スペース・アーク 単語

スペースアーク

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スペース・アークとは「機動戦士ガンダム F91」や「機動戦士Vガンダム」に登場する艦船及びその艦級。改クラップ級とも。

概要

初登場は「機動戦士ガンダム F91」。開発・運用は地球連邦軍。のちにレジスタンス組織であるリガ・ミリティアにも配属が確認されている。

艦種・名称

艦種は重巡洋艦。前級であるクラップの後継艦である。クラップの改修艦に過ぎないと言う説もあるが、船体の直接的な改良や15m級MSの運用を前提にした装備などから別艦と説明されることが多い。

スペース・アークは直訳すると「宇宙の箱舟」を意味する。

建艦までの経緯

ラー・カイラム級の随伴艦・補助艦艇として建艦が始まったクラップ級であったが、0090年代以降の戦闘はいわゆる低劣度紛争であり実戦では小型かつ量産に向いたクラップ級が主力となることが多かった。0100年にジオン共和国が自治権を放棄して消滅。連邦の敵はもはや国家単位で存在することは考えられなくなり、より対ゲリラ対小規模艦隊戦への需要が増して行った。

0110年代になると、クラップ級の初期ロットも老朽化が進み代替え艦が求められ始めた。しかし、0105年のマフティー動乱以降は抵抗分子の反乱も一服しており平和な時代となったため、完全な新型艦の配備は予算的にも人員的にも難しい情勢であった。一方、この時代になるとMS動力炉(ミノフスキー・イヨネスコ核反応炉)の小型化が進み、将来的にMSが18mから15mほどになると予測され、クラップはともかくラー・カイラムの格納庫や発進システムでは不備が生じる恐れも出始めた。

この既存の艦艇生産ラインを維持することで価格を抑えつつ、MSの小型化に対応すると言う命題に応えたのがスペース・アークであった。

性能

全長は249m。これはクラップの292mより一回りほど小さく、サラミスの228mとそん色ないほど小型である。一方全幅は不明であるが、こちらもムサイ系の独立エンジン配置だったクラップと異なり、後方下部に4基のスラスターを付けたエンジンを1基にまとめて配置したため縮小が見られる。

武装は主砲が二連装メガ粒子砲2基。ミサイルランチャー6基。二連装対空機銃6基。クラップに引き続き、いずれもラー・カイラムのモノが流用されていると考えられる。船体の小型化にも関わらず、ほぼ全ての火力を受け継いでおり相対的には個艦火力は向上していると言ってよい。

エンジンは前述の通り、1基が艦の後方下面に配置されている。宇宙世紀の艦艇としては当時少数派になっていた集中型だが、サラミスやマゼランと違い船体に直接組み込まれていないと言う折衷様式である。本級の更なる改造艦であるが、のちのリーンホースJrもエンジンの切り離し能力を有していることが確認できる。性能は不明であるが、クラップのエンジン2基を1基にまとめた印象を受ける外観であり特段に変化していたとも考えにくい。

一方、クラップで特徴的だった機関下部の放熱フィンは消滅している。サラミス改級など放熱フィン装備以前に見られた船体の膨らましは見られないため、放熱問題は何らかの理由で解決がなされたようだ(搭載MSの変遷や技術革新など諸説ある)。

MS搭載数は不明。クラップが6機(露天つなぎ止めで12機)であり、MSの小型化にあわせて船体も小型化しているため、搭載数の向上は見受けられない。しかし、カタパルトデッキはむしろ大型化しており、クラップよりはMS運用に配慮がなされている。

船型はクラップと比べるとエンジンの改装もありややタイト。連邦の伝統的な艦艇に回帰した感はある。一方、クラップにおいて特徴的であった二段式の船型は維持されている。

実戦と評価

当初は本級の登場をもって、サラミスとクラップ初期型を更新する予定であった。しかし、0110年代の平和により更新は遅々として進まず、これと並行してMSもジェガンなどの大型機が残存したため、連邦軍の軍政家からも歓迎されなかった。これには連邦軍とアナハイムの癒着が取り沙汰されている。つまり、アナハイムとしては利益効率が良い大型MSの配備を続けた上で、ライバルであるサナリィなど小型MSにノウハウを有する会社の参入を阻止したかった。連邦軍としても、MSや艦艇の廉価化は予算獲得にかえって冷や水を浴びせる行為としか映らなかったのである(もちろん、小型化への不安や既存の兵器を温存した方が安上がりと言う現実的な軍政家もいたのであろうが)。

