スマートフォンとは、「賢い電話」という意味を原義とした携帯情報端末(PDA)と携帯電話の機能を融合した電子機械のことである。略語は「スマフォ」または「スマホ」。
携帯電話に電話機としての使い勝手を求める利用者よりは、インターネットアクセス(メール・Web等)やファイル閲覧、音楽・動画再生などの多機能さ・自由度を求める利用者に特に適した端末である。スマートフォンの「スマート」とは、「賢い」という意味で用いられている。
ハードウェア的に電話機が主要となっている従来の携帯電話に対し、スマートフォンはPDA(≒小型コンピューター)にワイヤレス通信・通話機能を加えたものが主要となって発展したものが主流である。
現在市場に出ているスマートフォンの多くが幅広ストレート端末の形をしているのは、元をたどればPDA時代の名残といっても過言ではない。
従来の携帯電話の利用者からは、通話機能やメール機能だけでなく、ワードなどのオフィスソフトの閲覧や編集、パソコン向けサイトの閲覧、スケジュール管理を得意とする携帯端末、と見られることが多い。それゆえ現在のマスメディアにはスマートフォンを「多機能携帯電話」と説明するものもある。ただし、元々多機能であることはスマートフォンの直接の基準ではない(むしろ日本の携帯電話の方がスマートフォンより多機能であることもある)ので注意が必要である。
黎明期のスマートフォンの多くが、小型のキーボードを組み込んだものが多かったが、iPhoneの登場でタッチパネルとソフトウェアキーボードを組み込んだ形状へと変化している。この形状の変化が、スマートフォンの普及を加速させることとなった。
また、バッテリー持続時間の短さ、サイズの大きさ(日本の携帯電話市場で一般的であった幅50mm程度の細い端末は少ない)などのデメリットも未だ無視できない要素である。小型さやバッテリー持続時間などを重視する利用者にとっては、従来型の携帯電話・PHS(フィーチャーフォン、ガラケー)を使い続けたほうが良い場合があり、逆に画面の見やすさや操作性を重視した場合、スマートフォンよりもタブレットPC(iPad,Nexusなど)を用いた方が良いこともあるため、自分にあった端末をよく考えて選ぶか、知識の豊富な店員などに相談した上で選択する方がよい。
日本の携帯電話は、世界的に見て「広義のスマートフォン」に分類されるとする人もいる。
など、海外ではスマートフォンでなければ使用できなかった機能が、日本国内では1990年代末~2000年代前半に携帯電話に搭載されて広く普及しており、機能面ではスマートフォンとみなして差し支えないというのが主な理由である。また、OS的に見ても、3G以降の日本の携帯電話の多くはSymbianやLinux等スマートフォンと変わらないOSを搭載している。
ただし、
等の理由から、スマートフォンの市場調査等では、狭義のスマートフォンの範囲(大元はPDAの範囲)からは外されることが多い。
日本の高性能携帯電話は、通称としてフィーチャーフォン、俗には日本独自の進化を遂げた携帯電話としてガラパゴスケータイ、ガラケーと呼ばれるのが一般的である。
スマートフォンは多くの場合、同一のOSであれば同一のアプリが利用できる。
以下の表では、主なスマートフォン用OSと、それに対応する日本国内における主な機種を挙げる。
OSの名称 | 提供元 | 主な国内機種 |
---|---|---|
Android | Open Handset Alliance (Google主導の団体) |
XPERIA、ISシリーズ(IS02、IS12T除く)など多数 |
BlackBerry OS(BlackBerry) | Research In Motion (RIM) | BlackBerry Boldなど |
iOS(iPhone OS) | Apple | iPhone |
SymbianOS | Symbian (現在はNOKIAが買収) |
702NK/NK II、705NK、X02NK、N82、M1000(UIQ)など多数 |
Windows Mobile(6まで) | Microsoft | W-ZERO3シリーズ、X01HT、IS02など多数 |
Windows Phone(7・8) | Microsoft | IS12T |
Windows 10 Mobile | Microsoft | MADOSMA Q601 |
現在、世界シェアトップはAndroidOSである。
