![]() |
ゆっくり編集していってね!!! 編集者の方へ:2021/4/30 23:59頃の終了を目指し作業しております。 ゆっくり編集していった結果が編集競合にならない様にご協力お願いします。 |
オブジェクト指向(object oriented)とは、1980年代以降ずっと主流を占めているプログラミングパラダイムである。
手続きをオブジェクト(対象)を単位として考えることによって、より人間の思考に近い形でプログラミングしようとするプログラミングパラダイムである。
関数型プログラミング派からは異論があるかもしれないが、2021年現在においても主流のプログラミングパラダイムであり、大抵の実用的プログラミング言語には採り入れられている。
オブジェクト指向プログラミングにおいて、クラスの概念を持つ言語でプログラミングする場合がほとんどである。しかしクラスというものを排除してオブジェクト指向を実現した言語(SelfやLENSなど)も存在する。
カプセル化・継承・多態性が三大要素であるとされる。
各オブジェクトが作用しあって、その内部状態を互いに変化させながら処理が進行するようなプログラムを作ることがオブジェクト指向プログラミングである。オブジェクト指向言語と呼ばれる言語を使用したとしても、必ずしもオブジェクト指向プログラミングとなるわけではない。
プログラミング解説書も売り込みのために「オブジェクト指向で〜」とタイトルに入れることが多々あり、著者の数だけ「オブジェクト指向」の定義があると言えるかもしれない。以下では最大公約数的なものを目指して記述するつもりだが、読んで俺の知ってるオブジェクト指向と違うと思ったのならお互いにそういうことなのだろう。異論は認める。
以下ではプログラミング未経験者でも読めるように出来るだけ特定のプログラミング言語に依存しない記述を試みるが、プログラミングでは実際にやってみないと実感がわかない話はたくさんある。読んでわからないのであれば、一度Javaあたりでオブジェクトやクラスを定義したプログラミングを書いてみるしかないかもしれない。
クラスにはそのオブジェクトが、どのような内部状態を持つか、どのような操作でどのように内部状態を変化させるべきかを記述する。クラスの構造がプログラム実行前に静的に決まって変更できない言語と、実行時であってもクラスの構造の変更を行える言語が存在する。
例示のために特殊な状況を設定する。
あなた(プログラマー)が動物園の飼育員(コンピューター)の監督に就任したとしよう。あなたは飼育員に対して飼育マニュアル(プログラム)を通じて指示することしか出来ず、自ら動物と触れ合うことは出来ない。
説明のための例示であり、実在の動物園・飼育員・監督・動物等及びその動作とは一切関係ない。異論は認めない。
この動物園にはA, B, Cという名前の3頭の虎がいる。
あなたは思考を放棄してすべての手順(手続き)を逐一書き出すことにした。
飼育員の業務
虎Aに対し肉10kgを用意する。
虎A用の肉10kgを1kgごとに切り分ける。
虎Aの檻に切り分けた肉を置いてくる。
虎Aは満腹になる。
虎Bに対し肉10kgを用意する。
虎B用の肉10kgを1kgごとに切り分ける。
虎Bの檻に切り分けた肉を置いてくる。
虎Bは満腹になる。
虎Cに対し肉10kgを用意する。
虎用の肉10kgを1kgごとに切り分ける。
虎Cの檻に切り分けた肉を置いてくる。
虎Cは満腹になる。
上記でもゲシュタルト崩壊して十分読みづらいが、さらに虎の数が増えた時に収拾がつかなくなるのは、想像に難くない。間違いにも気づきにくくなる。「虎C」と書くところを「虎」としてしまっているところに初見で気づいた人はどれくらいいただろうか。
オブジェクト指向を導入すると、上記のマニュアルは以下のようになる。
虎
虎は空腹になったり満腹になったりする。
餌のやり方
虎に対し肉10kgを用意する。
虎用の肉10kgを1kgごとに切り分ける。
虎の檻に切り分けた肉を置いてくる。
虎は満腹になる。飼育員の業務
虎A, B, Cに餌をやる。
なんということでしょう
業務内容をA, B, Cという対象(object)を単位として整理するという方針に従えば(oriented)、A, B, Cは「虎」に分類(classification)されてひと括りに扱うことができるようになり、 飼育員のすることは変わっていないのにマニュアルの見通しが良くなったのである。
