クワイエット・ゼロ 単語


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クワイエットゼロ

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クワイエット・ゼロとは、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場するプロジェクト名、及びそれらの構成物の総称である。

※本項目は『水星の魔女』シーズン2の核心に触れる内容を含むため
同作を鑑賞した後に閲覧することをおススメします※

 

「戦いも、失う悲しみもない世界に」

概要

用語としての初出は本編第11話。プラント・クエタにおけるプロスペラ・マーキュリーデリング・レンブランの密会時、デリングが進めているプロジェクト(らしきもの)として話題に出た。

パーメットスコアが6に到達したガンダム・エアリアルのネットワーク構築パターンを反映させれば、プロジェクトは最終段階に進めると、プロスペラは語る。この密談によって、デリングが何故エアリアルとシン・セー開発公社を特別扱いしていたかが明らかになり、ストーリー上の謎がひとつ解決した形となった。だが、かつてエルノラ・サマヤと名乗っていたプロスペラにとって、デリングは夫や仲間を死に追いやった仇敵の筈。それが何故デリングと組んでいるのかという謎も提起される。

直後、プラント・クェタはデリング暗殺を狙うテロリストに襲撃される。クワイエット・ゼロの中核建造物(らしきもの)とエアリアルは無事だったが、デリングが重傷を負い、プロジェクトはストップしてしまった。
第13話において、プロスペラはデリングの娘ミオリネにその存在を明かし、父に代わってプロジェクトを共同遂行するように要請。ミオリネは思いもよらない事態に混乱するが、デリングの腹心であるラジャン・ザヒにも助言を求め、自らの進む道を見極めようとする。

構想

創案者はデリングの妻、ノートレット・レンブラン
植生エンジニアであった彼女は「植物の多種多様な生存戦略を人間にも適応できないか」という発想で原案を起草した。その時点では「夢想的で根拠のない、しかし彼女らしい考え(ラジャン談)」だったが、ドローン戦争の悲惨な戦場を目の当たりにしたデリングはそこに「戦争根絶」の希望を見た。ノートレットの死後、デリングはこの計画を極秘裏に推進し、途中でプロスペラという協力者も加えて完成を目指した。

GUNDフォーマットのデータストーム・ネットワークを利用し、この世を「戦争のない世界」へ書き換えることこそが、クワイエット・ゼロの目指すところ。人体には有害なデータストームは、既存のネットワークと異なる超高密度情報体系を発現できるという側面があった。このデータストームを用いて、他の全てのパーメットリンクを介したシステムをオーバーライド(上書き)制御してしまうのである。

「何それ。クソ親父は神様にでもなるつもり?」
「じゃあその『何とか』っていうのに全部乗っ取られるってことかよ!」

アド・ステラ122の世界では、基本的にほぼ全てのデータ制御システムに新元素パーメットが用いられている。即ちクワイエット・ゼロを手中に収めた者は、地球圏のほぼ全てのハード/ソフトウェアを手中に収めることになる。こうして戦争を物理的にコントロールしてしまうことこそがデリングの狙いであった。

……言うまでもなく、こんなものを当の戦争幇助企業(軍需企業)であるベネリットグループが作っていると知られれば地球圏の一大事である。本来の使い方をされれば戦争シェアリング参加企業は商売あがったりだし、使い方を間違えれば(オーバーライドした兵器を同士討ちさせるとか)文字通りの大量破壊兵器になってしまう。グループ内紛で済めば御の字、他グループや宇宙議会連合の武力介入も容易に想像できる。だから、こっそり進める必要があったんですね。

なお、ガンダム・エアリアルはクワイエット・ゼロの起動トリガーとして選ばれた、『新型』GUNDフォーマット技術の搭載機である。エアリアルが決闘中に他の機体をオーバーライドしたのは、クワイエット・ゼロの機能の片鱗である。

プロスペラの狙い

「本当の計画を、言ってください……。
総裁の計画だけなら、あそこまでのスコアは、必要ないはずです」

「『世界』を書き換えたいの。『エリィが』幸せになるために」


何故エルノラ=プロスペラは敵であるデリングに協力したのか。
それはガンダム・エアリアルに宿る、彼女の娘・エリクトの存在故である。

肉体を失い、データストームと一体化した非実体の存在となったエリクトは、データストームの中でしか存在を維持できない。なら、現実空間にデータストームを広げてしまえばいいという答えをプロスペラは導き出した。
クワイエット・ゼロ本来のネットワーク掌握機能のみであれば、エアリアルが発揮できるパーメットスコアは6で十分。だがプロスペラはデータストームを現実世界に拡張するため、更なるスコアの上昇を求めた。最終的にエアリアルのスコアは「8」に達することになる。