以下、SymbianOS、iOS、BlackBerry、WM・WP7の順にシェアが大きい。
当初は、圧倒的なシェアを誇ったSymbianOSを他が抜き去るのは2014年頃と予測されていたが、AndroidOSとiOSが共に驚異的な伸びを示しており、まもなくiOSもSymbianOSを抜くと見られている。
また、NOKIAはSymbianOSを廃止して、機種のOSをWPシリーズに全て置き換えることを発表しているため、SymbianOSは近いうちに消滅し、WPのシェアが伸びることが予想されている。
スマートフォン用のWebブラウザは基本的にPC用のサイトを表示するためのものとなっている。携帯電話用サイトを見ようとする場合、PCから見られるサイトはスマートフォンでも見られるが、ブラウザのUser-Agentによる自動振り分け、携帯電話の端末固有番号を利用した認証など、携帯電話限定のアクセスを前提としたサイトは見られない場合がある。そのほか、
などの理由から、スマートフォンではPCと全く同じように快適にWebが見られるとは限らない。
このため、スマートフォンのユーザー層拡大とともに、スマートフォンで見やすいサイトの需要も増加しつつある。上記の問題については、
などが主な解決策となり、スマートフォン専用に作られたサイトも一部では作られている。
しかしながら、日本の場合スマートフォン専用サイトであっても3Gや4G LTE通信といった高速回線を前提としたサイト作りがされていることが多く、諸外国と比べてデータの軽量化が成されていないという指摘もある。携帯・スマートフォン向けサイトのトップページのデータ量は欧米では100KB程度が平均値であるのに対し、日本の場合は1MB前後が平均値であり、欧米と比べると実に10倍も重い。日本のスマートフォンサイトは見た目の華やかさや便利さでユーザーを惹きつけようとしているサイトが多く、画像データの多用やweb広告などを仕込んでいることなどが軽量化を阻んでいる主な要因と考えられる。
また、データ量の多さは4G LTEの通信速度制限(月7MBまたは定額プランにより2~30MB)にも響く。携帯電話各社は1ページあたり容量の目安を150KBとして1ヵ月に見られるwebサイトのページ数を換算しているが、実際には前述のとおり(平均約1MB)であり、実に7倍近くもの乖離がある。携帯電話会社の目安を信じてネットサーフィンを続けていると、1週間も経たないうちに通信速度制限に引っかかり、以後月末まで128kbpsでしか通信出来なくなってしまう恐れがあるので、アプリやツールを活用して自分がどれだけ通信したのかを確認するクセを付けておくことが望ましい。WI-FIなら通信速度制限気にする必要ないので使える場所ならどんどん利用した方がいいと思われる。(モバイルWI-FIは種類によっては4G LTEから電波を介しているのでもちろん制限あるので注意)
小型コンピューターの汎用性と携帯電話・PHSの通信・通話機能を融合させる試みは1990年代から行われていた。国内では東芝の「GENIO」(1997年)や京セラの「DataScope」(1997年)、海外ではノキアの「Nokia 9000 Communicator」(1996年)やリサーチ・イン・モーション(RIM)の「Blackberry」(1999年)などが発売された。
その後、海外では2001~2002年頃から、Symbian、Palm、Windows CE/Pocket PC(現Windows Mobile/Windows Phone)、Blackberry等のOSを使った、「通話機能を持ったPDA」が続々と発売された。これらは通常の携帯電話(通話とSMS程度)よりも多機能な携帯電話「Smartphone」と呼ばれ、コンピューターリテラシーの高い層を中心にユーザーを増やしていった。
一方、日本では、海外のようなスマートフォンの普及は同時期には進まなかった。
という逆風の中、ノキア「Vodafone 702NK」(2004年、ボーダフォンより発売)、モトローラ「FOMA M1000」(2005年、NTTドコモより発売)が日本に上陸したのち、シャープ「W-ZERO3」(2005年、ウィルコムより発売)の登場で、ようやく日本でもコンピューターリテラシーの高い層や法人ユーザー(PDAを使用したシステムの置き換え)を中心にスマートフォンが普及し始めた。
その後にシャープや東芝、HTC等の端末(主にWindows Mobile)が定期的に発売された。が、販売数合計としてはまだ年間数十万台程度であり(参考)、携帯電話市場全体でのシェアは低かった。