これなら虎の数が少々増えても読みづらくはならない。また、現実の監督が飼育員に指示する時もBeforeよりAfterのやり方になるであろうことから、より人間の考え方に近づいているということもおわかりいただけただろうか。
なお、スレッドやHTTP接続、果ては関数など形のないものまでオブジェクト(対象)化できるので、オブジェクト = 物体 という考え方に囚われるとよろしくない。
厳密に言うと、対象の状態を記録したプロパティを束ねたデータの集合体であり対象そのものではない。冷静に考えれば虎「A, B, C」は、それぞれにつけられた名前であって虎そのものではないのだから当然なのであるが、これを忘れると後で虎が異次元空間に消えたり、何もないところから突然現れたりすることになる。
後から虎の餌用の肉を1kgではなく0.5kgごとに切り分けなければならないことが判明したとしよう。オブジェクト指向導入前であれば虎A, B, Cのそれぞれについて全3ヶ所の変更が必要であったが、オブジェクト指向導入後であれば「餌のやり方」の項を1ヶ所変更するだけで済む。
虎Dが増えたとしても、オブジェクト指向なら「虎A, B, C」を「虎A, B, C, D」とするだけである。
このようにオブジェクト指向が導入されれば状況の変更にも柔軟に対応できるようになるのである。
例えば上記の「虎」の章の部分の執筆を部下(もし部下がいるほど偉ければだが)に任せることができる。
一旦任せてしまえば、たとえば先述の肉の切り分け単位が変わったりしてもあなた自身が対応をする必要はない。
また、任された部下も、虎が空腹か満腹かというプロパティではなく、その日に食べた肉の量を記録して、10kgに満たなければ空腹であると判断するようにしても、あなた自身はそれを気にする必要はない。
このことにより、あなた自身は「虎」の細かいことは気にせずに「飼育員の業務」の章の執筆に専念することができる。
このような状態を内部実装がカプセルの中に隠蔽されると見立ててカプセル化と呼ぶ。
虎ではなくサイE, Fが増えたとしよう。以下のような対応が可能である。
動物
動物は空腹になったり満腹になったりする。
餌のやり方
動物に対し餌を用意する。
動物の檻に用意した餌を置いてくる。
動物は満腹になる。虎
虎は動物である。
餌の用意
虎に対し肉10kgを用意する。
虎用の肉10kgを1kgごとに切り分ける。サイ
サイは動物である。
餌の用意
サイに対し草を10kg用意する。(切り分けなくて良い)
飼育員の業務
A, B, Cは虎である。
E, Fはサイである。動物A, B, C, E, Fに餌をやる。
「虎」と「サイ」の共通点である「動物」という性質(分類)を記述することにより、虎とサイについては相違点である餌の用意方法だけを記述すれば済むようになっている。
そして、餌をやる時も「虎」と「サイ」について別々に記述せず「動物」とひと括りにして餌をやることができるのだ。
サブクラスのインスタンスは必ずスーパークラスの性質を備えているべきであり、スーパークラスのインスタンスと置き換えて使用することができるという「継承」の原則論。
上記でいうなら「動物X」と書かれているところがあれば、「虎A」や「サイF」で置き換えてもマニュアルとして意味不明にならいということ。
これを満たさない継承はおそらくまともに動作しないのでやってはならない。
プログラミングミスの話をしよう。
プログラミングにおいては便利に書けるというのも大事なことだが、ミスによるバグをなくすというのも大事な話である。プログラミングで大変なのはプログラムを書く工程ではなく、バグを探すデバッグ工程であるという話もあるくらいである。
手続き型プログラミングと呼ばれる旧来のスタイルよりも、ミスは減ったがそれでもプログラミングにおける問題点を完全になくすことはできなかった。
以下ではそういったことを上記の例を引き継いで解説しようと思う。
別のところでも書いたが、単純化して説明するので「そんなミスする奴いねーよ、バーカ」とか思ってしまうかもしれない。しかし、日々繰り返したり、他のことと組み合わさって複雑になったりすると実際に起きてしまうのだ。
なお、以下では虎が死亡するが、非実在虎であり動物虐待ではない。異論は認めない。
以下のルールを追加する。
虎は、満腹時に餌を与えると過食により死亡する。
なお、虎が死亡するとあなたは監督責任を問われてクビになる(プログラムの異常終了)。
