プロジェクト・ヘイル・メアリーとは、2021年5月に出版されたアンディ・ウィアーによる小説である。
概要
太陽のエネルギーを吸収する宇宙の微生物「アストロファージ」によって地球に氷河期が迫り、その危機を回避するための「ヘイル・メアリー計画」を描くSF小説。
日本語版は同年12月に小野田和子の訳で早川書房から刊行された。
科学的なリアリティを追求しつつ、SFの持つ神秘的な驚きも併せ持ち、巧みなストーリーテリングとユーモアとウィットに富んだ語り口で一気に読ませる。
各国で2021年に出版されたベストSF&ファンタジーの一冊として取り上げられ、日本でも第53回星雲賞海外長編部門を受賞するなど非常に評価の高い「今世紀ナンバーワンの“誰が読んでも面白いSF”」。
2026年にライアン・ゴズリング主演の映画が公開予定。
あらすじ
記憶を失い、病室のような部屋で体中を管で繋がれた状態で目覚めたグレースは、実験と推論を重ねるうちに、ここが宇宙船ヘイル・メアリー号の中であることと、自身が太陽系全体を滅亡の危機から救うため、帰るあてのない特攻ミッションに挑んでいることを思い出す。
主なキャラクター ※微ネタバレ注意
- ライランド・グレース
- サンフランシスコ在住の子供好きな中学校の科学教師。過去に突拍子もない論文を発表したことで微生物学会を追い出された。ヘイル・メアリー号の中で長い昏睡状態から目を覚まし、徐々に記憶を思い出していく。オタク気質。なぜタウ・セチだけがアストロファージに対して免疫があるのかを突き止めるため、ヘイル・メアリー号に乗ってタウ・セチに向かう。
- エヴァ・ストラット
- 「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の全権限を有している自信に満ちたオランダ人。試料として持ち帰られたアストロファージの調査をグレースに任命する。当初はグレースのことを単なるモルモットとしか見ていなかったが、グレースがアストロファージの繁殖方法を突き止めたことで彼を重宝するようになる。
- アストロファージ
- 太陽の表面に住み着く微生物。繁殖のために太陽と金星間を移動しているがその過程で太陽を“食べている”。 完璧なエネルギー貯蔵媒体でなおかつ完璧な宇宙線エンジンでもあり、ヘイル・メアリーの燃料として利用されている。星から星へと感染していっているがなぜかクジラ座のタウ・セチには感染しなかった。
- ロッキー
- エリダニ40星系からやってきた異星人。敵の敵は味方としてグレースと協力関係を結ぶ。
- ヤオ・リー=ジエ
- 厳格だが物分かりのいい、ヘイル・メアリー号の中国人船長。物語開始時点で故人。
- オリーシャ・イリュヒナ
- 陽気なロシア人クルー。物語開始時点で故人。
- アビー
- 嫌味だが頭の回転が速いグレースの教え子。馬術競技を嗜んでいる。
- シー
- 中国人の科学者。
- ヴォイト
- ドイツの外務大臣。
- ディミトリ
- ロシアのアストロファージ研究の第一人者。
- ロッケン
- 欧州宇宙機関に所属するヘイル・メアリー号の設計者。グレースの論文には否定的。
- ロッキー
- エリダニ40星系からやってきた異星人。敵の敵は味方としてグレースと協力関係を結ぶ。
関連動画
関連項目