国内で一般の携帯電話ユーザーにスマートフォンが認知されるようになったのは、アップル「iPhone 3G」(2008年、ソフトバンクモバイルより発売)の影響が大きい。特に、2009年に行われた「iPhone for everybody キャンペーン」で端末価格が実質0円になったことで、スマートフォンの高い価格イメージは一変し、誰にでも気軽に手に入るものへと変わった。
ほぼ同時期に、国内の従来型携帯電話市場は(販売方式変更による)端末価格高騰と、キャリア主導サービス展開の停滞により低迷。iPhoneの独り勝ちという状況が1年ほど続いた。
また、iPhoneの成功を機に、
などが、新世代スマートフォンのトレンドとなりはじめた。
その一方で、GoogleのスマートフォンOS・Androidの登場とともに、モトローラ、サムスン、HTC等の大手端末メーカーが端末を続々と発売。Androidは瞬く間にiPhoneの対抗馬としての地位を固めた。国内メーカーも、端末の販売不振を打開するため2010年頃からAndroid端末を市場に投入。2011年現在ではiOS(iPhone OS)・Androidの2大新興OSが全世界的にシェアを拡大している。
新勢力の台頭に対して、旧勢力も新たな動きを見せた。マイクロソフトは、旧バージョンとの互換性を捨てた軽快な新世代OS「Windows Phone 7」を開発し、2010年冬にリスタート。その後Symbian OS端末の大手ノキアがWP7への移行を決めたことで、業界には新たな衝撃が走った。北米ビジネスユーザーを中心にファンの高い支持を集めるRIM Blackberry陣営も、タッチパネル端末やタブレットの発売等で巻き返しを狙っている。
現在、国内市場においては、従来型携帯電話(ガラケー)の販売数が減少し、代わりにスマートフォンの販売数が右肩上がりで増大している。
NTTドコモは従来型端末のシリーズの1つであるスタイルシリーズ以外を2011年の秋以降廃止し、またソフトバンクモバイルでは2011年5月に機能を絞った携帯電話以外は全てスマートフォンに置き換える方針であることを発表している。
また、後にNTTドコモのiモードケータイ(従来型携帯電話端末)の発売は年1回程度にすると発表した。
これらの状況から国内市場における「携帯電話」の殆どが近く「スマートフォン」に置き換わろうとしている。
メーカー | シェア(1Q11) | 主力OS | 主な機種 |
---|---|---|---|
ノキア(芬) | 24% | SymbianOS→WP | NokiaNシリーズ |
アップル(米) | 19% | iOS | iPhone |
RIM(加) | 15% | BlackBerryOS | BlackBerryBold |
サムスン電子(韓) | 13% | AndroidOS | GalaxyS、Nexus |
HTC(台) | 10% | AndroidOS | HTC EVO |
Sony Mobile(日) | 5% | AndroidOS | Xperia |
モトローラ(米) | 4% | AndroidOS | Motorola PHOTON |
LG(韓) | 4% | AndroidOS | Optimus |
現在の世界シェアはこの通りである。
このうち、ノキアとRIMはシェア減衰が著しく、逆にアップルとAndroidOS使用メーカーは伸び幅が大きい。特にサムスンは、1年でシェアを3%から13%へ、実に4倍に伸ばした。
日本国内においては、アップルが61%、Sony Mobileが21%を占めている。
国内メーカー最大手は、auのISシリーズで人気を伸ばしたシャープである。続いてほぼ同シェア(両者とも7%程度)で東芝が続く。
国内メーカーは、世界市場において殆ど土俵に上がれてすらいないと言って良い。
SONYが出資し、現在では完全子会社化が検討されているSony Ericssonを国内メーカーと見なすならまだしも、それ以外の日本企業のシェアを全て合わせても、世界全体で見るとわずか2%に過ぎない。
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/19(金) 22:00
最終更新:2024/04/19(金) 22:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。