動物園は発展し、あなたは出世して部下に各動物のマニュアル作成を任せ、自身は「飼育員の業務」の章の執筆に専念できるようになった。そんな折、「猛獣ショーをやるぞ」という園長の掛け声のもと手順書が以下のように変更された。単純化のためサイは来なかったものとする。
飼育員の業務
虎Cを猛獣ショーに出演させる。
虎A, B, Cに餌をやる。
ところが、猛獣ショー開演当日の閉園後、虎Cが死亡したという報告が届き、あなたグビになった。
どうしてこうなった。
実は部下に任せていた「虎」の章は以下のようになっていたのだ。
虎
虎は空腹になったり満腹になったりする。
虎は、満腹時に餌を与えると過食により死亡する。餌のやり方
虎に対し肉10kgを用意する。
虎用の肉10kgを1kgごとに切り分ける。
虎の檻に切り分けた肉を置いてくる。
虎は満腹になる。猛獣ショー
虎が芸をするごとに褒美として肉を1kg与える。
虎が満腹になったら終了。
猛獣ショーで虎は満腹になるまでご褒美をもらって満腹になっており、この状態で虎A, Bと共に餌を与えられたため過食により死亡したのだ。
このような不幸な自己が起こった原因としては色々考えられるが、一つはマニュアルにおいて虎Cと書かれているだけでは虎Cが空腹なのか満腹なのかわからないということが挙げられる。つまり虎Cというオブジェクトに空腹という状態と満腹という状態両方が存在しうることが問題なのである。
またカプセル化により「猛獣ショー」のメソッドの中身を意識しなくなったことも原因の一つといえるかもしれない。
この問題を回避する方法は一通りではないのと、方法(参照透過)によっては空腹な虎が異次元空間に消えたりするのでここではこれ以上深入りしない。
抽象化・共通化は利点であるが、共通化した部分に個別に変更する部分が生じた場合、また非共通化することになる。
サイが登場した例でいえば、
虎は肉食獣なので逃走のリスクを下げるため、虎の檻だけ扉を二重にしたくなったとする。檻の出入りは「動物」のメソッドで共通化しているので、虎の檻の出入りの手順だけを変更しようとすると、せっかく共通化した「檻の出入り」の部分を「虎」と「サイ」で別々に書き直さなければならない。
継承によるプログラムの部品化はオブジェクト指向の特色とされている。確かに、各プログラミング言語の標準ライブラリレベルで十分な時間と人手をかけて検討されテストされた継承であれば、オブジェクト指向の利益を最大限に享受できるだろう。しかし、末端のプログラマーがその場の思いつきで共通部品化したものについては継承により予期せぬ不具合を引き起こすと言われており、言語仕様上は継承をサポートしていても積極的に継承を利用することは勧めていない場合もある。
関数型プログラミングでは宣言型プログラミングという、ものごとの関係性を「宣言」する形でプログラミングするスタイルが奨励されている。上記の例にあわせて書くと以下のような雰囲気になる。
- 業務終了後、全ての虎は満腹になっていなければならない。
- 虎を死亡させてはならない。
- 当園には虎A, B, Cがいる。
- 虎は空腹か満腹である。
- 空腹の虎に餌を与えると満腹になる。
- 満腹の虎に餌を与えると死亡する。
オブジェクト指向では、「虎A, B, Cに餌をやる。」という飼育員への作業命令が主文であったのに対し、宣言型プログラミングでは「全ての虎は満腹になっていなければならない。」という「目的」が主文となっていることに着目したい。また、他の文も定義を「宣言」しているだけで飼育員に「何をしろ」とは言っていないことにも目を向けるべきである。
さて、このマニュアルを受け取った飼育員はどのように行動するのか。
ということで、この飼育員は虎A, B, Cのうち空腹な虎にのみ餌をやるという行動を取る。
「目的」と「定義」だけ「宣言」すれば実際に作業内容を指示しなくても、自動的に動作が組み立てられるという優れたプログラミングパラダイムであるという主張がある一方で、定義から実際の動作がどのようになるのか想像しづらい場合が多いという批判もある。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/09(火) 22:00
最終更新:2025/12/09(火) 22:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。