スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 単語

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『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(Star Wars: Episode II Attack of the Clones)とは、「スター・ウォーズ」サーガの映画作品である。

アメリカ合衆国製作、2002年のジョージ・ルーカス監督作品。英略称は「AotC」。

概要

2002年に劇場公開された「スター・ウォーズ」サーガ映画第五作にしてスカイウォーカー・サーガの第二章。いわゆる「スター・ウォーズ新三部作(プリクエル・トリロジー)」の第二作にあたり、銀河を巻き込むクローン戦争のはじまりと青年アナキン・スカイウォーカーの転機を描く。

25年前の『エピソード4/新たなる希望』でアナキンの背景情報として示されていた「クローン戦争(クローン大戦)」が初めてルーカスの手により描写された。

あらすじ

遠い昔 はるか彼方の銀河系で・・・

前作から10年、分離主義の勢力が強まり、内戦寸前になりつつある銀河共和国。平和を求める共和国元老院議員として知られるパドメ・アミダラの暗殺未遂が起き、ジェダイ騎士団からオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーの師弟が護衛に送られる。暗殺者の痕跡を追ったオビ=ワンは惑星カミーノにたどり着き、共和国のため秘密裏にクローン兵の大軍が完成しつつあることを知る。

いっぽうアナキンは故郷ナブーへと避難するパドメに随行し、10年ぶりに会った彼女と恋に落ちる。だが故郷タトゥイーンに残した母の死に直面し、ジェダイとしてけして許されない復讐に走ってしまう。パドメ不在の元老院ではパルパティーン最高議長に非常大権を与える発議が可決され、共和国は分離主義の脅威を前に軍事化の道を歩みはじめた。

陰謀を調査するオビ=ワンは分離主義者の一大拠点ジオノーシスに囚われ、助けに駆けつけたアナキンとパドメ、そしてジェダイの一団も分離主義者のドロイド軍に囲まれ危地に陥る。しかし共和国のクローン軍が来援すると戦況は一変。アナキンとオビ=ワンは分離主義者の総帥、暗黒面の力を操るドゥークー伯爵に敗れるが、ドゥークーもまたジェダイの長老ヨーダを前にして逃走する。

