりよく分からない。

小説版が存在し、そちらの読者からは好評を得ている模様。

音楽

オープニングデモで突然流れる異様なコーラスに驚きを感じたプレイヤーも少なくないだろう。
その作曲者、つまりゲーム中のBGM担当者は星野康太氏である。また、コーラスも氏自身の声を加工したものを用いている。

『エヴァーグレイス』のBGMは、その女性とも男性とも取れぬ不気味で不安定なコーラスや独特な伴奏とリズムを用いた、いわば東南アジア的な音楽が多く、このBGMがこのゲームの並はずれた雰囲気を作り出していると言っても過言ではない。
人によってはこの雰囲気に心地良さや癒しを感じたりするだろう。また、恐怖を感じる人もいるかもしれない…。

原因は不明だが、前触れもなくBGMが崩壊することがある。

なお星野氏はフロムソフトウェアから発売されている『アーマードコア』シリーズのBGM担当でもある。

続編

「エヴァーグレイス2」が発売されている。キャラはユテラルドのみ続投。

本作同様、装備品関係が充実しているのは変わらないが、こちらは3人のキャラクターで常に一緒に行動する。

敵との間合いを計りながらゆっくりとした戦闘をする「1」に比べ、「2」は3人のパルミラアクション連携やガード行動が戦闘の中心となり、ゲーム性はやや異なる。(終盤のボスは殆どガードゲーで、特にリヤナの吸収ガードは強すぎてバランスブレイカー気味)

ストーリーは1との繋がりは殆どない。不気味で難解な1に比べると、王道寄りのテイストになりだいぶ分かりやすい。

関連動画

続編のBGMメドレー

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関連項目

  • フロム・ソフトウェア
  • エヴァーグレイス2
  • 星野康太

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