キハ66系とは、旧国鉄が開発・製造し、JR九州に継承された気動車である。
キハ66とキハ67で2両1ユニットとして運用され、基本的にこれを分けて使うことはない。(ただしこのユニットの外側に、他の気動車を連結して運用することはよくあった。)
本系列は、新幹線の小倉・博多開業に合わせ、北九州地方と筑豊地区を結ぶために、それまでの硬直化した設計思想から一歩踏み出して、新しく製造された近郊型気動車である。
このような新型車両が当時九州に投入されるのは珍しいことだった。
当時の国鉄九州地区はよそから中古車が流れてくる線区であり、鉄道雑誌にまで車両の墓場と思いっきり直球で書かれるような場所だったからだ。
今で言う國鐵廣島か、あるいはそれ以上か。
440馬力の大出力エンジンを採用、車内には冷房が最初から標準装備され、新幹線で使われた転換クロスシート(ドア付近はロングシート)を配置した。このため当時は急行型並みの近郊気動車とまで呼ばれた。
加速性能も冷房の効きも、シートも良かったのだが、エンジンを回したときの音と振動はすさまじく、床板が共鳴してバリバリバリという音を立て、子供が精いっぱいの大声を出しても母親との会話が成立しない、という車内環境であった。
とはいえ、性能を買われて筑豊地区と大分地区を結ぶ急行や、筑豊本線から鹿児島本線経由の快速に使われるなど、十分に恵まれた処遇だったといえる。一部列車は鹿児島本線の門司港はもとより、山陽本線の下関まで進出した。
本形式で使われた新機軸のうち、転換クロスシートは117系へ、車体構造や前面形状はキハ40系に受け継がれている。
JR九州発足後しばらくの間、キハ66系は民営化前におこなっていた最適化工事の仕様のままで走り続けた。440馬力12000CCとも呼ばれる荒物エンジンは交換せず、ラジエーターの効率ダウンを補うポンプを屋根に据え付けた。そのぶん、ラジエーターとともに屋根を這う配管・パイプ・ポンプがいびつで、まるで怪物じみた威容を誇っていた。
しかし21世紀になるとエンジンと液体変速機を、メーカー・コマツの営業が熱心に売り込んできた新型に交換し、新世代気動車に足を並べられる性能と防音性を手に入れ、屋根もスッキリとしたフォルムになった。実際は20馬力のパワーダウンだったが、排気量・燃費・重量などが大きく改善して結果的に総合性能がアップしている。最高速度95キロは変わらず、カタログ上の性能こそ変化はなかったが、真価はカタログだけで図れるものではあるまい。
しかし時すでに筑豊本線の電化に至り、慣れ親しんだ筑豊本線を全編成が追われてしまう。以来本系列は大村線・長崎本線に移動、快速シーサイドライナーと普通列車に使われ、現在も活躍を続けている。
沿線の皆様、この車両をどうかよろしくおねがいします。
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最終更新:2024/04/20(土) 10:00
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