結果、本級もコスモバビロニア建国紛争の時点で旧式化。十分な数がそろわないまま、クロスボーン・バンガード軍配備の艦艇やMSに苦戦を強いられることになる。しかし、連邦軍では唯一、15m級MSに対応した艦艇であり前線では重宝され、F91強いては小型MSの活躍を証明することに一役買うことになる。

その後、連邦軍もこの戦役での経験を反省しジェムズガンなどの15m級MSを配備する。しかし、皮肉なことにMSの小型化は旧式とされて更新対象になっていたサラミスに再び活躍の場を与える結果となってしまい、わざわざ少数生産に過ぎなかったスペース・アークを再量産する機運は生まれなかった。また、0140年以降の連邦権力の形骸化により連邦自身が主体的に大規模艦隊を組むこともなくなり、自治権を獲得したコロニーも周辺宙域の哨戒程度ならサラミスで事足りると言う政治情勢の変化も大きかった。

必要に迫られる前は18m級MSに対応できないと排斥され、いざ必要とされた後は既存の旧式艦にお株を奪われると言う悲運の艦ではあったが、残存艦はそれなりに重用されVガンダムの時代ではリーンホースが登場。後述のように改造の上で主人公側の母艦となっている。

姉妹艦

  • スペース・アーク
    ネームシップだが、あくまで便宜上の理由でスペース・アーク級と名付けられているだけとも言える(本来的には改クラップ)。すでに旧式とされ練習艦扱いされている。0123年のコスモバビロニア建国紛争の際、F91の試験運用のためにフロンティアⅠに訪れていた。その後、多数の難民を収容しフロンティアⅣに避難。そこで現地の抵抗運動組織に編入され、戦闘に巻き込まれる。最終的にF91とシーブック・アノーの活躍もあり避難民を連れてフロンティア宙域を脱出。「宇宙の箱舟」の意味通りに目的を完遂した。艦長はレアリー・エドベリ。
  • ブレイウッド
    「機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラー91」に登場。アナハイム社所有の民間船であり、スペース・アークをさらに小型化し160mにしたもの。シルエットフォーミュラプロジェクトに関連する試作MSを搭載し、運用試験を実施していた。外観は連邦軍のコロンブス級輸送艦に偽装してある。非武装だが、メガ粒子砲を隠し持っている。艦長はアイトール・ホルスト。
  • リーンホース
    「機動戦士Vガンダム」に登場。アイルランドのロンドンデリー駐屯地よりリガ・ミリティアに派遣され、カミオン隊に合流している。ビームシールドを装備。旧式化(おんぼろ艦と敵のクロノクルも表現している)していたが、ゲリラらしい機動力と白兵戦法を駆使しカイラスギリー艦隊のスクイードを鹵獲。このスクイードと損傷したガウンランド(アレクサンドリア級)の船体・部品を合わせて最新鋭艦リーンホースJrに生まれ変わる。艦長はロベルト・ゴメス。

その他よもやま

  • プラモデル化はなされていない。ファンの間でガレージキットとしての販売がたまになされる。
  • コスモフリートコレクションには収録されており、スペシャルにはリーンホースJrもある。
  • 「機動戦士ガンダムF91」と「機動戦士Vガンダム」の二つの作品で主人公の母艦になっている。アーガマの例があるが、同一艦ではないにしろ30年後も同級の艦艇があてがわれたのは異例と言える。さらに言えば、Vガン時代から見れば60年前の艦艇でもある。

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関連項目

  • 機動戦士ガンダムF91
  • 機動戦士Vガンダム
  • シーブック・アノー
  • セシリー・フェアチャイルド(ベラ・ロナ)
  • ウッソ・エヴィン
  • シュラク隊
  • サラミス
  • ラー・カイラム
  • クラップ
  • RGM-109 ヘビーガン
  • ガンダムF91
  • RGM-122 ジャベリン
  • ガンイージ
  • ヴィクトリーガンダム
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