アナキンとパドメは密かに結婚式を挙げる。だが分離主義者を敵とするクローン戦争は銀河中に広がり、ついにクローン軍の攻撃がはじまろうとしていた。

登場人物

アナキン・スカイウォーカー Anakin Skywalker - 演:ヘイデン・クリステンセン
若きジェダイ・パダワン(弟子)。
師オビ=ワンに育てられ、未熟で生意気だが優秀な好青年へと育った。しかし心の裡には、ジェダイが戒律で禁じる個人への強い執着――故郷に残してきた母シミへの郷愁の想い――が強く残っている。伝説の理不尽「オビ=ワンが悪い!!」は本作。
オビ=ワン・ケノービ Obi-Wan Kenobi - 演:ユアン・マクレガー
アナキンの師である真面目なジェダイ・ナイト。
師として、また兄として友としてアナキンを教え導く10年のあいだに、立派なジェダイへと成長した。アナキンに「ライトセイバーは命だ、失くすな」と諭しているが、そのオビ=ワンは毎回ライトセイバーを失くしている[1]
パドメ・アミダラ Padmé Amidala - 演:ナタリー・ポートマン
ヒロイン。EP1でのナブー女王の任期を終え、いまはナブー代表の元老院議員。
平和を希求する良識的かつ行動的な議員として、若いながらに尊敬を集めている。再会したアナキンと恋に落ちる過程で、無言のアナキンを見て笑顔が消えるパドメの4コマを生み出した。
R2-D2 Artoo-Detoo - 演:ケニー・ベイカー
パドメに仕えるアストロメク・ドロイド。主人とアナキンに付き従う。
足にジェットを隠し持つなどギミック豊富。EP1以来に再会したC-3POとの凸凹コンビついに結成と相成るが、間の悪い3POと違いちゃっかり立ち回っている。
C-3PO See-Threepio - 演:アンソニー・ダニエルズ
かつて幼いアナキンが自作したプロトコル・ドロイド。
故郷に残された10年のあいだに鈍色の外装を得た。タトゥイーンに帰ってきたアナキンの手に戻るが、早速ジオノーシスのドロイド工場でコラージュ素材にされる気の毒な目に。
ヨーダ Yoda - 演:フランク・オズ
ジェダイの長老。色の濃いメロンパンみたいな頭のエイリアン。
とうてい戦闘など成立しなさそうな、ごく小さな身体を持つ老ジェダイだが、『エピソード5/帝国の逆襲』での初登場から20数年越しに「ヨーダのライトセーバー戦」が描写されて観客の度肝を抜いた。
メイス・ウィンドゥ Mace Windu - 演:サミュエル・L・ジャクソン
ジェダイ評議会のリーダーを務める強力なジェダイ・マスター。
映画に登場するジェダイで一人だけ紫色の光刃のライトセイバーを持っているが、これは演者ジャクソンが遠景でも識別できる特別な色の光刃を要望したことによる。
パルパティーン最高議長 Supreme Chancellor Palpatine - 演:イアン・マクダーミド
銀河共和国元老院の最高議長。共和国のトップ。
良識的な議長として知られ、前作『エピソード1/ファントム・メナス』より最高議長を務めている。分離主義の危機に直面し、元老院より非常時大権を与えられて共和国軍の創設を実行する。
シミ・スカイウォーカー Shmi Skywalker - 演:ペルニラ・アウグスト
タトゥイーンに残ったアナキンの母。
水分農夫クリーグ・ラーズに買い取られて奴隷から解放され、結婚している。クリーグの連れ子オーウェン青年はガールフレンドのベルーと良い仲。しかし獰猛な砂漠の民タスケンに連れ去られる。
ドゥークー伯爵 Count Dooku - 演:クリストファー・リー
共和国の停滞に失望し、高邁な理想を掲げる分離主義者の総帥。エレガントな老人。
かつては尊敬されるジェダイで、オビ=ワンの師クワイ=ガン・ジンの師だった。騎士団を脱退してひそかにシス卿となり、暗黒面に仕える。ヨーダと激しい高性能じいちゃん頂上決戦を繰り広げる。
ジャンゴ・フェット Jango Fett - 演:テムエラ・モリソン
ドゥークー伯爵に雇われた腕利きの賞金稼ぎ。
クローン軍の遺伝子提供者で、純粋なクローンの息子ボバ・フェットを育てている。序盤から暗躍し、オビ=ワンと追跡行を繰り広げる。みんな大好きサイズミック・チャージの使い手。

スタッフ

  • 監督:ジョージ・ルーカス
  • 脚本:ジョージ・ルーカス、ジョナサン・ヘイルズ
  • 原案:ジョージ・ルーカス
  • 製作:リック・マッカラム
  • 製作総指揮:ジョージ・ルーカス
  • 撮影監督:デヴィッド・タッターサル
  • 美術監督:ギャビン・ボケット
  • 編集・音響:ベン・バート
  • 音楽:ジョン・ウィリアムズ
  • 視覚効果:ジョン・ノール、パブロ・ヘルマン、ベン・スノウ、デニス・ミューレン
  • 制作会社:ルーカスフィルム
  • 配給会社:20世紀フォックス

本作の初出要素

ドゥークー伯爵分離主義勢力(独立星系連合)が初登場。新三部作が完結する次作『エピソード3/シスの復讐』に向けて、必要な役者が出揃ったというところ。

分離主義勢力には、前作の通商連合以来のバトル・ドロイドに加えて新規にスーパー・バトル・ドロイドが登場。いっぽうで共和国側には、共和国軍を構成するクローン・トルーパーが初登場する(後述)。クローン・トルーパーが乗り組む共和国のアクラメーター級揚陸艦は、映画では時系列順で初めて、のちの旧三部作のスター・デストロイヤーを想起させる楔形の船体をもつ宇宙艦艇として登場した。

音楽面では、ライトモティーフとしてアナキンとパドメの禁じられた恋を美しく描き出した愛のテーマとしてとみに知られる「Across the Stars(アクロス・ザ・スターズ)」が本作から登場している。

話題

クローン戦争

本作では、過去に背景情報としてわずかに話が出た「クローン戦争」が初めて直接描写された。

それまでクローン戦争については、『新たなる希望』の台詞で触れられたにすぎず、「ルークの父とオビ=ワンがジェダイの騎士として戦った」「オビ=ワンは将軍としてレイアの父(この場合は養父ベイル・オーガナ)のため働いた」というだけしか明確な情報がなかった。

このためスピンオフ作品類でも、ぼんやりとした話がほんの少し出る、という程度の触れられ方しかしてこなかった。例えばティモシイ・ザーン『帝国の後継者』(1991年、レジェンズ)では、ペレオン艦長がクローンと聞いて「艦隊が出会った初期のクローンの精神と情緒の不安定さ」を想起している。

