スーパーホーネット(競走馬) 単語

スーパーホーネット

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スーパーホーネットとは、2003年日本産まれの競走馬である。
名伯楽矢作芳人調教師の初期の活躍馬にしてGIにあと一歩届かなかった悲しき馬。

主な勝ち鞍
2007年:スワンステークス(GII)
2008年:京王杯スプリングカップ(GII)、毎日王冠(GII)
2009年:マイラーズカップ(GII)

概要

父*ロドリゴデトリアーノ、母ユウサンポリッシュ、母父*エルセニョールという血統。
父ロドリゴデトリアーノはイギリス・アイルランドの芝マイル~2000mでGIを5勝した快速馬。引退後は日本に輸入され、オークス馬エリモエクセル等重賞馬を多数輩出した。
母ユウサンポリッシュの所有者は俳優の柳葉敏郎で、母母Friendly Relationsはニジンスキーの母Flaming Pageの半妹だが、自身の成績は3戦未勝利と凡庸に終わる。
母父エルセニョールは現役時アメリカの芝を中心に44戦12勝。1991年のセネカハンデキャップでは武豊が騎乗して日本人による海外重賞初制覇を達成しているが、日本に輸入後の種牡馬実績はほとんど無いマイナー血統。
馬名のスーパーホーネットは映画トップガン マーヴェリックでも使用された戦闘攻撃機・F/A-18E/Fの愛称から取られている。

矢作氏がスーパーホーネットに出会ったのは2004年春の事。
単純に馬の格好がいいなという第一印象であり、血統は良くないけどちょっと面白そうだという印象を描いていたという。
しかし矢作氏は調教師試験に合格したばかりの技術調教師。この時点ではノーチャンスであったが、スーパーホーネットが本来入厩されるはずだったのが鮫島一歩厩舎であったのが幸いした。
矢作氏は技術調教師の間、一般的に他の厩舎で研修するところを日本国内外の競馬や牧場・競走馬セールを見て勉強するという変わった経歴を持つ人物だが、一応形だけでもどこかの厩舎所属にある必要があったが、その相手こそが鮫島厩舎であったのだ。
その縁もあってか牧場・オーナー・鮫島調教師と了承を取るのに時間も掛からず、来年の矢作厩舎所属に取り付ける事に成功した。

2歳になってトレセンにやってきて調教を開始したスーパーホーネット。
当時矢作厩舎の調教助手をしていた北口宏幸氏(調教助手時代にトウカイテイオーを担当、現在は厩務員でリスグラシューを担当した人)から「この馬、すごく走りますよ」と高い評価を受ける。
矢作調教師の期待も否応なしに上がっていった。

デビュー~苦難の4歳春まで

2005年9月11日の札幌芝1800mでデビュー。
地味な血統が嫌われて9番人気と低評価で4着に敗れるが上がり3ハロンは最速を記録した。
2戦目の札幌未勝利戦芝1500mでは四位洋文騎手が跨り、道中は最後方に位置して3コーナーから一気に動いて全馬まとめて交わす強い内容で初勝利。
札幌から栗東に戻り、中2週の強行でデイリー杯2歳Sに出走したが、マルカシェンクに2馬身千切られ3着。
それでも能力の高さを認識した矢作調教師は厩舎開業初年度でのGI出走を目標に中1周でくるみ賞(東京芝1400m)に出走させると、クビ差差し切って2勝目を上げ、朝日杯フューチュリティステークスにスーパーホーネットを送り込む事が出来た。

当時2歳牡馬唯一の芝GIレース、朝日杯フューチュリティステークスでは内田博幸騎手が鞍上に迎えられ、5番人気に支持されたスーパーホーネット。
最後の直線では外から上がり最速で突っ込んで来るが、2番手から抜け出したフサイチリシャールをクビ差捉えきれず2着に敗れる。
開業初年度GI初制覇は森秀行調教師(レガシーワールド)、鹿戸雄一調教師(スクリーンヒーロー)しか達成していないが、どちらも前の調教師から引き継いだ馬であった為、もしスーパーホーネットが勝っていれば「所属変更無しの競走馬による開業初年度初GI」という空前絶後の記録を達成していたのだから本当に惜しい敗戦であった。

3歳になり、クラシック路線へと足を進めたスーパーホーネット。
しかし初戦の弥生賞は5着に完敗。皐月賞も体重を-14kg減らした不調振りで10着敗戦。
開業2年目でダービーに管理馬を使いたいという思いから出走したダービーも15着敗戦。
このレース以降はマイル路線に切り替え、夏は休養に充て、秋の富士Sで復帰すると減った体重を取り戻して且つ成長分もあって+28kgでの出走。流石にここは14着と敗れるが、続くカシオペアS(京都芝1800m)では6番人気の低評価を覆す勝利。
GIマイルチャンピオンシップに出走したが出遅れもあって9着敗戦。

年が明けて4歳になったGIII阪急杯は7着敗戦。OP競走の大阪城S(阪神芝1800m)はハナ差差し切り勝利。このレースから引退まで藤岡祐介騎手が全ての手綱を握る事になる。
続くGIIの読売マイラーズCは15着とボロ負けし、OPの都大路S(京都芝1600m)は1と1/2馬身差付ける快勝。
GI安田記念に出走すると11着とボロ負け・・・

