オーロックスとは、ウシ科ウシ属に属するウシの一種である。
家畜系統の子孫として存在しているコブウシは今でも健在だが、純粋な野生種のオーロックスは絶滅している。
家畜として飼われている牛の祖先であり、原牛とも呼ばれる大柄な牛。
元を辿ると時は遡りおよそ200万年前、インド周辺で進化したと見られている。その後分布を広め、11000年前の更新世末期にはヨーロッパ・アジア・北アフリカなど幅広く分布していた。
人との関わり合いも古く、15000年前のラスコー洞窟の壁画にもその姿が描かれていた。石器時代には既に人類の狩猟の対象とされたり、家畜化がされたのが見てとれていたようだ。
大きな個体はホッキョクグマよりも体躯が巨大で、体高は平均2m程度は超えていたとされる。これは当然人間よりもずっと大きかった。全体的に筋骨隆々のたくましい肉体を誇っていて、さらに80cmもある角は前方に突き出ており、これらの特徴は戦いにおいて威力を発揮した。
体色は雄が黒、雌や子供は褐色で、体格は雄のほうがでかい。生息地は開けた疎林、草原など、森林の中のような自然の世界においてで暮らしていたようである。群れの構成は様々で、単独行動をとっていた個体などもいた。
繁殖期は8月から9月にかけてやってきて、その間は激しい繁殖闘争が行われていたという。その後子供は5月から6月頃に生まれていた。
性格は普段こそおとなしいものの、危険を感じるとその角と鈍重そうな見た目によらない筋肉任せの素早さで、パワフルな戦いを繰り広げていた。
主な理由は人間の過剰な狩猟や自然破壊による生息地の減少によるものであった。野生種のオーロックスにとっては後者のほうが深刻だった。
注目すべきはオーロックス減少を見た際の人間に対する対応である。
人間は当時としては珍しくオーロックスの保護区を成立させ、オーロックスを密猟者から守ろうとしていた。種の重要性を理解していた諸侯達は、各地で保護区を作って種の存続に励んだ。
諸侯「…………なんて、私達がそんな軟弱なことをすると思ったか!馬鹿め!」
実はこの保護区とは、諸侯達が安心して狩りを楽しむための保護区であり、要するに「ここで狩りしていいのは俺達だけだかんな!テメエラはやりたきゃ他でやれ!」という意味での禁猟区設定であった。
諸侯達は、身体が大きい癖に素早く走ることが出来るオーロックスを、恰好のハンティング対象として見ていたようで、趣味の狩猟を彼等は思惑通り特に誰にも邪魔されることなく、楽しんでいたという。
そのため、保護区内のオーロックスを根絶やしにすると保護区を畳み、次の狩場の確保を目指すという負のスパイラルが続いていった。
こんなわけで、ただでさえ減少の一途を辿っていたオーロックスは、滅亡ロードを転げ落ちていくことになり、ついにはその保護区もポーランドのヤクトルフだけになっていた。
流石にそこではまともな保護も考えていたのかもしれないが、そこではついぞ密漁が絶えることはなく、オーロックスはこうして種の回復ができなくなるまで減少した。
1620年にはついにオーロックスは1頭だけとなった。その1頭は後生大事に育てられていたが、その約7年後、保護区の森の中で死んでいるのが発見された。こうしてオーロックスは絶滅を迎えた。
死の真相として、最後の1頭をも密猟者が殺したという説があるが、事実かどうか定かではない。
最後の1頭が死んでいた森には、オーロックスの存在を後世に遺すため、後に石碑が立てられた。
オーロックスから派生した家畜達の大体は、オーロックスには似ても似つかなかった。
だが、1920年、ミュンヘン動物園でこのオーロックスによく似た特徴を持つ2頭の牛を掛けあわせ、現代にオーロックスを蘇らせようという計画が持ち上がり、実行された。
結果として目論見は成功したが、かつてのオーロックスとは思えない、やや小柄な体格で生まれてきてしまった。また、あくまでそっくりさんなだけで、中身は到底オーロックスとは別物である。
この復元オーロックスは、この計画を立ち上げた動物園長であるルッツ・ヘックにちなんで、ヘックキャトルと呼ばれるようになった。
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最終更新:2024/04/25(木) 15:00
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