また、プロスペラは計画への疑問を持ち掛けてきたベルメリア・ウィンストン博士を脅迫懐柔し、自らの協力者とした。並列分散の専門家である彼女はクワイエット・ゼロの最終調整に関わるほか、エアリアルのデータストームネットワークを拡張するガンビット・ガンドノードのロールアウトにも貢献した。が、その後に宇宙議会連合調査部のエージェントに脅迫懐柔され、あっさり裏切ることになる。

実態

ベルメリアには逃げられたものの防衛戦力であるガンドノード部隊が完成し、最早クワイエット・ゼロを容易に阻止できるような存在はいなくなった。プロスペラはラグランジュ2の雲状衛星に向かい、エアリアルをクワイエット・ゼロの中枢にセットする。

ベネリットグループへの強制介入のため出張ってきた議会連合艦隊が見たものは





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であった。
戦争中を描いたシリーズならともかく、まさか学園モノとして出発したガンダムでこんなにわかりやすい「悪の要塞」が出てくるとは……。ネットワーク上の概念的なものとか、エアリアルとガンドノード部隊の総称を指すものとか思うじゃん普通……。

ガンドノードが作り出すデータストーム・ネットワーク圏内に入ってしまった艦隊・艦載機はなすすべなくオーバーライドされ、抵抗できないままガンドノートに制圧されていった。プロスペラはそのままプラント・クェタに向かい、同地で完成した中枢ユニットを回収しようとするが、流石にこれはベネリット側に持ち出された後であった。プロスペラはクワイエット・ゼロをラグランジュ4のベネリットグループフロントへ向ける。

ここにきて、ミオリネとスレッタ・マーキュリーを始めとするメンバーはクワイエット・ゼロに突入し、緊急停止コードを直接入力する強硬策に出る。唯一オーバーライドに対抗できるスレッタ&ガンダム・キャリバーンがエアリアルとガンドノード部隊を引き付けている間に、ミオリネは母ノートレットが遺した裏コードを入力。すかさずベネリットグループの情報部隊が強制アクセスを行い、制圧に成功する。
だが、議会連合上層部はベネリットを完全に消し去るべく惑星間レーザー砲を使用し、これを防いだガンドノードが全滅、エアリアルは大破。絶体絶命の状況下においてスレッタとエリクトは和解し、クワイエット・ゼロに頼らずに地球圏を覆うデータストームを発現させ、レーザー攻撃を阻止した。

だがその代償は大きく、クワイエット・ゼロ要塞と、その場に集った4機のGUND-ARMのパーメットは粒子レベルにまで分解され、完全に失われた。プロスペラとエリクトが地球圏を支配する魔女となり、反乱者を容赦なく排除するであろう暗黒の未来は訪れなかったものの、デリングとノートレットの描いた戦争根絶の夢はここに潰えたのである。

戦闘要塞としてのクワイエット・ゼロ

見た目は真っ白なタイルを張り合わせた立錐体。中央に、GUND-ARM特有のシェルユニットが配されている。ユニットはパーメットスコアの上昇に応じて色へ変色していく(エアリアルと同じ)。

ガンドノードと比較すると、その大きさは1000~2000mは下らない。その割に結構航行速度は速いらしく、作中では短時間でラグランジュ2~4間の移動を行っていた。

要塞自体には武装は一切なく、艦載機であるモビルスーツ型ガンビット・ガンドノードが攻撃と防御を担う。ガンドノードの総数は不明だが、劇中描写を見るに50~60機程度ではない、かなり大量の機体が搭載されている模様。

余談と考察

  • 実はシーズン2の第1話(通算第13話)から、OP映像に要塞クワイエット・ゼロが登場している。タイトル表示が消え、地球の大地の映像が挿入された後、画面下から上へうっすらと流れていく赤い文様がそれだ。第22話以降、地球の大地からエアリアルに差し替えられたバージョンではより確認しやすくなっている。
  • ミオリネ達のクワイエット・ゼロ突入時、エリクトの意図しないガンドノード制御への干渉が発生した。この干渉者が誰なのかは劇中で明らかにされていない。視聴者間では、オルガノイドアーカイブ(生体情報)に残されていた強化人士4号の意思ではないか、との考察が主流のようだ。
  • 事態の終結後、当然プロスペラの責任問題が問われるわけだが、シャディク・ゼネリがちゃっかり「あれも自分がやりました」と自供し、まとめて自分の罪にしてしまった。おかげで事態収束から3年たっても公判中である。

関連項目

  • 機動戦士ガンダム 水星の魔女
  • ガンダム・エアリアル
  • ガンドノード
  • エンジェル・ハイロゥ - 『機動戦士Vガンダム』に登場する似たような制圧用施設。こちらはネットワークではなく人体の精神を直接無力化する数段タチの悪いものであるが。
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