ただ、当時のファンコミュニティのコンセンサスとして、ジェダイを擁する共和国がクローン相手に戦った戦争なのであろう、という予想があったようではある。なにせ他に既知の要素がないのだから、それ以上の推論を立てようもない(当然だが、当時は分離主義者もドロイド軍もまだ影も形もなかった)。

結局本作で、クローン戦争の「クローン」とは共和国の敵ではなく、それどころか共和国軍そのものであり、レイア姫が助けを求めた「ケノービ将軍」が率いたのもクローン軍だった、と判明することとなった。本作以降、「スパーティ・シリンダー」をはじめ、クローン戦争の詳細がわからないままにスピンオフ小説で三々五々登場してきたクローン関連の設定もまとめあげられてゆくこととなる。

クローン・トルーパーの登場

クローン・トルーパーが初登場。共和国が旧三部作の銀河帝国の前身であることは旧三部作のころから明示されていたが、明らかに帝国のストーム・トルーパーを思わせる白く画一的なアーマーにより、民主主義の共和国が遠からず恐怖支配の帝国に移り変わることを強く印象づけた。

旧三部作のストーム・トルーパーとは異なり、本作および次作『エピソード3/シスの復讐』では、クローン・トルーパーはすべてCGで制作されている。トルーパーの素顔が出るシーンでも、演者テムエラ・モリソンの演技にアーマーをCG合成して作られた。CGではなく現実に衣装として制作されたクローン・トルーパーのヘルメットやアーマーが登場するのは、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』をはじめとするドラマシリーズ以降のことである。

ちなみに、本作でテムエラ・モリソンがジャンゴ・フェットを演じた影響で、クローン・トルーパーをはじめとしてそのクローンはことごとくモリソンの顔を持つこととなり、ジャンゴの純粋クローンである旧三部作のボバ・フェットも2004年のDVD版より声をモリソンに変えられている(顔出しは無し)。

ブリッジ・ノベル

EP1から本作公開までの3年のあいだ、前作EP1と本作とをつなぐメディアミックス企画として、作中時間で10年の合間を描くスピンオフ小説が複数刊行された。当時スピンオフ小説シリーズは『エピソード6/ジェダイの帰還』の後の時代を描くものが主軸だった。

ひとつはEP1の3年後、まだ少年期のアナキンの葛藤と師オビ=ワンとの関係を描いた『ローグ・プラネット』で、当時展開中だったEP6の20年ほど後を描く大長編「ニュー・ジェダイ・オーダー」シリーズのクライマックスへの伏線を兼ねていた。もう一作は本作EP2の直前を舞台とした『崩壊の序曲』で、分離主義者の陰謀の渦中にあるクローン戦争前夜のジェダイの任務を描いている。

ノベライズ

他のシリーズ映画作品同様、ノベライズ作品が刊行されている(2014年以降「レジェンズ」に分類)。著者はR・A・サルヴァトア(R・A・サルヴァトーレ)。原著は2002年刊行。

序盤で、アナキンの母シミが結婚したラーズ家の様子に紙幅を割いている。シミに恋して再婚した夫クリーグ、義息子オーウェンと、まもなく一家に加わるであろうベルーが仲睦まじく暮らす水分抽出農場の場面で、シミは手放した息子アナキンのことを思う。しかしシミはタスケン・レイダーに拐われ、クリーグは農夫を糾合して奪還を目論み、罠にかかって失敗するのである。

日本語訳

  • 『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』(富永和子訳、ソニー・マガジンズ。年)
    公開当時の訳。当時スピンオフ小説の邦訳刊行を担っていたソニー・マガジンズ、富永和子訳での刊行。
  • 『スター・ウォーズ エピソード2:クローンの攻撃』(上杉隼人、上原尚子訳、講談社。2015年)
    続三部作の公開に合わせた新訳。旧新両三部作を同一出版社・統一フォーマットで刊行した。
スター・ウォーズ レジェンズの邦訳小説
(作中時系列順)
前作 本作 次作
崩壊の序曲
(22BBY)
エピソード2 クローンの攻撃
(22BBY)
クローン・ウォーズ
(22BBY)

関連動画

関連リンク

関連項目

  • スター・ウォーズ
  • スター・ウォーズの関連項目一覧

脚注

  1. *EP1のモールとの戦いで1本目を失くし、EP2で囚われた時に2本めを失くし、EP3でも3本めを戦闘中に落としている(これは拾ってもらった)。
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