とまぁ、重賞ではまるで力を発揮出来ないがオープン競走では力の違いを見せるといった事が暫く続いた。
しかし秋になると初戦のポートアイランドS(阪神芝1600m)では4馬身千切る圧勝をすると、続くGIIスワンSを朝日杯でクビ差負けたフサイチリシャールを相手にハナ差差し切り重賞初勝利。
矢作調教師もこれが記念すべき重賞初勝利となり、「GIに出走する」から「GIを勝つ」と目標を大きく上げる飛躍を遂げるのであった。

あと一歩・・・ 4歳秋~引退まで

こうして4番人気に支持され挑んだGIマイルチャンピオンシップ。
中段前目に位置して直線追い込むが、先行策からギリギリまで仕掛けを待ったダイワメジャーを最後まで交わす事が出来ずに2着に敗れる。

その後は休養に入り、高松宮記念で復帰するも5着敗戦。
GII京王杯スプリンターズステークスでは1と1/2馬身付ける完勝。
GI安田記念は1番人気に支持されるがウオッカの復活劇の前に8着と敗れる。
休養を挟んで秋に復帰するとGII毎日王冠では逃げ込みを図るウオッカを強烈な脚で差し切って優勝。
今度こそGI勝利を手に入れるべく文句なしの大本命で挑んだGIマイルチャンピオンシップ。
しかし8枠17番という大外枠に祟られたせいで道中は控える競馬になり、直線で大外に持ち込んで上がり最速で突っ込むが、インからロスなく立ち回ってするすると直線抜け出したブルーメンブラッドの前に2着敗戦。
前回の敗戦はダイワメジャーとの実力の差と認めていたが、今回の敗戦は特に「悔しかったレース」と記憶に強く残っていると矢作調教師は語る。
その後は香港マイルへと海外GIへ挑戦する。今でこそ多くの海外GIを経験している矢作調教師であったが、これが初めてのレースであったが結果は0.5秒差の6着に終わった。

明け6歳の初戦はGII読売マイラーズCに出走すると、この年の天皇賞秋・マイルチャンピオンシップを連勝するカンパニーを封じ込め優勝。
GI安田記念はウオッカ、ディープスカイに次ぐ3番人気に支持されるが伸びを欠いて7着敗戦。

その後は脚部不安を発症し、2009年度の出走は果たせず、翌2010年シーズンではGIフェブラリーステークスで復帰するがダートが合わなかったのか15着と最下位敗戦。
連覇を狙った読売マイラーズCでも調子を取り戻せず9着敗戦。
GI安田記念では6番人気にまで評価を落とし、道中は後方3番手で脚を溜めると直線大外から猛然と追い込むが、同じく中団から追い込んだショウワモダンに半馬身届かず2着敗戦。

その後はGI天皇賞秋に出走するが見せ場もなく11着敗戦。マイルチャンピオンシップに出走予定であったが、右前浅屈腱炎を発症し引退する事となった。

通算31戦10勝。オープン競走以上は8勝を記録し、内GIIを4勝したがGIは2着を4回数え、いずれもあと少し追い込みが届かなった敗戦であった。
引退後は種牡馬入りするが目立った活躍馬は残せず、2019年に用途変更となり種牡馬を引退した。その後の行方はどうなってるか分からず虐殺されているのか生きているのかも不明な状況である。
直仔のハイパーホーネットが種牡馬入りされたが、サイアーラインを残すには程遠い状況にあるのは間違いない。

最後に

その後の矢作調教師の活躍は言うまでも無いであろう。
厩舎開業直後は社台系の馬は0の状況でスタートしたのにも関わらず、スーパーホーネットの活躍で注目を集め、ディープブリランテでダービーを制覇、リアルスティールで海外GI初制覇、リスグラシューで年度代表馬、ラヴズオンリーユー・マルシュロレーヌでBC制覇、コントレイルで3冠制覇、パンサラッサでサウジカップ制覇・・・等、数多くの名声と称号を手にしてきた矢作調教師であったが、そのが、そのきっかけになったのは間違いなくスーパーホーネットの活躍があったからである。
矢作調教師は常にその瞬間のベストを尽くしてるからこそ、勝っても負けても悔いが無い性格をしていると自負している。
しかしスーパーホーネットにGIを勝たせてあげられなかった事だけに関しては「現在の自分なら」と考えずにはいられないという。

今でこそトップトレーナーの地位を不動のままにしている矢作調教師であるが、多くの人に矢作調教師の創成期にこんないい馬がいたんだよと教えて欲しい。

矢作調教師の馬が活躍する度にスーパーホーネットの事を時々でいいから思い出して欲しい。

GIは勝てなかったけれどいつまでも記憶に残り続ける馬でいて欲しい。

血統表

*ロドリゴデトリアーノ
Rodrigo de Triano
1989 栗毛
El Gran Senor
1981 鹿毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Sex Appeal Buckpasser
Best in Show
Hot Princess
1980 栗毛
*ホットスパーク Habitat
Garvey Girl
Aspara Crimson Satan
Courtside
ユウサンポリッシュ
1997 鹿毛
FNo.8-f
*エルセニョール
1984 芦毛
Valdez Exclusive Native
Sally Stark
Sunrise Sue Grey Dawn
Sophistry
*エルゼビアー
1984 鹿毛
Elocutionist Gallant Romeo
Strictly Speaking
Friendly Relations Nearctic
Flaring Top
競走馬の4代血統表

クロスNearctic 4×4(12.50%)

関連動画

GII勝利


あと少しで届かなかったGI勝利・・・

関連項目

  • 競馬
  • 競走馬の一覧
  • 矢作芳人
  • 藤岡祐介

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